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第9章 加工をして生きていこう
144.事なかれ主義者はそんなにいらない
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ジュリウスさんたちを奴隷にするかどうかは置いといて、本題の詫びの品とやらを確認する事になった。
荷馬車に載せて持ってきた、との事なので外に出る。
ジュリウスさんが先頭を歩き、レヴィさんが僕の横について歩く。ラオさんは少し後ろからのんびりついてきていた。
外に出るとすぐに数台の荷馬車が視界に入る。
その荷馬車の近くに立っていたエルフが、ジュリウスさんに向けて開口一番文句を言った。
なんか見覚えあるぞ、この子。
「遅いよ、ジュリウス」
「シズト様の御前だ。無駄口を叩くな」
「はーい」
唇を尖らせて不満そうだったエルフが、スッと表情を消してその場に跪いた。
さっきのパターン的に、僕の方から声をかけるやつだコレ。
「お勤めご苦労様です。顔を上げてください」
「はい」
「お名前を聞いてもいいですか?」
「もちろんです。ジュリーニといいます」
「ちなみに、男です」
「なんで性別をわざわざ言うのかな?」
「他意はありませんが……?」
ジュリウスさんが不思議そうに首を傾げている。
さっきの話の流れ的に邪推してしまった。
男女間違われやすいから先に教えてくれたんだよね、きっと。
ジュリーニさんに立つように促して、彼を改めて見る。
金色の髪の毛は肩まで伸ばされていて、前髪が目を覆い隠している。確かにこれだと男の子か女の子か正直分からない。
小柄で手足は細く、ジュリウスさんの様に鍛えていて引き締まっているわけではなさそうだ。
レヴィアさんたちの紹介も軽く済ませて、荷馬車の積み荷の確認をする事となった。
「シズト様のご所望の物が何かは分からなかったので、価値の高い物を優先して持ってきました。荷下ろしをするついでにご紹介すればよろしいでしょうか?」
「はい、それで大丈夫です」
「かしこまりました。では、まずは魔石からですね。最低でもAランクの魔石をあるだけ持ってきました」
ジュリーニが荷馬車から下ろした魔石をどんどんと積み上げていく。
ほとんど似たような大きさの魔石が多かったが、中には一回り以上大きなものがあった。
「ああ、それらはSランクの魔石ですね。私が幼い頃に献上された物もあれば、ごく最近討伐されたSランクの魔物の素材が巡り巡ってユグドラシルに来た物もあります」
「……ちなみに、ジュリウスさんの幼い頃って何年前なんですか?」
「八百年ほど前ですね」
ひゃ~~、やっぱりエルフって見た目じゃ何年生きてるか分かんないっすわー。
もしかしてジュリーニさんも見た目がショタなだけでそのくらい生きているんだろうか?
僕の視線に気づいたのか、ジュリウスさんが答えを教えてくれた。
「ジュリーニはまだ百年ほどしか生きていないです。若い方ですね」
「だから小柄なんですか?」
「いえ、あれは遺伝ですね。あれ以上伸びないです」
「チビって言うなー」
「言ってない。きびきび働け」
ぶつぶつと文句を言いながら荷馬車に戻っていくジュリーニさんを見送り、山のように積まれた魔石を見る。
魔石がこんなにあっても、ホムンクルス作るくらいしか思いつかないんだけど……。
そう言えばSランクの魔石を使って作った事がないから作ってみるとか?
性能にどれくらい違いがあるのかとか検証してみるのもワンチャンありかな……?
魔石の次は珍しい魔物の素材だった。
ドラゴンの爪や牙だけじゃなくて、特殊な容器に入れられた血もあったらしいけど、血を見たら僕が大変な事になるのでラオさんがアイテムバッグの中に突っ込んでいた。
「ドラゴンの素材は、各種様々な薬や武具になります。肉は大変美味なのですが、手に入り次第前任の使徒様がお食べになられていましたので今はないです。その他にも色々ありましたが、一先ずドラゴンの素材だけ持ってきてます」
「今回の分をお詫びの品として受け取るから、後のは持ってこなくていいよ」
「かしこまりました、保管しておきます」
ドラゴンの素材だけでも魔石の山以上の量がある。
っていうか、今回のお詫びの品はドラゴンの素材が殆どなんじゃないか、って思うくらい大量にあった。
「魔物の素材……というよりもドラゴンの素材もこのくらいですね」
「ドラゴンって言ってもいろんなのがいるんですね」
鱗を見るだけでも多種多様だ。牙や爪も大きさや形状が異なる。
ドラゴンの種類によって素材の希少性が違う様で、希少価値の高い物を優先的に持ってきたらしい。
中には骨もあったけど、骨なんて何に使えばいいのか……。投げてフェンリルに取ってきてもらうとか?
それか肥料にするのもありだけど、魔物の骨だし畑に撒いたらどうなるか想像がつかないからやめとこ。
「最後はアダマンタイト製の武具です。こちらもシズト様が使いそうな物を、と思い数を絞りましたが、使う者もいないので持ってこなかったものは保管しておきます」
「うん、そうしておいて」
そんなにたくさんあっても、冒険に出る事はもうないと思うから使わないだろうし。
ジュリウスさんがジュリーニさんの荷下ろしの手伝いをするのを見ていると、どんどんと武具が並べられていく。
「やっぱ世界樹があるような国だと、大量にためこんでるもんだな」
「ラオさん、欲しかったら持ってって良いよ」
「またお前は気軽にあほな事を……」
えー、だって想定よりもめっちゃ多いんだもん。
ラオさんの拳骨を食らいながら、そんな事を思った。
荷馬車に載せて持ってきた、との事なので外に出る。
ジュリウスさんが先頭を歩き、レヴィさんが僕の横について歩く。ラオさんは少し後ろからのんびりついてきていた。
外に出るとすぐに数台の荷馬車が視界に入る。
その荷馬車の近くに立っていたエルフが、ジュリウスさんに向けて開口一番文句を言った。
なんか見覚えあるぞ、この子。
「遅いよ、ジュリウス」
「シズト様の御前だ。無駄口を叩くな」
「はーい」
唇を尖らせて不満そうだったエルフが、スッと表情を消してその場に跪いた。
さっきのパターン的に、僕の方から声をかけるやつだコレ。
「お勤めご苦労様です。顔を上げてください」
「はい」
「お名前を聞いてもいいですか?」
「もちろんです。ジュリーニといいます」
「ちなみに、男です」
「なんで性別をわざわざ言うのかな?」
「他意はありませんが……?」
ジュリウスさんが不思議そうに首を傾げている。
さっきの話の流れ的に邪推してしまった。
男女間違われやすいから先に教えてくれたんだよね、きっと。
ジュリーニさんに立つように促して、彼を改めて見る。
金色の髪の毛は肩まで伸ばされていて、前髪が目を覆い隠している。確かにこれだと男の子か女の子か正直分からない。
小柄で手足は細く、ジュリウスさんの様に鍛えていて引き締まっているわけではなさそうだ。
レヴィアさんたちの紹介も軽く済ませて、荷馬車の積み荷の確認をする事となった。
「シズト様のご所望の物が何かは分からなかったので、価値の高い物を優先して持ってきました。荷下ろしをするついでにご紹介すればよろしいでしょうか?」
「はい、それで大丈夫です」
「かしこまりました。では、まずは魔石からですね。最低でもAランクの魔石をあるだけ持ってきました」
ジュリーニが荷馬車から下ろした魔石をどんどんと積み上げていく。
ほとんど似たような大きさの魔石が多かったが、中には一回り以上大きなものがあった。
「ああ、それらはSランクの魔石ですね。私が幼い頃に献上された物もあれば、ごく最近討伐されたSランクの魔物の素材が巡り巡ってユグドラシルに来た物もあります」
「……ちなみに、ジュリウスさんの幼い頃って何年前なんですか?」
「八百年ほど前ですね」
ひゃ~~、やっぱりエルフって見た目じゃ何年生きてるか分かんないっすわー。
もしかしてジュリーニさんも見た目がショタなだけでそのくらい生きているんだろうか?
僕の視線に気づいたのか、ジュリウスさんが答えを教えてくれた。
「ジュリーニはまだ百年ほどしか生きていないです。若い方ですね」
「だから小柄なんですか?」
「いえ、あれは遺伝ですね。あれ以上伸びないです」
「チビって言うなー」
「言ってない。きびきび働け」
ぶつぶつと文句を言いながら荷馬車に戻っていくジュリーニさんを見送り、山のように積まれた魔石を見る。
魔石がこんなにあっても、ホムンクルス作るくらいしか思いつかないんだけど……。
そう言えばSランクの魔石を使って作った事がないから作ってみるとか?
性能にどれくらい違いがあるのかとか検証してみるのもワンチャンありかな……?
魔石の次は珍しい魔物の素材だった。
ドラゴンの爪や牙だけじゃなくて、特殊な容器に入れられた血もあったらしいけど、血を見たら僕が大変な事になるのでラオさんがアイテムバッグの中に突っ込んでいた。
「ドラゴンの素材は、各種様々な薬や武具になります。肉は大変美味なのですが、手に入り次第前任の使徒様がお食べになられていましたので今はないです。その他にも色々ありましたが、一先ずドラゴンの素材だけ持ってきてます」
「今回の分をお詫びの品として受け取るから、後のは持ってこなくていいよ」
「かしこまりました、保管しておきます」
ドラゴンの素材だけでも魔石の山以上の量がある。
っていうか、今回のお詫びの品はドラゴンの素材が殆どなんじゃないか、って思うくらい大量にあった。
「魔物の素材……というよりもドラゴンの素材もこのくらいですね」
「ドラゴンって言ってもいろんなのがいるんですね」
鱗を見るだけでも多種多様だ。牙や爪も大きさや形状が異なる。
ドラゴンの種類によって素材の希少性が違う様で、希少価値の高い物を優先的に持ってきたらしい。
中には骨もあったけど、骨なんて何に使えばいいのか……。投げてフェンリルに取ってきてもらうとか?
それか肥料にするのもありだけど、魔物の骨だし畑に撒いたらどうなるか想像がつかないからやめとこ。
「最後はアダマンタイト製の武具です。こちらもシズト様が使いそうな物を、と思い数を絞りましたが、使う者もいないので持ってこなかったものは保管しておきます」
「うん、そうしておいて」
そんなにたくさんあっても、冒険に出る事はもうないと思うから使わないだろうし。
ジュリウスさんがジュリーニさんの荷下ろしの手伝いをするのを見ていると、どんどんと武具が並べられていく。
「やっぱ世界樹があるような国だと、大量にためこんでるもんだな」
「ラオさん、欲しかったら持ってって良いよ」
「またお前は気軽にあほな事を……」
えー、だって想定よりもめっちゃ多いんだもん。
ラオさんの拳骨を食らいながら、そんな事を思った。
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