【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ

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第3章 居候して生きていこう

37.事なかれ主義者は自作の魔道具を見せた

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「お風呂の物も全部シズト様が作ったんすか?」
「うん、ちょっとよくわかんないのとかあったし使いやすいようにしようかな、って」
「いやー、すごいっすね。浴槽そのものに魔法陣が描かれているとは思わなかったっす」
「もうちょっと改良したいんだけどね」
「あれ以上何を改良すんだよ」
「お風呂に必要なものなんてそれこそいろいろあるでしょ?」

 銭湯っぽい感じがするし、泡がめっちゃ出る感じにしたい。
 なんていうのが正しいのかわかんないけど、イメージはできるし思いついてもいるからできると思う。
 無駄に広いから打たせ湯とか作ってもいいし、電気風呂とかも良いよね。
 最初は慣れないんだけど、慣れたら気持ちよかったし。

「魔道具は他にどんな物があるんすか?」
「いろいろあるけど、埃吸い吸い箱とか? ほら、そこにあるじゃん」

 見た目的には、ただの木の箱が窓際に置かれている。
 まだ内装をそこまで整えてないけど、いい感じの物を揃えたら見た目も何とかしたい。
 ノエルはすぐに埃吸い吸い箱を観察し始めた。
 何かぶつぶつ言いながら恐る恐る触って確かめている。

「ちょっと用があるから外出るぞ」
「いつ頃に帰ってくるの?」
「まあ晩飯くらいには帰るさ。今日の晩飯はどうすんだ? そいつに作らせんのか?」
「ノエルが作れるって言ってたし、どんなの作るのか気になるから作ってもらおうかなぁ、って思うけど」

 ノエルを見るとなんか息が荒くなってるけど大丈夫なのかな?
 ラオさんが出て行ってもノエルはずっと荒い息のまま隅々まで埃吸い吸い箱を観察していた。
 まあ、いっぺんに作った魔道具教えなくてもいいか。
 とりあえずノエル用の浮遊台車作ろう。
 ホムラを見るとすでにアイテムバッグに手を入れて僕の声掛けを待っていた。
 最近ホムラが先回りしてくるからちょっと怖いんだけど、心読んでたりしないよね……?
 心の中でホムラに色々話しかけながらじっとホムラを見ていたが、当たり前だけど特になんも反応がなかった。
 ノエル用の浮遊台車やホムラに言われた物を作り終える頃にやっとノエルがこっちに戻ってきた。
 ちょっと落ち込んでいる様子だった。

「細かすぎて無理っす。どんだけ詰め込んでるんすか」
「え、ただ埃を吸って真ん中に集まるようにしてるだけのはずだけど」

 加湿機能とかはつけてないし、詰め込んだ内容に心当たりはないなぁ。
 そんな事を考えながら首を傾げているとノエルはため息を吐いた。

「埃を吸い込むだけでもいくつも盛り込む必要あるじゃないっすか。風をここから吸い込むってだけでもどのくらいの勢いで吸い込むとかあるじゃないっすか。それに吸い込むだけじゃなくてここから出してるじゃないっすか。今中に入った埃だけ集めてこっから出してるんすよね? しかも魔石で動いてるし、言い出したらきりがないっすけど、ここまで盛り込まれると細かくなりすぎてボクに真似は無理っすよ」

 身振り手振りを付けてノエルが訴えてくるけど、こういうのできないかな、って思って思いついたらできちゃうんだからあんまりよくわかんないんだよなぁ。

「そうなんだ」

 と、とりあえず流して新しくノエル用として作った浮遊台車をノエルの前に置く。

「じゃあこれはできる?」
「んー…………やってみないと分かんないっすね。まだ読み取れる物があるっすけど。これ、どんな効果があるんすか?」
「重いものを乗せても浮く台車」
「あー、だからっすか。ちょっとここら辺見た事があるような物が魔法陣の中に刻まれているっす。これがもしかしたら浮遊に関係するものかもしれないっすね」

 真似ができるならしてくれてもいいんだよ。
 それだけ僕が楽できるかもだし。
 とりあえずこの話は一度おしまいにして、次の魔道具をホムラに出してもらう。
 しばらくは用済みの高圧洗浄機だ。
 僕が持ってノエルに見せると、ノエルはすぐに肩をすくめた。

「これは無理っすね」
「もっとよく見てよ」
「細かく見なくてもやべー物ってのは分かるっすよ。魔法線で魔法陣を繋げてるじゃないっすか。まずその時点でよく分かんないっすよ。普通は魔法線で陣を描いて、その中に古代文字を刻むんすよ?今まで見てきた中で魔法線で複数の魔法陣同士を繋げた魔道具なんて見た事ないっすよ」
「ただ線で繋げればいいんじゃないの?」
「そんな楽だったら魔道具研究がもっと進んでると思うっすよ。これも加護の力なんすかね。ボクも欲しくなってきた気がするっすよ」

 ジト目でこちらを見ないでくれるかな?
 とりあえず不要そうだからと別の魔道具にしようとしまおうとしたらノエルが僕に飛びついてきた。
 柔らかい感触といい匂いに気を取られている間に高圧洗浄機は奪われてしまった。
 ノエルが大事そうに両手で抱えて僕から離れる。

「ちょーっと待つっす。見ないとは言ってないっすよ! 真似してみて何かしら発動するかもしれないじゃないっすか」

 そう言って今度は高圧洗浄機を見始める。
 ……これ、やっぱりめちゃくちゃ時間がかかりそうだなぁ。
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