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第14章 海洋国家を観光しながら生きていこう
233.事なかれ主義者は海の街に着く
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水の中でも呼吸できる魔道具を作ったり、ジューンさんと一緒に【回転】の魔法陣の改良方法について考えたり、それを利用した魔道具を作ったりしていたらあっという間に日々が過ぎていき、クーを乗せた馬車がガレオールの最初の街ガレリアに着いたと報せが入った。
一週間くらい砂漠を移動し続けていたらしいけど、誰も体調を崩す事もなく順調に進む事ができたらしい。
魔道具のおかげだというので、国境を越える商人たちに効果的だった魔道具を売りつけて、エント様の力を広めるのありなんじゃね? とか思う今日この頃。
アクスファースとの国境に一番近いこの街に教会を建てる事も考えた方がよさそうだ。
「ただ、そういう布教活動はとりあえず置いておいて……今日は遊ぶぞー!」
「シズトちゃん、手を離しちゃダメですよぉ? 人がいっぱいですからぁ」
「あ、はい」
ジューンさんに右手をギュッと握りしめられた。
ガレリアは国境に一番近いという事もあって陸も海も交易が盛んなようで、大勢の人が通りを歩いている。
港の方ではたくさんの船が停泊していた。風の力を利用して動かしているようで帆船しかなかった。
これはジューンさんと一緒にせっせと試作した『魔動スクリュー』の出番かもしれない。お風呂場で船のおもちゃにスクリューを付けて実験したけど、たぶん本物でも大丈夫なはず。
ドフリックさんに作ってもらったおもちゃの船とかにせっせと【付与】をしていた時に、ラオさんが何とも言えない顔で見ていた時が多かったけど、止められてないからきっとギリセーフなはず!
……諦められている可能性もあるかもしれないって最近思うけど、遊びや便利さでは妥協をしたくない気持ちもあって難しい……。
「それでぇ、今日は何をするんですかぁ?」
ギュッと手を握ってくるジューンさんの方を見ると、僕を優しい眼差しで見てくる。
最近、手のかかる子どもを温かく見守る母親みたいな感じがして何とも言えない。
ジューンさんは、今日は袖なしの真っ白なワンピースを着ていた。鍔の広い白い帽子を被って、緩く波打った金色の髪は、時々海風に吹かれて靡いている。
ただでさえエルフだから容姿が整っているのに、破壊力抜群の胸で通り過ぎる男たちの視線を集めていた。ただ、一人で集めているわけじゃない。もう一人規格外の胸の持ち主が僕の左手を握ってる。
「まずは海にいくのですわ? それともご飯を食べるのですわ?」
「海に行っても水着がないし、とりあえず食べ歩きかなー」
僕の周りの中で一番胸が大きいレヴィさんは胸元が大きく開いた服を着ている。ジューンさんとお揃いのつばの広い帽子を被った彼女のツインドリルが風ではなく、忙しなく動く彼女によってゆらゆらと揺らめいている。
あまり外を出歩いた事がないらしいレヴィさんは落ち着きなくそわそわと周囲を見ていた。青い目に映るすべての物が珍しいのかとても楽しそうだ。
その様子をレヴィさんの専属侍女であるセシリアさんが後ろから見ていた。
朝から晩までずっとメイド服の彼女は、魔道具化したメイド服のおかげで汗一つかく事なくロングスカートタイプのメイド服を着こなしている。薄い青色の目はレヴィさんをしっかりと捉えていて、口元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「早速行くのですわ! あそこで焼いてる変なのが気になるのですわー」
「変なのって……たぶんあれイカじゃない?」
「美味しそうですぅ~」
「この匂い、醤油もあるんかな? まあ、味噌とかあるならあっても不思議じゃないのか……? 材料同じだし」
レヴィさんに引っ張られながら進んだ先では、上半身裸のおじさんが大きな鉄板の上でイカっぽいものの一部分を焼いていた。
ゲソの部分だと思うんだけど、なんか大きくない??
「リトルクラーケンの足の先端の部分ですね」
ジッと凝視していたら近くで護衛をしていたジュリウスがいつの間にか近くまで寄ってきていて、何か教えてくれた。
クラーケンってタコじゃなかったっけ? イカだったっけ? あれ、その両方合体した奴だったかな?
「Aランクの海の魔物ですわ!」
「美味しそうですねぇ」
「おう、今朝競り落とした新鮮なゲソを使ってっから味は保障するぜ!」
「それにしてもデカくない?」
「おう、青い目のねーちゃんとおんなじくらい有り得ねぇでかさだろ! 狩るにしてもアブねぇからなかなか取れなくて稀にしか手に入んねぇけどよ、坊ちゃんは運がいいな! 是非食べてってくれよ!」
海の魔物を討伐しようとすると船を出して大勢で狩るか、海を自由に動き回る事ができる魚人の冒険者たちに頼るしかないらしい。陸に打ち上げたらワンランク以上脅威度が下がるけど、海の魔物は基本的に危険な物ばかりなんだとか。
銀貨を支払って切れ端をちょびっとだけ食べてみると普通に美味しかったので、丸々足一本買って食べながら歩く事にした。
時々背中に背負っているクーが口を開けておねだりしてくるので食べさせるのも忘れない。
「それにしても、魚人もいるんだねぇ。人魚姫とかいるのかな」
「海底にある魚人の国にはいるのですわ。ただ、その国に訪れる事ができる人間はいなかったのですわー。風魔法の使い手であれば、魔法で周囲に空気の膜を張る事はできるのですけど、魚人の国に行くまでに魔物たちに襲われてしまうのですわー」
ジュリウスに視線を向けると、彼は頷いた。
「私であっても、自由自在に水の中を移動するのは難しいですね」
「不可能ではないんだ?」
「伊達に長く生きておりませんから」
なるほど。
それにしても魚人の国か。
ちょっと見てみたいなぁ、人魚姫。
一週間くらい砂漠を移動し続けていたらしいけど、誰も体調を崩す事もなく順調に進む事ができたらしい。
魔道具のおかげだというので、国境を越える商人たちに効果的だった魔道具を売りつけて、エント様の力を広めるのありなんじゃね? とか思う今日この頃。
アクスファースとの国境に一番近いこの街に教会を建てる事も考えた方がよさそうだ。
「ただ、そういう布教活動はとりあえず置いておいて……今日は遊ぶぞー!」
「シズトちゃん、手を離しちゃダメですよぉ? 人がいっぱいですからぁ」
「あ、はい」
ジューンさんに右手をギュッと握りしめられた。
ガレリアは国境に一番近いという事もあって陸も海も交易が盛んなようで、大勢の人が通りを歩いている。
港の方ではたくさんの船が停泊していた。風の力を利用して動かしているようで帆船しかなかった。
これはジューンさんと一緒にせっせと試作した『魔動スクリュー』の出番かもしれない。お風呂場で船のおもちゃにスクリューを付けて実験したけど、たぶん本物でも大丈夫なはず。
ドフリックさんに作ってもらったおもちゃの船とかにせっせと【付与】をしていた時に、ラオさんが何とも言えない顔で見ていた時が多かったけど、止められてないからきっとギリセーフなはず!
……諦められている可能性もあるかもしれないって最近思うけど、遊びや便利さでは妥協をしたくない気持ちもあって難しい……。
「それでぇ、今日は何をするんですかぁ?」
ギュッと手を握ってくるジューンさんの方を見ると、僕を優しい眼差しで見てくる。
最近、手のかかる子どもを温かく見守る母親みたいな感じがして何とも言えない。
ジューンさんは、今日は袖なしの真っ白なワンピースを着ていた。鍔の広い白い帽子を被って、緩く波打った金色の髪は、時々海風に吹かれて靡いている。
ただでさえエルフだから容姿が整っているのに、破壊力抜群の胸で通り過ぎる男たちの視線を集めていた。ただ、一人で集めているわけじゃない。もう一人規格外の胸の持ち主が僕の左手を握ってる。
「まずは海にいくのですわ? それともご飯を食べるのですわ?」
「海に行っても水着がないし、とりあえず食べ歩きかなー」
僕の周りの中で一番胸が大きいレヴィさんは胸元が大きく開いた服を着ている。ジューンさんとお揃いのつばの広い帽子を被った彼女のツインドリルが風ではなく、忙しなく動く彼女によってゆらゆらと揺らめいている。
あまり外を出歩いた事がないらしいレヴィさんは落ち着きなくそわそわと周囲を見ていた。青い目に映るすべての物が珍しいのかとても楽しそうだ。
その様子をレヴィさんの専属侍女であるセシリアさんが後ろから見ていた。
朝から晩までずっとメイド服の彼女は、魔道具化したメイド服のおかげで汗一つかく事なくロングスカートタイプのメイド服を着こなしている。薄い青色の目はレヴィさんをしっかりと捉えていて、口元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「早速行くのですわ! あそこで焼いてる変なのが気になるのですわー」
「変なのって……たぶんあれイカじゃない?」
「美味しそうですぅ~」
「この匂い、醤油もあるんかな? まあ、味噌とかあるならあっても不思議じゃないのか……? 材料同じだし」
レヴィさんに引っ張られながら進んだ先では、上半身裸のおじさんが大きな鉄板の上でイカっぽいものの一部分を焼いていた。
ゲソの部分だと思うんだけど、なんか大きくない??
「リトルクラーケンの足の先端の部分ですね」
ジッと凝視していたら近くで護衛をしていたジュリウスがいつの間にか近くまで寄ってきていて、何か教えてくれた。
クラーケンってタコじゃなかったっけ? イカだったっけ? あれ、その両方合体した奴だったかな?
「Aランクの海の魔物ですわ!」
「美味しそうですねぇ」
「おう、今朝競り落とした新鮮なゲソを使ってっから味は保障するぜ!」
「それにしてもデカくない?」
「おう、青い目のねーちゃんとおんなじくらい有り得ねぇでかさだろ! 狩るにしてもアブねぇからなかなか取れなくて稀にしか手に入んねぇけどよ、坊ちゃんは運がいいな! 是非食べてってくれよ!」
海の魔物を討伐しようとすると船を出して大勢で狩るか、海を自由に動き回る事ができる魚人の冒険者たちに頼るしかないらしい。陸に打ち上げたらワンランク以上脅威度が下がるけど、海の魔物は基本的に危険な物ばかりなんだとか。
銀貨を支払って切れ端をちょびっとだけ食べてみると普通に美味しかったので、丸々足一本買って食べながら歩く事にした。
時々背中に背負っているクーが口を開けておねだりしてくるので食べさせるのも忘れない。
「それにしても、魚人もいるんだねぇ。人魚姫とかいるのかな」
「海底にある魚人の国にはいるのですわ。ただ、その国に訪れる事ができる人間はいなかったのですわー。風魔法の使い手であれば、魔法で周囲に空気の膜を張る事はできるのですけど、魚人の国に行くまでに魔物たちに襲われてしまうのですわー」
ジュリウスに視線を向けると、彼は頷いた。
「私であっても、自由自在に水の中を移動するのは難しいですね」
「不可能ではないんだ?」
「伊達に長く生きておりませんから」
なるほど。
それにしても魚人の国か。
ちょっと見てみたいなぁ、人魚姫。
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