楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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4章 輝く未来

光の矛先……永遠をなくす者です10

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 水平線から天に向かう朝日と共に“キュオオォォォォッ!”とビッグアザーの声が鳴り響く。

 眠気眼を擦り甲板に向かうとバトラング王国が目と鼻の先に見えていたの。

「うう~ん、ハァ! やっと帰って来たのね」

 甲板に出て直ぐに軽く両手を天に伸ばし、大きく延びをする。

「今日は早いのぉ、まぁビッグアザーの雄叫びは下手な目覚ましより、効果があるからのぉ」

 両手を組み、バトラング王国を見つめるペンネ。

「そうですね。あ、でも、カミルはイベントなんかのある日は早起きなんですよ」

 ペンネに楽しそうにそう答えるアララ。

 まるで私が来るのがわかってたように、その場に立っている二人は私に微笑み掛ける。

 そんな私の背後からも視線を感じる、視線が無くなった一瞬の隙を見計らい、振り向くとリーヴルの頭が隠れきれずに見えていたわ。

「ふふ、今日は忙しくなるわ。ペンネ、アララ。サポートをしっかり頼むわよ……それと、リーヴル? 隠れてないで出てきなさい!」

 声に“ビクッ” と反応するとリーヴルが苦笑いで姿を現したわ。

「リーヴルもしっかりと私のサポートを頼むわよ?」

「う、うん。任せてほしいかな」

 その場に居た私を含む四人に笑みがうまれたのと同じ頃、バトラング王国から数隻のガレオン船が接近してきたの。

 ガレオン船から“カミル様ァァァァ”と歓声が一気に上がるとビッグアザーの左右に別れたガレオン船団から使者が挨拶をすると護衛をするようにバトラング王国の港まで誘導を開始したの。

 いよいよ、バトラング王国ね。

 港に近づくにつれて、バイキング達が集まりだし、帰還を祝う紙吹雪が舞い上がっていたわ。

 ビッグアザーが港に到着し、私を含む全員がバトラング王国へと上陸したわ。

 私達はビッグアザーの世話係りと護衛を残し、その足でバトラング城へと向かう。
 移動の際には用意された馬車を使わせてもらったわ。

 案内人が全ての馬車に一人付き、5台全ての馬車が迷うことなくバトラング城へと無事に辿り着いたわ。

 バイキング用に作られた巨大な馬車は1台で大体、12人程乗ることが出来るわ。
 
 総勢60名が今回、バトラング城へと辿り着いた事実を前に、城門を守護するバトラング王国軍は若干の緊張に包まれているのが表情から見てとれたわ。

 理由としてはあれね、私の存在が大きいみたいだわ。

 私も初めてバトラング王国に来た際は見た目から危険人物だなんて思われなかったもの、そんな私が連れてきた仲間であり、魔王であるペンネの存在、よくよく考えてみれば、危機感を感じない筈がないわね。

 そんな中、シュビナが私達の出迎えの為に姿を現したの。

 城門が開かれると同時にシュビナは私の側に近づくと両手で私を抱き抱えたの。

 長身のシュビナが軽々と私を抱き抱える姿はまるで父娘にしか見えないわ。

「な、なにするのよ! ちょ、シュビナってば」

 いきなりの事に驚き赤面する私を楽しそうな表情で見上げるシュビナ。

「カミル。オレは再会できて嬉しいんだ。喜びの表れだ受け入れてくれ」

 シュビナとの再会も束の間、その日のうちに私はアフロディアスの花を前にすることを決めていたの。

「シュビナ、行ってくるわ。アフロディアスの花の呪いは絶対に解除して見せるから、しっかり待ってて!」

 地下でミズチさんと合流した私は悩むことなくアフロディアスの花と向き合う事になったわ。

 その時間は一瞬であり、永遠にも感じる曖昧なもので、時間軸と現実に挟まれたような感覚の中で私は数時間と錯覚する時間を解除に費やしていたの。

 他の誰もが成功しなかったのは、難しいんじゃなくて、単純な魔力不足だったと言う理不尽な事実にバルキュリアへの怒りを感じたわ。

 それと同時に今までに流れてきた多くの涙に対しての無念さを感じずにはいられなかったわ。

 マズいわ……魔力が底をつく……悔しい、なんで、あと少しなのに!

 私の魔力が限界を迎えようとした瞬間だったわ、凄まじい魔力が体内に流れ込んできたの。

「よく分からないけど、此れなら! ハアァァァァッ! いろんな考えをめぐらせたけど、ヤッパリ……哀しみの連鎖なんか要らないわァァァァ!」

 魔力が一気に流れ込み中から解除魔力が発動し、更に外に呪いの力が流れ出さぬよう防魔魔法が何重にも発動する。

 この瞬間、アフロディアスの花に変化があらわれ、蕾が動き花を咲かせたわ、同時に黒い影が一斉に外に飛び出そうとする。

 形をまるで鬼のように変えた呪いの塊が私に向かって襲い掛かってくる。

「アンタが呪いね、形さえあれば、容赦しないわ! 消えてなくなりなさいッ!」

 解術魔法を限界まで圧縮し、私は呪いに目掛けて撃ち放つ。

“うわぁぁぁぁッ!”と断末魔のような叫び声を放ち呪いが消し飛ぶと最後に残ったのは美しい真っ赤なアフロディアスの花だけだったわ。

 意識がそこで途絶えると私は深い眠りに落ちていったの。
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