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第3章 居候して生きていこう
38.事なかれ主義者はリクエストを受ける。
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結局一つずつ魔道具を説明するのに時間を使うのがもったいないと思ったので、マイルーム予定の部屋でノエルに生活をしてもらう事にした。
あの部屋の机の引き出しはアイテムバッグにつながっているので、アイテムバッグ内にある魔道具は好きなように見ていいと伝えてある。
ある程度防衛体制が整ったら僕の部屋になる予定の部屋なので綺麗に使うようにはきつく注意しておいた。
それから一週間、ノエルはご飯を作るとき以外は部屋にこもって作業をしている。
最初の三日間は徹夜で魔道具を弄っていたらしいので、四日目からはホムラにノエルの寝かしつけの仕事をお願いした。僕で慣れてるでしょ。
ご飯を食べる時に見る顔色が最近はとてもいいので今後も続けるようにお願いしておいた。
なんかノエルが青い顔して震えてるんだけど、どうしたんだろう?
「な、何でもないっす! あ、調理場の片づけをしないといけなかったっす!」
そう言って慌てて外に出ていったのは、ホムラの視線から逃れるためじゃないよね?
「ホムラ、なんかしてないよね?」
「言われた通り寝かしつけをしているだけです、マスター」
とか何とかそんな感じのやり取りをして朝ごはんを食べ終わると、ホムラはいつものようにマーケットにノエルと僕がそれぞれ作った魔道具を売りに行く。空いた時間で冒険者ギルドに浮遊台車の納品も頼んである。
それにドーラさんがついていって、僕の作った魔道具だけ買って戻ってきて、それぞれがのんびり過ごすのがいつもの日課だったけど、今日は少し違った。
「作ってほしいものがある」
そういうドーラさんは眠たそうな目だったけど、いつものボーっとした感じではなく真剣な表情だった。
浮遊台車を作っている作業を止めて、ドーラさんの話を聴く。
「加護の発動を阻害する物が欲しい」
「加護を使えなくする物って事だよね?」
「そう」
んー、できそう。
何に使うのかは聞いたら厄介事に巻き込まれそうな気がするので何も聞かずにとりあえず物を作る事にした。
鉄を【加工】して、手枷を作ってそこに【付与】をする。
これでどうですかね、ドーラさん。
「……見た目を変えてほしい」
「どんなのがいいの?」
「アクセサリーとかでいい。つけてる人がすぐに取り外せる物の方がいい」
「んー、じゃあ指輪にしようか見た目ってちょっと凝った方がいい?」
「なんでもいい」
加護を持った悪い人を拘束するためにいるのかな、って思ったけどそうでもないみたい。
見た目のご希望とかはなかったから、とりあえず鉄のリングを指のサイズで作る。
……そういえば使う人の指のサイズ知らないわ。自動調節機能でもつけようか。
本人が魔力を流している間は加護が使えなくなる魔法を【付与】して完成。
魔力を流している間は加護無しになるから、『加護無しの指輪』とでも名付けようか。
魔石を使ったタイプにすれば強制的に加護無しにできるんだけど、そういう物はご希望じゃないみたいだしね。
使い方を教えると、ドーラさんは自分で身につけ、椅子を持ち上げたり机を移動させたりして確認をすると満足してもらえたみたいだ。
家主さんで話が魔道具店の常連さんだからご要望はお聞きして、ご機嫌取りはしとかないとね。
お風呂とかマイルームとかめっちゃ魔改造しちゃったし、掃除も頑張ったし、たい肥も今作成中だし追い出されたくない。
宿とかだと勝手にある物を改造するのはよくないだろうから、この屋敷を自由にさせてもらえるのはありがたいんだよね。
だから、これからもご要望があれば言ってほしいな。作るかどうかは僕が決めるけど。
そんな事を思っていたら、今度は美味しい紅茶が簡単に入れられる魔道具が欲しいと言われた。
「美味しい紅茶ってどんな味?」
「ついてきて」
と、いう事で全身鎧を身にまとっていないドーラさんと、お高そうな雰囲気のお店で紅茶を飲んでいます。
周りがすごい身なりいい人ばっかなんだけど浮いてないっすか?
緊張で紅茶の味とか分かんないんだけど、どうすればいいっすか?
ドーラさんの方を見ると、眠たそうな目で陽に当たっている。窓際の席を希望していたし、日向ぼっこでもしたかったのかな。
陽に当たって輝いている金色の髪はサラサラで、ちょっと触って見たいな、って思っているのは秘密だ。
眠たそうな青い瞳が紅茶の入った器からこちらに移ると、ちょっとドキッとするくらい綺麗だった。顔がすごく整っているのも駄目だ。肌も白くて直視するともう駄目駄目だ。
っていうか、女の人と二人で紅茶飲むのってなんかデートみたいなんですけど?
そう考えちゃったらもう駄目過ぎだ。余計緊張してきて味わかんないやっばい!
「作れそう?」
「ちょっと……緊張しすぎて味わかんないや」
「そう。時間はたくさんある」
拷問ですかね?
そんな事を思いながら味が分かるようになるまでひたすら紅茶を飲み続けた。
あ、なんか作れそう。と思った頃には太陽がかなり傾いていて、ドーラさんはとっても眠たそうな目でこちらを見ていた。
なんかすみません。
あの部屋の机の引き出しはアイテムバッグにつながっているので、アイテムバッグ内にある魔道具は好きなように見ていいと伝えてある。
ある程度防衛体制が整ったら僕の部屋になる予定の部屋なので綺麗に使うようにはきつく注意しておいた。
それから一週間、ノエルはご飯を作るとき以外は部屋にこもって作業をしている。
最初の三日間は徹夜で魔道具を弄っていたらしいので、四日目からはホムラにノエルの寝かしつけの仕事をお願いした。僕で慣れてるでしょ。
ご飯を食べる時に見る顔色が最近はとてもいいので今後も続けるようにお願いしておいた。
なんかノエルが青い顔して震えてるんだけど、どうしたんだろう?
「な、何でもないっす! あ、調理場の片づけをしないといけなかったっす!」
そう言って慌てて外に出ていったのは、ホムラの視線から逃れるためじゃないよね?
「ホムラ、なんかしてないよね?」
「言われた通り寝かしつけをしているだけです、マスター」
とか何とかそんな感じのやり取りをして朝ごはんを食べ終わると、ホムラはいつものようにマーケットにノエルと僕がそれぞれ作った魔道具を売りに行く。空いた時間で冒険者ギルドに浮遊台車の納品も頼んである。
それにドーラさんがついていって、僕の作った魔道具だけ買って戻ってきて、それぞれがのんびり過ごすのがいつもの日課だったけど、今日は少し違った。
「作ってほしいものがある」
そういうドーラさんは眠たそうな目だったけど、いつものボーっとした感じではなく真剣な表情だった。
浮遊台車を作っている作業を止めて、ドーラさんの話を聴く。
「加護の発動を阻害する物が欲しい」
「加護を使えなくする物って事だよね?」
「そう」
んー、できそう。
何に使うのかは聞いたら厄介事に巻き込まれそうな気がするので何も聞かずにとりあえず物を作る事にした。
鉄を【加工】して、手枷を作ってそこに【付与】をする。
これでどうですかね、ドーラさん。
「……見た目を変えてほしい」
「どんなのがいいの?」
「アクセサリーとかでいい。つけてる人がすぐに取り外せる物の方がいい」
「んー、じゃあ指輪にしようか見た目ってちょっと凝った方がいい?」
「なんでもいい」
加護を持った悪い人を拘束するためにいるのかな、って思ったけどそうでもないみたい。
見た目のご希望とかはなかったから、とりあえず鉄のリングを指のサイズで作る。
……そういえば使う人の指のサイズ知らないわ。自動調節機能でもつけようか。
本人が魔力を流している間は加護が使えなくなる魔法を【付与】して完成。
魔力を流している間は加護無しになるから、『加護無しの指輪』とでも名付けようか。
魔石を使ったタイプにすれば強制的に加護無しにできるんだけど、そういう物はご希望じゃないみたいだしね。
使い方を教えると、ドーラさんは自分で身につけ、椅子を持ち上げたり机を移動させたりして確認をすると満足してもらえたみたいだ。
家主さんで話が魔道具店の常連さんだからご要望はお聞きして、ご機嫌取りはしとかないとね。
お風呂とかマイルームとかめっちゃ魔改造しちゃったし、掃除も頑張ったし、たい肥も今作成中だし追い出されたくない。
宿とかだと勝手にある物を改造するのはよくないだろうから、この屋敷を自由にさせてもらえるのはありがたいんだよね。
だから、これからもご要望があれば言ってほしいな。作るかどうかは僕が決めるけど。
そんな事を思っていたら、今度は美味しい紅茶が簡単に入れられる魔道具が欲しいと言われた。
「美味しい紅茶ってどんな味?」
「ついてきて」
と、いう事で全身鎧を身にまとっていないドーラさんと、お高そうな雰囲気のお店で紅茶を飲んでいます。
周りがすごい身なりいい人ばっかなんだけど浮いてないっすか?
緊張で紅茶の味とか分かんないんだけど、どうすればいいっすか?
ドーラさんの方を見ると、眠たそうな目で陽に当たっている。窓際の席を希望していたし、日向ぼっこでもしたかったのかな。
陽に当たって輝いている金色の髪はサラサラで、ちょっと触って見たいな、って思っているのは秘密だ。
眠たそうな青い瞳が紅茶の入った器からこちらに移ると、ちょっとドキッとするくらい綺麗だった。顔がすごく整っているのも駄目だ。肌も白くて直視するともう駄目駄目だ。
っていうか、女の人と二人で紅茶飲むのってなんかデートみたいなんですけど?
そう考えちゃったらもう駄目過ぎだ。余計緊張してきて味わかんないやっばい!
「作れそう?」
「ちょっと……緊張しすぎて味わかんないや」
「そう。時間はたくさんある」
拷問ですかね?
そんな事を思いながら味が分かるようになるまでひたすら紅茶を飲み続けた。
あ、なんか作れそう。と思った頃には太陽がかなり傾いていて、ドーラさんはとっても眠たそうな目でこちらを見ていた。
なんかすみません。
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