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4章 輝く未来
姉妹は大変なんです1
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腹ごしらえが終わり、夜まで続いた清掃作業の後、細やかな宴が開かれる。
女王サンデアと国民達が協力し、レナクル王国に残る酒と食料を集めた宴は贅沢とは言えないけど、バトラングの兵士達と交流する新たな場となったわ。
「バイキングって凄いんだな。あんな巨大な瓦礫を運んだり出来るんだからな」
「お前達、人間も凄くいい建物を作る、片付けてて驚いたぞ」
無数の焚き火に照らされるバイキングと人間、そんな二つの種族が向かい合わせになり、前に置かれた酒樽と酒瓶を楽しそうに口にする。
そして、レナクル料理として、大量の中華風の料理が運ばれて来る。
宴を皆が楽しみ、夜通し消える事のない焚き火の輝きに誘われるように皆が眠りにつく。
男集を見てみれば、バイキングも人間も関係なく無邪気な寝顔をしているわ、まるで大きな子供ね。
そんな最中、私のマップにアララの名前が表示されたの……
反応があった方角に向かうと、火から避けられていた料理を焚き火で温めるアララの姿があったわ。
「はふはふ、やっぱり、お鍋は熱々が美味しいですね。いい味付けだわ……まったく、カミルは最近薄情なんですよね……お鍋なら、皆で一緒に食べた方が美味しいのに……やっぱり、嫌われてしまったのでしょうか」
まさかの、シリアスな展開に声を掛けるタイミングを完全に見失ったわね……盗み聞きは良くないけど、勝手に聞こえる場合は無罪よね?
「もぐもぐ、アフロディアス……バルキュリア、考え方は違ったけど……私には大切な家族だったのに、なんか……また一人ぼっちになってしまいました……」
かなりワケありね……それにアフロディアスとバルキュリア、アララが家族? ……もう少し聞きたいわね。
いけない事だと分かりながらも、アララの独り言に耳を傾ける。
「パク……パク……何でかしら、こんなに美味しいお鍋なのに……心が満たされないなんて……ハァ……アフロディアス姉様、バルキュリア姉様……私は御二人のように世界を変える力なんて持っていないのですよ……」
アララがアフロディアスとバルキュリアの妹? 話がややこしいわね……でも、本当に姉妹なら……今回のバルキュリアの一件に協力的じゃないのも納得だわ。
よし、取り敢えず話し掛けてみるか! ……と思い、姿を現そうとした時だったわ、光輝く花びらが何処からともなく、降り注ぐと光輝く球体がアララの目の前に出現したの。
「アハ、アラナラムルちゃん。久しぶりね、元気してた? 久々のお姉ちゃんだよ」
球体が消える……その中から突如現れた、肌白の女性がアララに抱きつき、 嬉しそうに語り掛ける。
「な、アフロディアス姉様! なんで此方に!」
慌てるアララを見て、微笑むアフロディアス、固まるアララをそのままに、鍋を軽く摘み始める。
普通に考えて、鍋を二人の女神がつつく姿を見ることになるなんて……
そんな私を無視したままに話が進んでいく。
「アラナラムルちゃん、久々に来たら、じじが笑えない冗談を口にしたのよね……」
じじってマルルの事かしら? アフロディアスは会話を続けたわ。
「なんで、あのパルムタークが私の可愛いアラナラムルを抜いて世界神の仲間入りしてるワケ!
しかも、あなたが……人間の支配下にあるなんて……信じられないわ……なんなら、私が話をつけてあげるわよ?」
すごく嫌な流れだわね……つまりなに! 私ってば、アララのお姉ちゃんに恨まれてるの!
冷静に考えれば、当たり前だわよね……妹を使い魔扱いしてる事になるし、非常にまずいわ。
そんな時、アララがアフロディアスを真っ直ぐに見つめて発言したの。
「御姉様……私は、私は今あるこの出会いを大切に感じています。成り行きから女神でありながら、人間、いえ、カミルの使い魔になりましたが……今は後悔など微塵もありません!」
そう語るアララは鋭い視線を向けるアフロディアスに全身を震わせていたわ。
「可哀想なアラナラムル……そんなに震えて、大丈夫よ。お姉ちゃんは話し合いで解決するつもりだから……覗きと盗み聞きは十分でしょ? 出てきなさいよ! 人間っ!」
アフロディアスが私に視線を向ける。
出ていかないワケにはいかないわね……。
女王サンデアと国民達が協力し、レナクル王国に残る酒と食料を集めた宴は贅沢とは言えないけど、バトラングの兵士達と交流する新たな場となったわ。
「バイキングって凄いんだな。あんな巨大な瓦礫を運んだり出来るんだからな」
「お前達、人間も凄くいい建物を作る、片付けてて驚いたぞ」
無数の焚き火に照らされるバイキングと人間、そんな二つの種族が向かい合わせになり、前に置かれた酒樽と酒瓶を楽しそうに口にする。
そして、レナクル料理として、大量の中華風の料理が運ばれて来る。
宴を皆が楽しみ、夜通し消える事のない焚き火の輝きに誘われるように皆が眠りにつく。
男集を見てみれば、バイキングも人間も関係なく無邪気な寝顔をしているわ、まるで大きな子供ね。
そんな最中、私のマップにアララの名前が表示されたの……
反応があった方角に向かうと、火から避けられていた料理を焚き火で温めるアララの姿があったわ。
「はふはふ、やっぱり、お鍋は熱々が美味しいですね。いい味付けだわ……まったく、カミルは最近薄情なんですよね……お鍋なら、皆で一緒に食べた方が美味しいのに……やっぱり、嫌われてしまったのでしょうか」
まさかの、シリアスな展開に声を掛けるタイミングを完全に見失ったわね……盗み聞きは良くないけど、勝手に聞こえる場合は無罪よね?
「もぐもぐ、アフロディアス……バルキュリア、考え方は違ったけど……私には大切な家族だったのに、なんか……また一人ぼっちになってしまいました……」
かなりワケありね……それにアフロディアスとバルキュリア、アララが家族? ……もう少し聞きたいわね。
いけない事だと分かりながらも、アララの独り言に耳を傾ける。
「パク……パク……何でかしら、こんなに美味しいお鍋なのに……心が満たされないなんて……ハァ……アフロディアス姉様、バルキュリア姉様……私は御二人のように世界を変える力なんて持っていないのですよ……」
アララがアフロディアスとバルキュリアの妹? 話がややこしいわね……でも、本当に姉妹なら……今回のバルキュリアの一件に協力的じゃないのも納得だわ。
よし、取り敢えず話し掛けてみるか! ……と思い、姿を現そうとした時だったわ、光輝く花びらが何処からともなく、降り注ぐと光輝く球体がアララの目の前に出現したの。
「アハ、アラナラムルちゃん。久しぶりね、元気してた? 久々のお姉ちゃんだよ」
球体が消える……その中から突如現れた、肌白の女性がアララに抱きつき、 嬉しそうに語り掛ける。
「な、アフロディアス姉様! なんで此方に!」
慌てるアララを見て、微笑むアフロディアス、固まるアララをそのままに、鍋を軽く摘み始める。
普通に考えて、鍋を二人の女神がつつく姿を見ることになるなんて……
そんな私を無視したままに話が進んでいく。
「アラナラムルちゃん、久々に来たら、じじが笑えない冗談を口にしたのよね……」
じじってマルルの事かしら? アフロディアスは会話を続けたわ。
「なんで、あのパルムタークが私の可愛いアラナラムルを抜いて世界神の仲間入りしてるワケ!
しかも、あなたが……人間の支配下にあるなんて……信じられないわ……なんなら、私が話をつけてあげるわよ?」
すごく嫌な流れだわね……つまりなに! 私ってば、アララのお姉ちゃんに恨まれてるの!
冷静に考えれば、当たり前だわよね……妹を使い魔扱いしてる事になるし、非常にまずいわ。
そんな時、アララがアフロディアスを真っ直ぐに見つめて発言したの。
「御姉様……私は、私は今あるこの出会いを大切に感じています。成り行きから女神でありながら、人間、いえ、カミルの使い魔になりましたが……今は後悔など微塵もありません!」
そう語るアララは鋭い視線を向けるアフロディアスに全身を震わせていたわ。
「可哀想なアラナラムル……そんなに震えて、大丈夫よ。お姉ちゃんは話し合いで解決するつもりだから……覗きと盗み聞きは十分でしょ? 出てきなさいよ! 人間っ!」
アフロディアスが私に視線を向ける。
出ていかないワケにはいかないわね……。
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