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第6章 亡者の巣窟を探索して生きていこう
75.事なかれ主義者は一掃する
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「それじゃ、行こっか」
「分かりました、マスター」
「あんまり前に出過ぎるなよ。ドーラ、お前はお守りをしとけ。ルウは先頭でアタシは最後尾でいくぞ」
「わかったわ」
世界樹を植えた場所とドランの間の街道を少しそれたところに、『亡者の巣窟』と呼ばれる不人気ダンジョンがあった。
神聖ライトなどの対アンデッド用の魔道具を作る事ができるため、王様から亡者の巣窟の状況の確認を依頼されたため、暗くジメジメとした洞窟型のダンジョンを進んでいる。
まだ入り口から入ったばかりで、第一階層だが、以前潜ったダンジョンとは異なり、いたるところに魔力反応がある。自動探知地図を両手で持ち、それを見ながら進む先を指示して進んでいるんだけど、最短距離で進むとどうしてもたくさんの魔物を相手にする事となる。
「「「ギャー--!!!」」」
今の所は先頭のルウさんが神聖ライトを使って光を当てるだけでゾンビたちが燃え上がって倒れていく。
ゴブリンより一つ上のEランクの魔物らしいけど、ゴブリンよりも簡単に倒せてしまうのであまり実感がわかないが、集団になると厄介らしい。
何より、ゾンビから得られる戦利品が魔石くらいしかない。というか魔石以外はきつい臭いを喰らってまでかき集めたいとは思えないものだから不人気なのも分かる気がする。
「本来だったら致命傷でも普通に動いて攻撃してくる魔物なんだが、やっぱりやべぇよな、お前が作るものって」
「安全のためには自重なんてするわけないでしょ? 本気を出してなかったから負けたんだ、とかシャレにならないじゃん」
下手したら死ぬよ? 僕が。
切り札はここぞという時のために温存しておくべきだ、とは思うけど神聖ライトは切り札でもなんでもないからねぇ。
ルウさんに進む先を示しながらずんずんと進んでいくが、ほとんど彼女が倒してしまう。神聖ライトの力もあるのかもしれないけど、ルウさんの速さに鈍重なゾンビたちがついていけてない。
ゾンビたちが近づく前にルウさんは単身飛び込んでいって、神聖ライトを浴びせていく。その速度は目では追えない程で、気づいたらゾンビの側で光を的確に当てて行っていた。
「やっぱり速さって強力な武器だよね。どんな攻撃も当たらなければ意味ないし、確実に先制攻撃できてるし」
「まあ、今の所は良いんだけどな。ルウ! シズトの前だからって張り切ってんじゃねぇ! いつも通りやれ!!!」
「ちょっと飛ばしすぎちゃったかしら? 事前情報では罠がないって聞いてたし、このくらいでいいと思ったんだけど」
「変わってるかも」
「そうだな。活発期に入ってる可能性も頭に入れとく必要があるだろ」
「それもそうね……久しぶりでサクサクと魔物が倒せちゃうものだから慢心しすぎたわね」
そう言った後、ルウさんの雰囲気がガラッと変わって、前衛として前からやってくるゾンビを的確に処理をしていく。
ゾンビの見た目は正直気持ち悪い。でもそれだけだ。世界樹を囲う聖域の外側をうろうろしていたゾンビを今までたくさん見て来たし、生きてるか死んでるか分からない魔物だったら、と僕も駆除を手伝っているうちにゾンビとかアンデッド系なら倒せるようになった。
僕の出番もあるかな、と思っていたけど、ルウさんは危なげなくゾンビを倒し切ってしまった。
その後も、ゾンビと遭遇するたびにルウさんが対処して、分かれ道に着く。
自動探知地図を確認すると、右側が近道で、左側が遠回りの様だった。
「右の方が近いけど、少し行った先に大きな広間があるみたい。どうする?」
「どうするって言ったって、できるだけ早く第五階層まで行くって話だっただろ。問題さえなかったら近い方で行くぞ。ルウ、ちょっと様子を見てきて変異種とかいないか確認してきてくれ」
「分かったわ。シズトくん、お姉ちゃんが確認してくるから任せて!」
そういうと同時にルウさんの姿が消えて、慌ててマップを見ると既に広間の入り口までルウさんの魔力反応が動いていた。
「めっちゃ早い」
「そりゃ、加護があるからな」
「広間にはたくさんいるだけで、特に問題なかったわ~」
「それじゃ行くか」
ほんの少し話をしている隙に戻ってきたルウさんに驚く様子もなく、ラオさんの合図とともに皆進んでいく。加護ってやっぱ常識では考えられないくらいやばいんだなぁ。
そんな事を思いつつ、歩いていると目的の広間の入り口に着く。
「さて、じゃあアタシとルウでやるからちょっと待ってろ」
「待ってラオさん。ちょっと試したいものがあるんだ」
「……また変なの作ったんか」
僕がアイテムバッグからバスケットボールくらいの大きさの球体を取り出すと、ラオさんが半目で僕を見てくる。ただ、説明している時間は惜しい。今こうしている間にも光に気づいてこちらにのろのろとゾンビたちが向かってきていた。
バスケットボールくらいの大きさのボールをゾンビたちの前に向けて投げる。放物線を描いて狙い通り、ゾンビたちの前で地面に着くと、魔道具が起動して高く垂直に跳ね上がった。
「直視しない方がいいかも!」
「は?」
僕の声と同時に行動したのはホムラだけだった。ホムラは僕と同じように高く跳ね上がったボールに背を向ける。そのすぐ後に、背後から強烈な光が発せられると同時にゾンビたちの断末魔が広間に響いた。自動探知地図を見ても、広間の中のアンデッドのほとんどが消えていた。
使った魔道具は神聖ライトと付与した魔法と同じだけど、全方位により強力な光を浴びせる使い切りの魔道具だ。神聖ライトではゾンビの集団を相手にする時に不便だと感じたため作り出した神聖花火玉……いや、神聖照明弾とかの方がそれっぽいか。神聖照明弾の威力に大満足だ。
「やった、一気にアンデッド倒せたっぽい!」
「この馬鹿、やる前に説明しろよ。大きな隙になりかねないだろうが!!」
「あ、はい」
「分かりました、マスター」
「あんまり前に出過ぎるなよ。ドーラ、お前はお守りをしとけ。ルウは先頭でアタシは最後尾でいくぞ」
「わかったわ」
世界樹を植えた場所とドランの間の街道を少しそれたところに、『亡者の巣窟』と呼ばれる不人気ダンジョンがあった。
神聖ライトなどの対アンデッド用の魔道具を作る事ができるため、王様から亡者の巣窟の状況の確認を依頼されたため、暗くジメジメとした洞窟型のダンジョンを進んでいる。
まだ入り口から入ったばかりで、第一階層だが、以前潜ったダンジョンとは異なり、いたるところに魔力反応がある。自動探知地図を両手で持ち、それを見ながら進む先を指示して進んでいるんだけど、最短距離で進むとどうしてもたくさんの魔物を相手にする事となる。
「「「ギャー--!!!」」」
今の所は先頭のルウさんが神聖ライトを使って光を当てるだけでゾンビたちが燃え上がって倒れていく。
ゴブリンより一つ上のEランクの魔物らしいけど、ゴブリンよりも簡単に倒せてしまうのであまり実感がわかないが、集団になると厄介らしい。
何より、ゾンビから得られる戦利品が魔石くらいしかない。というか魔石以外はきつい臭いを喰らってまでかき集めたいとは思えないものだから不人気なのも分かる気がする。
「本来だったら致命傷でも普通に動いて攻撃してくる魔物なんだが、やっぱりやべぇよな、お前が作るものって」
「安全のためには自重なんてするわけないでしょ? 本気を出してなかったから負けたんだ、とかシャレにならないじゃん」
下手したら死ぬよ? 僕が。
切り札はここぞという時のために温存しておくべきだ、とは思うけど神聖ライトは切り札でもなんでもないからねぇ。
ルウさんに進む先を示しながらずんずんと進んでいくが、ほとんど彼女が倒してしまう。神聖ライトの力もあるのかもしれないけど、ルウさんの速さに鈍重なゾンビたちがついていけてない。
ゾンビたちが近づく前にルウさんは単身飛び込んでいって、神聖ライトを浴びせていく。その速度は目では追えない程で、気づいたらゾンビの側で光を的確に当てて行っていた。
「やっぱり速さって強力な武器だよね。どんな攻撃も当たらなければ意味ないし、確実に先制攻撃できてるし」
「まあ、今の所は良いんだけどな。ルウ! シズトの前だからって張り切ってんじゃねぇ! いつも通りやれ!!!」
「ちょっと飛ばしすぎちゃったかしら? 事前情報では罠がないって聞いてたし、このくらいでいいと思ったんだけど」
「変わってるかも」
「そうだな。活発期に入ってる可能性も頭に入れとく必要があるだろ」
「それもそうね……久しぶりでサクサクと魔物が倒せちゃうものだから慢心しすぎたわね」
そう言った後、ルウさんの雰囲気がガラッと変わって、前衛として前からやってくるゾンビを的確に処理をしていく。
ゾンビの見た目は正直気持ち悪い。でもそれだけだ。世界樹を囲う聖域の外側をうろうろしていたゾンビを今までたくさん見て来たし、生きてるか死んでるか分からない魔物だったら、と僕も駆除を手伝っているうちにゾンビとかアンデッド系なら倒せるようになった。
僕の出番もあるかな、と思っていたけど、ルウさんは危なげなくゾンビを倒し切ってしまった。
その後も、ゾンビと遭遇するたびにルウさんが対処して、分かれ道に着く。
自動探知地図を確認すると、右側が近道で、左側が遠回りの様だった。
「右の方が近いけど、少し行った先に大きな広間があるみたい。どうする?」
「どうするって言ったって、できるだけ早く第五階層まで行くって話だっただろ。問題さえなかったら近い方で行くぞ。ルウ、ちょっと様子を見てきて変異種とかいないか確認してきてくれ」
「分かったわ。シズトくん、お姉ちゃんが確認してくるから任せて!」
そういうと同時にルウさんの姿が消えて、慌ててマップを見ると既に広間の入り口までルウさんの魔力反応が動いていた。
「めっちゃ早い」
「そりゃ、加護があるからな」
「広間にはたくさんいるだけで、特に問題なかったわ~」
「それじゃ行くか」
ほんの少し話をしている隙に戻ってきたルウさんに驚く様子もなく、ラオさんの合図とともに皆進んでいく。加護ってやっぱ常識では考えられないくらいやばいんだなぁ。
そんな事を思いつつ、歩いていると目的の広間の入り口に着く。
「さて、じゃあアタシとルウでやるからちょっと待ってろ」
「待ってラオさん。ちょっと試したいものがあるんだ」
「……また変なの作ったんか」
僕がアイテムバッグからバスケットボールくらいの大きさの球体を取り出すと、ラオさんが半目で僕を見てくる。ただ、説明している時間は惜しい。今こうしている間にも光に気づいてこちらにのろのろとゾンビたちが向かってきていた。
バスケットボールくらいの大きさのボールをゾンビたちの前に向けて投げる。放物線を描いて狙い通り、ゾンビたちの前で地面に着くと、魔道具が起動して高く垂直に跳ね上がった。
「直視しない方がいいかも!」
「は?」
僕の声と同時に行動したのはホムラだけだった。ホムラは僕と同じように高く跳ね上がったボールに背を向ける。そのすぐ後に、背後から強烈な光が発せられると同時にゾンビたちの断末魔が広間に響いた。自動探知地図を見ても、広間の中のアンデッドのほとんどが消えていた。
使った魔道具は神聖ライトと付与した魔法と同じだけど、全方位により強力な光を浴びせる使い切りの魔道具だ。神聖ライトではゾンビの集団を相手にする時に不便だと感じたため作り出した神聖花火玉……いや、神聖照明弾とかの方がそれっぽいか。神聖照明弾の威力に大満足だ。
「やった、一気にアンデッド倒せたっぽい!」
「この馬鹿、やる前に説明しろよ。大きな隙になりかねないだろうが!!」
「あ、はい」
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