楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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プロローグ

エンジェルスマイル使いまくりですが?

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 夕暮れまで秘密基地の中で壁にもたれ掛かり、本と向き合う。
 じい様が何故、私にこの本を渡したのかを理解した。

 召喚には使い魔となる魔物への供物くもつが必要だと書かれている一説が一番印象的であった。

 この供物と言うのは生け贄ではなく、想像力に近い物であり、そのイメージと更にその場で名前を付けなければ為らない事など、幾つかの心構えのような物が存在するらしい。

 ・召喚したい使い魔をイメージする。

 これは可愛いや強そう等のイメージに近い、見た事ない使い魔の最初の選別になる。

 ・名前をイメージに付ける。

 名前がないと契約を結べない。最初のイメージから想像するのもありだし、最初から決めておくのもありだ。

 ・属性のイメージをする。

 属性により、用途が変化する。因みに属性には『光』『水』『地』『火』『風』『闇』『魔』が存在する。最後の『魔』に関しては魔力の強い等の意味らしい。

 ・オスかメスの性別をイメージする。

 性別を決めるのは何故かわからない、具体的な事は書いてないが? 召喚の際に何かしらの影響があるらしい。

 ・契約の際に主従関係を明確にする。
 
 これが一番大変な作業らしい……弱い使い魔とならば直ぐに契約して主従も明らかになるが、イメージが強すぎると契約をした際に主従が逆転する事も有ると書かれていた。

 ・契約条件をイメージする。

 これは使い魔に対する見返りである。条件は使い魔により違う事もあり、明確な内容はないが例が幾つかあった。
 1、毎日、果実を要求する使い魔。
 2、1日1回笑わせる事を条件にした使い魔。
 使い魔もまた人と同じく十人十色なのだ。

 ・使い魔と繋がるイメージをする。

 心の対話だ。主従関係とは言うが使い魔と主人は奴隷関係ではなく友人に近い関係であると最後に書かれていた。


ーーーーーー
ーーーー
ーー

 夕暮れから夜にかわる間際、私は家路を急ぎ走っていた。

「いけない、夕暮れまでに帰らないとマママイヤに怒られちゃうよ」

 何とか門限ギリギリに家の中に飛び込むように帰宅した私を心配そうに見つめるマママイヤ

「ハァハァ、た、ただいま」

 何時もならお仕置きの言葉などが出てくるのだが、その日のマイヤは元気がなく、どんよりしていた。

 不思議そうに顔を見詰める私にタウリが隣の部屋から手招きをしていた。

「ねぇタウリ? ママどうしたの?」

「父さんと喧嘩したんだよ、そしたら父さん意地張って飛び出しちゃったんだよ」

「ハアーーー? ダメな父親の見本じゃない」

「カミル、言い過ぎだよ。たまにそう言うのあるけどお兄ちゃん感心しないぞ?」

「そう言う、カミルを否定するお兄ちゃんは嫌いだなぁ~」

「ええええぇぇぇぇっ!!」

 シスコンのタウリをエンジェルスマイルと一言で粉砕した私は窓から外に出るとマップを開いてダメパパレイトの位置を確認する。

ーーーーーー
ーーーー
ーー

「此処ね!」

 マップが表示した場所は村の飲み屋であり、ダメパパレイトは中で酒に酔い数人の女性に囲まれ上機嫌なのが窓越しに見えた。そんな姿を見て苛立ちを隠せない私は店の中に入ろうとすると外の酔っ払いが私に絡んできた。

「お嬢ちゃんには、まだ早いよ! 何なら俺達が酒の飲み方教えてやろうか」

 外のテーブルに座っていた四人程の酔っ払いが立ち上がり、私に歩み寄る。

「私は今忙しいの! 構わないで」

「ノリが悪いなぁ? いいから付き合えって。こんな所をフラフラしてるんだから家出だろ?」

 そう言い私の腕を掴もうと酔っ払いが手を伸ばした。

 カランっ……飲み屋の扉が開く。

「何してんだっ!! 俺の大切な娘に」

 先程と違い鋭い目付きで酔っ払いを一括するパパレイトの姿があった。その後ろから先程の女性達が現れ私に『大丈夫? 怪我はないわね』と優しく声を掛けてくれた。

「悪かったよ、家出だと思ったから送るか駐在所に連れてってやろうとしたんだよ。酒は入ってるが悪気はないんだ」

 酔っ払いもそう言うと私を怖がらせた事を謝ってきた。むしろ、いい人だと分かり私も『ごめんなさい』と頭を下げた。

「大丈夫か? こんな所に一人で来て、拐われたらどうするんだ!」

 私にそう口にするパパレイトは怒るより心配で身を震わしているように感じた。

「パパが悪いんじゃない! 浮気者! チャラ男! 遊び人! ママがいるのに他の女の人と楽しそうにして!」

 私の言葉に頷くレイトは私を抱き抱えると女性達と共に自宅に向かって歩き出した。

「ただいま! マイヤ。御客を連れてきたんだ」

「おかえ……姉さん久しぶり! いつ村に帰ってきたの」

「夕暮れ前には着いてたんだけどね。途中で落ち込むレイトを見つけたからさ、パーティーメンバーと一緒にちょっと飲んできたのよ」

 私が浮気相手と考えた女性はマママイヤの姉でメリアであった。それから家の中は私の『浮気者』発言を晩御飯後の酒の魚に笑い声が絶えなかった。

「あ、そうだ! はい。これお土産」

 メリアはママに一冊の本を手渡した。

「凄く面白いのよ。有名な冒険者が実名を伏せて書いてるんだけどね」

 その本は、実力派パーティーが経験した実戦やサバイバルについて書かれた物であった。少し困った表情を浮かべるマイヤを見て私は助け船を出すことにした。

「本……見てもいい?」

 必殺エンジェルスマイル! 我ながら少し慣れてきたのが怖いくらいだ。

「なぁに、カミルは本が好きなの?」

「うん! 見ていい?」

 メリアがマイヤを見ると頷いたのが私にもわかった。

「はい。汚したらダメよママにあげた本だからね。カミル」

「貸してくれてありがとう」からのエンジェルスマイル。

 本を受け取ると自分の部屋に持っていく。
 私は本が好きだ。そして今の私は本から知識と力を手にいれている。

 ・『全ての職を極めし者マスタージョブ『エンジェルスマイルの悪魔』を取得しました』

 ・『全ての職を極めし者マスタージョブ『詐欺師のヒヨッコ』を取得しました』
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