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第4章 助手と一緒に魔道具を作って生きていく。
48.事なかれ主義者の情報収集①
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さて、見た目を変える方法は手に入れた。
大きな姿見で自分を見るとムキムキな大男が立っている。
スキンヘッドでとっても強面のその男はちょっと関わりたくないレベルの見た目だ。
とんがり帽子を被った魔法使いっぽい恰好なのにゴリマッチョなのどうなんだろう? とか思ったけど、細かい事は気にしない。物理で倒す魔法使いだって探せば良るでしょ。身体強化的な感じで。
「シズト様、本当に行くんすか? わざわざシズト様が出歩かなくてもそれこそ奴隷に調べさせればいいじゃないっすか」
「何言ってんのさ。昔の知人の顔を知ってるのは僕だけなんだから、僕が探すのは当たり前でしょ」
「いや、人相とか……それこそ魔道具でそういう見た目を伝えるの作れば済む話じゃないっすか」
「できるけど、変な魔道具作るなってまた言われそうですし?」
「いや、今さっきいかれた魔道具を作って今使っている人がどの口で言ってんすか」
うるさいなぁ。なんか探偵みたいで聞き込みとか面白そうじゃん!
こっちの素性がばれる可能性は限りなく少ないんだし、危ない事があっても自分用に作った帰還の指輪で戻って来られる。
楽しく生きるって決めたんだから、喧嘩とか起こりそうにないイベントは参加しなきゃ損でしょ!
と、いう事で変装して街に出てきました。ノエルも一緒です。なんか久しぶりに外に出たのか、直射日光に対してぶつぶつ言ってる。
傍から見たらデートだわ。ノエルが首輪をつけているから、お散歩のような感覚がするんだけどね。
ノエルの耳や顔が露になっているので結構注目を集めている。
確かに改めて街を行き交う人々を見ると、エルフは見当たらない。
ケモミミの人たちや、ずんぐりむっくりした髭もじゃのおっさん、鱗が一部分ある人もいたけれどエルフは本当に見かけない。
「エルフはほとんどが自分たちのコミュニティから出る事はないっすね。外に出ているエルフは変わり者が多いんすよ。まあ、コミュニティにいるエルフ共は頑固者が多いのでどっちと関わりたいかって言われたら微妙っすけどね」
と、魔道具狂いの変わり者ハーフエルフが言っているのでその通りなんだろうな、って思う。
魔道具に夢中になりすぎて金欠になるって行き過ぎてる気がするんだけど。
「それで、どこで情報を集めるんすか?」
「情報集めるなら宿屋か酒場って誰かが言ってた」
「そんじゃさっさと行くっすよ」
「めっちゃ文句言ってたのにノリノリじゃーん」
「さっさと終わらせて魔道具触ってたいだけっすよ!」
ぷりぷりと怒りながらついてくるノエルを置いておいて、とりあえず猫の目の宿に行く。
あの宿、お喋り好きな看板娘と常連客のおばさんたちの影響で結構街の話出るんだよね。
そんな事を思いつつ別の事で期待に胸を膨らませつつ、猫の目の宿に到着した。
扉を開くとお昼時だったので忙しそうに歩き回っていた猫耳少女がこちらを振り向く。
「いらっしゃいませー。ご飯ですかー? お泊りですかー?」
「飯だ」
「相席だけど大丈夫ですかー?」
「問題ない」
むしろ願ったり叶ったりです。
そんな事を考えながら久しぶりに会ったランちゃんは元気そうで安心した。
今日も元気よく尻尾がくねくねしている。やっぱり触って見たいなぁ、とか考えていたらノエルがすでに二人組の近所のおばさんたちの席に座っていた。
僕もノエルの正面に座ると、明らかに隣のおばさんたちが緊張した様子。
「ああ、すみません。こんな見た目で無口っすけど根はいい人なんすよ」
「あ、あら、そうなの」
「そうなんすよー。奴隷を奴隷として扱う気のないヘタレだけど、そのおかげで好きな事できるから助かってるっすけどねー」
奴隷ジョークにしては結構きついものがある気がするんだけど、おばさんたちは笑っている。
僕は無口設定で行くみたいなので静かに腕を組んでご飯が来るのを待つ。
ここのランチは曜日ごとに決まっていて注文をする必要がない。
「奴隷も平等に扱っていたっていう勇者様たちに憧れてるみたいなんすよ。熱烈なファンで、勇者様と会いたい、ってうるさいんすよ」
「まあ、そうなの」
「勇者様に会えるなら私も会ってみたいものだわ」
「お二方はあった事がないんすか?」
「ないわねー」
「昔は訪れた事があったらしいけれどね」
「ドラゴニア王国にはたくさんのダンジョンがあるっすから当然っすね。最近もドランに勇者が住み着いたって話を聞いたんすけど……」
「そんな話は聞かないわね」
「そうねー。ああ、でも黒髪の冒険者がダンジョンでのアクシデントを解決したって話がなかったかしら?」
「いや、あの子は見た事があるけど、勇者じゃないってランちゃんが言ってたわ。加護はあるけど戦闘系じゃないって話だったし。そうよね! ランちゃん!」
静かにおばさんたちとノエルの話に聞き耳を立てていたら、配膳のために近くに来ていたランちゃんにいきなり話が振られた。
彼女は僕たちの前に出来立てのハンバーガーを置くと、おばさんたちに視線を向けて、小首を傾げた。
「何の話ー?」
「ほら、少し前までここに寝泊まりしていた黒髪の子の話よ。あの子って魔道具が作れる加護だったのでしょう?」
「たぶんそうだよー」
「勇者様は戦闘系の加護を与えられてやってくるから、じゃあ違うわね」
「そうよねー。それに、台車で運ばれてたのを何度か見た事があるけど、あの子が勇者って言われても、ちょっと信じる事できそうにないわ」
「そうだねー。シズトは優しいけど、勇者って感じじゃないなー」
まあ、僕は勇者じゃないからねぇ。
そんな事を思いつつ、ハンバーガーかぶりつく。
これって、頭の位置ずれて見えてるはずなんだけど変な所でご飯食べてるように見えるとかないよね?
姦しいおばさんたちとノエルのお喋りを聞き流しつつ食事を終えると席を立つ。
「他の人にも聞いて教えてほしい」
そんな事を言いつつ二人分のランチ代も出しておく。
さて、次は酒場かな。
利用した事がなかった冒険者ギルドで情報収集しよっと。
大きな姿見で自分を見るとムキムキな大男が立っている。
スキンヘッドでとっても強面のその男はちょっと関わりたくないレベルの見た目だ。
とんがり帽子を被った魔法使いっぽい恰好なのにゴリマッチョなのどうなんだろう? とか思ったけど、細かい事は気にしない。物理で倒す魔法使いだって探せば良るでしょ。身体強化的な感じで。
「シズト様、本当に行くんすか? わざわざシズト様が出歩かなくてもそれこそ奴隷に調べさせればいいじゃないっすか」
「何言ってんのさ。昔の知人の顔を知ってるのは僕だけなんだから、僕が探すのは当たり前でしょ」
「いや、人相とか……それこそ魔道具でそういう見た目を伝えるの作れば済む話じゃないっすか」
「できるけど、変な魔道具作るなってまた言われそうですし?」
「いや、今さっきいかれた魔道具を作って今使っている人がどの口で言ってんすか」
うるさいなぁ。なんか探偵みたいで聞き込みとか面白そうじゃん!
こっちの素性がばれる可能性は限りなく少ないんだし、危ない事があっても自分用に作った帰還の指輪で戻って来られる。
楽しく生きるって決めたんだから、喧嘩とか起こりそうにないイベントは参加しなきゃ損でしょ!
と、いう事で変装して街に出てきました。ノエルも一緒です。なんか久しぶりに外に出たのか、直射日光に対してぶつぶつ言ってる。
傍から見たらデートだわ。ノエルが首輪をつけているから、お散歩のような感覚がするんだけどね。
ノエルの耳や顔が露になっているので結構注目を集めている。
確かに改めて街を行き交う人々を見ると、エルフは見当たらない。
ケモミミの人たちや、ずんぐりむっくりした髭もじゃのおっさん、鱗が一部分ある人もいたけれどエルフは本当に見かけない。
「エルフはほとんどが自分たちのコミュニティから出る事はないっすね。外に出ているエルフは変わり者が多いんすよ。まあ、コミュニティにいるエルフ共は頑固者が多いのでどっちと関わりたいかって言われたら微妙っすけどね」
と、魔道具狂いの変わり者ハーフエルフが言っているのでその通りなんだろうな、って思う。
魔道具に夢中になりすぎて金欠になるって行き過ぎてる気がするんだけど。
「それで、どこで情報を集めるんすか?」
「情報集めるなら宿屋か酒場って誰かが言ってた」
「そんじゃさっさと行くっすよ」
「めっちゃ文句言ってたのにノリノリじゃーん」
「さっさと終わらせて魔道具触ってたいだけっすよ!」
ぷりぷりと怒りながらついてくるノエルを置いておいて、とりあえず猫の目の宿に行く。
あの宿、お喋り好きな看板娘と常連客のおばさんたちの影響で結構街の話出るんだよね。
そんな事を思いつつ別の事で期待に胸を膨らませつつ、猫の目の宿に到着した。
扉を開くとお昼時だったので忙しそうに歩き回っていた猫耳少女がこちらを振り向く。
「いらっしゃいませー。ご飯ですかー? お泊りですかー?」
「飯だ」
「相席だけど大丈夫ですかー?」
「問題ない」
むしろ願ったり叶ったりです。
そんな事を考えながら久しぶりに会ったランちゃんは元気そうで安心した。
今日も元気よく尻尾がくねくねしている。やっぱり触って見たいなぁ、とか考えていたらノエルがすでに二人組の近所のおばさんたちの席に座っていた。
僕もノエルの正面に座ると、明らかに隣のおばさんたちが緊張した様子。
「ああ、すみません。こんな見た目で無口っすけど根はいい人なんすよ」
「あ、あら、そうなの」
「そうなんすよー。奴隷を奴隷として扱う気のないヘタレだけど、そのおかげで好きな事できるから助かってるっすけどねー」
奴隷ジョークにしては結構きついものがある気がするんだけど、おばさんたちは笑っている。
僕は無口設定で行くみたいなので静かに腕を組んでご飯が来るのを待つ。
ここのランチは曜日ごとに決まっていて注文をする必要がない。
「奴隷も平等に扱っていたっていう勇者様たちに憧れてるみたいなんすよ。熱烈なファンで、勇者様と会いたい、ってうるさいんすよ」
「まあ、そうなの」
「勇者様に会えるなら私も会ってみたいものだわ」
「お二方はあった事がないんすか?」
「ないわねー」
「昔は訪れた事があったらしいけれどね」
「ドラゴニア王国にはたくさんのダンジョンがあるっすから当然っすね。最近もドランに勇者が住み着いたって話を聞いたんすけど……」
「そんな話は聞かないわね」
「そうねー。ああ、でも黒髪の冒険者がダンジョンでのアクシデントを解決したって話がなかったかしら?」
「いや、あの子は見た事があるけど、勇者じゃないってランちゃんが言ってたわ。加護はあるけど戦闘系じゃないって話だったし。そうよね! ランちゃん!」
静かにおばさんたちとノエルの話に聞き耳を立てていたら、配膳のために近くに来ていたランちゃんにいきなり話が振られた。
彼女は僕たちの前に出来立てのハンバーガーを置くと、おばさんたちに視線を向けて、小首を傾げた。
「何の話ー?」
「ほら、少し前までここに寝泊まりしていた黒髪の子の話よ。あの子って魔道具が作れる加護だったのでしょう?」
「たぶんそうだよー」
「勇者様は戦闘系の加護を与えられてやってくるから、じゃあ違うわね」
「そうよねー。それに、台車で運ばれてたのを何度か見た事があるけど、あの子が勇者って言われても、ちょっと信じる事できそうにないわ」
「そうだねー。シズトは優しいけど、勇者って感じじゃないなー」
まあ、僕は勇者じゃないからねぇ。
そんな事を思いつつ、ハンバーガーかぶりつく。
これって、頭の位置ずれて見えてるはずなんだけど変な所でご飯食べてるように見えるとかないよね?
姦しいおばさんたちとノエルのお喋りを聞き流しつつ食事を終えると席を立つ。
「他の人にも聞いて教えてほしい」
そんな事を言いつつ二人分のランチ代も出しておく。
さて、次は酒場かな。
利用した事がなかった冒険者ギルドで情報収集しよっと。
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