263 / 310
4章 輝く未来
敵は戦神バルキュリアです4
しおりを挟む
地中を進みながら私は不思議な違和感を感じていたわ。
幾ら地中深く掘った穴を進んでいても雨水は土に浸透する筈なの、地中を進み始めて二時間ばかりの時間が過ぎた今も地上から雨水が流れ落ちてくる様子がないの。
「可笑しいわね、間違いなく雨は降り続いてる筈なのに、まさか止んでるのかしら?」
地中に潜る前の様子からは降り止むなんて、絶対に想像できない私は地中の中を写していたマップを地上に向けようと考えたの。
「皆、少し待って、マップを地上に向けるわ、雨が止んでるなら、空からの移動が一番早いから、調べてみるわ」
マップを地上に向けた瞬間、私は背筋を凍りつくような寒気に襲われたの。
地上を生む尽くすようにドクロマークが広がり、敵を示す赤い点滅が広範囲に私達の向かうレナクル王国へと向かって動いていたの。
何なのよ……地上で何が起きてるのよ。
私の表情を心配するようにメルリとサトウが声をかけてきたの。
「お嬢様、顔色が宜しくないですが、大丈夫ですか?」
「カミルちゃん、メルリの言う通りだよ。少し休んだ方がいいよ」
心配する二人に私はマップに写った地獄のような光景を説明したの。
二人は私同様に表情を曇らせたの、しかし、サトウが一言、予想だにしない事を口走ったの。
「敵のマークが此方と同じ方角に動いてるんだよね? でも、空からの移動してた時にそんな表示がなかったって事だよね」
サトウの推測は敵とされる存在が私達の通った後、生まれてるんじゃないかと言うものだったの。
「どういうこと? 私達の通った後からって……」
「あくまでも仮定だけど、ソルトさん達が見たって言ってた雨だよ。雨に触れた人達が可笑しくなったって話、それがレナクル全土に広がってるんじゃないかな?」
急いでマップを広げる、通ってきた間に見てきた村などにマップを合わせる。
そこには見たくない光景が広がっていたわ……緑の点滅が毒マークと共に赤い点滅へと変わっていく。
サトウの考えは残念だけど当たっていたの。
私達は休む事を止め、急いで目的地を目指して先を進んだの。
地下を進み事でかなりの時間を消費したけど、私とリーヴル、メルリの三人で土を柔らかくし、センチピードのオリンとオランが疲れた際にはサトウのゴーレム部隊が穴堀を交代してくれたの。
それから二日間の過酷な地中生活を過ごすことになり、私とリーヴルが魔法で空気を作り出し、食事はパンと干し肉を食べたわ。
レナクル王国に辿り着いた私達は地上に出る際にも全身に雨よけの魔法を使い、口元を水を弾く魔法を掛けた布でしっかりと覆う事で準備を整える。
「皆、今から地上に出るわ。雨よけの魔法は約半日しか持たないの、あと、私自身は直ぐに掛けられるけど、皆に使う際には体に合わせないとだから、直ぐに再発動は出来ないわ。時間との勝負になるわよ。いいわね!」
皆が無言でうなづき、それを確認した私は敵がいない場所を見つけ、出口を作るように指示を出したの。
二日ぶりの地上にはピンクの雨が毒々しく降り続いていたのだろう、雨水が土に染み込まずに大きな水溜まりになり、溢れた雨水は川に流れ、川の水が薄ピンクに変色しているのがわかったわ。
「これじゃ、井戸水も川の水も口に出来ないわね……」
周囲を見渡せば、力なく葉を落とした木々と萎れた草花が無惨に地面に横倒れになっていたわ。
時間がないのは私達だけでなく、レナクル王国その物であり、この現状が世界に広がればやがて全てが崩壊する……そんな危機感を感じずには要られない光景だったわ。
幾ら地中深く掘った穴を進んでいても雨水は土に浸透する筈なの、地中を進み始めて二時間ばかりの時間が過ぎた今も地上から雨水が流れ落ちてくる様子がないの。
「可笑しいわね、間違いなく雨は降り続いてる筈なのに、まさか止んでるのかしら?」
地中に潜る前の様子からは降り止むなんて、絶対に想像できない私は地中の中を写していたマップを地上に向けようと考えたの。
「皆、少し待って、マップを地上に向けるわ、雨が止んでるなら、空からの移動が一番早いから、調べてみるわ」
マップを地上に向けた瞬間、私は背筋を凍りつくような寒気に襲われたの。
地上を生む尽くすようにドクロマークが広がり、敵を示す赤い点滅が広範囲に私達の向かうレナクル王国へと向かって動いていたの。
何なのよ……地上で何が起きてるのよ。
私の表情を心配するようにメルリとサトウが声をかけてきたの。
「お嬢様、顔色が宜しくないですが、大丈夫ですか?」
「カミルちゃん、メルリの言う通りだよ。少し休んだ方がいいよ」
心配する二人に私はマップに写った地獄のような光景を説明したの。
二人は私同様に表情を曇らせたの、しかし、サトウが一言、予想だにしない事を口走ったの。
「敵のマークが此方と同じ方角に動いてるんだよね? でも、空からの移動してた時にそんな表示がなかったって事だよね」
サトウの推測は敵とされる存在が私達の通った後、生まれてるんじゃないかと言うものだったの。
「どういうこと? 私達の通った後からって……」
「あくまでも仮定だけど、ソルトさん達が見たって言ってた雨だよ。雨に触れた人達が可笑しくなったって話、それがレナクル全土に広がってるんじゃないかな?」
急いでマップを広げる、通ってきた間に見てきた村などにマップを合わせる。
そこには見たくない光景が広がっていたわ……緑の点滅が毒マークと共に赤い点滅へと変わっていく。
サトウの考えは残念だけど当たっていたの。
私達は休む事を止め、急いで目的地を目指して先を進んだの。
地下を進み事でかなりの時間を消費したけど、私とリーヴル、メルリの三人で土を柔らかくし、センチピードのオリンとオランが疲れた際にはサトウのゴーレム部隊が穴堀を交代してくれたの。
それから二日間の過酷な地中生活を過ごすことになり、私とリーヴルが魔法で空気を作り出し、食事はパンと干し肉を食べたわ。
レナクル王国に辿り着いた私達は地上に出る際にも全身に雨よけの魔法を使い、口元を水を弾く魔法を掛けた布でしっかりと覆う事で準備を整える。
「皆、今から地上に出るわ。雨よけの魔法は約半日しか持たないの、あと、私自身は直ぐに掛けられるけど、皆に使う際には体に合わせないとだから、直ぐに再発動は出来ないわ。時間との勝負になるわよ。いいわね!」
皆が無言でうなづき、それを確認した私は敵がいない場所を見つけ、出口を作るように指示を出したの。
二日ぶりの地上にはピンクの雨が毒々しく降り続いていたのだろう、雨水が土に染み込まずに大きな水溜まりになり、溢れた雨水は川に流れ、川の水が薄ピンクに変色しているのがわかったわ。
「これじゃ、井戸水も川の水も口に出来ないわね……」
周囲を見渡せば、力なく葉を落とした木々と萎れた草花が無惨に地面に横倒れになっていたわ。
時間がないのは私達だけでなく、レナクル王国その物であり、この現状が世界に広がればやがて全てが崩壊する……そんな危機感を感じずには要られない光景だったわ。
1
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる