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第10章 婚約(仮)をして生きていこう
170.事なかれ主義者はついていけなかった
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ガントさんが満足するまでお風呂でのんびり過ごした後、二階の遊戯室に移動した。
パメラが他にもたくさん遊ぶものがあると言ってしまったらしくて、興味を持ったようだ。
とりあえずお風呂の後は卓球が定番だから、と言うといろいろな物に目移りしていたガントさんは素直にラケットを持った。
自作のネットが張られた卓球台も、ラケットもボールも全部木製だ。
ただ、ネットは最近ドワーフのドロミーさんが僕の朧げな知識を頼りに作ったので、それっぽい物ができていた。
ドワーフの女性は手先が器用で、裁縫とかその他いろいろ得意らしい。
「なるほど、こうやって打ち合うのを楽しむ遊びか」
「本来は得点を競うゲームですけどね」
「そうなのか?」
ガントさんが試合に興味を示したのでルールを簡単に説明すると、彼は真剣に聞いていた。
一通り説明すると、彼は言った。
「では、勝負しよう」
「………」
「ああ、龍の巣みたいなものではないぞ。望むなら何か賭けてもいいが……」
「賭け試合はこりごりですので。紛らわしいから今度から試合って言って欲しいですー」
「ああ、分かった。気を付けよう」
ほんとに分かってるのかなぁ。
ウキウキとラケットを持って素振りをしているガントさんをじっと見るが、彼は気づいた様子もない。
まあ、いいか。
じゃあ、卓球の難しさを教えてあげましょう!
学校の体育で習ったカットのお披露目だ!
「なるほど、卓球とは奥が深い物なんだな」
「これは卓球とは言わないと思いますー……」
ラケットが悪いのかボールが悪いのか、それとも台が悪いのか。
ぼっこぼこにされました。
っていうか、途中から魔力を纏ったガントさんに手も足も出なくなったんですけど!
悔しいのでジュリウスさんに敵討ちをお願いすると、最初の方は身体強化を発動してボールが見えないレベルの打ち合いをしていた二人だったんだけど、途中からボールがバウンドせずに転がったり、めちゃくちゃ不規則にぶれたり、分裂したりと、超次元卓球になった。
一回のラリーが終わる度に、魔力でコーティングされていない台を【加工】で修復するのめんどい。
これにも自動修復機能つけちゃおうかな。それともアダマンタイトをコーティングすればいいのか?
ちょっと現実逃避をしている間にまた点が入ったので、記録する。
最初の方は目で追えなかったので自己申告になっていたけど、ボールがバウンドせずにその場で独楽のようにぐるぐる回っていたら僕でも分かるよ。
ジュリウスさんはそれの対策をどうするべきか真剣に考えているようだ。
サーブの返球であれされたらどうしようもないから、打ち返せないサーブを打つしかないよね。
という事で、精霊が室内を飛び交ってジュリウスさんの助太刀をしているようだ。
……僕が遊ぶ時は魔法禁止にしてもらおう。
それでもカットは全然通用しないだろうけどね。
膝を抱えて椅子に座っていると、遊戯室の扉がノックされて、ひょこっとルウさんが顔を出した。
「お楽しみ中申し訳ないのだけど、そろそろシズトくんはお休みの時間だとお姉ちゃんは思うわ?」
「もうそんな時間ですか。ガント様、そろそろお開きにしましょう」
「同点か、丁度いいな。また手合わせを頼む」
「受けて立ちましょう」
なんか男二人が握手をして仲良しになっているように見える。
ガントさんはジュリウスさんが送っていくという事になった。
「ではな、シズト。次はボウリングで試合をしよう」
「魔法無しでお願いしますね?」
じゃないといろいろ魔道具化して無茶苦茶しちゃうぞ?
「ああ、わかった。それでは、また仕事が落ち着いたら顔を出す」
しばらく来ないといいなぁ。
なんて言わずに、愛想笑いをしながら手を振って見送った。
ガントさんを乗せた馬車が門から出て行くと、ルウさんが後ろからギュッとしてきた。
……頭にアレが当たっているのですが。
「さ、シズトくん。お姉ちゃんとお休みしましょーねー?」
「その言い方誤解を招くからやめてもらっていいっすか!?」
寝る前に魔力切れになるまでアダマンタイトの【加工】をしていたから、今日も気だるさを感じつつ朝を迎えた。
ルウさんがニコニコしながらベッドに腰かけているのをいつもの事か、と思いつつ特に突っ込みを入れない。
人生諦めが肝心だから。
「今日も当番はルウさんなの?」
「昨日は全然お世話ができなかったから皆が許してくれたの」
「お風呂以外は普通にお世話をされた気がするんですけど……」
「お風呂のお世話ができなかったから許してくれたの」
わざわざ言い直さなくてもいいっすよ。
とりあえず、着替えるから外に出て行ってもらっていいっすか。
ルウさんを追い出して、筋肉痛を感じながら朝の支度をした。
……最近サボってたけど、運動するかぁ。
パメラが他にもたくさん遊ぶものがあると言ってしまったらしくて、興味を持ったようだ。
とりあえずお風呂の後は卓球が定番だから、と言うといろいろな物に目移りしていたガントさんは素直にラケットを持った。
自作のネットが張られた卓球台も、ラケットもボールも全部木製だ。
ただ、ネットは最近ドワーフのドロミーさんが僕の朧げな知識を頼りに作ったので、それっぽい物ができていた。
ドワーフの女性は手先が器用で、裁縫とかその他いろいろ得意らしい。
「なるほど、こうやって打ち合うのを楽しむ遊びか」
「本来は得点を競うゲームですけどね」
「そうなのか?」
ガントさんが試合に興味を示したのでルールを簡単に説明すると、彼は真剣に聞いていた。
一通り説明すると、彼は言った。
「では、勝負しよう」
「………」
「ああ、龍の巣みたいなものではないぞ。望むなら何か賭けてもいいが……」
「賭け試合はこりごりですので。紛らわしいから今度から試合って言って欲しいですー」
「ああ、分かった。気を付けよう」
ほんとに分かってるのかなぁ。
ウキウキとラケットを持って素振りをしているガントさんをじっと見るが、彼は気づいた様子もない。
まあ、いいか。
じゃあ、卓球の難しさを教えてあげましょう!
学校の体育で習ったカットのお披露目だ!
「なるほど、卓球とは奥が深い物なんだな」
「これは卓球とは言わないと思いますー……」
ラケットが悪いのかボールが悪いのか、それとも台が悪いのか。
ぼっこぼこにされました。
っていうか、途中から魔力を纏ったガントさんに手も足も出なくなったんですけど!
悔しいのでジュリウスさんに敵討ちをお願いすると、最初の方は身体強化を発動してボールが見えないレベルの打ち合いをしていた二人だったんだけど、途中からボールがバウンドせずに転がったり、めちゃくちゃ不規則にぶれたり、分裂したりと、超次元卓球になった。
一回のラリーが終わる度に、魔力でコーティングされていない台を【加工】で修復するのめんどい。
これにも自動修復機能つけちゃおうかな。それともアダマンタイトをコーティングすればいいのか?
ちょっと現実逃避をしている間にまた点が入ったので、記録する。
最初の方は目で追えなかったので自己申告になっていたけど、ボールがバウンドせずにその場で独楽のようにぐるぐる回っていたら僕でも分かるよ。
ジュリウスさんはそれの対策をどうするべきか真剣に考えているようだ。
サーブの返球であれされたらどうしようもないから、打ち返せないサーブを打つしかないよね。
という事で、精霊が室内を飛び交ってジュリウスさんの助太刀をしているようだ。
……僕が遊ぶ時は魔法禁止にしてもらおう。
それでもカットは全然通用しないだろうけどね。
膝を抱えて椅子に座っていると、遊戯室の扉がノックされて、ひょこっとルウさんが顔を出した。
「お楽しみ中申し訳ないのだけど、そろそろシズトくんはお休みの時間だとお姉ちゃんは思うわ?」
「もうそんな時間ですか。ガント様、そろそろお開きにしましょう」
「同点か、丁度いいな。また手合わせを頼む」
「受けて立ちましょう」
なんか男二人が握手をして仲良しになっているように見える。
ガントさんはジュリウスさんが送っていくという事になった。
「ではな、シズト。次はボウリングで試合をしよう」
「魔法無しでお願いしますね?」
じゃないといろいろ魔道具化して無茶苦茶しちゃうぞ?
「ああ、わかった。それでは、また仕事が落ち着いたら顔を出す」
しばらく来ないといいなぁ。
なんて言わずに、愛想笑いをしながら手を振って見送った。
ガントさんを乗せた馬車が門から出て行くと、ルウさんが後ろからギュッとしてきた。
……頭にアレが当たっているのですが。
「さ、シズトくん。お姉ちゃんとお休みしましょーねー?」
「その言い方誤解を招くからやめてもらっていいっすか!?」
寝る前に魔力切れになるまでアダマンタイトの【加工】をしていたから、今日も気だるさを感じつつ朝を迎えた。
ルウさんがニコニコしながらベッドに腰かけているのをいつもの事か、と思いつつ特に突っ込みを入れない。
人生諦めが肝心だから。
「今日も当番はルウさんなの?」
「昨日は全然お世話ができなかったから皆が許してくれたの」
「お風呂以外は普通にお世話をされた気がするんですけど……」
「お風呂のお世話ができなかったから許してくれたの」
わざわざ言い直さなくてもいいっすよ。
とりあえず、着替えるから外に出て行ってもらっていいっすか。
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