楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
30 / 310
1章 7才以上で7才未満の召喚士。

私はのんびりしたいのですか?

しおりを挟む
 何故か今、私は馬車に揺られている。

 始まりは勿論、ルフレとメリアの結婚の話だ。正直くっついたなら、あとはお任せしたいのだが……ラッペンに連れられ服を買いに来ている。

 式を待たずに帰ろうとした私も悪い、でも、いきなり結婚式をするか? 昨日の今日には貴族に手紙をだし、三日後には挙式って、貴族って凄いわ。

 取り敢えず式用のドレスをラッペンに買って貰い。店を後にした。

「ラッペンさんありがとうございます」

「ラッペンさんなどと、カミルもワシの孫になるんだ。他人行儀に呼ばないでくれ。ワシは素直に嬉しいんだ」

 ラッペンからすれば、息子のルフレの結婚が本当に嬉しいのだろう、身分の違いなど御構い無く素直に「嬉しいんだ」と言えるラッペンは、やはり大物である。

「なら、おじいちゃんで良いわね。ラッペンさん」

「ああ、そう呼んでくれカミル」

 私達は騎士学院に向かっている。当然ながらタウリに会うためだ。

 ラッペンはタウリとは少しあっただけであり、今回は話がしたいとワザワザ足を運んだのだ。

 騎士学院に馬車が着くと一斉に教官と教員が整列する。その中を堂々と歩くラッペンはまさに大貴族と言うに相応しい。

 学院長が姿を現し、直接案内をする。体育館の中で模擬戦をするタウリは数日の間に構えが若干だが変化していた。以前に増して鋭く早くなっているのがわかる。

 タウリは何事かと慌てるが、ルフレとメリアの話を聞いて更に驚きを露にした。

「ねぇタウリ? 強くなったの?」

 数日の流れからタウリの成長に少し興味がある。

「なんなら試して見るかカミル?」

 タウリがそう口にするとか私は頷き立ち上がる。
 慌てる学院長が止めようとするがラッペンが「御互いに怪我をせんようにな」と口にして、模擬戦が開始される。

 模擬戦には使い魔の使用は禁止されている。元々貴族以外は召喚の儀で使い魔を出せなかった者が大半だからである。

 勿論、私もデンキチ達は召喚しない。何度もタウリとは手合わせしてきているが1度も使い魔を呼び出した事はない。

 ポケットから上腕まである黒い手袋を取り出し両手にはめる。更に強化魔法“防御魔法”プロテクで布製の手袋を鉄の強度にまで高める。

「またそれか、ズルくないかカミル?」

「タウリだからよ、正直、認めてるのよ?」

 試合開始の合図が鳴り、踏み込みから即座に斬り掛かるタウリの目は本気だ。 

 正直シスコンのタウリがここまで本気なら私も手加減しないんだから。

 タウリは凄い! 数日前とかまるで違うのが肌でわかる。

 手の内を知り尽くしているからこそ冷静なんじゃない、そういう剣術にしようとしているんだわね。

「ごめんタウリ、嘗めてたわ! 今から本気よ」

「望む処だ! こいッ!」

 タウリは強かった。私が相手でも手を抜かないし、流石よ、そして医務室送りにしてごめんね、遣り過ぎたわ。

 タウリの剣を回避しながらのハイキック【弱】からの裏拳【弱】。まさに一瞬の出来事だったわ。

 学院長が豆鉄砲を食らったような顔をして慌てる姿とラッペンの「見事」と呟く姿は爽快ね。

「おい! いくらタウリが弱くても、騎士を目指す我等が女にやられて黙って帰すと思うなよ!」

 如何にも嫌みな貴族オーラぷんぷんの男が偉そうにそう口にする。
 私は当然「おじいちゃん、少しだけ待ってて」とラッペンに言うと真っ直ぐにリングに戻る。

「タウリをバカにしたわね? 覚悟は出来てんの、マジに潰すわよ?」

 怒り爆発の私は手加減はしない。リングに上がってきた男を開始の合図と同時に正拳突き【強】で瞬殺。

 私は既に全ての職を極めし者マスタージョブ『格闘のクイーン』を取得している。
 1年を魔法の基礎と鍛練に費やしながら、タウリと稽古をして、本から形を学び実戦してきた。タウリとの模擬戦も日に10回はこなしてきた。

 そんなタウリが弱いわけないんだから!

「立ちなさい……立たないなら此方から行くわ。模擬戦は相手がやめるか降参するまで続くのが正式よね? 私は止めないわよ!」

 それから、男を護ろうと群がる騎士学生さん、正直うざいわ……模擬戦とは言え1対1の戦いに加勢? こんな騎士道は私の読んできたラノベだとフラグって言うのよ!

「はいっ終了、観てる人にも言っとくけど、タウリは私に勝ったこともあるわ、(四才の私にね)タウリを弱いって言うなら私も弱いって事になるわ! まだ遣るなら掛かってきなさい!」

 そんな私を後ろから掴み上げたラッペン。

「遣りすぎだ、過ぎたるは猶及ばざるが如しと言う古代の言葉が存在する、行き過ぎた行為はタウリに迷惑になる。それくらいにしてやれカミル」

 仕方なく、そこで我慢。タウリに迷惑かけるのは嫌だし。

 タウリが目覚めたら渡すようにラッペンが学院長に手紙を渡し、騎士学院を後にする。

 それから向かった先は、召喚士学院だ。

「おじいちゃん、私は入学する気ないわよ?」

「挨拶だけだ。なんせ、いきなり一級召喚士だからな。会わせろと五月蝿くてな、孫を自慢したいジジイに付き合ってくれカミル」

 中に入ると驚いた。沢山の学生が使い魔と訓練やトレーニングをしている。

「いやいや、よく来てくれたラッペン。この子が飛び級の天才召喚士かね?」

 ラッペンに話しかけてきたのは召喚士学院の学院長、マルム=エルドン学院長だ。ラッペンより歳上で見た目は大柄の真ん丸ボディーで白髪に小さな眼鏡と少し可愛い(?)印象のお爺さんだ。

「そうだ。しかもワシの孫になるんだ! 羨ましかろう。ガハハハ」

「孫って! ラッペン、ソイツは不味いよ。間違いなく不正を疑われるじゃないか?」

 ラッペンはエルドン学院長に対して「だから来たんだ」と一言、頭を抱えるエルドン学院長は「わかったよ、困った人だなラッペン」と言うと学院の中に通された。
 其処には真ん中に椅子が1つ置かれ、少し離れた位置に横長のテーブル、そして椅子が3つ並んでいる。

 会社の面接みたい? まぁ面接みたいな物か。あ、きたきた。

「すまないね、カミルさんだね。改めて私は学院長のマルム=エルドンです。此方の二人が院長代理を任せる、スランド先生とドレイム先生です」

「初めまして、ミルシュ=カミルです」

 学院長が上級召喚師、後の2人は小級召喚師なのを鑑定の瞳を使い確認した私は取り敢えず自己紹介を終わらせた。

 そして始まったのは、“召喚士確定試験”本来は年に1回の試験だが、今回の私の“一級召喚士”を問題視する声も多く、エルドン学院長がラッペンから話を聞く前から決まっていた事であり、予定が少し早まったに過ぎないのが現状らしい。

「取り敢えず? 使い魔を呼び出してくれますか、ミルシュ=カミルさん」

 そうエルドン学院長に言われ、アララに皆を呼び出すことを伝えてもらい。一気に召喚する。

「皆! いらっしゃい!」

 デンキチ達が一斉に姿を現すとエルドン学院長が立ち上がり自身の眼を疑うように、眼鏡を拭き直しその眼を更に見開いた。

「これは……答えは出ましたね、スランド先生、ドレイム先生」

 2人が頷くのを確認するとエルドン学院長は「紛れもなく一級召喚士以上です。寧ろ来年の試験を楽しみにしていますよ。ミルシュ=カミルさん」と口にした。

 本来は実戦試験もあるのだが、目の前に現れた使い魔の数を知ればその必要がない事は明らかであった。

 その後、エルドン学院長からの入学の誘いを振り切り、馬車の中で一息ついた。

「疲れたよ、今日はもうクタクタだよ」

「すまなかったな、カミル。しかしこれで一安心だ。あとは式を待つばかりだな」

 そう、ルフレとメリアの結婚式だ。久々にブーケをゲットしようかしら。

 でも、今の私には関係ないか?

 そんな結婚式が近付く最中、ルフレとメリアに更なる暗雲が立ち込めようとしていた。
 馬車が邸の前に戻ると別の馬車が停まっていた。

「あれは! あの小娘が何をしに来たッ!」

 え、誰の事?

 邸の中に入るや否や、叫び声をあげるラッペン。

「何をしに来た。トルル家とは破談のおりに縁を切ると双方で決めた筈、それを違えてまでなぜ来たッ!」

「ラッペンおじ様、余り大声を出すと御体に障りますわよ? 私はただ、元婚約者のルフレに祝いを言いに来たまでです。無事に結婚式が挙げられるように願ってますわ……それでわ」

 女は軽く会釈をすると馬車に乗り帰っていった。

 まぁ、結婚式直前に元婚約者が来たら怒るわよね? にしても、ラッペンが此処まで怒るなんてあの女は要注意ね。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

没落した建築系お嬢様の優雅なスローライフ~地方でモフモフと楽しい仲間とのんびり楽しく生きます~

土偶の友
ファンタジー
優雅な貴族令嬢を目指していたクレア・フィレイア。 しかし、15歳の誕生日を前に両親から没落を宣言されてしまう。 そのショックで日本の知識を思いだし、ブラック企業で働いていた記憶からスローライフをしたいと気付いた。 両親に勧められた場所に逃げ、そこで楽しいモフモフの仲間と家を建てる。 女の子たちと出会い仲良くなって一緒に住む、のんびり緩い異世界生活。

知識スキルで異世界らいふ

チョッキリ
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜

みおな
ファンタジー
 私の名前は、瀬尾あかり。 37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。  そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。  今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。  それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。  そして、目覚めた時ー

【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~

川原源明
ファンタジー
 秋津直人、85歳。  50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。  嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。  彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。  白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。  胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。  そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。  まずは最強の称号を得よう!  地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編 ※医療現場の恋物語 馴れ初め編

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

処理中です...