ガルダ戦記、欲しい世界は俺が作る！

１章新しい風と陰謀の花

海軍元帥グレーグル･ダビン

ガルダのスキルとミックのオカリナそして船員達と共にマストを力強く引っ張るマナカのゴーレム達。

航海はスムーズに進んでいた。
船はもうすぐザルバトランの領海を抜けてクーデルトルンの領海に入るのだった。

『マナカ、ダーリン、此処から暗礁あんしょうが多いから座礁ざしょうしないように一気に抜けるからそのつもりでいてね！』

ミックは真剣な物言いで言ってきたのだ。

そしてもう１つの懸念は海軍の存在にあった。
ガルダとマナカは知らなかったがクーデルトルン領海を航行する際に一番気をつけないと成らないのはクーデルトルン海軍の存在であった、クーデルトルン海軍は海において絶対の存在であった、海で起きることに関しては王ですらも全てを黙認していると言う話をされると何だか複雑になる。

だが今までは問題も無いまま海軍と海賊達は互いに交わした掟に基づき争わないようにしてきたのだった。
しかし最近になって海軍の頭が変わったのだ、海軍元、元帥   グレーグル･ダビンを軍部が拘束したのだ、罪状は国家反逆罪と国家転覆罪こっかてんぷくざいされている。


その事件は１ヶ月程前に行われた各軍の最高司令官とそれに列なるもの達が一同に出席する会議〔４軍総会議〕の日に起こったのだった、会議が終わり軍上層と海軍元帥グレーグル･ダビンの意見は真っ向から対立し次回の会議に持ち越される事が決まった後の事だった。
グレーグル･ダビンの指揮する戦艦が軍部の船に向かい発砲をしたことが全ての始まりだと言う。

グレーグル･ダビンは何者かに無人の戦艦の砲台を動かしたと話したが、４軍総会議での言い争いのあとで起きた事もあり陸、空は一切の発言をしなかったそうだ。

軍部が新しく海軍の元帥に推薦した男こそ今回ガルダの代わりに将軍にと軍上層が推薦した男ニヒド・グノバーノであった。
元々陸軍の元帥の立場を兼用していたヘレイン将軍の後に着任した現陸軍元帥も軍上層からの推薦のあった男である。

陸軍は基より軍上層とつながり、そして海軍もまた軍上層の手に落ちたのだ。

グレーグルの部下達はそれに反発するも皆事を起こす前に拘束され海軍の中身事態が大幅に変わっていったのだ、そして今海軍の元帥はニヒド・グノバーノとなり、海賊との掟を一方的廃止し今にいたる。
もし海で出くわせば戦闘になるかも知れないのだ。

ミックはそう語るとすぐに見張り達に全面の警戒を促した。

『風にのって何かが燃えてる臭いがする』

ガルダはそう言った瞬間すぐにミックは風向きを確かめる。
風は前方からの向かい風、皆に緊張が走る、今のルートから迂回するとなれば暗礁地域に入らねばならない、複雑な地形のうえに航路を変更すると成れば、かなりのリスクが伴うからだ。

ミックが悩んでいる中でガルダが頭に手をおき一言言ったのだ。

『俺はこのまま進みたい、この先に生存者がいるなら今俺達が行けば間に合うはずだ、それに海賊は何も恐れないんだろ？』

ミックは悩んでいたが吹っ切れたのだ行くも地獄戻るも地獄の状況なら、進みたいと言うガルダの言葉が偉く眩しかったのだ。

『皆！このまま進むよ！』

ミックの言葉に不安を隠せない者もいたが。

『皆聞いてくれ！俺達は今なんの船に乗っている？海賊銭黒霧だ！海賊ならば恐れるな！俺達には海の加護がある！いくぞォ！』

ガルダの〔他種族の長〕のスキルも発動し皆の不安はガルダへの信頼に一気に変わったのだ！

ガルダ達はそのままの航路を進む。

そしてガルダ達の目の前に現実が牙を向くのであった。