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第3章 居候して生きていこう

28.事なかれ主義者と大掃除①

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 一人用の椅子があったから、最悪アレで寝ようと決めた。
 寝る場所よりも、早く埃を何とかしないとラオさんの豪快なクシャミが止まらないだろうし。
 適当に作った木箱に、埃吸い吸い箱に溜まった埃を回収していく。
 めちゃくちゃ溜まっていてびっくりなんだけど、この回収作業が面倒だ。

「中にスライム入れればいい」
「なんでスライム?」
「ごみを食べる。下水処理にはスライムが使われてる」
「なるほど? じゃあ、家で放し飼いにでもすればいいんじゃない?」
「家具がダメになる」

 そういうもんなのか。
 とりあえずスライムに関しては保留して、人力で頑張る。
 ある程度床の埃がなくなったら埃吸い吸い箱を移動させ、埃集め作業をしていたが気づいたら夕暮れ時になっていた。

「まだやってんのかよ」
「あ、ラオさんおかえり」
「飯は食ったんか?」
「まだ食べてない。とにかく埃を何とかしないとほら、ラオさんが大変でしょう?」

 三階の寝室までの通り道と、寝室は埃を取り除き、今は窓を全開にして換気している。
 埃がまた舞っている気がするので所々に埃吸い吸い箱を置いている。
 なんか綺麗な絨毯の上にドンッと置かれた埃吸い吸い箱のビジュアルが残念過ぎるので【加工】でいい感じに装飾してみようかな。それこそ、神様たちとか。
 あんまり詳しく顔とか覚えてないけど、そこら辺は適当でそれっぽく見えればいいと思うし。

「適当に食いに行くか。ドーラはどうすんだ?」
「いく」

 ドーラさんとご飯を食べるのは初めてな気がする。
 いつもは同席してたけど、兜をかぶってたからご飯なんて食べれないもんね。
 屋敷を出て、高級住宅街を歩く。
 よく巡回している兵士? みたいな人とすれ違う。
 なんかお巡りさんとかもそうなんだけど、視界に入るだけでも心臓に悪いよね。
 何にも悪い事してないのにちらちら見ちゃって職質されるやつ。
 露天商のスペースの近くを通ったけど、見た感じ富裕層向けの物を売っている人ばっかだった。
 客層に合わせて作る魔道具変えた方が売れるかな。
 色々考えていたらラオさんの目的の飯屋に着いた。
 ジャンクフードっていう感じで栄養、何それ美味しいの? って感じだったけど。
 ハンバーガーとフライドポテトがセットで出されたんだけど、これ絶対転移者関係してんじゃん!

「あ? あー、なんか少し前の勇者が考案したんだと。一時期芋ばかり作ってちょっと問題が起きた事があるらしいが、まあ、アタシらは食うだけだから関係ねぇな」
「なんか塩の味がしない気がする」
「あ? 塩なんて使ってるわけねぇだろ。ほら、このソース付けて食うんだ」

 謎のソースをつけて食べるけど、コレジャナイ感がすごい。
 中途半端に伝えずにしっかり細かいところまで再現してほしいよ、同郷の人。
 ハンバーガーも、肉! て感じ。
 あー……ピクルス恋しい。……ピクルスないかな。



 さて、問題の寝る時間が近づいてきてますね。
 同じ部屋で過ごしているドーラさんとラオさんを見る。
 二人とも普段の服装ではなく、寝間着に着替えていた。
 ドーラさんは長袖だけ。たぶん。大きめの長袖を着ていて、ダボッとしているため超絶短いスカートみたいになっている。……履いてるよね? 確認する勇気は僕にはないです。
 ラオさんはタンクトップにパンツだった。……タンクトップ好きですね。
 目のやり場にとても困るので抗議したんだけど「あちぃから仕方ねぇだろ」と一蹴された。
 ……涼しい服閃いたんだけど、作るか悩むなぁ。

「ホムラはあっちで寝てね」
「わかりました、マスター」
「素直でいい子」

 拒否られるかと思ったけど、ベッドで寝てくれるようだ。頭を撫でてあげよう。
 僕はとりあえず安眠カバーを椅子の背もたれ部分にセットしていつでも眠れるようにし、とりあえず試しに椅子に座るとホムラがドンッと押してきて――起きたらベッドで寝てました。
 とりあえず、すぐ隣で横になっていたホムラの頭をぐりぐりしてやろう。

「ほら、いつまで寝てんだ……って、何やってんだ?」
「ちょっとお仕置きを」
「手綱きっちり握っとけよ。アタシはまたギルドに行くからお前は敷地から出るなよ」

 護衛なしで動くのは怖いし、大人しくそうしよう。
 ホムラにお使いと浮遊台車の納品をお願いして、僕はとりあえず建物から出て、草刈りをした後片付けをする事にした。
 たくさんの草があるのでこれを集めるのは一苦労だ。
 集めたら集めたで、捨てる場所に困る。
 そういえば、小学校で落ち葉をなんか集めて肥料? にしてたような気がする。
 枯れ葉じゃないけどいい感じに肥料に……できそうだな。

「ホムラ、木材ってどれだけある?」
「端材であれば買い貯めてあります、マスター」
「オッケー。じゃあ、とりあえず裏手にまわろっか」

 流石に玄関口に置くのは見栄えが悪いので屋敷の裏手に移動して、外と敷地の境になっている高い柵のすぐ近くに【加工】で人が何人も入るレベルの木の囲いを作る。底の木の板に【付与】を行い、木の囲いの外側にも【付与】で魔法陣を刻み、魔石をセットできる窪みを【加工】で作る。
 蓋となる物も【加工】で作った。蓋にちょっと細工して、かき混ぜる用の可動式の棒を作って【付与】をすると、無事魔力が流れると回転する棒ができた。それに突起を複数作って木の囲いの上にドーラさんに置いてもらう。ちょっと大きすぎて持ちあげられなかったので、鉄のインゴットを【加工】して蝶番を作り、頑張って開けられるようにした。……ちょっと開けてるとき不格好なのは諦めよう。
 ドーラさんが興味深げに作業を見ていたけど、【加工】はあれだけ見たし珍しいものではないでしょう?
 完成したのでドーラさんには刈られた草を一か所に集めてもらい、ホムラと一緒に浮遊台車で草を運んで中に入れる。
 ある程度の層ができたら近くの土を掘り返して中に入れるようにホムラにお願いして、僕は草を運ぶのを頑張った。……明日筋肉痛になりそう。
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