楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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4章 輝く未来

解放されし、レナクル王国です4

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 私はソルト達と共に光の壁が存在していた海域を目指し船を進めていく。

 他の船にはレナクル王国への帰還を再度ソルトが命じる。

 反対の声も多く出たけど、事実 1隻のみでバトラング大船団へと帆を進める。

 私がと口にしたのには複数の意味があるわ、それが今よ。

 海賊艦隊が総出で向かえば、シュビナは容赦なく先制攻撃を指示する筈だわ。

 私が先にシュビナへと話をする方法も考えたけど、そうなれば話し合い事態がなくなる可能性があり、戦闘が回避されてもレナクル王国への懸念けねんは消えず、バルキュリアの支配下の国であった事実が後に火種になりかねないわ。

 船は順調に進む、次第に両者の船が一定の距離を保つように停船する。

 向き合う形になると、ソルトの部下達も真剣な表情でバトラング大船団を見つめ、静まりかえっていたわ。

 そんな最中、私は大空に向けて手を伸ばし、最初に霧魔法で白い霧を作り、風魔法で其を真っ直ぐに空へと伸ばす。
 その後、火炎魔法で真っ赤な線を空に打ち上げ、最後に再度、霧魔法で白い煙を作り出す。

「おい、今のはなんなんだ! わざわざ相手を刺激して、話し合いをさせると俺に言ったんじゃないのか!」

 シュビナとバトラング大船団を刺激するように撃ち放たれた三発の空に確りと姿を知らしめる程の強力な魔法、ソルトと部下達に緊張が走ったのは間違いないわね。

 それに反応するようにバトラング大船団から二発の空砲が撃ちならされたは、それに対して、私は火炎魔法を二発、空に撃ちあげる。

 会話をするように互いに意思を示す私とバトラング大船団、そんなやり取りが数回続いた時、シュビナの声が響き渡ったの。

「もうよい! 其方の船に此方の信号を理解できる者がいるのは理解した!」

 私はバトラングの信号弾と同じ意味合いの色を空に浮かべていたの。

 最初は【白】……敵意なし……からの、戦闘を意味する【赤】からの【白】と撃ち出し、信号であると伝えたの。

 意味は簡単“敵意はない、戦闘の意思なし”と言う風になるわ。

 バトラング側は確認するように信号を撃ち出し、会話が成立した事を理解した処で話し合いを求むと連続で撃ちあげたの。

 荒々しくも誇りを忘れないバイキングなら、宣戦布告前の話し合いを拒む事はしない、そう考えたの……これも賭けだったと言えるわね。

 でも、なんとか話し合いの場を設けられたわ。

 あとは私の存在がバレないように容姿を魔法で変え身なりを変化させる、理由としては、シュビナが私の存在を知れば、話し合いは上手くいく筈、それだと、レナクルの力で解決した事にならないもの、今回の助け船は此処までになるわ。

 バトラング王国側は話し合いの場を小型船で行うことを条件に出してきたわ。

 
 その条件を受け入れたソルトと私がボートを出し、指定された小型船へと向かっていく。

「ミルシュ=カミル、本当にシュビナ王は素直に交渉の場を用意すると思うか?」

「なんで、私にまで敬語、どうかしら? 単純に罠だとしても命は保証されるわよ。それに……話し合いで使者に手を出すような性格じゃないわよ。取り敢えずは上手く喋ることね」

 私達が先に小型船に辿り着くとすぐにソルトが動き出そうとしたの、理由は船に潜伏者が居ないかの簡単な確認ね、小型船と言っても私達、普通のサイズの人間からすれば、それなりの大きさになるわ。

「ソルト、動かないで! わざわざ、火種を作る気?」

 すぐに船体をマップで照し、潜伏者がいない事を確認する私、もしも、ソルトが疑い船を詮索すれば全てが危うくなっていたわ、本当にヒヤヒヤね。

 そんな私達の元にシュビナと側近の老将マルテ=ドルドと共に姿を現したの。

「待たせてすまなかったな、船を詮索する時間を与えたつもりだったがどうやら不要だったらしいな」

 私もソルトも気づいていなかったけど、小型船の扉には見えない程、細い糸が張られていたの、シュビナは私達が詮索するかしないかを確めていたのね、意外に侮れないわね……

「先ずは非礼を詫びよう、今までのレナクルとバトラングの関係上、信頼し話し合うには少しでも疑いのある行動が有るか無いかを重視した、因みにこの小舟は無人だ、安心してくれ」

 張りつめる空気の中、そう語るシュビナ。

 私は黙ったまま、シュビナとドルドの動きを観察する。

「話し合いだが、普通に話し合いをしても、俺はうなづく気がない、だから先に言っておく。戦いを避けられると考えるな……同盟であろうが、バルキュリアと繋がり、俺の大切な国に土足で踏みいったのだから、必ず報復させて貰う!」

 まずいわね……シュビナって、こんなに好戦的な性格だったなんて、ソルトの回答ひとつで全てが本当に決まっちゃうじゃない。

 シュビナの言葉を真剣な眼差しで耳にするソルト、そして覚悟を決めたと言わんばかりに深く息を吐いたの。

「ふぅ……バルキュリアは既にミルシュ=カミル大使が撃破、と言うより封印したと聞いている」

「なに! カミルが戦っただと!」

 シュビナが驚き声をあげる、しかしソルトはそのまま、喋り続けたの。

「レナクル王国は多くの民がバルキュリアの術中に掛かり家族が散り散りになってしまっている状態だ、女王サンデア陛下もバルキュリアの精神支配から解放されたが未だに意識は戻っていない。ミルシュ=カミル大使には心より感謝している……」

 ソルトはまるで私に語りかけるように、そう話すと真っ直ぐにシュビナを見つめる。

「この命、一つで全てを解決したい、レナクル王国、海軍、海賊艦隊提督の肩書きを持って、頼めぬだろうか」

 その言葉に激怒するドルド。

「ふざけるな! 貴様、一国の王であるシュビナ様を前に首一つで退けと申すか!」

 その言葉に私は激怒したわ。

「黙れ!」
「黙りなさい!」

 示し合わせたように重なる私とシュビナの声にドルドとソルトが驚きを露にする。

 姿を偽った私を見つめるシュビナ。

「勇敢だな、今の状況で俺と同じように発言をするなんてな」

 我慢出来ず発言してしまったわ。

「失礼しました、ですが、戦士が命をかけると口にしたにも関わらず、国と天秤に掛けたのが赦せなかったのよ」

「確かに、戦士の魂を侮辱する発言があった、詫びよう。しかし……結論は一緒だ、と言いたいが……カミルが救った国を滅ぼす訳にもいかないからな……ならば賭けで決めると言うのはどうだ?」

 シュビナはそう言うと一枚のコインをポケットから取り出し、私に確認させたの。

「細工のないコインだ、コインの裏表でソルトソイツの運命を決める。好きな方を選べ、選んだ柄が出たなら首は要らん、外れたなら首を貰う、どちらにしてもそれで全てを終わらせるて約束しよう……ただし、コインを投げるのは女、お前だ」

 私は一瞬、耳を疑ったわ……コイン一枚にソルトの命が左右される、まるで悪夢のような状況だわ。
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