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第10章 婚約(仮)をして生きていこう
159.事なかれ主義者は男の子ですので
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レヴィさんから結婚の申し込みがたくさん舞い込んでいると聞いた翌日。
レヴィさんとドーラさんは、今日も朝早くから出かけて貴族や有力者の相手をしているらしい。
朝食を食べ終えて、ラオさんと一緒にファマリーに転移した。ルウさんは、今日は冒険者ギルドで話す事があるとの事で不在だ。
特にフェンリルやドライアドに絡まれる事もなく、ファマリーのお世話が済んだ。
すぐにドランの屋敷に戻り、書斎として利用している部屋に入る。
書斎の机の上には、紙が高く積み上げられている。
「……これ全部?」
「じゃねぇのか?」
「ひとまず今日はこれだけ、と言った方が正しいですね。噂は広がるでしょうし、これからどんどん増えていくと思います」
資料の準備をしていてくれたモニカが椅子を引いてくれたのでそこに座る。
目の前に差し出される紙にはその人の情報について書かれていた。肖像画も渡される。
「エンジェリア帝国の姫君です」
「……幼すぎません?」
「十歳か。まあ、ありなんじゃねぇか? お前いくつだったっけ」
「十六……いや、十七になってる、のかな? こっちの世界に来て半年は過ぎてるだろうし」
「七歳差ですか。まあ、そのくらいはよく聞きますね」
「だな。過去の勇者は十以上歳の離れた娘も嫁にしたって言うしな」
それ事案なのでは?
いや、三十歳が二十歳を妻にするなら犯罪ではないけどさ。
「あと、その結婚相手の後ろ盾によっては後からこの人も、と上の権力の者から言われて婚約する事もあったようです。まあ、勇者色を好むって言いますし、だいたいの勇者は来るもの拒まずって感じでしたが」
「英雄じゃなくて勇者なんだ……」
「女の勇者が複数の男性を囲い込んだ時は、誰の子なのか問題になった時もあったらしいな」
「ああ、似た見た目の人を集めていたあの勇者ですね。髪の色や目の色、肌の色が違えばよかったんでしょうけど……結局、実家が一番力の強い者の所に連れて行かれたんでしたっけ」
なるほど……姫花、大丈夫かなぁ。
もう会う事がないかもしれない我儘女の事を思い返していると、そういえば彼女たちがいたのもこの国だったな、と思い出す。
「そういえば、あの三人大丈夫なんかな?」
「どの三人だ」
「ほら、エンジェリア帝国の勇者たち」
「ああ、それでしたら国を旅だったと発表があったそうです。行き先はどこだ、と明言はされてないのでどこで何をしているのかは分かりませんが」
「案外近くにいるかもな」
「やめてよラオさん。ほんとにそうなっちゃったらどうすんのさ」
でもそっか。
問題なくエンジェリア帝国から旅立つことができたならよかった。
扱き使われているとか噂が聞こえてきたら何とも言えない気持ちになるし。
こっちに迷惑かけないでどこかで好き勝手生きててください。僕もそうするので。
「とりあえず、この子はパスで~。年が離れすぎてますので~」
「わざわざ一つ一つ見るんだな。シズトが見なくてもいいと思うけど」
「見なかったら見なかったでなんか言われたら嫌だし、見たよって嘘を言ってもいきなり会いに来た時に嘘がばれたら面倒じゃん」
アイテムバッグから取り出した木の板を加工して即席でトレーを作ると、その中に紙を入れる。
それから次の紙を手に取ろうとしたら、そっとその手をモニカに止められた。
「シズト様は年齢を気にされているようですが、具体的に何歳から何歳までの間、等のご希望はあるのでしょうか」
「え、改めて聞かれると悩む……」
高校生が中学生と付き合うのはありなのか? 小学生はやばいかな。うん、たぶん、やばい……?
そうなると十三歳以上か。
…………やっぱり十五歳以上。
上はどうなんだろう?
年上のお姉さん……ありだけどどこまでをお姉さんと捉えるかだよな。
見た目? 見た目で判断すればいいのか? ただ流石に十以上離れているのはちょっとなぁ。
「と、とりあえず十五歳以上で二十八歳以下?」
「かしこまりました。では、少々お待ちいただけますか? 条件に当てはまらない方を除外しますので。他に見た目などの好みはございますか?」
「ん~~~……特にはぁ、無いかなぁ」
男同士だったらそういう話を平気でできるけど、女性にするってなんかハードル高くないっすか?
モニカはそうですか、とだけ答えてラオさんを見た。なんでラオさん?
「まあ、強いてあげればよく胸は見てくるな。後は足も見てるぞ」
「健全な男の子だったら仕方ないと思うんですけど! ってか、レヴィさんもラオさんもルウさんも恰好が過激だから仕方ないと思うんすけど!」
「最初にレヴィアにあった時は髪に視線がいってたな。痩せてからはいろんなとこに行ってるが」
「なるほど……ふくよかな方は除外しておきますか」
……そうっすね。
僕が反論しないのを見て一つ頷くと、モニカは仕分け作業を始めた。
僕とラオさんは、それが終わるのを魔力マシマシ飴を舐めながら待った。
すごい速さで仕分けをしていき、紙の山が半分くらいに減ったんだけど、どれに引っかかったんだろうね。
年齢でも体型でも何とも言えない気持ちになるから僕は考えるのをやめた。
レヴィさんとドーラさんは、今日も朝早くから出かけて貴族や有力者の相手をしているらしい。
朝食を食べ終えて、ラオさんと一緒にファマリーに転移した。ルウさんは、今日は冒険者ギルドで話す事があるとの事で不在だ。
特にフェンリルやドライアドに絡まれる事もなく、ファマリーのお世話が済んだ。
すぐにドランの屋敷に戻り、書斎として利用している部屋に入る。
書斎の机の上には、紙が高く積み上げられている。
「……これ全部?」
「じゃねぇのか?」
「ひとまず今日はこれだけ、と言った方が正しいですね。噂は広がるでしょうし、これからどんどん増えていくと思います」
資料の準備をしていてくれたモニカが椅子を引いてくれたのでそこに座る。
目の前に差し出される紙にはその人の情報について書かれていた。肖像画も渡される。
「エンジェリア帝国の姫君です」
「……幼すぎません?」
「十歳か。まあ、ありなんじゃねぇか? お前いくつだったっけ」
「十六……いや、十七になってる、のかな? こっちの世界に来て半年は過ぎてるだろうし」
「七歳差ですか。まあ、そのくらいはよく聞きますね」
「だな。過去の勇者は十以上歳の離れた娘も嫁にしたって言うしな」
それ事案なのでは?
いや、三十歳が二十歳を妻にするなら犯罪ではないけどさ。
「あと、その結婚相手の後ろ盾によっては後からこの人も、と上の権力の者から言われて婚約する事もあったようです。まあ、勇者色を好むって言いますし、だいたいの勇者は来るもの拒まずって感じでしたが」
「英雄じゃなくて勇者なんだ……」
「女の勇者が複数の男性を囲い込んだ時は、誰の子なのか問題になった時もあったらしいな」
「ああ、似た見た目の人を集めていたあの勇者ですね。髪の色や目の色、肌の色が違えばよかったんでしょうけど……結局、実家が一番力の強い者の所に連れて行かれたんでしたっけ」
なるほど……姫花、大丈夫かなぁ。
もう会う事がないかもしれない我儘女の事を思い返していると、そういえば彼女たちがいたのもこの国だったな、と思い出す。
「そういえば、あの三人大丈夫なんかな?」
「どの三人だ」
「ほら、エンジェリア帝国の勇者たち」
「ああ、それでしたら国を旅だったと発表があったそうです。行き先はどこだ、と明言はされてないのでどこで何をしているのかは分かりませんが」
「案外近くにいるかもな」
「やめてよラオさん。ほんとにそうなっちゃったらどうすんのさ」
でもそっか。
問題なくエンジェリア帝国から旅立つことができたならよかった。
扱き使われているとか噂が聞こえてきたら何とも言えない気持ちになるし。
こっちに迷惑かけないでどこかで好き勝手生きててください。僕もそうするので。
「とりあえず、この子はパスで~。年が離れすぎてますので~」
「わざわざ一つ一つ見るんだな。シズトが見なくてもいいと思うけど」
「見なかったら見なかったでなんか言われたら嫌だし、見たよって嘘を言ってもいきなり会いに来た時に嘘がばれたら面倒じゃん」
アイテムバッグから取り出した木の板を加工して即席でトレーを作ると、その中に紙を入れる。
それから次の紙を手に取ろうとしたら、そっとその手をモニカに止められた。
「シズト様は年齢を気にされているようですが、具体的に何歳から何歳までの間、等のご希望はあるのでしょうか」
「え、改めて聞かれると悩む……」
高校生が中学生と付き合うのはありなのか? 小学生はやばいかな。うん、たぶん、やばい……?
そうなると十三歳以上か。
…………やっぱり十五歳以上。
上はどうなんだろう?
年上のお姉さん……ありだけどどこまでをお姉さんと捉えるかだよな。
見た目? 見た目で判断すればいいのか? ただ流石に十以上離れているのはちょっとなぁ。
「と、とりあえず十五歳以上で二十八歳以下?」
「かしこまりました。では、少々お待ちいただけますか? 条件に当てはまらない方を除外しますので。他に見た目などの好みはございますか?」
「ん~~~……特にはぁ、無いかなぁ」
男同士だったらそういう話を平気でできるけど、女性にするってなんかハードル高くないっすか?
モニカはそうですか、とだけ答えてラオさんを見た。なんでラオさん?
「まあ、強いてあげればよく胸は見てくるな。後は足も見てるぞ」
「健全な男の子だったら仕方ないと思うんですけど! ってか、レヴィさんもラオさんもルウさんも恰好が過激だから仕方ないと思うんすけど!」
「最初にレヴィアにあった時は髪に視線がいってたな。痩せてからはいろんなとこに行ってるが」
「なるほど……ふくよかな方は除外しておきますか」
……そうっすね。
僕が反論しないのを見て一つ頷くと、モニカは仕分け作業を始めた。
僕とラオさんは、それが終わるのを魔力マシマシ飴を舐めながら待った。
すごい速さで仕分けをしていき、紙の山が半分くらいに減ったんだけど、どれに引っかかったんだろうね。
年齢でも体型でも何とも言えない気持ちになるから僕は考えるのをやめた。
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