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4章 輝く未来
敵は戦神バルキュリアです8
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レナクルの旧市街をタリヤンの案内で駆け抜ける。
旧市街の建物や雰囲気は何処か中華街ににていることに驚かされたわ。
サトウもその事に気づいたのか、不思議と周囲を見渡すように走っているのが分かる。
「なんか、この風景に凄く親近感がわくなぁ、変な話だが、故郷の街並を思い出すよ」
サトウの言う故郷とは、地球……即ち日本ね、確かにサトウは中華とか、こってりした料理が好きだったわね? 何度も外食で中華街に二人でいったわね……こんな時に何を思い出してるのよ……
「大分、時間は稼げたけど、残念時間だ……」
順調に旧市街を進む私達、しかし、タリヤンは突然、立ち止まると周囲を警戒するように斜め上の方角を左右に首を動かし警戒したの。
「チッ、もう少しだけに先に進む」
何かを確認し終わったタリヤンは再度、動き出すと、動き出すと小さな建物の中に私達を誘導したの。
外観からは分からなかったけど、案内されたのは、無人の飲食店だったの。
「え、ちょっと! 何でこんな時に?」
急いでいる最中に腹ごしらえをするのかと考えた私がそう口にするとタリヤンは真剣な表情で私を見て口を開いたわ。
「こんな時にじゃない! 今遣るべき事をする、いいから席に座り、何があっても動かず、喋るな」
そう語るとタリヤンは黙々と店に残された食材を吟味し始める。
その間、中華鍋には油がしかれ、炎により、店の中に中華料理の独特な油の香りが充満していく。
理解できない状態でありながら、厨房ではタリヤンの華麗な包丁を使う姿が見えるわ、気づけば食材を刻む音すら心をワクワクさせる、女王直属の料理人と言う肩書きに偽りなしね。
あっという間に複数の料理が出来上がり、タリヤンが料理を運んで来たの、その際、メルリが手伝おうと立ち上がったんだけど、タリヤンに「座ってろ……」と言われ……危うく、ひと悶着起きる処だったわ……
料理は予想通り中華風だったの。
【八宝菜】【卵の餡かけ】【焼飯】【青椒肉絲】【野菜のスープ】【棒々鶏】と五品の中華風の料理がテーブルに運ばれて来たの。
「レナクル料理だ、少し濃い目の味付けだが、食べてくれ、そろそろ奴等が来るから急げ」
「奴等って?」と私が口にした瞬間、飲食店の扉が開かれる。
「皆、喋るな……料理を早く口にいれろ」
タリヤンの指示に従い、取り敢えず料理を一口、皆が口に運ぶ。
店内を見渡すように入ってきた武装した男達は私達と料理を確認する。
そして、何事も無かったかのように店を後にしたの。
「ふぅ、間に合ったな。説明無しで済まなかった。話してる時間が惜しかったから」
それからタリヤンは私達にこの三日間の出来事を食事をしながら語ってくれたの。
──レナクル王国 城内──三日前
レナクル王国をピンクの雨が襲った日、タリヤンは城の地下にある食糧庫で整理をしていると城内に悲鳴が響く。
慌てて女王サンデアの元に戻ると其処には黒い影に飲み込まれるサンデアと侍女のシャムス、そして数名の兵士の姿があり、助けようとしたタリヤンに対して女王サンデアが最後の意思を振り絞り命令を口にする。
「来るな……仲間を集いなさい、タリヤン……今すぐに離れなさい! 早く……」
女王サンデアは冷静であり、タリヤンは涙ながらに命令に従う。
混乱する中、城外に目を向けるとピンクの雨を浴びた兵士や慌てて外に出たメイド達が次々に様子がおかしくなる姿をその目にし、直ぐに雨に触れてはいけないことを悟る。
雨避けの油を染み込ませた雨具を見に纏い、口には同様の当て布を行い、自身の信頼する部下達の居るであろう旧市街地に移動する事になる。
しかし、レナクル全体にピンクの雨が降り注ぎ、頼りにしていた仲間達は既に正気を失ってしまっていた。
そんな正気を失った国民達には複数のパターンがある事に気づく。
一日目に気づかされた事が食事のパターンである。
雨が降り始めた直後、自宅に隠れ、雨を回避した国民が多く存在した。
雨を浴びた者達を窓越しに警戒する国民達。
そんな時、雨を浴びた者達が一斉に動き出すと、その者達は自宅に戻り、料理を開始する。
一斉に空に白い煙が上がると次に煙が出ていない家に雨を浴びた者達が武器を手に襲撃し、雨の降り注ぐ室外に住人を連れ出し、仲間にしていったのである。
日に三回行われる、食事に比例するように国民は雨を浴び、正気を失っていったのだ。
食事に対してのルールとパターンは絶対であり、料理中の煙が出ている場合は見回りの男達は侵入してこない、煙が出ていない場合でも、食事をしていれば襲われない。
更に重要なのは食後、三時間程の間は見回りを含め、雨を浴びた者達は睡眠を取り、活動をしないと言う事であった。
──現レナクル王国 旧市街、飲食店
「つまり、今から三時間は奴等は動かない、この間に城を目指す、なんとしてもサンデア女王を正気に戻したい」
タリヤンの言葉にうなずく私達は料理を即座に平らげると雨避けの魔法を全員に発動し、一気に城へと駆け出したの。
情報通り、街中に人の姿は無く、私達の足音も降り続く雨に掻き消されていく。
城内に侵入する際にタリヤンが城の厨房にある非常口を教えてくれたの。
非常口は壁と同じ素材で出来ており、外からは只の壁にしか見えない。
複数の鍵穴が存在し、順番に開けねば開かない仕掛け扉になっていたの、タリヤン以外は使えない秘密の入り口と言った感じだったわ。
予定より、かなり時間が掛かったけど、私達は城内へと侵入する事に成功したの。
しかし、厨房内に辿り着いたタリヤンの表情が厳しいものになり、その目線の先には複数の人影が待ち構えていたの。
旧市街の建物や雰囲気は何処か中華街ににていることに驚かされたわ。
サトウもその事に気づいたのか、不思議と周囲を見渡すように走っているのが分かる。
「なんか、この風景に凄く親近感がわくなぁ、変な話だが、故郷の街並を思い出すよ」
サトウの言う故郷とは、地球……即ち日本ね、確かにサトウは中華とか、こってりした料理が好きだったわね? 何度も外食で中華街に二人でいったわね……こんな時に何を思い出してるのよ……
「大分、時間は稼げたけど、残念時間だ……」
順調に旧市街を進む私達、しかし、タリヤンは突然、立ち止まると周囲を警戒するように斜め上の方角を左右に首を動かし警戒したの。
「チッ、もう少しだけに先に進む」
何かを確認し終わったタリヤンは再度、動き出すと、動き出すと小さな建物の中に私達を誘導したの。
外観からは分からなかったけど、案内されたのは、無人の飲食店だったの。
「え、ちょっと! 何でこんな時に?」
急いでいる最中に腹ごしらえをするのかと考えた私がそう口にするとタリヤンは真剣な表情で私を見て口を開いたわ。
「こんな時にじゃない! 今遣るべき事をする、いいから席に座り、何があっても動かず、喋るな」
そう語るとタリヤンは黙々と店に残された食材を吟味し始める。
その間、中華鍋には油がしかれ、炎により、店の中に中華料理の独特な油の香りが充満していく。
理解できない状態でありながら、厨房ではタリヤンの華麗な包丁を使う姿が見えるわ、気づけば食材を刻む音すら心をワクワクさせる、女王直属の料理人と言う肩書きに偽りなしね。
あっという間に複数の料理が出来上がり、タリヤンが料理を運んで来たの、その際、メルリが手伝おうと立ち上がったんだけど、タリヤンに「座ってろ……」と言われ……危うく、ひと悶着起きる処だったわ……
料理は予想通り中華風だったの。
【八宝菜】【卵の餡かけ】【焼飯】【青椒肉絲】【野菜のスープ】【棒々鶏】と五品の中華風の料理がテーブルに運ばれて来たの。
「レナクル料理だ、少し濃い目の味付けだが、食べてくれ、そろそろ奴等が来るから急げ」
「奴等って?」と私が口にした瞬間、飲食店の扉が開かれる。
「皆、喋るな……料理を早く口にいれろ」
タリヤンの指示に従い、取り敢えず料理を一口、皆が口に運ぶ。
店内を見渡すように入ってきた武装した男達は私達と料理を確認する。
そして、何事も無かったかのように店を後にしたの。
「ふぅ、間に合ったな。説明無しで済まなかった。話してる時間が惜しかったから」
それからタリヤンは私達にこの三日間の出来事を食事をしながら語ってくれたの。
──レナクル王国 城内──三日前
レナクル王国をピンクの雨が襲った日、タリヤンは城の地下にある食糧庫で整理をしていると城内に悲鳴が響く。
慌てて女王サンデアの元に戻ると其処には黒い影に飲み込まれるサンデアと侍女のシャムス、そして数名の兵士の姿があり、助けようとしたタリヤンに対して女王サンデアが最後の意思を振り絞り命令を口にする。
「来るな……仲間を集いなさい、タリヤン……今すぐに離れなさい! 早く……」
女王サンデアは冷静であり、タリヤンは涙ながらに命令に従う。
混乱する中、城外に目を向けるとピンクの雨を浴びた兵士や慌てて外に出たメイド達が次々に様子がおかしくなる姿をその目にし、直ぐに雨に触れてはいけないことを悟る。
雨避けの油を染み込ませた雨具を見に纏い、口には同様の当て布を行い、自身の信頼する部下達の居るであろう旧市街地に移動する事になる。
しかし、レナクル全体にピンクの雨が降り注ぎ、頼りにしていた仲間達は既に正気を失ってしまっていた。
そんな正気を失った国民達には複数のパターンがある事に気づく。
一日目に気づかされた事が食事のパターンである。
雨が降り始めた直後、自宅に隠れ、雨を回避した国民が多く存在した。
雨を浴びた者達を窓越しに警戒する国民達。
そんな時、雨を浴びた者達が一斉に動き出すと、その者達は自宅に戻り、料理を開始する。
一斉に空に白い煙が上がると次に煙が出ていない家に雨を浴びた者達が武器を手に襲撃し、雨の降り注ぐ室外に住人を連れ出し、仲間にしていったのである。
日に三回行われる、食事に比例するように国民は雨を浴び、正気を失っていったのだ。
食事に対してのルールとパターンは絶対であり、料理中の煙が出ている場合は見回りの男達は侵入してこない、煙が出ていない場合でも、食事をしていれば襲われない。
更に重要なのは食後、三時間程の間は見回りを含め、雨を浴びた者達は睡眠を取り、活動をしないと言う事であった。
──現レナクル王国 旧市街、飲食店
「つまり、今から三時間は奴等は動かない、この間に城を目指す、なんとしてもサンデア女王を正気に戻したい」
タリヤンの言葉にうなずく私達は料理を即座に平らげると雨避けの魔法を全員に発動し、一気に城へと駆け出したの。
情報通り、街中に人の姿は無く、私達の足音も降り続く雨に掻き消されていく。
城内に侵入する際にタリヤンが城の厨房にある非常口を教えてくれたの。
非常口は壁と同じ素材で出来ており、外からは只の壁にしか見えない。
複数の鍵穴が存在し、順番に開けねば開かない仕掛け扉になっていたの、タリヤン以外は使えない秘密の入り口と言った感じだったわ。
予定より、かなり時間が掛かったけど、私達は城内へと侵入する事に成功したの。
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