【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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第6章 亡者の巣窟を探索して生きていこう

76.事なかれ主義者の小休止

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 目の調子が一時的に悪くなった人たちが出る事になった神聖照明弾だったけど、その威力は強力なものだった。
 ちょっと目の調子の悪い他の人たちを置いておいて、ホムラと一緒に魔石の回収をしているんだけど、たくさんありすぎて拾うのがめんどい。
 ゾンビの魔石はゴブリンの魔石よりも上のEランク。燃料としてあって困るものではないので放置なんてできない。でも、ゾンビの体内にあった物って考えるとあんまり素手で触りたくない気持ちもある。
 と、いう事で鉄を【加工】して作ったトングでポイポイとアイテムバッグの中に入れていく。アイテムバッグとトングで両手が塞がっているため、倒し損ねたゾンビをどうしようかと考えたけど、問題はなかった。
 ホムラがいるのでそもそもゾンビを近づけさせない。
 何より、近づいてきても【加工】で作ったヘルメットに魔石を入れる部分とライトを照射する部分を作ってゾンビの方に顔を向けるだけでホーリーライトが当たるようにしてある。浮遊ランプを改良してしまうのも考えたんだけど、全方位に光を出すからかだいぶ魔石の消費がえぐかったのでヘルメットにつける事にした。
 気分は鉱夫だ。つるはしでも作って装備しようかな?

「マスター、集め終わりました」
「ありがと、ホムラ。魔石の扱い……というか魔物の素材の扱いは全部ホムラに任せるね。お店で使ってもいいし、売りに出してもいいし良い感じにお願い」
「かしこまりました、マスター」
「それにしても、第一階層でこんなに魔物出るって普通なのかな……。やっぱり活発期なのかな?」
「申し訳ありません、マスター。判断する方法がありません」

 心なしかシュンとしているホムラ。慌ててフォローしていると、目が元に戻ったのか、ラオさんが近づいてきていて答えを教えてくれた。

「このくらいはこのダンジョンだったら普通だ。確かに活発期に入ると出てくる魔物が変わってなくてもたくさん出る事はあるけどな。以前までの記録を見てもこの広間はだいたいいつもアレくらいはいるのが普通みてぇだ。ほとんどの奴らは迂回して奥を目指すんだが、アンデッドを楽に倒せる奴はここを狩場に使ってたらしいぞ」
「シズトくん、待たせちゃってごめんね? みんなもう大丈夫だから先に進みましょう」
「いや、こっちこそごめん。次からは神聖照明弾を使う時は言うね。もう少し眩しさを軽減できるといいんだけど、そうすると倒せる量が減っちゃうから、見ないようにするくらいしかないかなぁ」

 改善策を考えている間にも、ルウさんが先頭に進んでいく。
 広間を通り過ぎて一本道を進んでいくと、下へと続く階段が現れた。迂回路を使った場合、別の場所から下に降りる事になるみたいだけど、こっちを使うと大幅な時短になるらしい。転移陣を使わずに探索をするとなったら今後もこの道を使う事になると思うので覚えておこう。



 第二階層から第四階層までは変わり映えもしない洞窟だった。
 無数の通路がある中で、下の階層へと続く通路は途中で二つに分岐している所も同じだったし、広間にはたくさんのゾンビが湧いていたし、広間を抜けるとすぐに階段もあった。
 サクサクと進み過ぎているので少し気が緩んでいたんだけど、ラオさんに気づかれていたようで、今は小休止を取っている。
 朝から亡者の巣窟を探索し始めたんだけど、正直今何時か分からない。
 時計のようなものを作っておくべきだったな、と思いつつも何が起こるか分からないため優先順位の低いそれを作るのはやめておいた。
 今は皆が座れるくらいの広さを囲った魔法陣を【加工】して作った鉄の薄い板を用意している所だった。
 休憩中はご飯とかも食べるんだけど、その際にはどうしてもマスクを取らなきゃいけない。その時に強烈な臭いにやられてしまわないように、嗅覚を無効にする効果がある魔法陣を鉄の板に刻む。魔石はこのダンジョンで手に入った魔石を大量に置いておく。そこまで長く休憩するつもりはないけど、念のため。
 自動探知地図で周辺にゾンビがいない事を確認しつつ、アイテムバッグから取り出したクッションを敷いてみんなで休憩。
 ラオさんとルウさんは周辺を警戒しているのか立っているけど、僕とホムラは気にせずにご飯を食べる事にした。
 小腹を満たすために、調理担当の狐人族の奴隷であるエミリーに作ってもらったサンドイッチを食べる準備をする。
 飲み物は以前作った鉄製の水筒から注いだ温かい紅茶。もちろん『保温』を【付与】済みなのでアイテムバッグに入れていても冷めてしまう事はない。
 匂いを感じないので何とも言えない物足りなさを感じつつ、食事をしていると、ラオさんがなんか半目でこちらを見ていた。

「いや、何でもねぇよ」
「紅茶、頂戴」
「はい、どうぞ」

 ラオさんの視線の意味が気になるところだったけど、いつの間にか一緒に食事をしていたドーラさんに求められるまま紅茶を注いで渡す。
 ラオさんとルウさんも、立ちながらだったけどサンドイッチを食べてのんびりと休息をした。景色もよければピクニックみたいなのに……あ、閃いた。

「変なの作んなよ」
「今作るわけないでしょ!?」
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