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第7章 世界樹を育てつつ生きていこう
103.事なかれ主義者はドライアドと遊びたい
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フェンリルの前で、世界樹ファマリーに【生育】の加護を使ってぶっ倒れた翌朝。
フェンリルだけじゃなくて、ドライアドという精霊が大量に聖域の中に現れたらしい。そのドライアドたちと、レヴィさんとホムラが約束をして農場の畑で働いてもらう事になったんだとか。
見た目が幼児だと聞いてから、大丈夫か心配になり、朝食を手早く済ませた。
朝食後、着替えてから外に出ると小さなドライアドたちが、畑で作業をしている。
一目で人間ではないと分かるが、一部分を除いたら幼い子ども。
そんな子たちが、朝早くから仕事をしているのを見ると何とも言えない気持ちになった。
「もう作業をしていたのですわ」
「人間さん、どうしたの? もうたい肥持ってきてくれたの?」
ドライアドたちの中で、頭一つ分大きい子が僕たちに気づいて近寄ってきた。
他の子たちは黙々と雑草を抜いたり、魔動散水機に魔石を入れたり、畑の近くで座り込んでじっとしていたりする。
青いバラの花が頭についているような見た目のその子に、レヴィさんは首を横に振って否定した。
「それはまだ持ってきてないのですわ」
「たい肥? たい肥と交換で働かせてるの?」
ドライアドとレヴィさんの間で決めた事だからとやかく言うべきじゃないんだけど、たい肥だったら適当にそこら辺の雑草を抜いて、魔道具で作ればいいじゃん。
「そうらしいですわ。ホムラが定期的に手に入るものをドライアドに見せた時に、一番欲しがった物がそれだったらしいのですわ」
「その通りです、マスター。どうやらドライアドたちにとっても良い物らしいので、あればあるだけ欲しいという事でした」
「まあ、向こうがそれでいいならいいけどさ……」
「ドライアドたちがお手伝いをしたいと言い出したのですわ。無理矢理させてるわけではないのですわ。あと、報酬もたい肥以外もちゃんと考えているから安心するのですわ!」
そうは言ってもなぁ。アンジェラもそうだけど、ちっちゃい子は特に仕事はしないで遊んでればいいと思うんだけど。
この世界にはこの世界の常識があるし、僕が少数派だってのは分かるけど…………とりあえず、甘やかす方向で自己満足しよっと。
そうと決めたら早速行動に移す。
とりあえず、ドライアドたちがしている作業を早く終わらせて遊ぼう! と、思ったんだけど……。
「人間さん。それは私たちがやるから、向こうでファマリーに魔力あげて」
「あげてきてー」
「あ、はい」
フェンリルのすぐそばを足音を殺して歩く。
極力近くから【生育】を使って、魔力の無駄遣いを控えたいんだけど、ほんとにこのフェンリル聖域の端っこにいてくれないかな。でっかい犬小屋でも作ってやろうか。
そんな事を思いつつ、ファマリーの太い幹に触れる。
「魔力全部持ってかないでください。【生育】」
魔力を一気に失ったからか、それとも魔力切れギリギリだからか今一つよく分からないけどいつもの気だるさを感じる。
今日は無事、魔力切れで気絶する事はなかった。
さて、世界樹の面倒を見たので、今度こそドライアドたちのお世話をしよう、と考えたんだけど今度はホムラに邪魔をされる。
「少し魔道具の件でご相談があります、マスター。お時間少しよろしいでしょうか?」
「んー、後からでもいい? 今は畑作業手伝わなきゃだから」
「人間さん、お手伝いは要らないよー?」
「要らなーい」
「あ、はい」
大人しくホムラの後をついて行き、連れてかれたのはアルヴィンさんの天幕の所だった。
ぞろぞろとたくさんの人が出て行くのを見送ってから中に入ると、アルヴィンさんとドーラさんが中で待っていた。
アルヴィンさんは黒い髪が生えてきたようで、つるつる頭がもさもさ頭になっていた。増毛帽子の効果はすごいみたい。ただ、やっぱり威圧感がすごい。眉毛も生やしたら怖くなくなるんじゃないっすか?
「シズト殿、わざわざ来てもらって申し訳ない。ホムラ殿に、世界樹ファマリーを囲っている結界の魔道具を売ってほしいと頼んだんだが、今ある物は、まだシズト殿が使うかもしれないと売ってもらえなくてな。それなら魔道具作成をお願いしようと思ったんだが、それに関してはシズト殿に直接言った方が早いと思って来てもらったんだ」
「そうなんですね。……聖域の魔道具って前使ってたやつあったよね?」
「はい、あります、マスター。ただ、これに関しては売らない魔道具の一つに指定されていましたので」
そうだっけ? まあ、結界系は作るのに結構魔力要るからそう言ったのかも?
今は使う予定ないし、むしろもっと範囲を広げるためにまた作り直す予定だったし……。
「公衆浴場と、その近くに建ててあるレンガ造りの建物を囲むくらいの大きさの結界が欲しいのだが、可能だろうか?」
「実際に見てみないと分からないけど、足らなかったらまた今度作りますよ。ホムラ、値段とかその他諸々はホムラに任せるから、後はお願いね」
「かしこまりました、マスター」
さあ、今度こそドライアドたちのお手伝いをするぞ! と意気込んで畑に戻ったんだけど、既にもう作業が一通り終わった後だった。
それならば、とドライアドたちと遊ぼうと声をかけたんだけど、日向ぼっこで忙しいからと断られてしまった。
僕も日向ぼっこするか。
……ルウさん、膝枕しなくていいです。って、なんで安眠カバー構えてるんですかね!?
フェンリルだけじゃなくて、ドライアドという精霊が大量に聖域の中に現れたらしい。そのドライアドたちと、レヴィさんとホムラが約束をして農場の畑で働いてもらう事になったんだとか。
見た目が幼児だと聞いてから、大丈夫か心配になり、朝食を手早く済ませた。
朝食後、着替えてから外に出ると小さなドライアドたちが、畑で作業をしている。
一目で人間ではないと分かるが、一部分を除いたら幼い子ども。
そんな子たちが、朝早くから仕事をしているのを見ると何とも言えない気持ちになった。
「もう作業をしていたのですわ」
「人間さん、どうしたの? もうたい肥持ってきてくれたの?」
ドライアドたちの中で、頭一つ分大きい子が僕たちに気づいて近寄ってきた。
他の子たちは黙々と雑草を抜いたり、魔動散水機に魔石を入れたり、畑の近くで座り込んでじっとしていたりする。
青いバラの花が頭についているような見た目のその子に、レヴィさんは首を横に振って否定した。
「それはまだ持ってきてないのですわ」
「たい肥? たい肥と交換で働かせてるの?」
ドライアドとレヴィさんの間で決めた事だからとやかく言うべきじゃないんだけど、たい肥だったら適当にそこら辺の雑草を抜いて、魔道具で作ればいいじゃん。
「そうらしいですわ。ホムラが定期的に手に入るものをドライアドに見せた時に、一番欲しがった物がそれだったらしいのですわ」
「その通りです、マスター。どうやらドライアドたちにとっても良い物らしいので、あればあるだけ欲しいという事でした」
「まあ、向こうがそれでいいならいいけどさ……」
「ドライアドたちがお手伝いをしたいと言い出したのですわ。無理矢理させてるわけではないのですわ。あと、報酬もたい肥以外もちゃんと考えているから安心するのですわ!」
そうは言ってもなぁ。アンジェラもそうだけど、ちっちゃい子は特に仕事はしないで遊んでればいいと思うんだけど。
この世界にはこの世界の常識があるし、僕が少数派だってのは分かるけど…………とりあえず、甘やかす方向で自己満足しよっと。
そうと決めたら早速行動に移す。
とりあえず、ドライアドたちがしている作業を早く終わらせて遊ぼう! と、思ったんだけど……。
「人間さん。それは私たちがやるから、向こうでファマリーに魔力あげて」
「あげてきてー」
「あ、はい」
フェンリルのすぐそばを足音を殺して歩く。
極力近くから【生育】を使って、魔力の無駄遣いを控えたいんだけど、ほんとにこのフェンリル聖域の端っこにいてくれないかな。でっかい犬小屋でも作ってやろうか。
そんな事を思いつつ、ファマリーの太い幹に触れる。
「魔力全部持ってかないでください。【生育】」
魔力を一気に失ったからか、それとも魔力切れギリギリだからか今一つよく分からないけどいつもの気だるさを感じる。
今日は無事、魔力切れで気絶する事はなかった。
さて、世界樹の面倒を見たので、今度こそドライアドたちのお世話をしよう、と考えたんだけど今度はホムラに邪魔をされる。
「少し魔道具の件でご相談があります、マスター。お時間少しよろしいでしょうか?」
「んー、後からでもいい? 今は畑作業手伝わなきゃだから」
「人間さん、お手伝いは要らないよー?」
「要らなーい」
「あ、はい」
大人しくホムラの後をついて行き、連れてかれたのはアルヴィンさんの天幕の所だった。
ぞろぞろとたくさんの人が出て行くのを見送ってから中に入ると、アルヴィンさんとドーラさんが中で待っていた。
アルヴィンさんは黒い髪が生えてきたようで、つるつる頭がもさもさ頭になっていた。増毛帽子の効果はすごいみたい。ただ、やっぱり威圧感がすごい。眉毛も生やしたら怖くなくなるんじゃないっすか?
「シズト殿、わざわざ来てもらって申し訳ない。ホムラ殿に、世界樹ファマリーを囲っている結界の魔道具を売ってほしいと頼んだんだが、今ある物は、まだシズト殿が使うかもしれないと売ってもらえなくてな。それなら魔道具作成をお願いしようと思ったんだが、それに関してはシズト殿に直接言った方が早いと思って来てもらったんだ」
「そうなんですね。……聖域の魔道具って前使ってたやつあったよね?」
「はい、あります、マスター。ただ、これに関しては売らない魔道具の一つに指定されていましたので」
そうだっけ? まあ、結界系は作るのに結構魔力要るからそう言ったのかも?
今は使う予定ないし、むしろもっと範囲を広げるためにまた作り直す予定だったし……。
「公衆浴場と、その近くに建ててあるレンガ造りの建物を囲むくらいの大きさの結界が欲しいのだが、可能だろうか?」
「実際に見てみないと分からないけど、足らなかったらまた今度作りますよ。ホムラ、値段とかその他諸々はホムラに任せるから、後はお願いね」
「かしこまりました、マスター」
さあ、今度こそドライアドたちのお手伝いをするぞ! と意気込んで畑に戻ったんだけど、既にもう作業が一通り終わった後だった。
それならば、とドライアドたちと遊ぼうと声をかけたんだけど、日向ぼっこで忙しいからと断られてしまった。
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