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憂鬱な日から非日常への始まり
4.決意
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集美と別れてからも僕はぼんやりと考えながら、バスに揺られていた。なんとなーく疲れたのだ。特になにもする気が起きず、駅に着いた。僕は荷物が邪魔になると思って、一番最後に降りた。駅の改札を通る前に近くにあった自動販売機で、麦茶を買った。喉が渇いていたのだ。
改札を通って、ホームの椅子に座った。荷物がそれなりに重くて、少し疲れてしまったからだ。電車を待ってる間は特に何もしなかったが、頭の中はあの人事ばかり考えていた。
早く会いたい。
話をしたい。
僕みたいなのが会ってもいいのか?そういえば、山にある研究所にこもっているとか言ってたな。山にある研究所?検索すれば出てくるだろうか?
電車が来た。結構空いてる。ドアの側の椅子に座った。荷物をいい感じに置いて、電車が発車し始めた。とりあえず麦茶を飲む。
僕は携帯で、山にある研究所と調べた。すると、最初に「イマテ精神病院」と出てきた。
「これか……」僕は思わず声が出てしまった。まぁ人が少ないので、そこまで気にしなくてもいいのだが、ちょっと恥ずかしい。
どうやら公式のサイトらしい。
……なるほど。文章を読み進めていくと、4棟ほど施設があり、二つが精神病棟、もう二つが人外たちなどの施設らしい。ほんっとうに山にあるのか……。マジか……。正直、あの人が冗談言ってんじゃないかと思ってた。電車で行ける場所にあるみたいだ。それでも40分くらいか……。遠いなぁ。
色々考え事をしている間に、僕が降りるべき駅に着いた。それなりに重い荷物を持って少し手こずりながら電車を降りる。改札を通って、歩いて帰ろうかと思ったが、この荷物を持って歩くのは嫌なので、タクシー乗り場でタクシーを待つことにする。……来た。案外すぐに来るらしい。タクシーに乗るのも手こずってしまったため、運転手が手伝ってくれた。
場所を伝えて、窓の外を眺めながら、あの人にいつ会いに行こうかと考えていた。そろそろ就職先を考えなきゃな。先輩が大変そうにしていたのを思い出した。就活ってそれなりにきついらしいけど、そんなに大変なんだろうか。だとしたら、ちょっと嫌だな。
座席に名刺があった。島周……。見たことがない名字だ。僕の名字もそれなりに珍しいのかもしれないけど。珍しい名字を見ると、いろんな名字があるんだなぁと思う。
僕の住んでいるマンションが近づいてきた。
「すいません。もうここら辺で大丈夫です。ありがとうございました」
「はい、分かりました。料金は880円です。荷物お出しするのを手伝いましょうか?」
「ああ、はい。お願いします」
僕は断ろうと思ったが、時間がかかってしまいそうなので、手伝ってもらうことにした。
「880円ちょうどですね。……領収書いりますか?」
「いや、大丈夫です」
「分かりました。では荷物お出し致しますね」
「ありがとうございます」
僕たちは荷物を出すためにタクシーを降りた。
道端に置いておいてもらって、礼を言ってから、僕はマンションに向かった。
自分の号室に階段で行くのは癪なので、エレベーターで行くことにする。
幸い、誰も乗っていなかった。こんな荷物を持って入ったら迷惑そうな顔をされてしまうのではないかと思ったからだ。僕の号室は5階だ。ちょうどいい階だと思う。エレベーターの鏡で少し髪を整える。このあと誰に合うわけでもないのだが、少し乱れていたのが気になった。
エレベーターには僕が降りる階まで誰も乗って来なかった。その方がいいと思う。
さて、自分の号室まで少し早歩きで向かう。一刻も早く部屋に入って寝っ転がりたい。
鍵を開けて、靴をちゃんと揃えて部屋に上がる。そのまま自分の部屋に行って荷物をドサッと下ろして、ベッドにダイブする。全く動きたくないが、重い体を起こして、スマホとノートパソコン、充電器など電子機器を取り出す。調べたいことがあるからだ。ベットの横にあるミニテーブルを自分の方に寄せて、パソコンを置く。
「イマテ精神病院……っと……」
電車に乗っている時に調べたが、大きい画面で見たかったのだ。
…………そうだ。
[イマテ精神病院 就職]
一種の願いのように僕はこう検索した。
出てきた。
[イマテ精神病院に就職したい方はこちら⬇︎]
あった。
無かったら諦めようかと思っていたが、もうこうなったら行くしかない。
僕は決心した。
これは一種の信仰だ。
何が何でも会いに行ってやる。
神様に会いに行ってやる。
これが僕、栗峯 爽と真中 ハリエとの出会いである。
改札を通って、ホームの椅子に座った。荷物がそれなりに重くて、少し疲れてしまったからだ。電車を待ってる間は特に何もしなかったが、頭の中はあの人事ばかり考えていた。
早く会いたい。
話をしたい。
僕みたいなのが会ってもいいのか?そういえば、山にある研究所にこもっているとか言ってたな。山にある研究所?検索すれば出てくるだろうか?
電車が来た。結構空いてる。ドアの側の椅子に座った。荷物をいい感じに置いて、電車が発車し始めた。とりあえず麦茶を飲む。
僕は携帯で、山にある研究所と調べた。すると、最初に「イマテ精神病院」と出てきた。
「これか……」僕は思わず声が出てしまった。まぁ人が少ないので、そこまで気にしなくてもいいのだが、ちょっと恥ずかしい。
どうやら公式のサイトらしい。
……なるほど。文章を読み進めていくと、4棟ほど施設があり、二つが精神病棟、もう二つが人外たちなどの施設らしい。ほんっとうに山にあるのか……。マジか……。正直、あの人が冗談言ってんじゃないかと思ってた。電車で行ける場所にあるみたいだ。それでも40分くらいか……。遠いなぁ。
色々考え事をしている間に、僕が降りるべき駅に着いた。それなりに重い荷物を持って少し手こずりながら電車を降りる。改札を通って、歩いて帰ろうかと思ったが、この荷物を持って歩くのは嫌なので、タクシー乗り場でタクシーを待つことにする。……来た。案外すぐに来るらしい。タクシーに乗るのも手こずってしまったため、運転手が手伝ってくれた。
場所を伝えて、窓の外を眺めながら、あの人にいつ会いに行こうかと考えていた。そろそろ就職先を考えなきゃな。先輩が大変そうにしていたのを思い出した。就活ってそれなりにきついらしいけど、そんなに大変なんだろうか。だとしたら、ちょっと嫌だな。
座席に名刺があった。島周……。見たことがない名字だ。僕の名字もそれなりに珍しいのかもしれないけど。珍しい名字を見ると、いろんな名字があるんだなぁと思う。
僕の住んでいるマンションが近づいてきた。
「すいません。もうここら辺で大丈夫です。ありがとうございました」
「はい、分かりました。料金は880円です。荷物お出しするのを手伝いましょうか?」
「ああ、はい。お願いします」
僕は断ろうと思ったが、時間がかかってしまいそうなので、手伝ってもらうことにした。
「880円ちょうどですね。……領収書いりますか?」
「いや、大丈夫です」
「分かりました。では荷物お出し致しますね」
「ありがとうございます」
僕たちは荷物を出すためにタクシーを降りた。
道端に置いておいてもらって、礼を言ってから、僕はマンションに向かった。
自分の号室に階段で行くのは癪なので、エレベーターで行くことにする。
幸い、誰も乗っていなかった。こんな荷物を持って入ったら迷惑そうな顔をされてしまうのではないかと思ったからだ。僕の号室は5階だ。ちょうどいい階だと思う。エレベーターの鏡で少し髪を整える。このあと誰に合うわけでもないのだが、少し乱れていたのが気になった。
エレベーターには僕が降りる階まで誰も乗って来なかった。その方がいいと思う。
さて、自分の号室まで少し早歩きで向かう。一刻も早く部屋に入って寝っ転がりたい。
鍵を開けて、靴をちゃんと揃えて部屋に上がる。そのまま自分の部屋に行って荷物をドサッと下ろして、ベッドにダイブする。全く動きたくないが、重い体を起こして、スマホとノートパソコン、充電器など電子機器を取り出す。調べたいことがあるからだ。ベットの横にあるミニテーブルを自分の方に寄せて、パソコンを置く。
「イマテ精神病院……っと……」
電車に乗っている時に調べたが、大きい画面で見たかったのだ。
…………そうだ。
[イマテ精神病院 就職]
一種の願いのように僕はこう検索した。
出てきた。
[イマテ精神病院に就職したい方はこちら⬇︎]
あった。
無かったら諦めようかと思っていたが、もうこうなったら行くしかない。
僕は決心した。
これは一種の信仰だ。
何が何でも会いに行ってやる。
神様に会いに行ってやる。
これが僕、栗峯 爽と真中 ハリエとの出会いである。
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