楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
21 / 310
1章 7才以上で7才未満の召喚士。

ダメなオッサンから想像できないんですが?

しおりを挟む
 私から見るダメな大人……それは……酒に酔うのではなく酔わされ、人生をダメにする大人を指すわ。
 あとギャンブル依存もダメね? とにかく、目の前のオヤジはその典型ね……

「おいッ! なんだお前らは俺の家で何してる!」

 ほらきた……大概酒乱は絡んでくるのよね? 昔はよく上司に泣かされたっけ、今なら、あのツルツルヘッドの上司にデコピン100発は叩き込んでやれるのに!

「聞いてんのか? なんなんだお前達、此処に何しにきた?」

 私達は酔っ払いの相手をする気はないし私、個人も余り関わりたくない。なので早速、蜂蜜漬けを渡して帰ろう。うん! まさにベストアンサーだわ。

「私達はその子に頼まれてアナタに無料の蜂蜜漬けを渡しにきたのよ」

 私は平常心を保ちつつ、蜂蜜漬けを渡そうとしたの。

「要らねぇよ! それよりナッツ、酒だ酒。くだらない食いもんなんかより酒だ!」

 どうやら少年はナッツと言うらしいわね。
 それより……このダメオヤジ……私の蜂蜜漬けがくだらないですって? 赦せないわ……

「食べてからその口を開きなさいよ! 酔っぱらいがッ!」

「あぁぁ? なんだ豆チビが偉そうに、そう言う口は色気が出てから口にしな! たく、帰ってママの乳でも飲んで寝ろ!」

 カッチン……頭きた! マジに頭きたわ! 有罪よこんな酔っぱらい。罪状を付けるなら、蜂蜜ハチミツ冒涜罪ぼうとくざい並びに幼女へのセクハラ! デコピンよ!

「言ったわね……赦さないんだから……」

 私を止めるタウリをアッサリ振り払い、ダメオヤジに近づく私。

 私の手がダメオヤジの方に伸び、指が弾かれた瞬間……全ては終わった。

「ウォォォォあだぁぁぁッ!」

 ダメオヤジ撲滅委員会が存在するなら即座に入会できる程、激しく吹き飛んだ酔っぱらいは、壁でピクピクしているわね。

 ふっふっふっ参ったか! 正義は勝つ!

「あわわ、父ちゃん! 大丈夫~父ちゃんってば」

 慌てるナッツと私のデコピンに怒るタウリ。

「遣りすぎだカミル、死んだらどうするんだ!」

「ふぅ、手加減して1/100でデコピンしたんだから大丈夫でしょ。それに……私にセクハラしたのよ! 寧ろ生きて無くても仕方ないわ。フン!」

 私はダメオヤジを起こすと反省したかを確認。

 確認中に酔っぱらいが『遣るじゃないか』発言……イラッ

 私が再度、デコピンを構えるとタウリとナッツに本気で止められ、ダメオヤジは青ざめていたわ、少しは反省しなさいよね。

「それで? 食べるの食べないの!」

 勿論、返答は『いただきます……』

 蜂蜜漬けを食べた途端に酔っぱらい特有の酒の香りが体から無くなったのには私も驚いた。

 ダメオヤジが普通のオッサンになった処で片付け開始の号令をかける。

 洗濯は私の水魔法アクアクを空中に作り停止させると洗濯物と石鹸を中に投げ込んで風魔法エアエアを使い回転させて裏庭で即洗濯。次いでに日が暮れているので火炎魔法メラメラで即乾燥。

 自分だけで洗濯と乾燥が出来るなんて、私の省エネ魔法は流石だわ。

 洗濯物が乾いたらそれを手に家の中へ、中では3人の男が必死に片付けをしている。
 実際は洗濯物とゴミを片付けた時点で部屋は綺麗になっていた。

「よし、出来たわね。3人とも偉いわよ」

 その頃には既に日が暮れ、空は星が輝き始めていた。丸い月に照されたウッドハウスの中には、へとへとの男が3人とそれを笑って眺める私の姿があった。

「そろそろ行くわ。宿に泊まらないと野宿に為っちゃうし」

 私達はウッドハウスを後にしようとするとオッサンが引き止めてきた。

「待ってくれ、ちゃんと礼もしてないし、その今からじゃ夜道もあれだからよ。大した料理は出来ないが家に泊まらないか?」

 何? 最初と違っていい人じゃない!

「いや、俺達は……」
「泊まるわ。ご飯があって寝られるなら助かるし。節約は大切だしね」

 話が決まり私は空間魔法ストッカーから冷凍魔法コルコルで凍らせた食材ボア肉と野菜などを取り出しオッサンに渡した。

「オジサン。美味しいの頼むわよ」

「任せろ。あと俺はカッシュだ。嬢ちゃん」

「私はカミルよ。なら頼むわね。カッシュさん」

 私は誤解していたのかも知れない。御風呂を先に貸して貰い入っている時に外で風呂焚きをするナッツと話をしたの。

 カッシュは元は木こりではなく、料理人だったらしいのよね。
 ナッツの母親と王都ライパンで店を出していたが、貴族の横暴な振る舞いと態度に我慢できずにいたある日、貴族が口に合わないと言い出し『カッシュの店にいくな』と嫌がらせを始めたのだそうだ。
 嫌がらせはエスカレートしていき客足は遠退き、店をたたむ事になったのだ。ナッツの母、メグも身体を壊し今は王都ライパンの病院にいるらしい。
 高い医療費で木こりのカッシュの稼ぎの殆どがなくなり、今は怪我を理由に仕事も余りなく酒浸さけびたりになって居たそうだ。

「アンタも大変ねナッツ」

「でも、母ちゃんが退院したら、また父ちゃんも食べもん屋やるんだって、泣いてたから……俺が父ちゃんを支えてやらないとだからさ!」

 苦労してるなぁ。なんだか異世界もいろいろあるわね?

 御風呂からあがった私はカッシュの料理に驚かされた。
 テーブルに並ぶ料理はまるでフランス料理のように鮮やかであり、ビッグボアの肉も薄く炙られ綺麗な花のように盛り付けられていた。
 いちじくのトッピングされたサラダにカボチャのポタージュとパンが並び、林檎を煮込んだアップルソースのパイが焼かれれ芳ばしく甘い香りが部屋を包み込んでいた。

「オジサンやるじゃない!」

「だから、カッシュだって。だが、味は保証しないぞ?」

 照れた顔を浮かべるカッシュ。

 味は抜群だった。むしろ、木こりなんか早く辞めればいいのに?

「そう言えばさ? オジサン足、大丈夫なの?」

 ナッツがそう言えばと言う顔をしている。
 それに今更だけど、私のデコピンだって手加減してもかなりキツかった筈よね?

「其れなんだがな、嬢ちゃんの蜂蜜漬けを食べたら痛みがなくなってな? さっき見てみたられも退いてるんだよな。蜂蜜の効果なのか?」

 知らないから! 何そのビックリ能力? 本当なら不味いわね……

「二人とも、いきなり何だけどさ? 一緒に王都まで来てくれない」

 最初は私の発言に驚いていたカッシュとナッツ親子だったが私がメグの話を聞いたと伝え、更にメグに蜂蜜を食べさせたいと口にすると二人は頷いてくれた。

 私は食後、直ぐにカッシュに木を運ぶ台車を持ってきて貰うとメガを召喚した。

「メガ。いきなりごめんね。人数が多いから台車を引いて欲しいの?」

『任せて。カミルの為ならガンバル』

 いきなり現れたメガに驚く2人とタウリを台車に乗せて私はデンキチとスカーも呼び、夜の草原を王都に向けて走り出した。

 スカーは夜目が誰よりも効くので先頭に私はデンキチと真ん中、その後ろにメガと台車。
 
 私が直ぐに村を出たのは村人の中にカッシュのように傷が治ったと言う人が現れるかもしれないと考えたからだ。私の目指す蜂蜜は万能薬じゃなく普通の蜂蜜なので今の蜂蜜は売れない。

 だってそうよね? 悪事に使われたら大変だもん。万能薬は諸刃の剣、人を変えさせるには十分すぎる魅力が有るもの。

 私は蜂蜜を売るのを一旦諦め、王都への道を急いだ。成り行きで新しくカッシュとナッツ親子も旅に加わり、私達は賑やかにライパンを目指していく。

 夜の景色は綺麗なんだけど、やっぱり眠いなぁ……お肌荒れちゃうよ……
 
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

処理中です...