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第4章 助手と一緒に魔道具を作って生きていく。

52.事なかれ主義者は呼び出しを食らった

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 レヴィア様と呼べばいいか、と確認はしたけど今まで通りでいいとの事だったので、特に生活に変化はない。
 翌日になったけど、今まで通り遊びという名の運動をして過ごしてたし。
 というか、王女様がこんな好き勝手してていいのかな? と思ったけどどうやら異世界転移者と縁を作る方が重要だ、という事らしい。

「加護は子孫にも発現しやすいのですわ。だから王家や貴族、有力商人は加護持ちの異性を求めるのですわ」
「んーと、つまり……レヴィさんもそういう感じ、って事?」
「そうですわ」

 まだ会った事もない国王様からも許可が出ていてここにいるらしい。
 王家の紐がついているわけだけど、向こうから無理難題を言ってくるわけでもなく、好きに過ごさせてもらっているからいいんだけどさ。
 そんな事を思いながら魔道具で作ったたい肥の発酵状態を見る。
 よく分かんないけど、いい感じにあったかい土ができている。こんな早くできたっけ。まあ、変なにおいもしないし、魔道具の効果かな。

「これ、よく草を入れていた気がするけれど、どういうものですわ?」
「草で作ったたい肥なんだけど、どうしようか。特に使う予定ないし」
「どのくらい効果があるのかは知らないけれど、売ってしまうのもいいと思うのですわ」
「そうだねー、ドーラさんこれ魔道具じゃないけどいる?」
「……いる」
「効果あったら教えてね」
「分かった」

 とりあえず細かい値段設定はマーケットに行っているホムラに任せよう。
 ドーラさんは今日は外には出ずに僕の隣でたい肥として出来上がった土を触ったり掬ったり臭いをかいだりしていた。



 お昼ご飯を食べた後はノエルの部屋にお邪魔をして浮遊台車をサクッと作り、次は何を作ろうか検討中。

「シズトの加護はいろいろできて羨ましいのですわ」
「まあ、便利ではあるよね」
「いろいろ作れる加護を二つも持っているのはすごいですわ。神様に愛されているのですわ」
「いや、愛されているっていうか押し売りされたんだけどね」

 ………そういえば押し売りされた加護もう一つあったな。
 そんな事を考えていたらノエルがウガーーーッと奇声を発して頭を掻きむしっている。

「毎日毎日おんなじ事の繰り返しで変になるっす! シズト様~、新しい魔道具を見せてほしいっす~」
「ちょっと、鼻水ズボンに付けないでよ!」
「もうボクダメっす。ホムラ様からのノルマがえぐいっす! 気持ちの切り替えのためにも新しい魔道具を見せてほしいっす! アイテムバッグに入っている物は全部見たけど、分かる範囲で推論は立ててしまったっす……」
「でも新しいのだしたら今の仕事疎かになりそうなんだけど、大丈夫なの? ノルマとか」
「気合でなんとかするっす」

 しょうがないなぁ。じゃあなんかいい感じの作るか。
 あ、でもその前にあれ見せてなかった気がする。
 懐中電灯のような形を【加工】で作って、電池を入れてた部分には魔石を入れて起動できるように【付与】を行う。ガラスは原料が分からないので良い感じのサイズに削ってリサイクル。今度ちょっと調べてみよう。ゲームではなんか砂を燃やしたらガラスになってた気がするからもしかしたら【加工】でなんとかなるのかな?
 とりあえず神聖魔法の何かよく分かんないものを【付与】する。
 魔法自体を知らなくても、こういう事がしたい! て思って閃けばできるってやっぱりすごいよね。
 震える手で受け取ったノエルは、すぐさまじっと魔道具を見始めてうんうん唸っている。

「これは……めっちゃ細かくて読めないっす! お手上げっすよ……、もう少し大きくてわかりやすいものを作ってほしいっす」
「僕に言わないでよ。分かりやすい物って言われても、加護の力で作ってるから読みやすいものができるか分かんないんだからさ」

 あーでもないこうでもないと魔道具を作り続け、気づけばホムラが帰ってきていて、ドーラさんがたい肥を買ってどこかに運んでいた。

「そろそろ晩御飯だから行くよ」
「ちょ、待つっす。 あと五分! 五分だけ見てから行くっす!!」
「ノエルの五分って信用にならないからダメでーす」

 さっき作った『ムキムキ手袋』をはめた右手でノエルの襟首を引っ張って食堂へ移動する。
 既に準備が終わっていて、白い髪に赤い瞳が特徴的な狐人族のエミリーが満足げな表情で待っていた。
 どうやら今日は渾身の出来のようだ。
 へにょッとしている狐耳を触った事しかないので、あのピンッとした耳と尻尾を触って見たい衝動に駆られるけど我慢。結構敏感な所らしいしセクハラになっちゃう。
 ご飯を食べ終わった後はいつものようにごろごろと過ごし、ホムラに無理矢理寝かしつけられた。
 目が覚めた時にはすでに日が昇っていて、朝食の準備も済んでいる。
 いつも通りの平和な日常が今日も始まろうとしていたのに、アンディーがやってきた。

「最高神教の司教様が直々に来てこちらを渡すように、と」

 渡された手紙を開いて読むと、ついため息をついた。
 この街の教会で司祭をしている人に神託が下ったらしい。
 そしてその内容は、なぜか僕を名指しで礼拝堂で祈りを捧げるように、という事だった。

「なんか面倒事の予感がしてきた」
「私もついていくのですわ!」
「私も」
「ボクはやる事があるのでパスっす」

 ……なんかノエルの立場の方が楽な気がしてきた。代わりにこいつ差し出してやろうか。
 そんな事を思いながらジーッと見ていたからか、慌てて朝食を詰め込んで部屋を走って出て行った。
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