34 / 971
第2章 露天商をさせて生きていこう
25.事なかれ主義者は事故が起きないか心配
しおりを挟む
領主様からの依頼を受けて二週間が経った。
毎日浮遊台車を作って、その後に適当な魔道具を作ったり飴を舐めたりして魔力切れになるまで魔力を使って寝ている。
そのおかげか、浮遊台車を作っても魔道具を六個くらい作れるようになった。
あと、毎朝ホムラがベッドのそばで僕の寝顔を見ているのにも慣れた。
ラオさんは、簡易魔法錠の騒音はどうしようもないと諦めて勝手に入ってくる事はなくなったので、後はホムラを何とかしよう。
「ねえ、ホムラ」
「なんでしょう、マスター」
「どうして毎日部屋にいるのかな?」
「マスターが床で寝てしまうのでベッドに戻しているからでしょうか」
「そのまま出ていけばよくない!?」
「では、戸締りをしなければならないからですね、マスター」
「簡易魔法錠は魔石がなくなるまで抜けないから外側から閉めても問題ないよね? ちょっと調整して朝方に魔石の魔力がなくなるようにすればいいでしょ。今日からは僕が寝た後は部屋から出て行ってよね!」
朝困るんですよ。僕の息子が一緒に起きてたら困るんですよ。
ホムラはちょっと不服そうな雰囲気だったけど、無表情で最終的には頷いてくれた。
ホムラを外に出してから着替えを済ませ、朝食を食べている時にホムラが最近の売り上げについて教えてくれる。
「ドーラ様にだいたい買っていただけるので売れ行きは好調です、マスター」
ドーラさんは常連客で朝一番に買いに来て、新しい魔道具は必ず買っていくらしい。
ドーラさんには不要だと思うんだけど、ダイエット用品も買っていったらしい。
「好きなように仕入れていいという事でしたので魔石を中心に買っています、マスター」
「そっか。いい感じで安心したよ」
僕は作って後はホムラに任せっきりだ。
値段だけじゃなくて、ネーミングすらホムラに丸投げしたのでどのように売られているか、誰に売っているのか、どれだけのお金が手に入っているのか知らない。っていうか、怖くて知りたくない。
なんかダイエット用品作った時に、ラオさんが「貴族が金積んででも買いそうだな」なんて事を言っていたのがとても気になる。
その後にちょくちょくホムラからダイエット用品を作るように言われているので作っているけど、どんどん素材の手触りがすごくいいやつになっていくのなんでだろうね。わかんないや。この前なんて光を受けたらなんかきらきら綺麗に光る石ころがたくさんついていた腹巻があったんだけど、あれは腹巻と言っていいのかな。
「そういえば、なんか嫌な事言われたって言ってた気がするけど、あれからどう? なんかまた言われたりとかしてない?」
「……特にマスターが気にされるような事は起こってないです」
何も起こってないならいいんだけど。
最近街を歩いていても贋作の方の浮遊ランプを持っている人が増えてきているので、またいつ言われても不思議じゃない。
ラオさんがなんかホムラを半目で見ているけど、どうしたんだろう?
ルンさんに僕の年齢を伝えてからは、おかわりをひたすら出される事もなくなって、脂肪燃焼腹巻と浮遊台車のお世話になる事はなくなった。
通りを歩いていると、時々お母さんに連れられた小さな子が「今日も変なのに乗ってないね」なんてお母さんに言っているのが見えたけど僕は聞こえなかった事にした。
冒険者ギルドに到着すると、空いている受付がないか見渡す。
イザベラさんと目が合ったので、イザベラさんの方へと足を向けた。
「おはようございます、イザベラさん」
「おはようございます、シズトくん」
今日も今日とてクールビューティーですね、イザベラさん。眼鏡かけてみたらもっといい感じだと思うんですけど、どうでしょう?
とかなんとか頭の隅っこで考えながら、アイテムバッグから浮遊台車を三台出して今日の分を納品する。
全部受け取ったイザベラさんは、僕の前に一枚の紙を差し出した。
「お疲れさまでした、シズトくん。領主様から依頼の終了の申し出がありました。ギルドとしてはあって困るものではないので、毎日一台納品していただければと思います」
「まあ、あれだけ街中で見かけたらしょうがないですよね」
ギルドとあわせると多分百台以上作ってるもんね。だいぶ出回ったからもうそろそろ不要になるかなぁ、って思っていたところだしそこまで困らない。
そもそも領主様からの一日の報酬大金貨一枚だけでも今の宿の三ヵ月ちょっとくらいの生活費になるのだからだいぶ稼がせてもらったと感謝しているくらいだ。
浮遊台車一台だけだったらだいぶ魔力余るし、今日はインスタントホムンクルスでも作るかなぁ。
「変な事するんじゃねぇぞ」
ラオさんが思う変な事と僕の思う変な事って違うからわかんないなぁ。
納品が終わったら今日のお小遣い銀貨一枚を握りしめて街を散策する。
本当に浮遊台車は街中で見かけるのが当たり前になってきたな。
今も大通りを競争するかのようなスピードで子どもたちがレンガを乗せて通り過ぎていくのを見送ったところだ。
「あんなスピード出して大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろうよ。それに、あれ結構魔力使うから、魔力のすくねぇ子どもはタイムリミットまで少しでも多く運ぶなら速くするしかねぇんだとよ」
「途中で魔力切れになったら危ないと思うんだけど」
「実際事故は起きてるみてぇだぜ。一応対策として、魔力残量を確認してからレンガを運ばせているらしい」
まあ、作った後の事は僕にはどうしようもないわけだから気を付けて使ってもらうしかないよなぁ。
何とも言えない気持ちになりながら、すごい速さで外壁方面から戻ってくる子どもたちを見送った。
毎日浮遊台車を作って、その後に適当な魔道具を作ったり飴を舐めたりして魔力切れになるまで魔力を使って寝ている。
そのおかげか、浮遊台車を作っても魔道具を六個くらい作れるようになった。
あと、毎朝ホムラがベッドのそばで僕の寝顔を見ているのにも慣れた。
ラオさんは、簡易魔法錠の騒音はどうしようもないと諦めて勝手に入ってくる事はなくなったので、後はホムラを何とかしよう。
「ねえ、ホムラ」
「なんでしょう、マスター」
「どうして毎日部屋にいるのかな?」
「マスターが床で寝てしまうのでベッドに戻しているからでしょうか」
「そのまま出ていけばよくない!?」
「では、戸締りをしなければならないからですね、マスター」
「簡易魔法錠は魔石がなくなるまで抜けないから外側から閉めても問題ないよね? ちょっと調整して朝方に魔石の魔力がなくなるようにすればいいでしょ。今日からは僕が寝た後は部屋から出て行ってよね!」
朝困るんですよ。僕の息子が一緒に起きてたら困るんですよ。
ホムラはちょっと不服そうな雰囲気だったけど、無表情で最終的には頷いてくれた。
ホムラを外に出してから着替えを済ませ、朝食を食べている時にホムラが最近の売り上げについて教えてくれる。
「ドーラ様にだいたい買っていただけるので売れ行きは好調です、マスター」
ドーラさんは常連客で朝一番に買いに来て、新しい魔道具は必ず買っていくらしい。
ドーラさんには不要だと思うんだけど、ダイエット用品も買っていったらしい。
「好きなように仕入れていいという事でしたので魔石を中心に買っています、マスター」
「そっか。いい感じで安心したよ」
僕は作って後はホムラに任せっきりだ。
値段だけじゃなくて、ネーミングすらホムラに丸投げしたのでどのように売られているか、誰に売っているのか、どれだけのお金が手に入っているのか知らない。っていうか、怖くて知りたくない。
なんかダイエット用品作った時に、ラオさんが「貴族が金積んででも買いそうだな」なんて事を言っていたのがとても気になる。
その後にちょくちょくホムラからダイエット用品を作るように言われているので作っているけど、どんどん素材の手触りがすごくいいやつになっていくのなんでだろうね。わかんないや。この前なんて光を受けたらなんかきらきら綺麗に光る石ころがたくさんついていた腹巻があったんだけど、あれは腹巻と言っていいのかな。
「そういえば、なんか嫌な事言われたって言ってた気がするけど、あれからどう? なんかまた言われたりとかしてない?」
「……特にマスターが気にされるような事は起こってないです」
何も起こってないならいいんだけど。
最近街を歩いていても贋作の方の浮遊ランプを持っている人が増えてきているので、またいつ言われても不思議じゃない。
ラオさんがなんかホムラを半目で見ているけど、どうしたんだろう?
ルンさんに僕の年齢を伝えてからは、おかわりをひたすら出される事もなくなって、脂肪燃焼腹巻と浮遊台車のお世話になる事はなくなった。
通りを歩いていると、時々お母さんに連れられた小さな子が「今日も変なのに乗ってないね」なんてお母さんに言っているのが見えたけど僕は聞こえなかった事にした。
冒険者ギルドに到着すると、空いている受付がないか見渡す。
イザベラさんと目が合ったので、イザベラさんの方へと足を向けた。
「おはようございます、イザベラさん」
「おはようございます、シズトくん」
今日も今日とてクールビューティーですね、イザベラさん。眼鏡かけてみたらもっといい感じだと思うんですけど、どうでしょう?
とかなんとか頭の隅っこで考えながら、アイテムバッグから浮遊台車を三台出して今日の分を納品する。
全部受け取ったイザベラさんは、僕の前に一枚の紙を差し出した。
「お疲れさまでした、シズトくん。領主様から依頼の終了の申し出がありました。ギルドとしてはあって困るものではないので、毎日一台納品していただければと思います」
「まあ、あれだけ街中で見かけたらしょうがないですよね」
ギルドとあわせると多分百台以上作ってるもんね。だいぶ出回ったからもうそろそろ不要になるかなぁ、って思っていたところだしそこまで困らない。
そもそも領主様からの一日の報酬大金貨一枚だけでも今の宿の三ヵ月ちょっとくらいの生活費になるのだからだいぶ稼がせてもらったと感謝しているくらいだ。
浮遊台車一台だけだったらだいぶ魔力余るし、今日はインスタントホムンクルスでも作るかなぁ。
「変な事するんじゃねぇぞ」
ラオさんが思う変な事と僕の思う変な事って違うからわかんないなぁ。
納品が終わったら今日のお小遣い銀貨一枚を握りしめて街を散策する。
本当に浮遊台車は街中で見かけるのが当たり前になってきたな。
今も大通りを競争するかのようなスピードで子どもたちがレンガを乗せて通り過ぎていくのを見送ったところだ。
「あんなスピード出して大丈夫かなぁ」
「大丈夫だろうよ。それに、あれ結構魔力使うから、魔力のすくねぇ子どもはタイムリミットまで少しでも多く運ぶなら速くするしかねぇんだとよ」
「途中で魔力切れになったら危ないと思うんだけど」
「実際事故は起きてるみてぇだぜ。一応対策として、魔力残量を確認してからレンガを運ばせているらしい」
まあ、作った後の事は僕にはどうしようもないわけだから気を付けて使ってもらうしかないよなぁ。
何とも言えない気持ちになりながら、すごい速さで外壁方面から戻ってくる子どもたちを見送った。
124
お気に入りに追加
414
あなたにおすすめの小説
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
スキル運で、運がいい俺を追放したギルドは倒産したけど、俺の庭にダンジョン出来て億稼いでます。~ラッキー~
暁 とと
ファンタジー
スキル運のおかげでドロップ率や宝箱のアイテムに対する運が良く、確率の低いアイテムをドロップしたり、激レアな武器を宝箱から出したりすることが出来る佐藤はギルドを辞めさられた。
しかし、佐藤の庭にダンジョンが出来たので億を稼ぐことが出来ます。
もう、戻ってきてと言われても無駄です。こっちは、億稼いでいるので。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ごめんみんな先に異世界行ってるよ1年後また会おう
味噌汁食べれる
ファンタジー
主人公佐藤 翔太はクラスみんなより1年も早く異世界に、行ってしまう。みんなよりも1年早く異世界に行ってしまうそして転移場所は、世界樹で最強スキルを実でゲット?スキルを奪いながら最強へ、そして勇者召喚、それは、クラスのみんなだった。クラスのみんなが頑張っているときに、主人公は、自由気ままに生きていく
全校転移!異能で異世界を巡る!?
小説愛好家
ファンタジー
全校集会中に地震に襲われ、魔法陣が出現し、眩い光が体育館全体を呑み込み俺は気絶した。
目覚めるとそこは大聖堂みたいな場所。
周りを見渡すとほとんどの人がまだ気絶をしていてる。
取り敢えず異世界転移だと仮定してステータスを開こうと試みる。
「ステータスオープン」と唱えるとステータスが表示された。「『異能』?なにこれ?まぁいいか」
取り敢えず異世界に転移したってことで間違いなさそうだな、テンプレ通り行くなら魔王討伐やらなんやらでめんどくさそうだし早々にここを出たいけどまぁ成り行きでなんとかなるだろ。
そんな感じで異世界転移を果たした主人公が圧倒的力『異能』を使いながら世界を旅する物語。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる