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3章 素敵なハニーフォレスト
バトラング王国は謎だらけです4
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長老衆……シュビナが教えてくれたのは、彼等が魔法と魔術を用いて地下から地上を守ってきた事実、そして今回のシュビナに対する呪いは愚王としての罰だと言われた事だったわ。
「地上を統治できぬ、王は必要ないそうだ……ふふ、まったく間抜けな話だ。人間の世界で言う道化だな、だが……国民に害が及ばぬのなら、よしとしよう」
シュビナの力ない笑いに私はどう表情を向けていいかわからない。
「シュビナ……アンタは確かに変わり者よ。私なんかの意見もしっかり聞くし、残酷な暴君だと言われながら皆に愛されてる……そんなアンタを愚王なんて呼ばせないわ」
シュビナに癒しの魔法と睡眠魔法を優しく掛ける。
苦しみが和らいだように眠るシュビナの表情を確認して私は静かにシュビナの私室を後にしたわ。
城の地下に向かう私を兵士達が申し訳なさそうに止めに入ってきたの。
「ミルシュ様……どうか、お戻りを! 此処より先は王族のみが許された通路に御座います!」
通路を埋め尽くすように重装甲兵が行く手を塞いできたわ。
「アンタ達さ、シュビナが苦しんでるのわかってる? アンタ達の王が自分より国民の心配をしてるのよ……本当にバカな王よ、そんなバカを苦しませたまま、呑気に待つなんて有り得ないわ」
片手に風魔法、もう片方に雷魔法を作り出し、ゆっくりと前進する。
私に近寄れば風に吹き飛ばされ、触れようものなら、意識が失うほどの電流が流れる。
道を塞いでいた重装甲兵達が簡単に意識を奪われ吹き飛ばされる光景は普通の兵士からすれば悪夢でしかない。
「わかったら、道をッ! あけなさい!」
威圧魔法を言葉に練り込み、放った瞬間、私の前で立っていられるバイキングは一人もいなかったわ。
通路を進むと巨大な扉が姿を現す。古代文字で(真実は見えぬ場所にあり)と掛かれていたわ。
私は謎解きは苦手なの、取り敢えず扉を強化した拳を振りかざし全力で殴ってみたわ。
でも、へこんだ扉の奥から音は反響してこない、つまり、扉の奥に道はないって事よね?
仕方無いわね、マップに頼るか。
マップには壁に通路が写し出され、その先に巨大なスペースが写し出されていたわ。
「道が決まったわね……となれば」
岩の壁に向かうと静かに呼吸を整える。
「じい様直伝、【怒りの拳】ッ!」
単純に一点に集中して拳を打ち出すだけだけど、しっかりと呼吸を整える事で加速と打撃力が上がった気がする一撃よ。
入り口の謎解き……不要よ。
『カミル、ルールとか常識、無視』
『黙りなさい、小さくなっても口はかわらずね、まったく』
デンキチの一言は冷静さが無くなっていた私に冷静さを取り戻させてくれたわ。こんな瞬間があるから仲間の存在が本当に有り難いと思うの。
岩の壁に大きく作られた穴、その先に繋がる広い一本道、目には見えないけど、道の間に無数の防壁魔法が作られ、通路が隠されてるみたい。
通路をマップで確認すると奥のスペースに繋がってる事が分かったわ。つまり、待ち伏せや挟み撃ちも視野に入れた構造になっているみたい。
デンキチのお陰で冷静になれたから良かったけど、あのまま突き進んでいたら、危なかったわ。
対処として、此方側から更に防壁魔法を展開したわ。通路からの不意打ちは此れで問題なしね。
既に私の存在に気づいて動き出してるのがわかる。私が通り過ぎるのを待ち構えてるみたいね?
「残念ね、私の防壁は簡単には壊せないわよ」
『ほっといていいの?』と不思議そうに尋ねるデンキチに私は優しく笑みを浮かべたわ。
『いいのよ。狙うは頭よ。長老衆を全員正座させて、足が痺れるまで叱り飛ばしてやるわ』
私がゆっくりと前進し、見える範囲で通路を防壁魔法で一気に塞ぐ。
『行くわよ、デンキチ。しっかり掴まりなさい』
『え?』
姿勢を低くし、片足を曲げ、更に片足を後ろに伸ばす。
「位置について、用意ッドン!」
「地上を統治できぬ、王は必要ないそうだ……ふふ、まったく間抜けな話だ。人間の世界で言う道化だな、だが……国民に害が及ばぬのなら、よしとしよう」
シュビナの力ない笑いに私はどう表情を向けていいかわからない。
「シュビナ……アンタは確かに変わり者よ。私なんかの意見もしっかり聞くし、残酷な暴君だと言われながら皆に愛されてる……そんなアンタを愚王なんて呼ばせないわ」
シュビナに癒しの魔法と睡眠魔法を優しく掛ける。
苦しみが和らいだように眠るシュビナの表情を確認して私は静かにシュビナの私室を後にしたわ。
城の地下に向かう私を兵士達が申し訳なさそうに止めに入ってきたの。
「ミルシュ様……どうか、お戻りを! 此処より先は王族のみが許された通路に御座います!」
通路を埋め尽くすように重装甲兵が行く手を塞いできたわ。
「アンタ達さ、シュビナが苦しんでるのわかってる? アンタ達の王が自分より国民の心配をしてるのよ……本当にバカな王よ、そんなバカを苦しませたまま、呑気に待つなんて有り得ないわ」
片手に風魔法、もう片方に雷魔法を作り出し、ゆっくりと前進する。
私に近寄れば風に吹き飛ばされ、触れようものなら、意識が失うほどの電流が流れる。
道を塞いでいた重装甲兵達が簡単に意識を奪われ吹き飛ばされる光景は普通の兵士からすれば悪夢でしかない。
「わかったら、道をッ! あけなさい!」
威圧魔法を言葉に練り込み、放った瞬間、私の前で立っていられるバイキングは一人もいなかったわ。
通路を進むと巨大な扉が姿を現す。古代文字で(真実は見えぬ場所にあり)と掛かれていたわ。
私は謎解きは苦手なの、取り敢えず扉を強化した拳を振りかざし全力で殴ってみたわ。
でも、へこんだ扉の奥から音は反響してこない、つまり、扉の奥に道はないって事よね?
仕方無いわね、マップに頼るか。
マップには壁に通路が写し出され、その先に巨大なスペースが写し出されていたわ。
「道が決まったわね……となれば」
岩の壁に向かうと静かに呼吸を整える。
「じい様直伝、【怒りの拳】ッ!」
単純に一点に集中して拳を打ち出すだけだけど、しっかりと呼吸を整える事で加速と打撃力が上がった気がする一撃よ。
入り口の謎解き……不要よ。
『カミル、ルールとか常識、無視』
『黙りなさい、小さくなっても口はかわらずね、まったく』
デンキチの一言は冷静さが無くなっていた私に冷静さを取り戻させてくれたわ。こんな瞬間があるから仲間の存在が本当に有り難いと思うの。
岩の壁に大きく作られた穴、その先に繋がる広い一本道、目には見えないけど、道の間に無数の防壁魔法が作られ、通路が隠されてるみたい。
通路をマップで確認すると奥のスペースに繋がってる事が分かったわ。つまり、待ち伏せや挟み撃ちも視野に入れた構造になっているみたい。
デンキチのお陰で冷静になれたから良かったけど、あのまま突き進んでいたら、危なかったわ。
対処として、此方側から更に防壁魔法を展開したわ。通路からの不意打ちは此れで問題なしね。
既に私の存在に気づいて動き出してるのがわかる。私が通り過ぎるのを待ち構えてるみたいね?
「残念ね、私の防壁は簡単には壊せないわよ」
『ほっといていいの?』と不思議そうに尋ねるデンキチに私は優しく笑みを浮かべたわ。
『いいのよ。狙うは頭よ。長老衆を全員正座させて、足が痺れるまで叱り飛ばしてやるわ』
私がゆっくりと前進し、見える範囲で通路を防壁魔法で一気に塞ぐ。
『行くわよ、デンキチ。しっかり掴まりなさい』
『え?』
姿勢を低くし、片足を曲げ、更に片足を後ろに伸ばす。
「位置について、用意ッドン!」
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