楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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1章 7才以上で7才未満の召喚士。

トンネルとか神様とかの話なんです

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 トンネル落盤事故から3日後、私は何故かヘルメットを頭に被りガルゴ山トンネルにいる。

「何で私が……肉体労働に」

 トンネル落盤後の救出、更にトンネル内の鋼鉄化、全てを目の当たりにしたラッペンに糸の販売ルートを提供する代わりに頼まれたのが……まさかの現場監督……副監督にはメルリがついたわ。
 始めは元監督が副監督になる筈だったんだけど……

「あら、貴方? 確か前にウチの仕事を請け負ってたわね……懐かしいわ。色々話をしましょう……二人」

 何を話したか知らないけど……帰ってきた元監督は青い顔でメルリに副監督の座を譲ったのよね、私からすれば、強請ゆすり取られたようにしか見えなかったわ。

 仕方ないと受けたけど、作業が進まない。
 トンネルを掘るのにこんなに時間が掛かるなんて、まぁ分かってはいたんだけどね。

 本当なら、センチピードのオリンとオランに掘って貰って私とデンキチで補正したりすれば早いんだけど、ラッペンに作業員の賃金の加減があると言われてしまった。

 確かにトンネルを直ぐに完成させたら作業員の賃金も無くなるわ、でも、時間の無駄よ!

「嗚呼、もう決めた! 私達がトンネルを掘るわ! 代わりに全てのトンネルに保護になる支えの柱をボルトで止めなさい。良いわね! 間隔は2メートルよ。分かったわね!」

 有無を言わさず、私は作業員を外に出すと、センチピードのオリンとオランを召喚してからデンキチとスカーを呼び出したわ。

 軽く説明をしてから作業開始。

「行くわよ皆!」

 私の掛け声に動き出すオリンとオランその後ろにデンキチと肩に乗った私とスカーに跨がったメルリの順番で入っていく。
 メルリがトンネルの方向を確認し、私はマップで危険を前もって調べていく。

 当然危険だと分かれば、私が先に補助になる魔法を使うわ。安全第一のKY危険予測活動は基本中の基本なんだから。

 順調に掘り進む私達がトンネルを出口まで掘り進め終わったのは夕方だったわ。凄く早いペースと言いたいけど、元々1/3迄は掘り進まれてたから夕方になったのね。

 泥だらけの私達がトンネルから入り口に戻ると凄まじい拍手喝采が沸き起こり迎えてくれたの。

 トンネルの開通は多くの人の助けになると言われたわ。山を迂回するか登るかの選択を余儀無くされてた人達、他にも山を越えられない人からすれば朗報ね。

 そんな話を聞いたら、最後まで遣りたくなるじゃないのよ。

「アンタ達、別の当分同じ作業になるから覚悟しなさい」

 私の表情を見て笑うメルリと困った顔を浮かべ互いに顔を見合わせるデンキチとスカー。

『カミルのあの顔、スゴく、疲れる気がする』

『確かに、主のあの顔は……何かを企む顔だな』

 デンキチとスカーの考えは当たっていた。

 その日の夜、月明かりに照らされる山々が震動し、凄まじい地鳴りが次々に山を抜けるように動いていく。

 勿論、そんな事が出来る者は一人しかいない私!

 オランとオリンを別々に行動させて穴を掘らせる。そして、私とメルリが別れて掘られた穴を風魔法を回転させて大きくしていく。
 私とデンキチ、メルリとクレレのペアで一気に進める強行トンネル工事は朝まで続いたわ。

「疲れたし、眠い……デンキチ、おんぶ……」

『デンキチもヘトヘト……』

「お嬢様、私がおんぶをして差し上げます……」と眠りについているメルリの口から寝言が聞こえる。

 そう……私達は今、ガルゴ山のトンネルの出口にいる。

 夜通し、魔力を使い、朝までにアメト村とライパンの間にある2つの山にトンネルを掘ったわ。

 こんなに泥だらけになってしまったけど、気分は最高ね……今度……落とし穴でも掘ろうかな、実家ではお父さんレイトお兄ちゃんタウリががよく覗きに来てたもんなぁ、今はメルリが覗きに来るけど、……うん、試してみよ。

「とにかく、やり遂げたわね……なんか限界かも……」

・『全ての職を極めし者マスタージョブ『穴を堀し者』『トンネルを極めし者』『現場監督』『トンネルの守護者』を取得しました』

 知らぬ間に寝てしまった私はラッペンの声で目を覚ましたわ。

「……ミル、カミル、起きんか?」

 誰よ……って、ラッペンおじいちゃんか、私は朝方まで作業してたから、眠いのに……たく。

「お爺ちゃん……何、私はまだ眠いんだけど?」

 ラッペンは私に軽く謝ると説明を求めてきたから、バシッと言ってやったわ!

「私達で一晩で全部のトンネルを堀尽くしたのよ。因みに支えとかは仮止めだから、トンネルの作業員のおじさん達に任せるわね」

 伝えるべき事は伝えたラッペン……いぇ、お爺ちゃん……堂々と二度寝する私を許してね。

 そう思った瞬間だったわ。

「寝るなぁッ! 大変な事になっとるんじゃ!」

 チッ、なんなのよ……?

 私が目を開けると困り果てた皆の顔が眼に入ってきたわ。意味がからないんだけど? 

「何が大変なのよ!」

 寝起きは悪い方じゃないけど、流石に眠いのを無理矢理起こされるのは、我慢できないわ!

 ラッペンが言うには私の掘ったトンネルの1つが水神の山らしくて、水神の怒りを恐れて近隣の村人がラッペンの元に押し掛けたらしいのよね。

 1つ言えるのは水神だかなんだか、知らないけど、私の睡眠を妨害した罪は重いんだからね!

 怒りと八つ当たりに満ちた私の表情に一緒に起こされたメルリとデンキチ、スカーが深い溜め息を吐いてるのが分かったわ、つまり仕方ないって事よね?

「いいわ……私が水神と話をつけてくるわよ。お爺ちゃん……後で会いましょう」

 私の悪魔のようなスマイルを見てラッペンが止めるように作業員に指示してるけど、無駄よ!

「私に触れるなぁッ! 行くわよ、メルリ……デンキチ、スカー、今から神退治よ」

『言い方が既に話し合いじゃない……』

「デンキチ……私の話し合いはシンプルなのよ」

 私の言葉に皆が固唾を飲み不安な表情を浮かべていたわ。

 ラッペンだけは、私を最後まで止めようとしたけど、御免なさい……じい様に勝った私は強いんだからね!

 ラッペンに睡眠魔法を使い眠らせると急いで水神の元に向かったわ。

 殺気にも似た私から流れる何かに付いてきた3人は不安そうだったけど、ちゃんと丁重に思いをしっかり込めて話したわ。

「水神ッ! とっとと出てきなさい。私の睡眠を邪魔したんだから、確りと話をつけましょう?」

 …………誰も出てこないわね?

「う~ん、参ったな? 仕方無いから、取り敢えず山を吹き飛ばすかな?」

 私の発言に山から慌てて出てきた少女が泣きながら私にポコポコと弱々しいパンチをしてきたの。

『なんで、取り敢えずで「山を吹き飛ばすかな?」ってなるですか! 悪魔ですか悪魔なんですか』

 余りに五月蝿いうるさいので取り敢えずパート2で、デコピン【最弱】を炸裂させてから取っ捕まえたわ。

 私の早業に寧ろメルリ達の方が引いてたわね?

「さて、アンタが水神なの? 違うの? 答えなさい!」

 震える少女にメルリが熱い視線を送るのが見えるわね。

「答えないと、この怖いお姉さんに貴女を預けるわよ?」

『ひぎゃああァァァァ、イダイ』

 首を縦に振り、水神だと確信すると私は問答無用で尻を百叩き【弱】の刑にしてあげたわ。

「これに懲りたら、復讐する時は直接来なさい! ただし、次につまらない事で文句言ってきたら、山を本当に吹き飛ばすわよ! いいわね」

『ミミミは、何も言ってないのですよ!……誤解なのにです……』

 う~ん? なんか間違えたらしいわね、話くらい聞くか。

 心優しい私は、水神であるミミミから話を聞いたわ。

 どうやら、偶然だったみたい。
 トンネルを興味本意で見に来たミミミと村人が鉢合わせして、その際の気まずい笑顔に村人が怒りと勘違いしたらしいのよね。

『つまり、ミミミは怒ってないし、お尻を腫れるまで叩かれる言われも無いんです、グスン……』

 う~ん……不味いわね。

「分かったわ、なら無かったことにしましょう、それが一番だわ。文句ある?」

『あるですよ! ミミミは既に叩かれたですから、謝罪の気持ちが足りないです!』

 やっぱり、山ごと、吹き飛ばすしかないわね。残念ねミミミ。

 私の表情に気づいたのか、小さくなるミミミ。

『すまなかったです。もう勘弁してほしいです』

 こうして、一件落着、後で可愛そうだから、腫れに効く薬草と蜂蜜を渡しに行ってあげたわ。凄く警戒してたけど、仲直りもで来たわ。

 少し揉めたけど、問題なくトンネルの開通よ!
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