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4章 輝く未来
解放されし、レナクル王国です5
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シュビナの提案に私はソルトの方を向くとその表情はなんとも落ち着いた物だったの……
「な、なんで、落ち着いてるのよ! これが失敗したら……死んじゃうのよ!」
私の言葉にソルトは軽くうなづくのみだったの。
不敵に笑みを浮かべるシュビナと少し困った表情を浮かべるドルド、そんな三人がコインを投げる瞬間を見逃さぬように確りと私の手元とコインに視線を向けている。
小細工が一切出来ない状況になっている……もし出来たとしても、シュビナの驚異的な視力と集中力の前に付け焼刃のトリックなんて通用しない……八方塞がりだわ。
「どうした 早く投げてみろ? 約束は護るぞ」
煽るようにシュビナがそう口にする。
「わ、わかったわよ……ならこの面が出たら、私の勝ちでいいわね」
私は鷲の柄が入った面を選択する。
運命のコインが私の指で弾かれると大きく宙を回転しながら落下する。
どっち……お願い……当たって!
“チャン”と落下音が鳴る……皆がコインを直視する……
「残念だったな、そこに落ちたコインは裏、つまり……俺の勝ちのようだな!」
全身が震える……私はソルトを救えない……今、シュビナに正体を……たぶん正体を証しても、無駄だわ、実力行使をする……駄目だわ、何が正解なのよ。
「はぁ、シュビナ? それくらいにしてやって貰えないか、本気でカミル大使が困っているからな」
「なんだ……もう終わりか、まあ、レナクルの状況とバルキュリアの討伐についてわかったのだから、良しとしよう……お前以外がこの場にいたなら、話は違っていたぞソルト」
笑みを浮かべ、信頼を確め合うようにして立ち上がる二人。
訳がわからずに私が両者の顔を見ると我慢できなくなったと言わんばかりに二人は大きく笑いだしたの。
「あははは、済まないカミル……さっきから魔法が解けているんだ、あまりに気づかないから……ついな」
シュビナの言葉に私は慌てて自身の顔を触り確める、変化させた顔は間違いなく元に戻っていたわ……つまり、私の正体を最初から知って、二人は話していたことになるわね……ただ、私だけじゃなく、ドルドも二人の繋がりを知らなかった見たいね。
「つまり……私がこんなに心配して、必死に色々と考えていたのに……腹の中で笑ってたわけねッ!」
単純な怒りがマグマのように溢れだし、小型船のマストが炎に包まれるとシュビナとソルトが慌てて私に謝罪する、当然……赦すわけないわ。
それから、二人を相手に拳を使った本気の話し合いをした後に本題に入ったの。
その間、ドルドも私を止めようと動いたけど……私の「今、手出ししたら……私は本気で敵になるわよ?」と優しく囁き、ドルドは苦悩してしまったわ。
シュビナとソルトは互いに戦闘を行う中で知り合い、両国の戦闘が起こる度顔を合わすなかで会話が生まれていったそうなの。
戦いの中に芽生える友情なんて、素敵ね……
「それで、本当にレナクルに攻撃しないのね、シュビナ!」
「勿論だ……寧ろ、最初から交渉にソルトを指名する考えだったんだ」
そう語るシュビナにソルトがうなづき、私は取り敢えずホッと胸を撫で下ろす。
「ソルト、シュビナ、二人にまだまだ働いて貰うわ、因みに拒否権は認めないわよ!」
私を見る二人が頷いたのを確認し、シュビナとソルトに考えを説明する。
「つまり……バトラングとレナクルには互いに協力して歩む道を選んで貰うわ。バトラング側は問題ないわね?」
シュビナが微笑みながら「構わない、カミルの決めた事ならば、俺はついていくさ」と考えに納得してくれたの。
ただ、レナクル側は……
「待ってくれ、今回の話を俺の意見一つで決定は出来ない! どちらにしても、サンデア女王が目覚めるまでは待ってほしい!」
ソルトはレナクルの未来を自身の考えだけで決められないとハッキリ口にしたの。
話し合いが中断しようとした時、シュビナが少し面倒くさそうに口を開いたの。
「なら、女王を討ち取るか? 国の未来を危険に晒し、今も国が危ういと言うに意識を失っているんだ、正直 使えぬ者であろう?」
その言葉にソルトがシュビナを睨み付ける。
友情なんて儚いわね……でも、マズイわね? このままだと本当に良くない方向に話が進みそうだわ。
そんな時、一筋の影が海賊艦隊を通り抜け私達の元に降り立ったの。
「お嬢様。急ぎの報告があり、港でラブコールをして出迎える予定をキャンセルして此方に参りました……女王サンデアが意識を取り戻したんです!」
その瞬間、全てのピースが揃ったわ。
「シュビナ、ソルト、全員でレナクルの女王サンデアの元に行くわよ!」
バトラング王国とレナクル王国、二つの国には新たな未来に進んで貰うわ。
「な、なんで、落ち着いてるのよ! これが失敗したら……死んじゃうのよ!」
私の言葉にソルトは軽くうなづくのみだったの。
不敵に笑みを浮かべるシュビナと少し困った表情を浮かべるドルド、そんな三人がコインを投げる瞬間を見逃さぬように確りと私の手元とコインに視線を向けている。
小細工が一切出来ない状況になっている……もし出来たとしても、シュビナの驚異的な視力と集中力の前に付け焼刃のトリックなんて通用しない……八方塞がりだわ。
「どうした 早く投げてみろ? 約束は護るぞ」
煽るようにシュビナがそう口にする。
「わ、わかったわよ……ならこの面が出たら、私の勝ちでいいわね」
私は鷲の柄が入った面を選択する。
運命のコインが私の指で弾かれると大きく宙を回転しながら落下する。
どっち……お願い……当たって!
“チャン”と落下音が鳴る……皆がコインを直視する……
「残念だったな、そこに落ちたコインは裏、つまり……俺の勝ちのようだな!」
全身が震える……私はソルトを救えない……今、シュビナに正体を……たぶん正体を証しても、無駄だわ、実力行使をする……駄目だわ、何が正解なのよ。
「はぁ、シュビナ? それくらいにしてやって貰えないか、本気でカミル大使が困っているからな」
「なんだ……もう終わりか、まあ、レナクルの状況とバルキュリアの討伐についてわかったのだから、良しとしよう……お前以外がこの場にいたなら、話は違っていたぞソルト」
笑みを浮かべ、信頼を確め合うようにして立ち上がる二人。
訳がわからずに私が両者の顔を見ると我慢できなくなったと言わんばかりに二人は大きく笑いだしたの。
「あははは、済まないカミル……さっきから魔法が解けているんだ、あまりに気づかないから……ついな」
シュビナの言葉に私は慌てて自身の顔を触り確める、変化させた顔は間違いなく元に戻っていたわ……つまり、私の正体を最初から知って、二人は話していたことになるわね……ただ、私だけじゃなく、ドルドも二人の繋がりを知らなかった見たいね。
「つまり……私がこんなに心配して、必死に色々と考えていたのに……腹の中で笑ってたわけねッ!」
単純な怒りがマグマのように溢れだし、小型船のマストが炎に包まれるとシュビナとソルトが慌てて私に謝罪する、当然……赦すわけないわ。
それから、二人を相手に拳を使った本気の話し合いをした後に本題に入ったの。
その間、ドルドも私を止めようと動いたけど……私の「今、手出ししたら……私は本気で敵になるわよ?」と優しく囁き、ドルドは苦悩してしまったわ。
シュビナとソルトは互いに戦闘を行う中で知り合い、両国の戦闘が起こる度顔を合わすなかで会話が生まれていったそうなの。
戦いの中に芽生える友情なんて、素敵ね……
「それで、本当にレナクルに攻撃しないのね、シュビナ!」
「勿論だ……寧ろ、最初から交渉にソルトを指名する考えだったんだ」
そう語るシュビナにソルトがうなづき、私は取り敢えずホッと胸を撫で下ろす。
「ソルト、シュビナ、二人にまだまだ働いて貰うわ、因みに拒否権は認めないわよ!」
私を見る二人が頷いたのを確認し、シュビナとソルトに考えを説明する。
「つまり……バトラングとレナクルには互いに協力して歩む道を選んで貰うわ。バトラング側は問題ないわね?」
シュビナが微笑みながら「構わない、カミルの決めた事ならば、俺はついていくさ」と考えに納得してくれたの。
ただ、レナクル側は……
「待ってくれ、今回の話を俺の意見一つで決定は出来ない! どちらにしても、サンデア女王が目覚めるまでは待ってほしい!」
ソルトはレナクルの未来を自身の考えだけで決められないとハッキリ口にしたの。
話し合いが中断しようとした時、シュビナが少し面倒くさそうに口を開いたの。
「なら、女王を討ち取るか? 国の未来を危険に晒し、今も国が危ういと言うに意識を失っているんだ、正直 使えぬ者であろう?」
その言葉にソルトがシュビナを睨み付ける。
友情なんて儚いわね……でも、マズイわね? このままだと本当に良くない方向に話が進みそうだわ。
そんな時、一筋の影が海賊艦隊を通り抜け私達の元に降り立ったの。
「お嬢様。急ぎの報告があり、港でラブコールをして出迎える予定をキャンセルして此方に参りました……女王サンデアが意識を取り戻したんです!」
その瞬間、全てのピースが揃ったわ。
「シュビナ、ソルト、全員でレナクルの女王サンデアの元に行くわよ!」
バトラング王国とレナクル王国、二つの国には新たな未来に進んで貰うわ。
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