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4章 輝く未来
敵は戦神バルキュリアです2
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ソルトとの話が終わると私達はソルトの海賊艦隊と海で二手に別れることになったわ。
本土へ向かう私達が敵に悟られぬようにソルト率いる海賊艦隊が真っ正面からレナクル王国を目指し、かなりのリスクを伴う覚悟で敵の注意を引き付ける事を約束してくれたの。
ソルト達の勇気ある決断は下手をすれば全滅に繋がる……そうなる前に絶対にバルキュリアの奴をなんとかしなくちゃ。
マップで教えられた地下通路の入り口までを確認するとメルリ達をビルクの力でポケットに入れるサイズまで体を縮めてから、全速力でデンキチに目的地を目指して貰ったわ。
地下通路までの道のりは予想以上にアッサリとした物だったわ。
船だと座礁する恐れもあったけど、デンキチから見れば難易度中級の水泳コースぐらいにか感じなかったみたいね。
目的の島に到着してからはマップで地下通路まで一直線に進むことになったわ。
通路の入り口は意外な場所にあったの、私の背丈ほど成長した手入れされていない草むらの奥に小さな小屋がポツリと姿を現したの、扉を通れないデンキチを一旦、影に戻し、室内に入る。
殺風景な室内をマップと照らし合わせ地下に続く隠し扉がテーブルの下に隠されているのを発見したの、説明不足なソルトに文句を言いたくなりながらも先を急いだわ。
通路はカビ臭く、長い間使われていないのが直ぐに理解できたわ、長い真っ直ぐに下に続く階段。
一歩、一歩降りていく度に靴の底から埃が舞い上がり、靴の表面と体にまとわりついていく感覚は不快に感じずにいられなかったわ。
次第にさし込んでいた光が届かなくなり、光魔法を使い地下通路を照しながら進む。
ポケットから心配そうに顔を出すメルリ。
「……コホ……コホ……お嬢様、大丈夫ですか」
埃で噎せるメルリの頭を覆うように手を伸ばす。
「大丈夫よ。それよりも、しっかりと掴まってて、真っ直ぐな通路に出たわ」
そう口に出すとメルリはうなづき、急いでポケットの奥へとサトウとビルクと共に潜るとポッケを“ギュっ”と、掴んだの。
全身に風の防壁を発動し、心の中で秒読みを行う、迷うことなく踏み出した一歩は次第に加速し終わりが見えないほどの暗闇に包まれた通路をまるで一筋の閃光の如く突き進んでいく。
数分間の全力疾走のかいもあり、私の後ろには埃が霧のように舞い上がり一面を嫌な白い世界が広がっていたわ。
そして、目の前にはうっすらと地上から射し込む光が階段の上に確認出来たの。
「本当に長かったわ。でも本当の意味でやっとレナクル王国に辿り着いたのね。扉を出れば、敵地か……気を抜かないようにしないと」
階段の上に歩みを進める最中、射し込んでいた光が若干動いたように見えたの。
焦る気持ちを必死に我慢しながら、光が射し込んでいた隙間に眼を細める。
隙間から見えた光景は普通の家を思わせる天井、壁には子供用の帽子がかけられ、耳にはそう遠くない位置から聞き取り難いながらに老人と少年の会話が耳に入る。
「そっちの部屋には行っちゃいかんぞ、悪戯ばかりしてると、海賊の幽霊が現れて、連れ去られちまうぞ」
「じいちゃん、海賊達はレナクル王国の味方なんだよ! 今は喧嘩してるみたいだけど……俺も将来は海賊になって悪い奴らをやっつけるんだからさ」
正気を保った会話を聞き、お爺さんと少年が操られてないと信じて姿をゆっくりと現す事にしたの。
地下通路の出口となっていた室内へと繋がる隠し通路の木の板に手をかけ、脅かさないように慎重に持ち上げる。
そんな私と少年が互いに眼を合わせてしまった瞬間、少年は大声をあげたね。
「か、海賊の幽霊だァァァァ!」
少年の祖父が慌てて駆け寄り、私の姿に驚きを露にしたの。
平和的にと考えてたのに……でも、流石にお爺さんと少年は倒せないわよ……参ったわね。
本土へ向かう私達が敵に悟られぬようにソルト率いる海賊艦隊が真っ正面からレナクル王国を目指し、かなりのリスクを伴う覚悟で敵の注意を引き付ける事を約束してくれたの。
ソルト達の勇気ある決断は下手をすれば全滅に繋がる……そうなる前に絶対にバルキュリアの奴をなんとかしなくちゃ。
マップで教えられた地下通路の入り口までを確認するとメルリ達をビルクの力でポケットに入れるサイズまで体を縮めてから、全速力でデンキチに目的地を目指して貰ったわ。
地下通路までの道のりは予想以上にアッサリとした物だったわ。
船だと座礁する恐れもあったけど、デンキチから見れば難易度中級の水泳コースぐらいにか感じなかったみたいね。
目的の島に到着してからはマップで地下通路まで一直線に進むことになったわ。
通路の入り口は意外な場所にあったの、私の背丈ほど成長した手入れされていない草むらの奥に小さな小屋がポツリと姿を現したの、扉を通れないデンキチを一旦、影に戻し、室内に入る。
殺風景な室内をマップと照らし合わせ地下に続く隠し扉がテーブルの下に隠されているのを発見したの、説明不足なソルトに文句を言いたくなりながらも先を急いだわ。
通路はカビ臭く、長い間使われていないのが直ぐに理解できたわ、長い真っ直ぐに下に続く階段。
一歩、一歩降りていく度に靴の底から埃が舞い上がり、靴の表面と体にまとわりついていく感覚は不快に感じずにいられなかったわ。
次第にさし込んでいた光が届かなくなり、光魔法を使い地下通路を照しながら進む。
ポケットから心配そうに顔を出すメルリ。
「……コホ……コホ……お嬢様、大丈夫ですか」
埃で噎せるメルリの頭を覆うように手を伸ばす。
「大丈夫よ。それよりも、しっかりと掴まってて、真っ直ぐな通路に出たわ」
そう口に出すとメルリはうなづき、急いでポケットの奥へとサトウとビルクと共に潜るとポッケを“ギュっ”と、掴んだの。
全身に風の防壁を発動し、心の中で秒読みを行う、迷うことなく踏み出した一歩は次第に加速し終わりが見えないほどの暗闇に包まれた通路をまるで一筋の閃光の如く突き進んでいく。
数分間の全力疾走のかいもあり、私の後ろには埃が霧のように舞い上がり一面を嫌な白い世界が広がっていたわ。
そして、目の前にはうっすらと地上から射し込む光が階段の上に確認出来たの。
「本当に長かったわ。でも本当の意味でやっとレナクル王国に辿り着いたのね。扉を出れば、敵地か……気を抜かないようにしないと」
階段の上に歩みを進める最中、射し込んでいた光が若干動いたように見えたの。
焦る気持ちを必死に我慢しながら、光が射し込んでいた隙間に眼を細める。
隙間から見えた光景は普通の家を思わせる天井、壁には子供用の帽子がかけられ、耳にはそう遠くない位置から聞き取り難いながらに老人と少年の会話が耳に入る。
「そっちの部屋には行っちゃいかんぞ、悪戯ばかりしてると、海賊の幽霊が現れて、連れ去られちまうぞ」
「じいちゃん、海賊達はレナクル王国の味方なんだよ! 今は喧嘩してるみたいだけど……俺も将来は海賊になって悪い奴らをやっつけるんだからさ」
正気を保った会話を聞き、お爺さんと少年が操られてないと信じて姿をゆっくりと現す事にしたの。
地下通路の出口となっていた室内へと繋がる隠し通路の木の板に手をかけ、脅かさないように慎重に持ち上げる。
そんな私と少年が互いに眼を合わせてしまった瞬間、少年は大声をあげたね。
「か、海賊の幽霊だァァァァ!」
少年の祖父が慌てて駆け寄り、私の姿に驚きを露にしたの。
平和的にと考えてたのに……でも、流石にお爺さんと少年は倒せないわよ……参ったわね。
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