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予定していた地をすべて巡り、広場に戻った頃には太陽は大きく傾いていた。
徐々に暗くなっていく空を背景に、屋根と屋根を繋ぐランプが灯り始めている。
「奇麗ですね」
私は街道を歩きながら、ぶら下がる赤いランプを見上げた。
「ペレーネ。上ばかり見ていると危ないですよ」
アーファ様は祭りのあいだ、ずっと私と手を繋いでいる。その手にぎゅっと力を込められた。
彼に視線を戻すと、困ったように眉を下げている。
「アーファ様も私を子供扱いするのですね」
「子供でなくても、上を向いて歩いていたら転びます」
おにいさまは私たちと距離をとる形で前方を歩き、私たちはその背をのんびりと追っていた。
「今日はどうでしたか? 楽しめましたか?」
「はい。見たことのない物も多かったですし、食べ物も美味しかったです」
「喜んでいただけて嬉しいです」
アーファ様は穏やかな口調でそう告げて微笑む。
「毎年このお祭りに参加されているのですか?」
「もちろんです。領民の姿を間近で見られるいい機会ですから」
普段は仕事として訪れることが多いのだろう。
祭りの楽しげな雰囲気の中、領地に暮らす人々を見ることは、素に近い彼らの姿が垣間見えるのかもしれない。
(――毎年、こんなふうに手を繋いで歩いていたのかしら)
彼には婚約者がいたから、きっとこういう機会には彼女を誘っていただろう。今と同じように、手を繋ぎながら祭りを楽しんでいたのかもしれない。
やるせない気持ちが胸に広がるのを感じて、私はそっとアーファ様の手を離す。
「ペレーネ?」
私は前を向いたまま、おにいさまの後ろ姿を見つめた。その向こう側に、街路樹の枝にぶら下げられた小さな赤いランプが夜空の星のように点在している。
なんだか懐かしく感じて、自然に歩みが止まった。
「どうしましたか?」
「……この景色を見たことがあるような気が……」
「この広場ですか? 領地にやってきた日、馬車で通ったからでしょうか?」
「そうではなくて――」
葉を生い茂らせた木々。緑色の背景に散らされた小さな赤。風になびく金色の髪。
――青い瞳を細めて笑う、初恋の人。
「ペレーネ?」
「あ、ごめんなさい。初恋の人に出会った日のことを思い出してしまって……」
「初恋の人?」
「以前、私は金髪碧眼の方が好みだとお伝えしましたよね? あれには理由があって、こんな景色の中で誰かに恋をしたのです。でも、幼すぎてよく覚えていなくて……」
それは恋と呼ぶにはあまりにも幼稚なのかもしれない。しかし、以来ずっと金髪碧眼の方ばかり気になってしまうのだ。
私が面映い気持ちを語ると、アーファ様は先を歩くおにいさまを見つめた。
「……彼が初恋の人ですか?」
「おそらくそうだと思います」
「おそらく?」
「だって、どのような方だったか覚えていないのですよ? 私の周りに金髪碧眼の男性は他にいません」
「貴女は彼をとても慕っていますから……、きっと、そうなのでしょうね」
アーファ様は細く息を吐いた。
「どうされましたか?」
「いいえ。そろそろ冷えてきたので、屋敷に戻りましょう」
彼はそう言って、歩みを止めていた足を動かした。また手を差し出されるかと思い、とっさに身構えそうになったけれど肩透かしに終わった。
アーファ様は私の一歩先を歩いていく。
(別に繋ぎたかったわけじゃないわ……)
そう思うのに突き放されたような気がして、手が寂しさに冷えた。
◇
自室で一人過ごす時間は、とても快適だ。
夜の営みもなく、痛みに苦しめられていた月経も終わった。
祭りを楽しんだ余韻に浸りながら気ままに過ごしていると、自然と鼻歌がもれた。
長い髪を梳かして香油を塗り、次は読書をしようか、それとも裁縫をしようか、なんて考えを巡らせるのも楽しい。
「食事も美味しくて、使用人たちも話しやすい。嫁ぎ先としては最高ね……」
夫と子を作らなければならないのは憂鬱だが、それは自業自得なので仕方がない。
(今のうちに英気を養っておこう!)
夫婦の営みが、まるで戦場に挑むかのようだ。
先日、アーファ様と交わした閨についての会話を思い出して憂鬱になる。
形容しがたい顔をした夫を思い出していると、隣の部屋からガチャンと何かが落ちた音がした。
「ひぃっ!?」
音に驚いて、自室と夫婦の寝室を繋ぐ扉を振り返る。
確かに隣室から聞こえたはずだが、今はもう何の物音もしない。
「何かが割れたような音だったわ……」
怯えていても埒が明かない。私は椅子から腰を上げて、おずおずと隣室の扉を叩いた。
しかし、反応はない。
「アーファ様、そちらにいらっしゃいますか? 扉を開けますよ?」
断りなく扉を開けても、彼は私を咎めたりしなさそうだ。
そんなふうに思いながら扉を開けると、窓際に置かれた卓に夫が突っ伏している。
「アーファ様?」
彼の手元を見ると、卓の上に置かれた酒瓶は空で、床にはグラスが転がっている。
どうやらあれが音の原因のようだ。
突っ伏したままの夫に近寄ると、静かな寝息が聞こえてきた。
「寝てる……」
何事かと思ったが大したことなくてよかった。
(どうして夫婦の寝室でお酒を飲んでいたのかしら……?)
疑問に思いつつ、割れたグラスの破片を不要な紙に包み、屑籠の横に置く。
明日になったら侍女に捨ててもらおう。
破片がこれ以上落ちていないことを確認してから、眠る夫の肩を揺すった。
「アーファ様、起きてください」
「うぅ……ん」
低い呻き声を発して夫は顔を背ける。私は構わずに彼の肩を強く揺すった。
「アーファ様! こんなところで寝てしまうと風邪をひきますよ!」
「……風邪……?」
「はい。身体が冷えて風邪をひきます」
なぜそこに反応するのか分からないが、アーファ様は突っ伏していた顔をゆるゆると持ち上げた。
瞳がとろんとして、気怠そうな眼差しが私を見据えている。
「…………ペレーネですか?」
「はい。ペレーネです」
返事をすると、アーファ様は顔を顰めた。
「ペレーネは僕に優しい言葉をかけたりしません」
「はい?」
「夢だから僕に優しくしてくれるのでしょう」
彼は口をへの字に曲げて、卓の上の酒瓶に手を伸ばす。
酔いが回り、夢と現実が混ざっているようだ。さりげなく失礼な発言をされた気がする。
「もうお酒は空ですよ。眠るのでしたら寝台へ移動してください」
アーファ様の背を撫でると、彼は赤らんだ顔を私に向けた。口はなおも不快そうに曲がっている。
「優しくしないでください。朝、目が覚めたとき、惨めな気持ちになります」
「こんなの優しいうちに入りません。ほら、寝台へ移動してください」
「僕のことなんて放っておいてください」
彼はぷいっと顔を背けてしまう。
(……酔っ払いって面倒くさい……)
アーファ様はゆったりとした動きで立ち上がった。足元が覚束なくて少々不安を感じるが、彼は真っ直ぐに寝台へと向かう。
「アーファ様、お利口さんですね」
「ぼ、僕をいくつだと思って……!」
彼はよろけた拍子に寝台に両手をつく。そして、むっとした表情のまま、私を振り返った。
「……もっと褒めてください」
「はい?」
「どうせ夢ならもっと褒められたいです」
「目が覚めたとき、惨めになるのでは?」
「夢の中でくらい優しくしてください!」
さきほどの発言と矛盾している。
アーファ様はなにやらぶつぶつ言いながら、寝台に横たわり、すぐに瞼を閉じた。
「だから風邪をひきますよ……」
半ば呆れつつも、上掛けを彼の身体にかけて、手元の明かりを少し落とす。
耳に規則正しい寝息が届き、彼が眠ったことを知った。
アーファ様の目元にかかる前髪を横によけると、室内が薄暗いせいか、目の下の隈が濃く見える。
眉を寄せたままの寝顔には疲れが滲み、胸がずきりと痛んだ。
父親を亡くしてから、たくさんのことを一人で背負っているのだろう。
鉱山の利権絡みで擦り寄ってくる者が多いと聞いている。
誰を信じたらいいのか分からない中で、精霊のいない領地の未来を幾通りも考えているはずだ。
(私のことも心労になっているのよね……)
愚直なほど真面目な人だから、もしかしたら全てに真っ向から対処しているのかもしれない。
「おやすみなさい、アーファ様」
鼻をかすめる酒の匂いに複雑な気持ちになりながら、なんとなく彼の眉間の皺を撫でた。
徐々に暗くなっていく空を背景に、屋根と屋根を繋ぐランプが灯り始めている。
「奇麗ですね」
私は街道を歩きながら、ぶら下がる赤いランプを見上げた。
「ペレーネ。上ばかり見ていると危ないですよ」
アーファ様は祭りのあいだ、ずっと私と手を繋いでいる。その手にぎゅっと力を込められた。
彼に視線を戻すと、困ったように眉を下げている。
「アーファ様も私を子供扱いするのですね」
「子供でなくても、上を向いて歩いていたら転びます」
おにいさまは私たちと距離をとる形で前方を歩き、私たちはその背をのんびりと追っていた。
「今日はどうでしたか? 楽しめましたか?」
「はい。見たことのない物も多かったですし、食べ物も美味しかったです」
「喜んでいただけて嬉しいです」
アーファ様は穏やかな口調でそう告げて微笑む。
「毎年このお祭りに参加されているのですか?」
「もちろんです。領民の姿を間近で見られるいい機会ですから」
普段は仕事として訪れることが多いのだろう。
祭りの楽しげな雰囲気の中、領地に暮らす人々を見ることは、素に近い彼らの姿が垣間見えるのかもしれない。
(――毎年、こんなふうに手を繋いで歩いていたのかしら)
彼には婚約者がいたから、きっとこういう機会には彼女を誘っていただろう。今と同じように、手を繋ぎながら祭りを楽しんでいたのかもしれない。
やるせない気持ちが胸に広がるのを感じて、私はそっとアーファ様の手を離す。
「ペレーネ?」
私は前を向いたまま、おにいさまの後ろ姿を見つめた。その向こう側に、街路樹の枝にぶら下げられた小さな赤いランプが夜空の星のように点在している。
なんだか懐かしく感じて、自然に歩みが止まった。
「どうしましたか?」
「……この景色を見たことがあるような気が……」
「この広場ですか? 領地にやってきた日、馬車で通ったからでしょうか?」
「そうではなくて――」
葉を生い茂らせた木々。緑色の背景に散らされた小さな赤。風になびく金色の髪。
――青い瞳を細めて笑う、初恋の人。
「ペレーネ?」
「あ、ごめんなさい。初恋の人に出会った日のことを思い出してしまって……」
「初恋の人?」
「以前、私は金髪碧眼の方が好みだとお伝えしましたよね? あれには理由があって、こんな景色の中で誰かに恋をしたのです。でも、幼すぎてよく覚えていなくて……」
それは恋と呼ぶにはあまりにも幼稚なのかもしれない。しかし、以来ずっと金髪碧眼の方ばかり気になってしまうのだ。
私が面映い気持ちを語ると、アーファ様は先を歩くおにいさまを見つめた。
「……彼が初恋の人ですか?」
「おそらくそうだと思います」
「おそらく?」
「だって、どのような方だったか覚えていないのですよ? 私の周りに金髪碧眼の男性は他にいません」
「貴女は彼をとても慕っていますから……、きっと、そうなのでしょうね」
アーファ様は細く息を吐いた。
「どうされましたか?」
「いいえ。そろそろ冷えてきたので、屋敷に戻りましょう」
彼はそう言って、歩みを止めていた足を動かした。また手を差し出されるかと思い、とっさに身構えそうになったけれど肩透かしに終わった。
アーファ様は私の一歩先を歩いていく。
(別に繋ぎたかったわけじゃないわ……)
そう思うのに突き放されたような気がして、手が寂しさに冷えた。
◇
自室で一人過ごす時間は、とても快適だ。
夜の営みもなく、痛みに苦しめられていた月経も終わった。
祭りを楽しんだ余韻に浸りながら気ままに過ごしていると、自然と鼻歌がもれた。
長い髪を梳かして香油を塗り、次は読書をしようか、それとも裁縫をしようか、なんて考えを巡らせるのも楽しい。
「食事も美味しくて、使用人たちも話しやすい。嫁ぎ先としては最高ね……」
夫と子を作らなければならないのは憂鬱だが、それは自業自得なので仕方がない。
(今のうちに英気を養っておこう!)
夫婦の営みが、まるで戦場に挑むかのようだ。
先日、アーファ様と交わした閨についての会話を思い出して憂鬱になる。
形容しがたい顔をした夫を思い出していると、隣の部屋からガチャンと何かが落ちた音がした。
「ひぃっ!?」
音に驚いて、自室と夫婦の寝室を繋ぐ扉を振り返る。
確かに隣室から聞こえたはずだが、今はもう何の物音もしない。
「何かが割れたような音だったわ……」
怯えていても埒が明かない。私は椅子から腰を上げて、おずおずと隣室の扉を叩いた。
しかし、反応はない。
「アーファ様、そちらにいらっしゃいますか? 扉を開けますよ?」
断りなく扉を開けても、彼は私を咎めたりしなさそうだ。
そんなふうに思いながら扉を開けると、窓際に置かれた卓に夫が突っ伏している。
「アーファ様?」
彼の手元を見ると、卓の上に置かれた酒瓶は空で、床にはグラスが転がっている。
どうやらあれが音の原因のようだ。
突っ伏したままの夫に近寄ると、静かな寝息が聞こえてきた。
「寝てる……」
何事かと思ったが大したことなくてよかった。
(どうして夫婦の寝室でお酒を飲んでいたのかしら……?)
疑問に思いつつ、割れたグラスの破片を不要な紙に包み、屑籠の横に置く。
明日になったら侍女に捨ててもらおう。
破片がこれ以上落ちていないことを確認してから、眠る夫の肩を揺すった。
「アーファ様、起きてください」
「うぅ……ん」
低い呻き声を発して夫は顔を背ける。私は構わずに彼の肩を強く揺すった。
「アーファ様! こんなところで寝てしまうと風邪をひきますよ!」
「……風邪……?」
「はい。身体が冷えて風邪をひきます」
なぜそこに反応するのか分からないが、アーファ様は突っ伏していた顔をゆるゆると持ち上げた。
瞳がとろんとして、気怠そうな眼差しが私を見据えている。
「…………ペレーネですか?」
「はい。ペレーネです」
返事をすると、アーファ様は顔を顰めた。
「ペレーネは僕に優しい言葉をかけたりしません」
「はい?」
「夢だから僕に優しくしてくれるのでしょう」
彼は口をへの字に曲げて、卓の上の酒瓶に手を伸ばす。
酔いが回り、夢と現実が混ざっているようだ。さりげなく失礼な発言をされた気がする。
「もうお酒は空ですよ。眠るのでしたら寝台へ移動してください」
アーファ様の背を撫でると、彼は赤らんだ顔を私に向けた。口はなおも不快そうに曲がっている。
「優しくしないでください。朝、目が覚めたとき、惨めな気持ちになります」
「こんなの優しいうちに入りません。ほら、寝台へ移動してください」
「僕のことなんて放っておいてください」
彼はぷいっと顔を背けてしまう。
(……酔っ払いって面倒くさい……)
アーファ様はゆったりとした動きで立ち上がった。足元が覚束なくて少々不安を感じるが、彼は真っ直ぐに寝台へと向かう。
「アーファ様、お利口さんですね」
「ぼ、僕をいくつだと思って……!」
彼はよろけた拍子に寝台に両手をつく。そして、むっとした表情のまま、私を振り返った。
「……もっと褒めてください」
「はい?」
「どうせ夢ならもっと褒められたいです」
「目が覚めたとき、惨めになるのでは?」
「夢の中でくらい優しくしてください!」
さきほどの発言と矛盾している。
アーファ様はなにやらぶつぶつ言いながら、寝台に横たわり、すぐに瞼を閉じた。
「だから風邪をひきますよ……」
半ば呆れつつも、上掛けを彼の身体にかけて、手元の明かりを少し落とす。
耳に規則正しい寝息が届き、彼が眠ったことを知った。
アーファ様の目元にかかる前髪を横によけると、室内が薄暗いせいか、目の下の隈が濃く見える。
眉を寄せたままの寝顔には疲れが滲み、胸がずきりと痛んだ。
父親を亡くしてから、たくさんのことを一人で背負っているのだろう。
鉱山の利権絡みで擦り寄ってくる者が多いと聞いている。
誰を信じたらいいのか分からない中で、精霊のいない領地の未来を幾通りも考えているはずだ。
(私のことも心労になっているのよね……)
愚直なほど真面目な人だから、もしかしたら全てに真っ向から対処しているのかもしれない。
「おやすみなさい、アーファ様」
鼻をかすめる酒の匂いに複雑な気持ちになりながら、なんとなく彼の眉間の皺を撫でた。
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