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第2章 露天商をさせて生きていこう
19.事なかれ主義者は変装して見守る
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「マスター。店番は私がやりますので、ついてこなくていいです」
東門で露天商をはじめて二回目で戦力外通告を受けた。
いや、まあ昨日もただ寝てただけだからそうなっても仕方ないとは思うんですけどね?
「マスターのお世話をするのは私の喜びですので、お昼寝をしに来ていただくのは一向に問題ありません。いつでも私の太ももを使って頂いて構いません」
「膝枕は恥ずかしいんですけど!?」
ホムラが不思議そうに首を傾げる。
恥という概念が存在しないのかも。
「アタシとしては人の往来があるとこで無防備になってほしくねぇがな。もともとホムラを作ったのは店任せるためだったろ」
「いや、一人でお店できるか心配じゃん?」
「昨日のやり取りを通じておおよその事は理解しました。問題はないかと」
まあ、ホムラがそういうなら任せようかな。
なんて事が朝食の時に決まったが、やっぱり不安だったので物陰に隠れてこっそりホムラを追跡する。
「その恰好は何だよ」
え? 変装ですけど???
ラオさんが呆れてこちらを見ているけど、ラオさんも変装してくれないとばれちゃうでしょ。
ラオさんに変装を押し付けようとドタバタしていたら、ホムラの所へドーラさんがガチャガチャ音を立てながら向かって行った。
ほら、すぐそばを通っても気づかれなかったじゃん。って、なんでため息ついてんのさ。
ドーラさんは昨日作っておいた『安眠カバー』と『魔力マシマシ飴』『埃吸い吸い箱』を全部買った。
値付けはラオさんにしてもらって、安眠カバーが大金貨二枚、魔力マシマシ飴と埃吸い吸い箱はとりあえず金貨一枚だが、今日もその場で支払いを済ませてしまうドーラさん何者なんだろう。
あと、ラオさんには安眠カバーはもう作らないように、と言われた。なんかよくわかんないけど、悪用される恐れがあるらしい。
魔力マシマシ飴は制限とかつけてないので高めにしたが、ちょっと値段には納得いっていない。
今後要検討しよう、とか考えてたらお客さんが来た。
ローブに付いたフードを目深に被って怪しさ満点だが、浮遊ランプを普通に買ってどこかに行った。
「冒険者かな」
「いや、そういう感じじゃねぇ気がする」
ラオさんが目つきを鋭くしてその人物を見ていたのでちょっと気になったけど、その後は結局お客さんが見に来る事もなくホムラは片づけをした。
とりあえず、ホムラより早く宿に戻って変装道具しまわなきゃ!
夕食の時間には、ホムラが猫の目の宿に戻ってきた。
僕は何も知らない感じで話をするのでラオさんは黙っててね。
ラオさんを見るともう夕食を食べ終えて胸に乗った食べかすを払っていた。
口には二本の魔力マシマシ飴が含まれている。
……ラオさん用のあげたのに僕のも舐めるのはなんで?
「ただいま戻りました、マスター」
「お帰り、ホムラ。今日はどうだった?」
「金貨十六枚になりました。新しい魔道具があると買い手がいるので作成お願いします」
ドーラさんですね、わかります。
めちゃくちゃ冒険で稼いでいるのかわからないけど、新しいものは必ず買っていく。
買ってもらえる間に荒稼ぎでもしようかな。
「どんなのがいいと思う?」
「オートトレースとボールガイドはどうでしょう? 一人でダンジョンに行っているとお話を聞きました」
なんと、ドーラさんに何か話しかけていると思ったらお客さんのニーズを確認していたらしい。
便利だしホムンクルスまた作ろうかな。
「また変なこと考えてんじゃねぇよな」
「特に考えてないよ」
ほんとだよ。僕、嘘つかない。
ラオさんがなんかこっちをジト目で見ているけど、気にせず黙々とご飯を食べた。
とりあえず部屋に戻るとドーラさんのためにオートトレースを作る。
素材のダンジョン産の紙は結構お高いものなので失敗しないようにしないと。
自動探知地図のサイズを思い浮かべながら紙のサイズを【加工】する。
紙はよくわかんないけど、元々木材が原材料だからか、【加工】である程度大きさや形を変えられる。サイズが合ってなかったり、使用済みの物でもリサイクルできるので便利だ。
こんなものかな。ボールガイドもちょっと改良しよう。
前回の探索の時に敵がいようと関係なく勝手に進んでいっちゃうから声に反応して止めたり進めたりできるようにしよう。【付与】の重ね掛けは問題なく終わり、魔力がまだ余っていたので魔力マシマシ飴を舐めながらホムラの部屋に向かう。
「ホム――」
「なんでしょう、マスター」
ドアをノックしようとして挙げた手を下げる。
気配察知機能高すぎないですか?
「ちょっと明日、材料の買い出しもお願いしたいんだけど。ほら、あんまりお客さん来なかったって言ってたし、ちょっと早めに切り上げてくれればいいから」
「わかりました。何を買ってくればいいでしょう?」
お金は大金貨二枚ないくらいだ。
Cランクの魔石は今、ダンジョンの活発期という事もあり、多少値下がりしているかもしれない。
二、三個は買えそうだし、それをお願いした。
また、余ったお金はDランク以下の魔石を適当に買ってくるように伝えておく。
ホムラから受け取っていた売り上げをそのままホムラに渡すと、ホムラは「わかりました」と素直に頷いた。
どんなホムンクルス作ろうかな。
その日はそんな事を考えながら眠りにつこうとしたら、気づいたら朝だった。
……考え事するときは、安眠カバー邪魔だね。
東門で露天商をはじめて二回目で戦力外通告を受けた。
いや、まあ昨日もただ寝てただけだからそうなっても仕方ないとは思うんですけどね?
「マスターのお世話をするのは私の喜びですので、お昼寝をしに来ていただくのは一向に問題ありません。いつでも私の太ももを使って頂いて構いません」
「膝枕は恥ずかしいんですけど!?」
ホムラが不思議そうに首を傾げる。
恥という概念が存在しないのかも。
「アタシとしては人の往来があるとこで無防備になってほしくねぇがな。もともとホムラを作ったのは店任せるためだったろ」
「いや、一人でお店できるか心配じゃん?」
「昨日のやり取りを通じておおよその事は理解しました。問題はないかと」
まあ、ホムラがそういうなら任せようかな。
なんて事が朝食の時に決まったが、やっぱり不安だったので物陰に隠れてこっそりホムラを追跡する。
「その恰好は何だよ」
え? 変装ですけど???
ラオさんが呆れてこちらを見ているけど、ラオさんも変装してくれないとばれちゃうでしょ。
ラオさんに変装を押し付けようとドタバタしていたら、ホムラの所へドーラさんがガチャガチャ音を立てながら向かって行った。
ほら、すぐそばを通っても気づかれなかったじゃん。って、なんでため息ついてんのさ。
ドーラさんは昨日作っておいた『安眠カバー』と『魔力マシマシ飴』『埃吸い吸い箱』を全部買った。
値付けはラオさんにしてもらって、安眠カバーが大金貨二枚、魔力マシマシ飴と埃吸い吸い箱はとりあえず金貨一枚だが、今日もその場で支払いを済ませてしまうドーラさん何者なんだろう。
あと、ラオさんには安眠カバーはもう作らないように、と言われた。なんかよくわかんないけど、悪用される恐れがあるらしい。
魔力マシマシ飴は制限とかつけてないので高めにしたが、ちょっと値段には納得いっていない。
今後要検討しよう、とか考えてたらお客さんが来た。
ローブに付いたフードを目深に被って怪しさ満点だが、浮遊ランプを普通に買ってどこかに行った。
「冒険者かな」
「いや、そういう感じじゃねぇ気がする」
ラオさんが目つきを鋭くしてその人物を見ていたのでちょっと気になったけど、その後は結局お客さんが見に来る事もなくホムラは片づけをした。
とりあえず、ホムラより早く宿に戻って変装道具しまわなきゃ!
夕食の時間には、ホムラが猫の目の宿に戻ってきた。
僕は何も知らない感じで話をするのでラオさんは黙っててね。
ラオさんを見るともう夕食を食べ終えて胸に乗った食べかすを払っていた。
口には二本の魔力マシマシ飴が含まれている。
……ラオさん用のあげたのに僕のも舐めるのはなんで?
「ただいま戻りました、マスター」
「お帰り、ホムラ。今日はどうだった?」
「金貨十六枚になりました。新しい魔道具があると買い手がいるので作成お願いします」
ドーラさんですね、わかります。
めちゃくちゃ冒険で稼いでいるのかわからないけど、新しいものは必ず買っていく。
買ってもらえる間に荒稼ぎでもしようかな。
「どんなのがいいと思う?」
「オートトレースとボールガイドはどうでしょう? 一人でダンジョンに行っているとお話を聞きました」
なんと、ドーラさんに何か話しかけていると思ったらお客さんのニーズを確認していたらしい。
便利だしホムンクルスまた作ろうかな。
「また変なこと考えてんじゃねぇよな」
「特に考えてないよ」
ほんとだよ。僕、嘘つかない。
ラオさんがなんかこっちをジト目で見ているけど、気にせず黙々とご飯を食べた。
とりあえず部屋に戻るとドーラさんのためにオートトレースを作る。
素材のダンジョン産の紙は結構お高いものなので失敗しないようにしないと。
自動探知地図のサイズを思い浮かべながら紙のサイズを【加工】する。
紙はよくわかんないけど、元々木材が原材料だからか、【加工】である程度大きさや形を変えられる。サイズが合ってなかったり、使用済みの物でもリサイクルできるので便利だ。
こんなものかな。ボールガイドもちょっと改良しよう。
前回の探索の時に敵がいようと関係なく勝手に進んでいっちゃうから声に反応して止めたり進めたりできるようにしよう。【付与】の重ね掛けは問題なく終わり、魔力がまだ余っていたので魔力マシマシ飴を舐めながらホムラの部屋に向かう。
「ホム――」
「なんでしょう、マスター」
ドアをノックしようとして挙げた手を下げる。
気配察知機能高すぎないですか?
「ちょっと明日、材料の買い出しもお願いしたいんだけど。ほら、あんまりお客さん来なかったって言ってたし、ちょっと早めに切り上げてくれればいいから」
「わかりました。何を買ってくればいいでしょう?」
お金は大金貨二枚ないくらいだ。
Cランクの魔石は今、ダンジョンの活発期という事もあり、多少値下がりしているかもしれない。
二、三個は買えそうだし、それをお願いした。
また、余ったお金はDランク以下の魔石を適当に買ってくるように伝えておく。
ホムラから受け取っていた売り上げをそのままホムラに渡すと、ホムラは「わかりました」と素直に頷いた。
どんなホムンクルス作ろうかな。
その日はそんな事を考えながら眠りにつこうとしたら、気づいたら朝だった。
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