233 / 1,094
第9章 加工をして生きていこう
158.事なかれ主義者にモテ期が来たらしい
しおりを挟む
そのうちファマリアはさらに大きくなって、他国からたくさんの人が訪れるはずだ。
だから他国の偉い人を持て成すための場所が必要なはず、という申し出がどこかから来て、作られたのが遠くに見える迎賓館だ。誰が言い出したんだったか……あんまり興味がわかなくて、忘れちゃった。
世界樹の近くにある住居で接待する程親しい訳でもないからと、レヴィさんはここで貴族たちの相手をしているそうだ。今までは冒険者ギルドや商人ギルドの会議室を間借りして相手していたらしいが、今回は相手が多い事と、他国のお偉いさんもいるからここにしたらしい。
「なんか入りたくなくなってきた」
「じゃあ帰んのか?」
「お姉ちゃんたちはどっちでもいいわよ?」
「シズト様の御心のままに」
「行くよ? 行くけどさぁ、なんか入り辛いじゃん。なんでこんな無駄に広い敷地のど真ん中に建物が建ってんのさ。余計に入り辛いわ」
居住区の北側に、広めに聖域の魔道具で囲ったその建物は、不毛の大地にぽつんと立っているように見える。
いつまでも突っ立っていても仕方ないからと、歩いて建物に向かうには時間がかかりそうなそこに向けて、ラオさんに背中を押されながら進む。
「こちらの迎賓館には基本的に馬車でお越しになる方ばかりですので、建物まで遠くても問題ないと思われて作られたのでしょう」
「徒歩で来る人のために動く床でも作ろうかなぁ」
「それもいいかもしれません。将来、迎賓館の周囲を庭園にしようと話が出ていますので」
「まあ、やりたきゃやりゃいいんじゃねぇか? ここを歩いて訪れるのはシズトみてぇなやつくらいだろうし、わざわざそれを作る必要はねぇと思うけど」
「あら、それはどうかしら? 他の場所ではそんな物はないでしょうし、物珍しさで使う人がいるかもしれないわ」
「移動手段だったら転移陣でいいんじゃねぇか?」
まあ、そうだよね。
僕も話していてそれ思った。
転移陣の宣伝にもなるし、もしかしたらありなのかも?
でもそんな事したらめちゃくちゃ働かなくちゃいけなくなりそうだし、転移陣はないかな。
その後もどうでもいい話をしていたら、あっという間に建物の目の前についてしまった。
大きな玄関が開かれると、中からセシリアさんが出てきた。
いつも通りの長いスカートタイプのメイド服を身に纏った彼女は、空のように薄い青い目で僕を不思議そうに見てくる。
「シズト様、いかがなさいましたか? レヴィア様に何か御用でしょうか?」
「御用ってほどじゃないけど、大丈夫かなって。ほら、ユウトとかいう人といろいろあった後だし」
ないとは思うけど、呪うなとは言ったけど暴れるなとは言われてないから暴れました、とかあったら困るし。
そう思っていたら、セシリアさんは首を横にゆっくりと振った。
「その点に関しては何も問題は御座いません。ジュリウス様達が監視をしていたそうですが、近衛兵から邪神の信奉者についての尋問をされた後、ドラコ侯爵が領地に連れ戻したらしいです。また、息子がしでかした事からドラコ侯爵自身も、国王陛下から何かしらの処罰があるかと思いますが、シズト様が気にされる事ではないです」
「できれば穏便に済ませて欲しいんだけどなぁ」
「それは無理なんじゃねぇか? ここで曖昧な態度だと、後々同じような事をしでかそうとする奴がゴロゴロと出てくるようになっちまうだろうし」
「そうね、シズトくんに手を出すと容赦しないぞ、って睨みを利かせておかないとおバカさんがまた来ちゃうかもしれない物ね」
「それと、国の面子もあるでしょう。おそらくシズト様に関して何かしらの王命があったはずでしょうからね」
なるほど、いろいろあるんだなぁ。
やっぱりそういう事考えなきゃいけないなら、責任ある立場になりたくないわ。貴族とかノーセンキュー。
「レヴィア様はもうそろそろ休憩をお取りになる予定ですが、お待ちになりますか?」
「あ、そうなんだ。待つよー、待つ待つ。丁度いいタイミングだったようで良かったー」
セシリアさんを先頭に後をついて行く。
……ついて行く。
…………ついて行く。
「って、遠いわ!」
もう室内に転移陣設置していってやる! 痛い!
小突かれた頭をさすりながら、黙々と進むセシリアさんの背中を追い続けた。
通された部屋はやっぱり広かった。これでも個人の休憩室として作られた場所らしい。
余った魔力でせっせと魔道具を作っていると、扉が勢いよく開かれた。
現れたのは露出がほとんどない黒いドレスを身に纏ったレヴィさんだった。指には加護無しの指輪を嵌めている。
その後から、メイド服のドーラさんとセシリアさんが入ってきた。
……何でドーラさんメイド服着てるんだろう?
「疲れたのですわ~……って、シズト! なんでいるのですわ!?」
「あれ、セシリアさんから聞いてない?」
「はい、レヴィア様の愚痴に付き合っているうちについてしまいました」
「愚痴、長い」
「仕方がないのですわ! どいつもこいつも、シズトの加護しか見てなくて腹が立ってくるのですわ! ちょっとくらい、この前の戦いがカッコよかったから、とか思っていれば少しくらい許せるのに、シズトに対して全然興味なさ過ぎてムカつくのですわー!!!」
今にも地団太を踏みそうな程ご立腹のレヴィさん。
それを気にした様子もなく、ドーラさんは僕があげたミスリル製の腕輪に魔力を流して、魔道具化した大きな盾を手元に転移させるとその手入れをし始めた。
セシリアさんは紅茶の用意をしていて、ムキーッとハンカチを噛むんじゃないかと思うほど顔が真っ赤のレヴィさんを放置していた。
僕がセシリアさんをじっと見ていると、彼女は肩をすくめる。
「世界樹の件が知れ渡ってから、たまにこんな感じになりますので」
「昨日、戦闘でも使える加護があると明らかになった。猶更こうなって当然」
「今まで見向きもされてこなかった加護だからな、希少価値は高すぎるんだよな。世界樹を育てられる加護だけでも注目を集めてただろうに。王族に対する多少の無礼をしてでも求めるのも仕方ねぇわ」
「そうね。一部の商人は魔道具に目を付けているみたいよ。ホムラちゃんが叩き出していたのを見たわ」
「……よく分かんないけど、レヴィさんごめんね。貴族の相手は絶対やらかすから今後も大変な思いさせちゃうかも」
なんか皆、レヴィさんに起きている事が簡単に想像できるらしい。
まあ、便利さは見せつけちゃったから仕事の依頼とかたくさん舞い込んでいるのかな。
そう考えていると、レヴィさんは表情をすぐに整えて、にっこりと僕に微笑んだ。それから、僕の正面に腰を下ろした。
「このくらい、どうって事ないのですわ。ちょっと想定よりも多すぎたからつい本音が出てしまったのですわ!」
「断るの無理そうだったら、会うくらいだったらするからね?」
「……そうですわね、ある程度相手の情報を整理してから伝えようと思っていたのですけれど、先に言っとくのですわ」
レヴィさんが、スッと姿勢を正して、心を切り替えるためにか、深呼吸をした。
それから指に嵌めている加護無しの指輪を指でなぞりながら、真剣な表情でまっすぐに見てくる。
「ドラゴニア国内に限らず、貴方に結婚の申し込みが来ているのですわ。それも、大量に」
「………はい?」
だから他国の偉い人を持て成すための場所が必要なはず、という申し出がどこかから来て、作られたのが遠くに見える迎賓館だ。誰が言い出したんだったか……あんまり興味がわかなくて、忘れちゃった。
世界樹の近くにある住居で接待する程親しい訳でもないからと、レヴィさんはここで貴族たちの相手をしているそうだ。今までは冒険者ギルドや商人ギルドの会議室を間借りして相手していたらしいが、今回は相手が多い事と、他国のお偉いさんもいるからここにしたらしい。
「なんか入りたくなくなってきた」
「じゃあ帰んのか?」
「お姉ちゃんたちはどっちでもいいわよ?」
「シズト様の御心のままに」
「行くよ? 行くけどさぁ、なんか入り辛いじゃん。なんでこんな無駄に広い敷地のど真ん中に建物が建ってんのさ。余計に入り辛いわ」
居住区の北側に、広めに聖域の魔道具で囲ったその建物は、不毛の大地にぽつんと立っているように見える。
いつまでも突っ立っていても仕方ないからと、歩いて建物に向かうには時間がかかりそうなそこに向けて、ラオさんに背中を押されながら進む。
「こちらの迎賓館には基本的に馬車でお越しになる方ばかりですので、建物まで遠くても問題ないと思われて作られたのでしょう」
「徒歩で来る人のために動く床でも作ろうかなぁ」
「それもいいかもしれません。将来、迎賓館の周囲を庭園にしようと話が出ていますので」
「まあ、やりたきゃやりゃいいんじゃねぇか? ここを歩いて訪れるのはシズトみてぇなやつくらいだろうし、わざわざそれを作る必要はねぇと思うけど」
「あら、それはどうかしら? 他の場所ではそんな物はないでしょうし、物珍しさで使う人がいるかもしれないわ」
「移動手段だったら転移陣でいいんじゃねぇか?」
まあ、そうだよね。
僕も話していてそれ思った。
転移陣の宣伝にもなるし、もしかしたらありなのかも?
でもそんな事したらめちゃくちゃ働かなくちゃいけなくなりそうだし、転移陣はないかな。
その後もどうでもいい話をしていたら、あっという間に建物の目の前についてしまった。
大きな玄関が開かれると、中からセシリアさんが出てきた。
いつも通りの長いスカートタイプのメイド服を身に纏った彼女は、空のように薄い青い目で僕を不思議そうに見てくる。
「シズト様、いかがなさいましたか? レヴィア様に何か御用でしょうか?」
「御用ってほどじゃないけど、大丈夫かなって。ほら、ユウトとかいう人といろいろあった後だし」
ないとは思うけど、呪うなとは言ったけど暴れるなとは言われてないから暴れました、とかあったら困るし。
そう思っていたら、セシリアさんは首を横にゆっくりと振った。
「その点に関しては何も問題は御座いません。ジュリウス様達が監視をしていたそうですが、近衛兵から邪神の信奉者についての尋問をされた後、ドラコ侯爵が領地に連れ戻したらしいです。また、息子がしでかした事からドラコ侯爵自身も、国王陛下から何かしらの処罰があるかと思いますが、シズト様が気にされる事ではないです」
「できれば穏便に済ませて欲しいんだけどなぁ」
「それは無理なんじゃねぇか? ここで曖昧な態度だと、後々同じような事をしでかそうとする奴がゴロゴロと出てくるようになっちまうだろうし」
「そうね、シズトくんに手を出すと容赦しないぞ、って睨みを利かせておかないとおバカさんがまた来ちゃうかもしれない物ね」
「それと、国の面子もあるでしょう。おそらくシズト様に関して何かしらの王命があったはずでしょうからね」
なるほど、いろいろあるんだなぁ。
やっぱりそういう事考えなきゃいけないなら、責任ある立場になりたくないわ。貴族とかノーセンキュー。
「レヴィア様はもうそろそろ休憩をお取りになる予定ですが、お待ちになりますか?」
「あ、そうなんだ。待つよー、待つ待つ。丁度いいタイミングだったようで良かったー」
セシリアさんを先頭に後をついて行く。
……ついて行く。
…………ついて行く。
「って、遠いわ!」
もう室内に転移陣設置していってやる! 痛い!
小突かれた頭をさすりながら、黙々と進むセシリアさんの背中を追い続けた。
通された部屋はやっぱり広かった。これでも個人の休憩室として作られた場所らしい。
余った魔力でせっせと魔道具を作っていると、扉が勢いよく開かれた。
現れたのは露出がほとんどない黒いドレスを身に纏ったレヴィさんだった。指には加護無しの指輪を嵌めている。
その後から、メイド服のドーラさんとセシリアさんが入ってきた。
……何でドーラさんメイド服着てるんだろう?
「疲れたのですわ~……って、シズト! なんでいるのですわ!?」
「あれ、セシリアさんから聞いてない?」
「はい、レヴィア様の愚痴に付き合っているうちについてしまいました」
「愚痴、長い」
「仕方がないのですわ! どいつもこいつも、シズトの加護しか見てなくて腹が立ってくるのですわ! ちょっとくらい、この前の戦いがカッコよかったから、とか思っていれば少しくらい許せるのに、シズトに対して全然興味なさ過ぎてムカつくのですわー!!!」
今にも地団太を踏みそうな程ご立腹のレヴィさん。
それを気にした様子もなく、ドーラさんは僕があげたミスリル製の腕輪に魔力を流して、魔道具化した大きな盾を手元に転移させるとその手入れをし始めた。
セシリアさんは紅茶の用意をしていて、ムキーッとハンカチを噛むんじゃないかと思うほど顔が真っ赤のレヴィさんを放置していた。
僕がセシリアさんをじっと見ていると、彼女は肩をすくめる。
「世界樹の件が知れ渡ってから、たまにこんな感じになりますので」
「昨日、戦闘でも使える加護があると明らかになった。猶更こうなって当然」
「今まで見向きもされてこなかった加護だからな、希少価値は高すぎるんだよな。世界樹を育てられる加護だけでも注目を集めてただろうに。王族に対する多少の無礼をしてでも求めるのも仕方ねぇわ」
「そうね。一部の商人は魔道具に目を付けているみたいよ。ホムラちゃんが叩き出していたのを見たわ」
「……よく分かんないけど、レヴィさんごめんね。貴族の相手は絶対やらかすから今後も大変な思いさせちゃうかも」
なんか皆、レヴィさんに起きている事が簡単に想像できるらしい。
まあ、便利さは見せつけちゃったから仕事の依頼とかたくさん舞い込んでいるのかな。
そう考えていると、レヴィさんは表情をすぐに整えて、にっこりと僕に微笑んだ。それから、僕の正面に腰を下ろした。
「このくらい、どうって事ないのですわ。ちょっと想定よりも多すぎたからつい本音が出てしまったのですわ!」
「断るの無理そうだったら、会うくらいだったらするからね?」
「……そうですわね、ある程度相手の情報を整理してから伝えようと思っていたのですけれど、先に言っとくのですわ」
レヴィさんが、スッと姿勢を正して、心を切り替えるためにか、深呼吸をした。
それから指に嵌めている加護無しの指輪を指でなぞりながら、真剣な表情でまっすぐに見てくる。
「ドラゴニア国内に限らず、貴方に結婚の申し込みが来ているのですわ。それも、大量に」
「………はい?」
111
お気に入りに追加
454
あなたにおすすめの小説

こちらの異世界で頑張ります
kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で
魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。
様々の事が起こり解決していく
異世界で俺だけレベルが上がらない! だけど努力したら最強になれるらしいです?
澤檸檬
ファンタジー
旧題 努力=結果
異世界の神の勝手によって異世界に転移することになった倉野。
実際に異世界で確認した常識と自分に与えられた能力が全く違うことに少しずつ気付く。
異世界の住人はレベルアップによってステータスが上がっていくようだったが、倉野にだけレベルが存在せず、行動を繰り返すことによってスキルを習得するシステムが採用されていた。
そのスキル習得システムと異世界の常識の差が倉野を最強の人間へと押し上げていく。
だが、倉野はその能力を活かして英雄になろうだとか、悪用しようだとかそういった上昇志向を見せるわけでもなく、第二の人生と割り切ってファンタジーな世界を旅することにした。
最強を隠して異世界を巡る倉野。各地での出会いと別れ、冒険と楽しみ。元居た世界にはない刺激が倉野の第二の人生を彩っていく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。

やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

【完結】異世界転移で、俺だけ魔法が使えない!
林檎茶
ファンタジー
俺だけ魔法が使えないとか、なんの冗談だ?
俺、相沢ワタルは平凡で一般的な高校二年生である。
成績は中の下。友達も少なく、誇れるような特技も趣味もこれといってない。
そんなつまらない日常は突如として幕を閉じた。
ようやく終わった担任の長話。喧騒に満ちた教室、いつもより浮き足立った放課後。
明日から待ちに待った春休みだというのに突然教室内が不気味な紅色の魔法陣で満ちたかと思えば、俺は十人のクラスメイトたちと共に異世界に転移してしまったのだ。
俺たちを召喚したのはリオーネと名乗る怪しい男。
そいつから魔法の存在を知らされたクラスメイトたちは次々に魔法の根源となる『紋章』を顕現させるが、俺の紋章だけは何故か魔法を使えない紋章、通称『死人の紋章』だった。
魔法という超常的な力に歓喜し興奮するクラスメイトたち。そいつらを見て嫉妬の感情をひた隠す俺。
そんな中クラスメイトの一人が使える魔法が『転移魔法』だと知るや否やリオーネの態度は急変した。
リオーネから危険を感じた俺たちは転移魔法を使っての逃亡を試みたが、不運にも俺はただ一人迷宮の最下層へと転移してしまう。
その先で邂逅した存在に、俺がこの異世界でやらなければならないことを突きつけられる。
挫折し、絶望し、苦悩した挙句、俺はなんとしてでも──『魔王』を倒すと決意する。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる