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第4章 助手と一緒に魔道具を作って生きていく。

46.事なかれ主義者のダイエット法④

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 お昼ご飯を食べた後は、体を動かす遊びをする事が多い。最近はボウリングにハマっている。
 ボールが何でできているのかよく分からなかったので、レーンもピンもボールも全部木製。だって【加工】で簡単にできるし。
 一球ごとにボールとレーンに【加工】をして修復するのが面倒臭くなって【付与】で修復機能を付けた。
 誰かが「魔道具の無駄遣いですわ」とか何とか言ってたけどダイエットで使うのは良いのかな。それに常に貴女が舐めている飴も魔道具なんですけど?
 そういえば魔道具を扱っているお店に行った時、戦いや旅に関係するものが多かった。
 だから魔道具=便利な道具という認識がないのかもしれない。
 僕的には戦いに限らず遊びだろうが何だろうが魔道具にしてしまって楽をしたいから何を言われようと続けるけどね。

「シズトさま~、ここらへん?」
「んー、もうちょっと真ん中ら辺でいいんじゃない?」
「ここ?」
「いや、もうちょっと……」

 木製の小さな滑り台のような見た目の物を一生懸命動かしているアンジェラにアドバイスをする。
 ボールを転がせなくはないけど、指の穴が合わなかった。
 イメージがどうしても昔遊んだものになってしまって微調整が難しかったので昔見たものを作った。よく分かんないから名前は付けてない。
 意を決してアンジェラが転がしたボールはころころと転がっていって軽快な音を立ててピンを弾き飛ばした。
 そしてそのままレーンの先に落ちて消えたかと思ったら、レーンの横にある溝を転がって戻ってくる。
 うん、いちいち拾いに行くの面倒だから溝に落ちたら勝手に転がってくるように溝に【付与】してる。

「次こそはストライクを取るのですわ!」
「がんばれー」
「力入れ過ぎなんだよなぁ」

 綺麗なフォームで投げられたボールはレーンの途中まで放物線を描いて飛んでいき、大きな音を立ててレーンに着弾するとそのままピンを弾き飛ばした。

「また両端が残ったのですわーーーっ! シズト、私にもコツを教えるのですわ!」
「コツって言われてもねぇ」

 別にボウリングのプロだったわけじゃないし。それにボールが明らかに違うし。
 そんな事を考えながらレーンの先の方を見ると、ピンから足のようなものがにょきっと生えて起き上がると所定の位置に戻っていく。
 うん、わざわざ並べるの面倒だから魔道具にしちゃうよね。
 僕はレーンに触れて【加工】でレーンの表面を作り直し、マイボールを手に構える。
 思いっきりスピンをかけて転がしたボールはちょっと曲がりすぎてピンにすら当たらず、左側の溝に落ちて奥に進んでいく。

「うーん、前はいい感じにできたんだけどなぁ」

 そんな事を思いつつ、右側の溝にそって転がって戻ってくるボールが手元に来たら拾って、その後も遊びを続行した。
 時々休憩を挟みつつもボウリングを夕方まで満喫した後、レーンをそのまま放置して屋敷に戻る。
 お風呂の準備は常にできているのでご飯の前にお風呂にのんびりと入る。
 僕がお風呂に入っているとだいたい奴隷の誰かが「お背中お流しします」とか言って入ってくるので、一人でできるからと追い返したり、冒険者ギルドへの納品が終わったホムラが当たり前のように裸で入ってきたのを出ていくように命じたりとのんびりって言っていいのか疑問だけど。
 夜ご飯を食べた後は僕の寝室で【加工】で作った木製のトランプで遊ぶ。絵札はちょっと難しかったのでジャックは剣、クイーンは女性の顔、キングは男性の顔にした。ジョーカーはピエロの顔だ。

「あれ、ここだと思ったんだけど」
「マスター、そこではなくこちらです」
「ちょっとホムラ、教えるのはずるですわ! ドーラ、私たちも協力するのですわ!」
「必要ない。覚えてる」

 神経衰弱をしてるんだけど、ドーラさんとホムラの記憶力がやばい。
 時折悔しそうに指輪を触っているレヴィに、ドーラさんが「ずるはダメ」とか言ってる。
 加護を封じる指輪を触っているって事は加護を使うとズルができるような加護なんだろうか。
 結局その後数回やったけれど、ドーラさんとホムラのどちらかが必ず勝って終わった。
 僕が提案した遊び、ことごとく勝てないんだけど?



 そんな事を繰り返していると、あっという間にレヴィさんが来てから一ヵ月が経った。
 魔法で弛んでしまった皮膚を何とかした彼女はどこからどう見ても綺麗な女性だった。
 彼女自身も、自分の見た目に納得できた様子だ。今は門の所まで出て、ドーラさんと話をしているけど、通りがかる巡回の人が彼女を何度も見ている。気持ちはわかるよ、同じ男だもんね。
 ダイエットをした事によって、スラッとした肢体を手に入れた彼女は、その細さに不釣り合いな豊満な胸が目立つ。ダイエットしたらしぼむって聞いた事あったから大丈夫かな、って思ってたけど、以前なんとなく作って放置していた『育乳ブラ』をドーラさんが買い取りレヴィさんの手に渡っていたらしい。魔法、何でもありだな。
 そんな事をも考えながらチラチラと胸を見ていたら、ドーラさんと話していた彼女がこちらを見た。

「シズトにはとてもお世話になったのですわ。約束通り、大金貨十枚を渡すのですわ! それと、社交界に出た時にはしっかりと魔道具だけを宣伝させていただくのですわ」
「魔道具だけ?」
「あまり目立ちたくはないと聞いているのですわ。だからシズトの事は知らせず、貴族相手の窓口を私がするのですわ。もちろん、シズトが必要ないと思えばしないのですわ」
「いや、とっても助かる! 是非やって!」

 もう今更感があるけど、貴族の相手をしなくて済むならお願いして損はないでしょ。
 まあ、その分何かお願いされる事もあるかもしれないけど、友達のお願いなら度が過ぎない限りはかなえてあげたいし、いいや。

「レヴィさんはこれからどうするの?」
「私はある目的……ここまでの結果を出してくれたシズトだから話してしまうのですわ! 私、ドランにやってきたって噂の勇者様の冒険のお手伝いをするためにここに来たのですわ!」

 え、あいつらの誰かこの街に来てるとか聞いてないんですけど!?
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