楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
195 / 310
3章 素敵なハニーフォレスト

思いの先にです1

しおりを挟む
 お婆さんが確りとした口調で「出来ない」と口にした時点で話し合いは終わりね。

「凄く残念だわ……私は貴女とは話し合いでなんとかしたいと考えてたんだけど!」

 私の表情を見つめるお婆さんは首を左右に振ると小さな溜め息を吐く。

「見た目より短気だねぇ? 儂は出来ぬから“出来ない”と素直に言ったんだがねぇ、何せ、呪いなんて厄介な物には関わりたくないからねぇ」

 まるで他人事のように語るわね?

「シュビナが言ってたわ! 長老衆の呪いだって! 貴女は長老衆じゃないの!」

「賑やかな子だねぇ、さっきから表情がよく変わる? なら、自己紹介をしようじゃないか。儂は長老衆のミズチ。この通路を管理しておる」

 長老衆である事実を聞けたのは嬉しいわね。ただ、思ってたよりも長老衆が厄介そうなのよね。

「私はミルシュ、皆はカミルと呼ぶわね」

 名前を名乗った途端にお婆さんが私に近づき、目をいったん細めると一気に目を見開いたの。

「そうかい、そうかい、アンタがミルシュさんかい、話はシュビナから聞いてるよ。立ち話もなんだねぇ? 近くに座れる小屋がある、そこで少し話をしようじゃないか」

 いきなり何よ? てか、何で声が嬉しそうなの、しかも“ミルシュさん”ってまさかの“さん”付けだし……何を企んでるのかしら?

 そんな事を思いながら、お婆さんの後ろを付いていく、ただ、マップはオープンのままにしてるわ、罠であるならマップは確実に反応する筈だし、更に体に毒耐性と麻痺耐性の魔法を掛ける事にしたわ。

 最悪のシナリオは私が罠に掛かったと気づいた瞬間に既に意識が無くなってるパターンね、それだけは避けないとね。

 案内された小さな小屋、庭に作られたテラスへと案内される。

 目の前で丁寧に透明なポットへと湯が注がれ、中で茶葉がゆっくりと躍りだし湯を鮮やかな茶色に染めていく。
 輪切りにされたオレンジがゆっくりと浮かべられ、静かに柑橘系のエキスが紅茶であろう液体と一体化していく。

「此れは地下で育てた果実と茶葉を合わせた紅茶だよ。茶葉と一緒に干した柑橘系の皮と実を入れてあるんだよ」

 早い話がオレンジティーね、砂糖ポットから数個の砂糖が紅茶へと入れられていく。

 少し少なく感じながらも、グラスに注がれた紅茶をゆっくりと口にする。

 スッキリした味と見た目の鮮やかさに驚かされたわ。
 もし此れが太陽の下なら最高のティータイムだろうとすら感じるもの。

 私は紅茶を半分ほど飲み、気持ちを落ち着かせるように軽く息を吸う、口に広がるオレンジの香りは私を更に落ち着かせるように感じる。

「ミズチ……さん? 私は知りたいの、シュビナの呪いを解いてあげたいの、だからお願い……呪いは強制的に解除しても更に強まり、二度と解除出来ないものもあると本で読んだわ」

「ほう、外来の者だけあって、確りと知識を身に付けておるな、確かに呪いとはそう言うものじゃ、しかしな? 呪いは既に世界には存在しないだろうさ」

 ミズチさんは私に呪いとは、何かを語ってくれたの。

 私のイメージする“呪い”は、藁人形わらにんぎょうや髪の毛を使うものだと思ってたけど、実際は違っていたわ。

 呪いは相手に対して自分の命掛ける行為であり、恨みや妬みでは呪いは出来ないと言われたの。

 そして、驚く事にシュビナの言う呪いの正体が明らかになったの。

「シュビナの奴は昔から、この時期に体調を壊す、幾ら薬を体内に入れろと言っても聞かぬからな、王族のバイキングは病に対する耐性が人間と変わらぬからな」

 シュビナの一族は先代も含めて小柄でありながら、他のバイキングよりも力が強く肉体は強固に生まれるらしいの、その反面、他のバイキング達なら耐えられる病に対しての抗体が存在しないと言われたわ。

「早い話が、シュビナの奴は抗体を強化する薬品の投与を拒んでおるんじゃよ、抗体が体内に根付けば、病には掛からん、まぁ、力が弱くなる事が辛いのだろうな?」

 病に強くなれば、力が弱くなる、先代のそんな姿を知るシュビナは其れを拒絶し続けてると教えてくれたの。

「しかし、それよりもシュビナは注射が怖いんじゃよ。強固過ぎる肉体は未だに刃の痛むを知らぬからな、その肉体にすら突き刺さる“バルキュリアの針”が恐ろしいのだろうさ」

 笑いながらそう語るミズチさん。

「つまり、あれ! シュビナは注射が怖いってこと! あのバカ……ミズチさん、今から王宮に行くわよ! 今すぐにその針をシュビナに射すわ!」
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

転生したら死んだことにされました〜女神の使徒なんて聞いてないよ!〜

家具屋ふふみに
ファンタジー
大学生として普通の生活を送っていた望水 静香はある日、信号無視したトラックに轢かれてそうになっていた女性を助けたことで死んでしまった。が、なんか助けた人は神だったらしく、異世界転生することに。 そして、転生したら...「女には荷が重い」という父親の一言で死んだことにされました。なので、自由に生きさせてください...なのに職業が女神の使徒?!そんなの聞いてないよ?! しっかりしているように見えてたまにミスをする女神から面倒なことを度々押し付けられ、それを与えられた力でなんとか解決していくけど、次から次に問題が起きたり、なにか不穏な動きがあったり...? ローブ男たちの目的とは?そして、その黒幕とは一体...? 不定期なので、楽しみにお待ち頂ければ嬉しいです。 拙い文章なので、誤字脱字がありましたらすいません。報告して頂ければその都度訂正させていただきます。 小説家になろう様でも公開しております。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

処理中です...