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4章 輝く未来
涙はいつか実る物です3
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アララが目覚めたのは騒動から2時間ほど後のことだったわ。
腫れ上がった唇は真っ赤ね、凄く痛そうだわ……
「カ、カリル! ごれんらさい、ごれんらさい、もうひまへんから」
上手く喋れないみたいね……まあ、そうなるわよね、【チリチリまる】を一気に流し込んだんだもの……やり過ぎたわ。
「あ、アララ……口直しに甘い御菓子を用意したわ。それといっぱい牛乳も貰っておいたから、先ずは食べ……」
私が話を終える前に御菓子を食べ始め、牛乳を一気に飲みほすアララ。
正直──食べてくれないかと思ったけど、食べてくれてよかったわ。
「復活です! 嗚呼、カミル……なんて酷い事をするんですか! さっきまで喉が火山みたいだったんですよ! 女神じゃなかったら大変だったんですよ!」
そう言い、2杯目の牛乳を一気に飲みほしたの。
アララが落ち着くまで待ち、タイミングを見計らい私はアララに逃げ出した理由や知っている事を話して欲しいと口にしたの。
「アララ、お願いよ。知っている事を全て話して」
私の顔を見て、悩みながらも決断したように頷くと「私が語ればカミルは、アフロディアスの花を咲かす事が出来なくなるんです……」と言ったの。
混乱したわ。単純に考えても意味がわからないもの。
アララは咲かせ方に触れないように真実を語り始めたわ。
アフロディアスの花は名前と違い、バルキュリアが作り出した“呪いの花”であり、その花にアフロディアスが祝福の魔法を再度掛けた物だと言われたの。
不幸の魔法と祝福の魔法が重なり複雑に混ざりあった結果、最高の不幸が生まれると同時に最悪の幸福も生み出す存在となっているとも言われたわ。
幸福と不幸の連鎖は次第に重なり螺旋階段のように繋がって言ったと言われたの、どちらかを解除すれば、不幸と幸福が一気に降り掛かり、その力にシュビナは耐えられないだろうと……
アフロディアスの花が咲けば呪いは無くなる──それは同時にカルムの血が途絶える可能性を伴っていたの。
真実は残酷でしかなかったわ。
「つまりさ、不幸を捩じ伏せる幸福が存在すれば問題ないってことね」
「それはそうですが……」
言葉を濁すように目線をそらすアララ。
「カミル、ハッキリ言います! 呪いを打ち消すには、それだけの力が必要になります、長い年月をかけて蓄積された呪いは既に呪縛と言うべき存在になってしまっています。私は出来ることなら、カミルに絶望してほしくないんです……」
言葉に感情が重なり、強弱のついた声は波のようにアララの言葉を悲しく飾っていく。
今にも泣き出しそうなアララを見て、図書館での発言──あれは私を真実から遠ざけたかったんだと感じたわ。
「大丈夫よ。アララ、今から村祭りに向かうわよ。それから明日の朝一番にバトラング王国に帰るわよ。しっかり楽しみましょう」
私なりの不器用ながらの仲直りの言葉……出来るなら今は笑いたいもの……
「駄目です……明日帰るなんて出来ません……」
アララはハッキリとそう語ったの。
「アララ……」
「カミル、明日が、明日が祭りの本番なんです! 前夜祭だけなんて、絶対に嫌です! それこそ、不幸の始まりです!」
緊迫した空気を一瞬でぶち壊すアララの発言に私は少しだけ、怒りに震えたわ──でも、その言葉に笑わされてしまったの。
私のバトラング王国への帰還は二日後になる、移動も合わせれば10日後にはバトラング王国につく予定よ。
その間にじい様とシシリさんに教えてもらった解呪魔法を幾つか重ね掛け出来ないかを試すつもりよ。
まだまだ、やることが山積みだわね。
腫れ上がった唇は真っ赤ね、凄く痛そうだわ……
「カ、カリル! ごれんらさい、ごれんらさい、もうひまへんから」
上手く喋れないみたいね……まあ、そうなるわよね、【チリチリまる】を一気に流し込んだんだもの……やり過ぎたわ。
「あ、アララ……口直しに甘い御菓子を用意したわ。それといっぱい牛乳も貰っておいたから、先ずは食べ……」
私が話を終える前に御菓子を食べ始め、牛乳を一気に飲みほすアララ。
正直──食べてくれないかと思ったけど、食べてくれてよかったわ。
「復活です! 嗚呼、カミル……なんて酷い事をするんですか! さっきまで喉が火山みたいだったんですよ! 女神じゃなかったら大変だったんですよ!」
そう言い、2杯目の牛乳を一気に飲みほしたの。
アララが落ち着くまで待ち、タイミングを見計らい私はアララに逃げ出した理由や知っている事を話して欲しいと口にしたの。
「アララ、お願いよ。知っている事を全て話して」
私の顔を見て、悩みながらも決断したように頷くと「私が語ればカミルは、アフロディアスの花を咲かす事が出来なくなるんです……」と言ったの。
混乱したわ。単純に考えても意味がわからないもの。
アララは咲かせ方に触れないように真実を語り始めたわ。
アフロディアスの花は名前と違い、バルキュリアが作り出した“呪いの花”であり、その花にアフロディアスが祝福の魔法を再度掛けた物だと言われたの。
不幸の魔法と祝福の魔法が重なり複雑に混ざりあった結果、最高の不幸が生まれると同時に最悪の幸福も生み出す存在となっているとも言われたわ。
幸福と不幸の連鎖は次第に重なり螺旋階段のように繋がって言ったと言われたの、どちらかを解除すれば、不幸と幸福が一気に降り掛かり、その力にシュビナは耐えられないだろうと……
アフロディアスの花が咲けば呪いは無くなる──それは同時にカルムの血が途絶える可能性を伴っていたの。
真実は残酷でしかなかったわ。
「つまりさ、不幸を捩じ伏せる幸福が存在すれば問題ないってことね」
「それはそうですが……」
言葉を濁すように目線をそらすアララ。
「カミル、ハッキリ言います! 呪いを打ち消すには、それだけの力が必要になります、長い年月をかけて蓄積された呪いは既に呪縛と言うべき存在になってしまっています。私は出来ることなら、カミルに絶望してほしくないんです……」
言葉に感情が重なり、強弱のついた声は波のようにアララの言葉を悲しく飾っていく。
今にも泣き出しそうなアララを見て、図書館での発言──あれは私を真実から遠ざけたかったんだと感じたわ。
「大丈夫よ。アララ、今から村祭りに向かうわよ。それから明日の朝一番にバトラング王国に帰るわよ。しっかり楽しみましょう」
私なりの不器用ながらの仲直りの言葉……出来るなら今は笑いたいもの……
「駄目です……明日帰るなんて出来ません……」
アララはハッキリとそう語ったの。
「アララ……」
「カミル、明日が、明日が祭りの本番なんです! 前夜祭だけなんて、絶対に嫌です! それこそ、不幸の始まりです!」
緊迫した空気を一瞬でぶち壊すアララの発言に私は少しだけ、怒りに震えたわ──でも、その言葉に笑わされてしまったの。
私のバトラング王国への帰還は二日後になる、移動も合わせれば10日後にはバトラング王国につく予定よ。
その間にじい様とシシリさんに教えてもらった解呪魔法を幾つか重ね掛け出来ないかを試すつもりよ。
まだまだ、やることが山積みだわね。
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