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第12章 ドワーフの国を観光しながら生きていこう

201.事なかれ主義者は明かりにご執心

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 雪合戦の後はカマクラを作って中に入ってのんびりしてみたり、雪を一カ所に集め、圧縮し、ソリで遊んだりして大満足だ。
 雪合戦は結局、雪玉職人で終わっちゃったけど。
 こういう時、皆のように身体強化が使えたらと羨ましく思う。
 魔力量は、無駄に毎日魔力を使い切っているので、相当な量となっているらしいけど、毎回ファマリーに半分以上持っていかれているから増えているか今一つよく分からない。
 後片付けは除雪雪だるまに任せて、来た道を徒歩で歩いて帰る。
 無駄に魔力が余っているので、道の端に作った雪だるまにちょっと細工して回っていると、ラオさんの視線に気づいた。

「……悪い事してないよ?」
「まだ何も言ってねぇよ。……ちなみに何してんだ?」
「ほら、もうすぐ日が暮れるし暗い夜道は危険かなぁって」

 背丈と同じくらいの大きさの雪だるまに魔石を設置すると、雪だるまの頭部が発光して周囲を照らす。
 名付けて街灯雪だるま!
 ラオさんはため息をついただけで何も言わない。
 代わりにルウさんが、ニコニコしながら僕の頭を撫でた。

「明るくていいわね」
「だよねー。もっと作ろっと」
「魔物に壊されるぞ」
「まあ、その時はその時だよ」
「お手伝いします、マスター」
「ありがと、ホムラ」

 パパッと【付与】しまくって発光雪だるまを量産していき、片っ端からホムラが魔石をセットしていく。
 そうして町まで着くと、日が落ちた。
 後ろを振り向くと、綺麗に照らされた道がまっすぐに続いていた。
 うん、夜道でも安全に進めそうだ。
 ただ、ふと気になった事があったので、一緒に道を眺めていたジュリウスさんを見上げる。

「……ところで、魔物ってここら辺たくさんいるの?」
「街道の近くや町周辺は低ランクの魔物しかいませんね。雪が多いから自分の住処周辺に籠っている事が多いです」
「あとは狐系や兎系の魔物もいるが、大した事ねぇな。むしろ町の住人に狩られて食料になったり毛皮になったりだな」
「そうなんだ。じゃあ探しに行くのも面倒だから魔物を呼び寄せる系の物を作るのもありかなぁ。閃いたから作れそうだし。……でも集まり過ぎたら大変だからやっぱだめだね」
「だな。悪用される可能性もあるんだから、そこら辺は作るとしても慎重に扱えよ」
「作るなって言わないんだ」
「どうしてもそれが必要な時があるかもしれねぇから、作っとくのは良いんじゃねぇか。魔剣とかみてぇに」
「備えあれば患いなしっていうもんね」

 そうしてアイテムバッグの肥やしが増えていくわけですね、分かります。
 ただ、危険な物は個人用のアイテムバッグを作ってそっちに保管しといた方が良いかも。
 魔力認証で持ち主以外使えないようにしておけば安心かな。

「まあ、今は必要じゃないし、魔力も心許ないから作らないけどね」



 クーとは馬車でお別れして、転移陣を使ってファマリーの根元まで戻ると、モニカが待っていた。
 モニカの近くに浮遊ランプが浮いているおかげで、暗くても彼女の顔がよく分かる。
 他の奴隷たちは新しい新居の方に籠っているらしい。後ろの毛玉が怖いから。
 もう慣れたからあまりそう思わないけど、普通は怖いよね。

『……何用だ』
「別に何も」

 首を横に振りながら毛玉からの念話に返事をすると、白い毛玉は毛玉のままだった。
 ……皆、夜眠れるかな。
 安眠カバーの貸し出しも検討しなきゃいけないかもしれない。

「ラオさんたち、けだ……フェンリルが近くにいても眠れる?」
「あ? なんだいきなり。まあ、寝ようと思えばいつでも眠れるようにしてるから問題ねぇけど?」
「私も特に問題ないわ」
「そっか。モニカは?」
「私ですか? 布団は同じ物を使うので問題ないと思います」

 ……そういう意味で聞いたわけじゃないけど、確かに布団が変わったり部屋が変わったりしたら寝付けない人とかいそう。
 ただ、安眠カバーも悪用が怖いから、きっちり個数を把握して管理しなきゃいけないよな。まあ、管理するのは僕じゃなくて、ホムラたちなんですけどね。
 ジュリウスさんとフェンリルがいるから、盗まれる事はほぼほぼないとは思うけど、明日は防衛用の魔道具作りしようかな?
 考え事をしながら歩いていると、新居に着いたようだ。
 周囲が暗いから街灯も作らなきゃな。……世界樹をライトアップしたら観光名所になるかな?
 首を傾げながらモニカの後に続いて玄関から建物の中に入ると、とても広かった。
 っていうか、なんか明かりが豪華なシャンデリアなんですけど。掃除するのが面倒そうだなぁ。

「魔法で何とでもなりますよ。私は使えませんが」
「なるほど。魔法って便利だね」

 魔道具の出番はないかもしれない。
 食事の準備はできているそうなので、モニカに案内をしてもらって食堂に向かう。 

「窓の外は中庭です。天気のいい日は中庭でティータイムを楽しむのもいいかもしれません。レヴィア様は中庭を耕して家庭菜園をするんだと主張していましたが、セシリア様と討論中です」
「……なるほど」

 鑑賞用に珍しい花でも育てればいいんじゃないかなぁ。
 野菜とかじゃないと納得しないかな?

「こちらが食堂です。どうぞ、お入りください」
「ありがと、モニカ」

 モニカに開けられた扉をくぐると、そこにもやっぱり豪華な明かりが天井からぶら下がっていた。
 ……明日、埃吸い吸い箱量産しておこう。
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