楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
235 / 310
4章 輝く未来

光の矛先……永遠をなくす者です6

しおりを挟む
 夕食になり、豪華な料理が並ぶテーブル、図書室で出会った管理者のリーヴルについて質問をすることにしたの。

 リーヴル本人は自身の事を余り語らなかった事と質問しても返答が曖昧だった為、少しずるいがペンネに訪ねる事にしたの。

「なんじゃ、奴め……カミルに姿を見せたのか? それなのにすまなかったのぉ、奴は偏屈と言うか、かなりの変わり者なのじゃ」

 ペンネはそう言いながら、微かに頭を悩ませていたわ。

「まぁ、確かに少し変わってたけど、悪い人には見えなかったわよ?」

「ふむ……それがのぉ、奴が姿を現した際には決まって怪我人が出ていたからなぁ? しばらく目撃されていなかったからと安心しておったが、いや、すまぬ」

 ペンネの表情から本当にリーヴルの存在は危険なんだと気づかされたわ。

 私は何故、無事だったのかが気になり、更に話を詳しく聞くことにしたの。

「むむ、カミルに話して良いのか……正直、あまり気が進まぬのじゃがなぁ……」

 数秒の沈黙が過ぎ去り、ペンネの口から真実が語られたの。

「リーヴルの奴は、小さな子供を大切にするようでな……カミルが、多分じゃが……小さな少女に見えた事が理由じゃないかのぉ?」

 全身に電流が走るほどの衝撃だったわ。
 予想外の内容に改めて考えてみると笑みすら浮かぶわね。

「つまり、私が……はは、納得だわ。まぁ、お陰でいろんな回復魔法を知る事が出来たから良しとするわ」

 そして話題はリーヴルの正体について語られたの。

 リーヴルは【管理者】と自身の事を説明していたけど、実際は【監視者】らしいの。

 マドラッドの城には数多の書物があり、城内ならば好きに読むことが許されてるの。

 しかし、持ち出しに関しては厳しく罰則を設けているのよね。

 理由としては国外への持ち出しの禁止にあるわ、実際に魔法のメカニズムや、マドラッド島の独自に進化した生活スタイルは他国からすれば、喉から手が出る程に欲しいものばかりの筈だもの。

 そんな厳しいルールも、やはり、すり抜ける者達の存在が目立ち出すと先代の魔王は悩んだ末に、一冊の魔本まほんを使うことにしたそうよ。

 魔本にルールを記し、魔王の力の一部を与えたそうなの、魔本は姿を美しく優しそうな女性の姿に変えるとマドラッド城の全ての書物の管理者と監視者となったそうなの。

「此れがリーヴルの生まれた理由じゃ、カミルに自身の話をしなかったのは、自身の存在が魔本であると知られたくなかったのじゃろうな」

 私は話を聞き、リーヴルの事が更に気になってしまっていた。

「ねぇ、リーヴルは管理者と監視者をいつまで続けなくちゃならないのかなぁ? 今のマドラッドは貿易や他国間交流も進んでるわ……今のリーヴルの立場は本当に必要なのかな?」

 その言葉に悩んだ表情を浮かべるペンネ。

「そうなんじゃが、リーヴル本人だけの問題でもないのじゃ、解放して遣りたい気持ちはあるが、リーヴルを一度、魔本に戻し、さらに魔本に新たな内容を書き足す必要があるのじゃ」

 簡単な話に聞こえたけど、先代魔王の魔力を解除し、更に魔本の状態を維持しながら、魔本に魔力を込めた文字を記すのは凄まじい魔力が必要となるそうなの。

 しかも……先代魔王が一人で作り出した際、ルールに“ルールを記す際は一人で行わなければ無効化される”と記しているわ、複数で魔本に魔力を注ごうとすれば、魔力無効化の防御魔法が発動する仕組みね。つまり、一人で全て行う必要があるの。

 ただ、私は窓から外を見ていたリーヴルの寂しそうな眼が忘れられないの。

「ペンネ……ビッグアザーにもう一日、休息を取ってもらって。明日には魔力がほぼ、回復するわ。メルリやシュビナ達には悪いけど、明日の朝、リーヴルを解放わ」

 私の言葉にペンネは軽く頷き「そう言うと思っておった。明日は妾とアララが見届けるから安心せよ」と口にしたの。

 私の御人好しにも、困ったもんだわ……悪い子になるとか、言ってた頃が懐かしいわね。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

2回目の人生は異世界で

黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜

シュガーコクーン
ファンタジー
 女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。  その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!  「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。  素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯ 旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」  現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。

【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜

福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。 彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。 だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。 「お義姉さま!」           . . 「姉などと呼ばないでください、メリルさん」 しかし、今はまだ辛抱のとき。 セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。 ──これは、20年前の断罪劇の続き。 喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。 ※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。 旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』 ※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。 ※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。

処理中です...