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第3章 居候して生きていこう
34.事なかれ主義者はお風呂で考える
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晩御飯を手早く済ませた。
ドーラさんは今日もまだ帰ってこない。今はラオさんと僕とホムラだけが屋敷にいる。
とりあえずラオさんにお風呂に入るように勧めたんだけど「護衛がゆっくり風呂に入れる訳ねぇだろ」と言われて、確かにそうだわ、と。
時々忘れるんだけど、ラオさんって僕の護衛としてここにいるんだよね。
宿に住んでた時は朝から晩までだいたい一緒に行動してたし。
時々どっか出かける時も、他の冒険者が護衛についていて、僕が気を遣わない程度の距離から見守られていたらしいし。
ただ、屋敷だとそうもいかないか。知らない人が屋敷の中にいると気を遣っちゃうし。
と、いう事で僕だけお風呂を堪能するわけです。
いや、ラオさんには悪いなぁ、とは思っているんですよ?
思っているんですけど、そこにお湯が張ってあるんだったら入るしかないじゃん。
脱衣所で服を脱ぎ、木の板を【加工】して作った木製の籠に突っ込んで、タオルを片手に浴室に入る。
誰もいない広い浴室には柚子のいい香りが充満している。
イメージの問題なのか、色も入浴剤を入れた感じのお湯が溜まっていた。
すぐにでも入りたい気持ちを必死に押さえつけ、とりあえずホムラに買ってきてもらった石鹸で体を洗う。
固形のしかなかったのかな。普段使わないからちょっと使いづらい。
「お背中流します、マスター」
「キャーーーーーーーッ!!!!」
いつからいたの! どうしているの! ちゃんと待ってて、って言ったよね!
「マスターのお世話をするのは私の仕事ですので」
「そんな仕事頼んだ覚えない!」
手で大事なところを隠しつつ、ホムラの方を見ると、残念。服着てた。いや、残念じゃない。
流石に帽子やローブは羽織っておらず、カッターシャツのようなだぼだぼな白い服。ワンピースに見えなくもないそれは、下は隠れているので履いているのかよくわからない。水とかかけたら透けそうだ。
そんな馬鹿な事を考えていたら、脱衣所につながる扉が開いて、ラオさんが姿を見せた。残念、こちらも服着てる。いや、それでよかったんだけどね?
まだ寝巻き姿ではないのでいつものタンクトップにパツパツのズボンだ。タンクトップは白いし、水に濡れたら大変な事になっちゃうんじゃないっすか?
「なんでラオさんまで来んのさ!」
「いや、あんな悲鳴聞いたら何ともないって分かってても確認するしかねぇだろ。護衛なんだから」
「むしろ護衛でしたらお傍で控えているべきなのでは?」
「何言ってんの!?」
ほら、ラオさんもきょとんとした表情でびっくりしてんじゃん。
ホムラの方をじっと見ながら「アタシに言ったんだよな……?」って混乱してんじゃん!
「何があるか分かりませんし、お傍に控えてどんな事があってもマスターを守る事が出来るようにしておくべきかと」
「…………それをシズトが望んでねぇからな。のんびり入るってウキウキしてたし。一人で堪能させてやるのも大事なんじゃねぇの?」
「そうだそうだ!」
服を着て入ってきたので残念だけど……いや、救いだったけど、もう入って来ないでほしい。
大人数で入る銭湯も好きだけど、異性と混浴の経験なんてないんだからドキドキしすぎてのんびりできないでしょ!
残念そうな雰囲気のホムラをラオさんに連れて行ってもらって、気を取り直して体を洗う。
今度から簡易魔法錠使うようにしよ。
一人では大きすぎる浴槽で、肩までお湯に浸かってのんびりする。程よい水温で、しばらくは入ってられそうだ。
柚子のいい香りに、大きな浴槽。こうしてのんびり入ってると、前の世界の事を何となく考えてしまう。
今まではあんまり考えてなかったし、今もそこまで前の世界の事について気になる事はないんだけど、やっぱりこれは神様が配慮してくれたんかな。
前の世界ではもう死んじゃったんだ、てわかってる。だから開き直って新しい世界で生きていこう、て気持ちになった可能性もあるけどね。
前の世界でやってない事がたくさんあった。親を残して死んじゃったし、それもちょっと気になってきた。
ちょっとだけでもいいから前の世界に帰れたりしないかな。
……閃かないなぁ。
それじゃあ、何かしらの方法で連絡とかは?
…………これもだめかぁ。
ため息をついて口まで浸かる。
ぶくぶくと、何となくお湯で遊びつつ考えるけど思いつかない。まあ、家族の事は馬鹿兄貴が何とかしてくれ。
僕はこの世界で今度こそ楽しく生きるからさ。
「ご飯も美味しいし、トイレはまあ、綺麗だし……ウォシュレットじゃないのは残念だけど。お風呂だって毎日入る事ができる環境作っちゃったし?」
こっちの世界に来て二か月とちょっとくらい?
きっとご飯とか、お手洗いとかの水準がある程度マシだったっていうのも帰りたくならなかった理由の一つかも。
なんか不便だなぁ、て思った事も【付与】のおかげで何とかなってて不満も無いからなぁ。
……陽キャグループも楽しくやってんのかなぁ。戦闘系の加護しかないから苦労してるかな。
いや、お金稼いで贅沢三昧してそう。美男美女を選び放題で楽しく俺TUEEEEしてそう。
なにそれずるい!!
……いいように使われそうだから極力距離を置きたいけど、同じ世界で、同じ境遇の人がもしも困ってたら……バレないように助けたいなぁ。恨まれたら嫌だし。
ちょっとこっちでの生活落ち着いたらどうしてるか調べてみよう。
ドーラさんは今日もまだ帰ってこない。今はラオさんと僕とホムラだけが屋敷にいる。
とりあえずラオさんにお風呂に入るように勧めたんだけど「護衛がゆっくり風呂に入れる訳ねぇだろ」と言われて、確かにそうだわ、と。
時々忘れるんだけど、ラオさんって僕の護衛としてここにいるんだよね。
宿に住んでた時は朝から晩までだいたい一緒に行動してたし。
時々どっか出かける時も、他の冒険者が護衛についていて、僕が気を遣わない程度の距離から見守られていたらしいし。
ただ、屋敷だとそうもいかないか。知らない人が屋敷の中にいると気を遣っちゃうし。
と、いう事で僕だけお風呂を堪能するわけです。
いや、ラオさんには悪いなぁ、とは思っているんですよ?
思っているんですけど、そこにお湯が張ってあるんだったら入るしかないじゃん。
脱衣所で服を脱ぎ、木の板を【加工】して作った木製の籠に突っ込んで、タオルを片手に浴室に入る。
誰もいない広い浴室には柚子のいい香りが充満している。
イメージの問題なのか、色も入浴剤を入れた感じのお湯が溜まっていた。
すぐにでも入りたい気持ちを必死に押さえつけ、とりあえずホムラに買ってきてもらった石鹸で体を洗う。
固形のしかなかったのかな。普段使わないからちょっと使いづらい。
「お背中流します、マスター」
「キャーーーーーーーッ!!!!」
いつからいたの! どうしているの! ちゃんと待ってて、って言ったよね!
「マスターのお世話をするのは私の仕事ですので」
「そんな仕事頼んだ覚えない!」
手で大事なところを隠しつつ、ホムラの方を見ると、残念。服着てた。いや、残念じゃない。
流石に帽子やローブは羽織っておらず、カッターシャツのようなだぼだぼな白い服。ワンピースに見えなくもないそれは、下は隠れているので履いているのかよくわからない。水とかかけたら透けそうだ。
そんな馬鹿な事を考えていたら、脱衣所につながる扉が開いて、ラオさんが姿を見せた。残念、こちらも服着てる。いや、それでよかったんだけどね?
まだ寝巻き姿ではないのでいつものタンクトップにパツパツのズボンだ。タンクトップは白いし、水に濡れたら大変な事になっちゃうんじゃないっすか?
「なんでラオさんまで来んのさ!」
「いや、あんな悲鳴聞いたら何ともないって分かってても確認するしかねぇだろ。護衛なんだから」
「むしろ護衛でしたらお傍で控えているべきなのでは?」
「何言ってんの!?」
ほら、ラオさんもきょとんとした表情でびっくりしてんじゃん。
ホムラの方をじっと見ながら「アタシに言ったんだよな……?」って混乱してんじゃん!
「何があるか分かりませんし、お傍に控えてどんな事があってもマスターを守る事が出来るようにしておくべきかと」
「…………それをシズトが望んでねぇからな。のんびり入るってウキウキしてたし。一人で堪能させてやるのも大事なんじゃねぇの?」
「そうだそうだ!」
服を着て入ってきたので残念だけど……いや、救いだったけど、もう入って来ないでほしい。
大人数で入る銭湯も好きだけど、異性と混浴の経験なんてないんだからドキドキしすぎてのんびりできないでしょ!
残念そうな雰囲気のホムラをラオさんに連れて行ってもらって、気を取り直して体を洗う。
今度から簡易魔法錠使うようにしよ。
一人では大きすぎる浴槽で、肩までお湯に浸かってのんびりする。程よい水温で、しばらくは入ってられそうだ。
柚子のいい香りに、大きな浴槽。こうしてのんびり入ってると、前の世界の事を何となく考えてしまう。
今まではあんまり考えてなかったし、今もそこまで前の世界の事について気になる事はないんだけど、やっぱりこれは神様が配慮してくれたんかな。
前の世界ではもう死んじゃったんだ、てわかってる。だから開き直って新しい世界で生きていこう、て気持ちになった可能性もあるけどね。
前の世界でやってない事がたくさんあった。親を残して死んじゃったし、それもちょっと気になってきた。
ちょっとだけでもいいから前の世界に帰れたりしないかな。
……閃かないなぁ。
それじゃあ、何かしらの方法で連絡とかは?
…………これもだめかぁ。
ため息をついて口まで浸かる。
ぶくぶくと、何となくお湯で遊びつつ考えるけど思いつかない。まあ、家族の事は馬鹿兄貴が何とかしてくれ。
僕はこの世界で今度こそ楽しく生きるからさ。
「ご飯も美味しいし、トイレはまあ、綺麗だし……ウォシュレットじゃないのは残念だけど。お風呂だって毎日入る事ができる環境作っちゃったし?」
こっちの世界に来て二か月とちょっとくらい?
きっとご飯とか、お手洗いとかの水準がある程度マシだったっていうのも帰りたくならなかった理由の一つかも。
なんか不便だなぁ、て思った事も【付与】のおかげで何とかなってて不満も無いからなぁ。
……陽キャグループも楽しくやってんのかなぁ。戦闘系の加護しかないから苦労してるかな。
いや、お金稼いで贅沢三昧してそう。美男美女を選び放題で楽しく俺TUEEEEしてそう。
なにそれずるい!!
……いいように使われそうだから極力距離を置きたいけど、同じ世界で、同じ境遇の人がもしも困ってたら……バレないように助けたいなぁ。恨まれたら嫌だし。
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