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第11章 旅の準備をしながら生きていこう
182.事なかれ主義者は泡風呂を作ってみた
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ユグドラシルから帰宅してのんびりと過ごした後、夕食のために皆が集まった所で、ドライアドやフェンリルから聞いた話を伝えた。
ラオさんとルウさんは既に食後の飴を舐めていたが、他の面々は食事をしながら話を聞いていた。
「という事で日帰り旅行をしようと思うんだけど、どう思う?」
「どうって……別にいいんじゃねぇか?」
「シズトくんの好きにすればいいんじゃないかしら。私たちはそれに合わせて動くだけだもの」
「この前は置いてけぼりだったから、今度は一緒に行きたいわ、ご主人様」
「そこら辺はホムラと話し合って」
「分かったわ、ご主人様」
「他の国に行くのに配慮した方が良い事とかってあるの?」
自分の立場の事を考えるといろいろあるだろう。
レヴィさんに視線を向けると、レヴィさんは農作業をしてきたのか、長袖長ズボンの作業服を着ていて、美味しそうに食事をしていた。
口の中に残っていた物を飲み込むと、レヴィさんが口を開く。
「ユグドラシルとファマリーの世話をしながら行くから、転移陣を使って日帰り旅にするという事ですわ?」
「うん、そう。誰かに行ってもらって設置してもらうだけでもいいんだけど、どうせなら他の国も楽しみたい!」
気がついたら異世界転移してもうすぐ一年くらい経ってるんじゃないかな。この世界の一年は、ちょっと地球とは違うみたいだからよく分からないけど。
それなのに、未だに行った事がある街はドランとファマリアとユグドラシルくらいだ。
ドラゴニアの王都も行ってみたいし、ニホン連合国も気になる。
やらなきゃいけない事はもちろんやるつもりだけど、この世界に来て楽しむって決めたんだから、いろんな所に行っていろいろ体験したい。
危ない事は嫌だけど、絶景とか見てみたい!
きっと物理学的にあり得ない物とかいっぱいあるでしょ、ファンタジーな世界だし。
「転移陣を馬車に付与して自由に国境を行き来するのであれば、事前に根回しをしておいた方がよさそうですわね。前回の濡れ衣騒動の事もあるから、そこら辺は問題ないと思うのですわ。むしろこの機会にお近づきになろうと擦り寄ってくると思うのですわ」
「……それは面倒そう」
「交渉事は私にお任せください、マスター。そのために私を連れて行くべきです」
「交渉だったら私でもできるわ。ホムラが留守番をしていればいいんじゃないかしら」
「交代で行けばいいじゃん」
「貴族関係は私が対応するのですわー。だから私も連れて行くのですわ! あと、同じ婚約者のジューンも連れて行くと便利だと思うのですわ」
「私はどちらでもいいですぅ。ただ、連れて行ってもらってもぉ、お役に立てるかは分かりませんがぁ……」
シュンとして下を向くジューンさんのフォローはレヴィさんに任せるとして、根回しはどうしたものか。
「陛下頼る?」
「んー、やっぱそれがいいのかな。リヴァイさんとラグナさんに連絡お願いしてもいい?」
「分かった」
こくりと頷くと、ドーラさんは食事を再開した。
いつも思うけどその小さな体のどこにそれだけの量が入るんだろうか。
他国への根回しはとりあえず丸投げしちゃって、明日からしばらく旅行の準備に専念しようかな。
食後、だらだらと過ごしていたが、お風呂の時間になった。
その時間になってやっと気づいたんだけど、いきなりジューンさんと一緒にお風呂ってちょっと緊張する。
ジューンさんの方を見ると、不思議そうに首を傾げた。
そろそろお風呂に入ろうかな、と思って脱衣所に移動したら既に彼女は準備を終えていて、湯浴み着姿だった。
ラオさんたちから貰ったのか、ショートパンツにチューブトップの様な物を身に着けているけど、目のやり場にとても困る!
長い金色の髪は結われていて、肩から首にかけて丸見えだ。白い肌が眩しい!
「服を脱ぐのぉ、お手伝いした方が良いですかぁ?」
「自分で脱ぐので大丈夫です!」
「分かりましたぁ。それではぁ、私は先にあっちに行ってますねぇ~」
え、レヴィさんたちとか、なんか見慣れてたから反応しなかった感じ?
ちょっとやばいかも。
前屈みの状態で少しの間、心を無にしてから着替えを済ませてタオルを腰に巻く。
変な事を考えるとダメなので、次はどんなお風呂を作ろうかと考えながら浴室に向かう。
ジューンさんはシャワーからお湯を出して、椅子を温めている様だった。
「こっちへどうぞぉ?」
「あ、はい。お願いします」
お風呂、何作ろう。大きい。お風呂、どうしようかな。
「頭とぉ、背中をキレイキレイすればよかったですかぁ?」
「はい、それ以外は禁止で」
「分かりましたぁ」
ジューンさんによって体にお湯がかけられていき、髪も濡らされる。
髪用の石鹸を魔道具を使って泡立てて、その泡を手に取ると僕の髪を洗い始めた。
あ、なんかいい感じ。ラオさんと同じくらい上手かも。
「ユグドラシルではぁ、ちっちゃい子のお世話もしてたのでぇ、こういうのもちょっと自信ありますぅ」
「魔道具の使い方は皆に教わったの?」
「そうですよぉ。魔道具がいっぱいで覚えるの大変ですけどぉ、頑張りましたぁ」
気持ちよく頭を洗われていると、だんだんと邪念が洗い流されていく気がする。
いや、ジューンさんの体を見てないからかもしれないけど。
……体が見えない?
「泡風呂とかありかな? ……うん、できそう。ジューンさん、頭と背中を洗い終わったら脱衣所の籠の中に入ってる鞄取ってきてくれる?」
「いいですよぉ。何をするんですかぁ?」
「ちょっとお風呂作るの」
「そうなんですかぁ……?」
あ、いまいちよく分かってないっぽい。
まあ、別にいいか。
頭も背中も洗ってもらったので、ジューンさんにはアイテムバッグを脱衣所に取りに行ってもらい、その間にササッと大事な所を洗った。
「持ってきましたぁ」
「ありがと。それじゃ、始めよっか」
アイテムバッグを持っていてもらって、中から木材を取り出すと【加工】で浴槽をササッと作る。
難しい形にしても失敗するだろうから元々あった浴槽を参考に作り上げたそれに、今度は【付与】をして魔力を流せば泡風呂の完成だ。
もこもこの泡が浴槽を満たしている。
……お湯、あるかな。あったわ。
ゆっくりとお湯に浸かるけど、泡がやばい。
入った事がなかったけど、今後入る事はなさそうだ。お湯がちょっとぬるいし。
そんな事を考えていると、後ろから細くてきれいな手が伸びてきて、泡を両手ですくうと肩につけていく。
「シズトちゃん、ちゃんと肩まで浸からないとダメですぅ」
「……ジューンさんは入らないの?」
「? 私は後で入らせていただきますぅ。今はシズトちゃんのお世話をしっかりしなきゃいけませんからぁ」
あ、そうですか。
……これ作った意味なくない?
っていうか、もこもこの泡が浴槽から溢れたんだけど、どうしよう。
後処理の事考えてなかったけど大丈夫かなぁ。
しばらく泡で遊んでいると、ジューンさんも遊びに付き合ってくれて後ろから手が伸びてくる。
その度にドキッとするから心臓に悪い。
「そろそろ出るけど、泡を洗い流さないといけないから、ジューンさんは先に出て着替えてて」
「分かりましたぁ」
「着替え終わったら教えてね」
「はーい」
体についていた泡を洗い流している間にジューンさんは着替え終わり、脱衣所に戻ると僕の着替えを準備して待っていた。
一人で着替えて、まだ濡れている髪を拭いていると、ジューンさんが僕を近くにあった椅子に座らせた。
「なに?」
「髪を乾かしますねぇ~」
ジューンさんが僕の頭を優しく撫でる。
……精霊魔法って、便利ですね。
撫でてるだけのように見えるのに、いつもよりもめちゃくちゃ早く乾いた髪の毛を触りながら、便利でいいなぁ、って思った。
やっぱり魔法つかってみたいなぁ。
ラオさんとルウさんは既に食後の飴を舐めていたが、他の面々は食事をしながら話を聞いていた。
「という事で日帰り旅行をしようと思うんだけど、どう思う?」
「どうって……別にいいんじゃねぇか?」
「シズトくんの好きにすればいいんじゃないかしら。私たちはそれに合わせて動くだけだもの」
「この前は置いてけぼりだったから、今度は一緒に行きたいわ、ご主人様」
「そこら辺はホムラと話し合って」
「分かったわ、ご主人様」
「他の国に行くのに配慮した方が良い事とかってあるの?」
自分の立場の事を考えるといろいろあるだろう。
レヴィさんに視線を向けると、レヴィさんは農作業をしてきたのか、長袖長ズボンの作業服を着ていて、美味しそうに食事をしていた。
口の中に残っていた物を飲み込むと、レヴィさんが口を開く。
「ユグドラシルとファマリーの世話をしながら行くから、転移陣を使って日帰り旅にするという事ですわ?」
「うん、そう。誰かに行ってもらって設置してもらうだけでもいいんだけど、どうせなら他の国も楽しみたい!」
気がついたら異世界転移してもうすぐ一年くらい経ってるんじゃないかな。この世界の一年は、ちょっと地球とは違うみたいだからよく分からないけど。
それなのに、未だに行った事がある街はドランとファマリアとユグドラシルくらいだ。
ドラゴニアの王都も行ってみたいし、ニホン連合国も気になる。
やらなきゃいけない事はもちろんやるつもりだけど、この世界に来て楽しむって決めたんだから、いろんな所に行っていろいろ体験したい。
危ない事は嫌だけど、絶景とか見てみたい!
きっと物理学的にあり得ない物とかいっぱいあるでしょ、ファンタジーな世界だし。
「転移陣を馬車に付与して自由に国境を行き来するのであれば、事前に根回しをしておいた方がよさそうですわね。前回の濡れ衣騒動の事もあるから、そこら辺は問題ないと思うのですわ。むしろこの機会にお近づきになろうと擦り寄ってくると思うのですわ」
「……それは面倒そう」
「交渉事は私にお任せください、マスター。そのために私を連れて行くべきです」
「交渉だったら私でもできるわ。ホムラが留守番をしていればいいんじゃないかしら」
「交代で行けばいいじゃん」
「貴族関係は私が対応するのですわー。だから私も連れて行くのですわ! あと、同じ婚約者のジューンも連れて行くと便利だと思うのですわ」
「私はどちらでもいいですぅ。ただ、連れて行ってもらってもぉ、お役に立てるかは分かりませんがぁ……」
シュンとして下を向くジューンさんのフォローはレヴィさんに任せるとして、根回しはどうしたものか。
「陛下頼る?」
「んー、やっぱそれがいいのかな。リヴァイさんとラグナさんに連絡お願いしてもいい?」
「分かった」
こくりと頷くと、ドーラさんは食事を再開した。
いつも思うけどその小さな体のどこにそれだけの量が入るんだろうか。
他国への根回しはとりあえず丸投げしちゃって、明日からしばらく旅行の準備に専念しようかな。
食後、だらだらと過ごしていたが、お風呂の時間になった。
その時間になってやっと気づいたんだけど、いきなりジューンさんと一緒にお風呂ってちょっと緊張する。
ジューンさんの方を見ると、不思議そうに首を傾げた。
そろそろお風呂に入ろうかな、と思って脱衣所に移動したら既に彼女は準備を終えていて、湯浴み着姿だった。
ラオさんたちから貰ったのか、ショートパンツにチューブトップの様な物を身に着けているけど、目のやり場にとても困る!
長い金色の髪は結われていて、肩から首にかけて丸見えだ。白い肌が眩しい!
「服を脱ぐのぉ、お手伝いした方が良いですかぁ?」
「自分で脱ぐので大丈夫です!」
「分かりましたぁ。それではぁ、私は先にあっちに行ってますねぇ~」
え、レヴィさんたちとか、なんか見慣れてたから反応しなかった感じ?
ちょっとやばいかも。
前屈みの状態で少しの間、心を無にしてから着替えを済ませてタオルを腰に巻く。
変な事を考えるとダメなので、次はどんなお風呂を作ろうかと考えながら浴室に向かう。
ジューンさんはシャワーからお湯を出して、椅子を温めている様だった。
「こっちへどうぞぉ?」
「あ、はい。お願いします」
お風呂、何作ろう。大きい。お風呂、どうしようかな。
「頭とぉ、背中をキレイキレイすればよかったですかぁ?」
「はい、それ以外は禁止で」
「分かりましたぁ」
ジューンさんによって体にお湯がかけられていき、髪も濡らされる。
髪用の石鹸を魔道具を使って泡立てて、その泡を手に取ると僕の髪を洗い始めた。
あ、なんかいい感じ。ラオさんと同じくらい上手かも。
「ユグドラシルではぁ、ちっちゃい子のお世話もしてたのでぇ、こういうのもちょっと自信ありますぅ」
「魔道具の使い方は皆に教わったの?」
「そうですよぉ。魔道具がいっぱいで覚えるの大変ですけどぉ、頑張りましたぁ」
気持ちよく頭を洗われていると、だんだんと邪念が洗い流されていく気がする。
いや、ジューンさんの体を見てないからかもしれないけど。
……体が見えない?
「泡風呂とかありかな? ……うん、できそう。ジューンさん、頭と背中を洗い終わったら脱衣所の籠の中に入ってる鞄取ってきてくれる?」
「いいですよぉ。何をするんですかぁ?」
「ちょっとお風呂作るの」
「そうなんですかぁ……?」
あ、いまいちよく分かってないっぽい。
まあ、別にいいか。
頭も背中も洗ってもらったので、ジューンさんにはアイテムバッグを脱衣所に取りに行ってもらい、その間にササッと大事な所を洗った。
「持ってきましたぁ」
「ありがと。それじゃ、始めよっか」
アイテムバッグを持っていてもらって、中から木材を取り出すと【加工】で浴槽をササッと作る。
難しい形にしても失敗するだろうから元々あった浴槽を参考に作り上げたそれに、今度は【付与】をして魔力を流せば泡風呂の完成だ。
もこもこの泡が浴槽を満たしている。
……お湯、あるかな。あったわ。
ゆっくりとお湯に浸かるけど、泡がやばい。
入った事がなかったけど、今後入る事はなさそうだ。お湯がちょっとぬるいし。
そんな事を考えていると、後ろから細くてきれいな手が伸びてきて、泡を両手ですくうと肩につけていく。
「シズトちゃん、ちゃんと肩まで浸からないとダメですぅ」
「……ジューンさんは入らないの?」
「? 私は後で入らせていただきますぅ。今はシズトちゃんのお世話をしっかりしなきゃいけませんからぁ」
あ、そうですか。
……これ作った意味なくない?
っていうか、もこもこの泡が浴槽から溢れたんだけど、どうしよう。
後処理の事考えてなかったけど大丈夫かなぁ。
しばらく泡で遊んでいると、ジューンさんも遊びに付き合ってくれて後ろから手が伸びてくる。
その度にドキッとするから心臓に悪い。
「そろそろ出るけど、泡を洗い流さないといけないから、ジューンさんは先に出て着替えてて」
「分かりましたぁ」
「着替え終わったら教えてね」
「はーい」
体についていた泡を洗い流している間にジューンさんは着替え終わり、脱衣所に戻ると僕の着替えを準備して待っていた。
一人で着替えて、まだ濡れている髪を拭いていると、ジューンさんが僕を近くにあった椅子に座らせた。
「なに?」
「髪を乾かしますねぇ~」
ジューンさんが僕の頭を優しく撫でる。
……精霊魔法って、便利ですね。
撫でてるだけのように見えるのに、いつもよりもめちゃくちゃ早く乾いた髪の毛を触りながら、便利でいいなぁ、って思った。
やっぱり魔法つかってみたいなぁ。
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