261 / 310
4章 輝く未来
敵は戦神バルキュリアです2
しおりを挟む
ソルトとの話が終わると私達はソルトの海賊艦隊と海で二手に別れることになったわ。
本土へ向かう私達が敵に悟られぬようにソルト率いる海賊艦隊が真っ正面からレナクル王国を目指し、かなりのリスクを伴う覚悟で敵の注意を引き付ける事を約束してくれたの。
ソルト達の勇気ある決断は下手をすれば全滅に繋がる……そうなる前に絶対にバルキュリアの奴をなんとかしなくちゃ。
マップで教えられた地下通路の入り口までを確認するとメルリ達をビルクの力でポケットに入れるサイズまで体を縮めてから、全速力でデンキチに目的地を目指して貰ったわ。
地下通路までの道のりは予想以上にアッサリとした物だったわ。
船だと座礁する恐れもあったけど、デンキチから見れば難易度中級の水泳コースぐらいにか感じなかったみたいね。
目的の島に到着してからはマップで地下通路まで一直線に進むことになったわ。
通路の入り口は意外な場所にあったの、私の背丈ほど成長した手入れされていない草むらの奥に小さな小屋がポツリと姿を現したの、扉を通れないデンキチを一旦、影に戻し、室内に入る。
殺風景な室内をマップと照らし合わせ地下に続く隠し扉がテーブルの下に隠されているのを発見したの、説明不足なソルトに文句を言いたくなりながらも先を急いだわ。
通路はカビ臭く、長い間使われていないのが直ぐに理解できたわ、長い真っ直ぐに下に続く階段。
一歩、一歩降りていく度に靴の底から埃が舞い上がり、靴の表面と体にまとわりついていく感覚は不快に感じずにいられなかったわ。
次第にさし込んでいた光が届かなくなり、光魔法を使い地下通路を照しながら進む。
ポケットから心配そうに顔を出すメルリ。
「……コホ……コホ……お嬢様、大丈夫ですか」
埃で噎せるメルリの頭を覆うように手を伸ばす。
「大丈夫よ。それよりも、しっかりと掴まってて、真っ直ぐな通路に出たわ」
そう口に出すとメルリはうなづき、急いでポケットの奥へとサトウとビルクと共に潜るとポッケを“ギュっ”と、掴んだの。
全身に風の防壁を発動し、心の中で秒読みを行う、迷うことなく踏み出した一歩は次第に加速し終わりが見えないほどの暗闇に包まれた通路をまるで一筋の閃光の如く突き進んでいく。
数分間の全力疾走のかいもあり、私の後ろには埃が霧のように舞い上がり一面を嫌な白い世界が広がっていたわ。
そして、目の前にはうっすらと地上から射し込む光が階段の上に確認出来たの。
「本当に長かったわ。でも本当の意味でやっとレナクル王国に辿り着いたのね。扉を出れば、敵地か……気を抜かないようにしないと」
階段の上に歩みを進める最中、射し込んでいた光が若干動いたように見えたの。
焦る気持ちを必死に我慢しながら、光が射し込んでいた隙間に眼を細める。
隙間から見えた光景は普通の家を思わせる天井、壁には子供用の帽子がかけられ、耳にはそう遠くない位置から聞き取り難いながらに老人と少年の会話が耳に入る。
「そっちの部屋には行っちゃいかんぞ、悪戯ばかりしてると、海賊の幽霊が現れて、連れ去られちまうぞ」
「じいちゃん、海賊達はレナクル王国の味方なんだよ! 今は喧嘩してるみたいだけど……俺も将来は海賊になって悪い奴らをやっつけるんだからさ」
正気を保った会話を聞き、お爺さんと少年が操られてないと信じて姿をゆっくりと現す事にしたの。
地下通路の出口となっていた室内へと繋がる隠し通路の木の板に手をかけ、脅かさないように慎重に持ち上げる。
そんな私と少年が互いに眼を合わせてしまった瞬間、少年は大声をあげたね。
「か、海賊の幽霊だァァァァ!」
少年の祖父が慌てて駆け寄り、私の姿に驚きを露にしたの。
平和的にと考えてたのに……でも、流石にお爺さんと少年は倒せないわよ……参ったわね。
本土へ向かう私達が敵に悟られぬようにソルト率いる海賊艦隊が真っ正面からレナクル王国を目指し、かなりのリスクを伴う覚悟で敵の注意を引き付ける事を約束してくれたの。
ソルト達の勇気ある決断は下手をすれば全滅に繋がる……そうなる前に絶対にバルキュリアの奴をなんとかしなくちゃ。
マップで教えられた地下通路の入り口までを確認するとメルリ達をビルクの力でポケットに入れるサイズまで体を縮めてから、全速力でデンキチに目的地を目指して貰ったわ。
地下通路までの道のりは予想以上にアッサリとした物だったわ。
船だと座礁する恐れもあったけど、デンキチから見れば難易度中級の水泳コースぐらいにか感じなかったみたいね。
目的の島に到着してからはマップで地下通路まで一直線に進むことになったわ。
通路の入り口は意外な場所にあったの、私の背丈ほど成長した手入れされていない草むらの奥に小さな小屋がポツリと姿を現したの、扉を通れないデンキチを一旦、影に戻し、室内に入る。
殺風景な室内をマップと照らし合わせ地下に続く隠し扉がテーブルの下に隠されているのを発見したの、説明不足なソルトに文句を言いたくなりながらも先を急いだわ。
通路はカビ臭く、長い間使われていないのが直ぐに理解できたわ、長い真っ直ぐに下に続く階段。
一歩、一歩降りていく度に靴の底から埃が舞い上がり、靴の表面と体にまとわりついていく感覚は不快に感じずにいられなかったわ。
次第にさし込んでいた光が届かなくなり、光魔法を使い地下通路を照しながら進む。
ポケットから心配そうに顔を出すメルリ。
「……コホ……コホ……お嬢様、大丈夫ですか」
埃で噎せるメルリの頭を覆うように手を伸ばす。
「大丈夫よ。それよりも、しっかりと掴まってて、真っ直ぐな通路に出たわ」
そう口に出すとメルリはうなづき、急いでポケットの奥へとサトウとビルクと共に潜るとポッケを“ギュっ”と、掴んだの。
全身に風の防壁を発動し、心の中で秒読みを行う、迷うことなく踏み出した一歩は次第に加速し終わりが見えないほどの暗闇に包まれた通路をまるで一筋の閃光の如く突き進んでいく。
数分間の全力疾走のかいもあり、私の後ろには埃が霧のように舞い上がり一面を嫌な白い世界が広がっていたわ。
そして、目の前にはうっすらと地上から射し込む光が階段の上に確認出来たの。
「本当に長かったわ。でも本当の意味でやっとレナクル王国に辿り着いたのね。扉を出れば、敵地か……気を抜かないようにしないと」
階段の上に歩みを進める最中、射し込んでいた光が若干動いたように見えたの。
焦る気持ちを必死に我慢しながら、光が射し込んでいた隙間に眼を細める。
隙間から見えた光景は普通の家を思わせる天井、壁には子供用の帽子がかけられ、耳にはそう遠くない位置から聞き取り難いながらに老人と少年の会話が耳に入る。
「そっちの部屋には行っちゃいかんぞ、悪戯ばかりしてると、海賊の幽霊が現れて、連れ去られちまうぞ」
「じいちゃん、海賊達はレナクル王国の味方なんだよ! 今は喧嘩してるみたいだけど……俺も将来は海賊になって悪い奴らをやっつけるんだからさ」
正気を保った会話を聞き、お爺さんと少年が操られてないと信じて姿をゆっくりと現す事にしたの。
地下通路の出口となっていた室内へと繋がる隠し通路の木の板に手をかけ、脅かさないように慎重に持ち上げる。
そんな私と少年が互いに眼を合わせてしまった瞬間、少年は大声をあげたね。
「か、海賊の幽霊だァァァァ!」
少年の祖父が慌てて駆け寄り、私の姿に驚きを露にしたの。
平和的にと考えてたのに……でも、流石にお爺さんと少年は倒せないわよ……参ったわね。
1
お気に入りに追加
548
あなたにおすすめの小説

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅
あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり?
異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました!
完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

願いの代償
らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。
公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。
唐突に思う。
どうして頑張っているのか。
どうして生きていたいのか。
もう、いいのではないだろうか。
メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。
*ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。
※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

一家処刑?!まっぴらごめんですわ!!~悪役令嬢(予定)の娘といじわる(予定)な継母と馬鹿(現在進行形)な夫
むぎてん
ファンタジー
夫が隠し子のチェルシーを引き取った日。「お花畑のチェルシー」という前世で読んだ小説の中に転生していると気付いた妻マーサ。 この物語、主人公のチェルシーは悪役令嬢だ。 最後は華麗な「ざまあ」の末に一家全員の処刑で幕を閉じるバッドエンド‥‥‥なんて、まっぴら御免ですわ!絶対に阻止して幸せになって見せましょう!! 悪役令嬢(予定)の娘と、意地悪(予定)な継母と、馬鹿(現在進行形)な夫。3人の登場人物がそれぞれの愛の形、家族の形を確認し幸せになるお話です。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる