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3章 素敵なハニーフォレスト
思いの先にです1
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お婆さんが確りとした口調で「出来ない」と口にした時点で話し合いは終わりね。
「凄く残念だわ……私は貴女とは話し合いでなんとかしたいと考えてたんだけど!」
私の表情を見つめるお婆さんは首を左右に振ると小さな溜め息を吐く。
「見た目より短気だねぇ? 儂は出来ぬから“出来ない”と素直に言ったんだがねぇ、何せ、呪いなんて厄介な物には関わりたくないからねぇ」
まるで他人事のように語るわね?
「シュビナが言ってたわ! 長老衆の呪いだって! 貴女は長老衆じゃないの!」
「賑やかな子だねぇ、さっきから表情がよく変わる? なら、自己紹介をしようじゃないか。儂は長老衆のミズチ。この通路を管理しておる」
長老衆である事実を聞けたのは嬉しいわね。ただ、思ってたよりも長老衆が厄介そうなのよね。
「私はミルシュ、皆はカミルと呼ぶわね」
名前を名乗った途端にお婆さんが私に近づき、目をいったん細めると一気に目を見開いたの。
「そうかい、そうかい、アンタがミルシュさんかい、話はシュビナから聞いてるよ。立ち話もなんだねぇ? 近くに座れる小屋がある、そこで少し話をしようじゃないか」
いきなり何よ? てか、何で声が嬉しそうなの、しかも“ミルシュさん”ってまさかの“さん”付けだし……何を企んでるのかしら?
そんな事を思いながら、お婆さんの後ろを付いていく、ただ、マップはオープンのままにしてるわ、罠であるならマップは確実に反応する筈だし、更に体に毒耐性と麻痺耐性の魔法を掛ける事にしたわ。
最悪のシナリオは私が罠に掛かったと気づいた瞬間に既に意識が無くなってるパターンね、それだけは避けないとね。
案内された小さな小屋、庭に作られたテラスへと案内される。
目の前で丁寧に透明なポットへと湯が注がれ、中で茶葉がゆっくりと躍りだし湯を鮮やかな茶色に染めていく。
輪切りにされたオレンジがゆっくりと浮かべられ、静かに柑橘系のエキスが紅茶であろう液体と一体化していく。
「此れは地下で育てた果実と茶葉を合わせた紅茶だよ。茶葉と一緒に干した柑橘系の皮と実を入れてあるんだよ」
早い話がオレンジティーね、砂糖ポットから数個の砂糖が紅茶へと入れられていく。
少し少なく感じながらも、グラスに注がれた紅茶をゆっくりと口にする。
スッキリした味と見た目の鮮やかさに驚かされたわ。
もし此れが太陽の下なら最高のティータイムだろうとすら感じるもの。
私は紅茶を半分ほど飲み、気持ちを落ち着かせるように軽く息を吸う、口に広がるオレンジの香りは私を更に落ち着かせるように感じる。
「ミズチ……さん? 私は知りたいの、シュビナの呪いを解いてあげたいの、だからお願い……呪いは強制的に解除しても更に強まり、二度と解除出来ないものもあると本で読んだわ」
「ほう、外来の者だけあって、確りと知識を身に付けておるな、確かに呪いとはそう言うものじゃ、しかしな? 呪いは既に世界には存在しないだろうさ」
ミズチさんは私に呪いとは、何かを語ってくれたの。
私のイメージする“呪い”は、藁人形や髪の毛を使うものだと思ってたけど、実際は違っていたわ。
呪いは相手に対して自分の命掛ける行為であり、恨みや妬みでは呪いは出来ないと言われたの。
そして、驚く事にシュビナの言う呪いの正体が明らかになったの。
「シュビナの奴は昔から、この時期に体調を壊す、幾ら薬を体内に入れろと言っても聞かぬからな、王族のバイキングは病に対する耐性が人間と変わらぬからな」
シュビナの一族は先代も含めて小柄でありながら、他のバイキングよりも力が強く肉体は強固に生まれるらしいの、その反面、他のバイキング達なら耐えられる病に対しての抗体が存在しないと言われたわ。
「早い話が、シュビナの奴は抗体を強化する薬品の投与を拒んでおるんじゃよ、抗体が体内に根付けば、病には掛からん、まぁ、力が弱くなる事が辛いのだろうな?」
病に強くなれば、力が弱くなる、先代のそんな姿を知るシュビナは其れを拒絶し続けてると教えてくれたの。
「しかし、それよりもシュビナは注射が怖いんじゃよ。強固過ぎる肉体は未だに刃の痛むを知らぬからな、その肉体にすら突き刺さる“バルキュリアの針”が恐ろしいのだろうさ」
笑いながらそう語るミズチさん。
「つまり、あれ! シュビナは注射が怖いってこと! あのバカ……ミズチさん、今から王宮に行くわよ! 今すぐにその針をシュビナに射すわ!」
「凄く残念だわ……私は貴女とは話し合いでなんとかしたいと考えてたんだけど!」
私の表情を見つめるお婆さんは首を左右に振ると小さな溜め息を吐く。
「見た目より短気だねぇ? 儂は出来ぬから“出来ない”と素直に言ったんだがねぇ、何せ、呪いなんて厄介な物には関わりたくないからねぇ」
まるで他人事のように語るわね?
「シュビナが言ってたわ! 長老衆の呪いだって! 貴女は長老衆じゃないの!」
「賑やかな子だねぇ、さっきから表情がよく変わる? なら、自己紹介をしようじゃないか。儂は長老衆のミズチ。この通路を管理しておる」
長老衆である事実を聞けたのは嬉しいわね。ただ、思ってたよりも長老衆が厄介そうなのよね。
「私はミルシュ、皆はカミルと呼ぶわね」
名前を名乗った途端にお婆さんが私に近づき、目をいったん細めると一気に目を見開いたの。
「そうかい、そうかい、アンタがミルシュさんかい、話はシュビナから聞いてるよ。立ち話もなんだねぇ? 近くに座れる小屋がある、そこで少し話をしようじゃないか」
いきなり何よ? てか、何で声が嬉しそうなの、しかも“ミルシュさん”ってまさかの“さん”付けだし……何を企んでるのかしら?
そんな事を思いながら、お婆さんの後ろを付いていく、ただ、マップはオープンのままにしてるわ、罠であるならマップは確実に反応する筈だし、更に体に毒耐性と麻痺耐性の魔法を掛ける事にしたわ。
最悪のシナリオは私が罠に掛かったと気づいた瞬間に既に意識が無くなってるパターンね、それだけは避けないとね。
案内された小さな小屋、庭に作られたテラスへと案内される。
目の前で丁寧に透明なポットへと湯が注がれ、中で茶葉がゆっくりと躍りだし湯を鮮やかな茶色に染めていく。
輪切りにされたオレンジがゆっくりと浮かべられ、静かに柑橘系のエキスが紅茶であろう液体と一体化していく。
「此れは地下で育てた果実と茶葉を合わせた紅茶だよ。茶葉と一緒に干した柑橘系の皮と実を入れてあるんだよ」
早い話がオレンジティーね、砂糖ポットから数個の砂糖が紅茶へと入れられていく。
少し少なく感じながらも、グラスに注がれた紅茶をゆっくりと口にする。
スッキリした味と見た目の鮮やかさに驚かされたわ。
もし此れが太陽の下なら最高のティータイムだろうとすら感じるもの。
私は紅茶を半分ほど飲み、気持ちを落ち着かせるように軽く息を吸う、口に広がるオレンジの香りは私を更に落ち着かせるように感じる。
「ミズチ……さん? 私は知りたいの、シュビナの呪いを解いてあげたいの、だからお願い……呪いは強制的に解除しても更に強まり、二度と解除出来ないものもあると本で読んだわ」
「ほう、外来の者だけあって、確りと知識を身に付けておるな、確かに呪いとはそう言うものじゃ、しかしな? 呪いは既に世界には存在しないだろうさ」
ミズチさんは私に呪いとは、何かを語ってくれたの。
私のイメージする“呪い”は、藁人形や髪の毛を使うものだと思ってたけど、実際は違っていたわ。
呪いは相手に対して自分の命掛ける行為であり、恨みや妬みでは呪いは出来ないと言われたの。
そして、驚く事にシュビナの言う呪いの正体が明らかになったの。
「シュビナの奴は昔から、この時期に体調を壊す、幾ら薬を体内に入れろと言っても聞かぬからな、王族のバイキングは病に対する耐性が人間と変わらぬからな」
シュビナの一族は先代も含めて小柄でありながら、他のバイキングよりも力が強く肉体は強固に生まれるらしいの、その反面、他のバイキング達なら耐えられる病に対しての抗体が存在しないと言われたわ。
「早い話が、シュビナの奴は抗体を強化する薬品の投与を拒んでおるんじゃよ、抗体が体内に根付けば、病には掛からん、まぁ、力が弱くなる事が辛いのだろうな?」
病に強くなれば、力が弱くなる、先代のそんな姿を知るシュビナは其れを拒絶し続けてると教えてくれたの。
「しかし、それよりもシュビナは注射が怖いんじゃよ。強固過ぎる肉体は未だに刃の痛むを知らぬからな、その肉体にすら突き刺さる“バルキュリアの針”が恐ろしいのだろうさ」
笑いながらそう語るミズチさん。
「つまり、あれ! シュビナは注射が怖いってこと! あのバカ……ミズチさん、今から王宮に行くわよ! 今すぐにその針をシュビナに射すわ!」
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