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3章 素敵なハニーフォレスト
大使以上のお仕事です3
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「お嬢様……寝てますか? 寝てますよね? あら、微かに紅茶の香り? 眠れなかったのかしら、私が優しく起こしてあげないと!」
4日目の朝、睡魔が私の全神経を支配する最中、細やかな野心と欲望にまみれた小声が耳に入ってくる……メルリね。
朝日が顔を出すと同時に私はメルリに起こされる、最近は寝起きの悪い私を起こす為と、メルリが布団の中に入ってくるのが悩みの種ね……ベジルフレアから帰ってきてから、更に悪化して気がするわ。
そっと、私の元に近寄るメルリに対して直ぐ様、起きようとする私、そんな私の部屋の中にもう一人客人がいたの。
「朝から元気じゃなぁ、若いのぉ、羨ましい限りじゃ。いやいや素晴らしいわい」
「はあぁぁぁッ!」
「えっ! わあぁぁぁ」
布団から顔を出した私は太陽に照らされた室内で椅子に座り紅茶を啜る、神様のマルサ=チヨルの姿に驚き声をあげたわ、心臓が口から飛び出すかと思ったわ。
「なんで、私の部屋に居るのかしら? 話によっては神とも喧嘩するわよ」
「落ち着け、カミル! お前はあれか、いきなり相手を見て火炎魔法をぶちこむのか!」
そう、私は驚いた勢いで壁に向かって【火炎弾】をぶちかましてたのよね。
でも、流石に自分の部屋に知らない間に神様でも、男性がいたら焦るでしょ? 一種の防衛本能よね。
「何が防衛本能じゃ、相手が人なら怪我どころか、天に召されちまうぞ?」
あらイヤだ、心が筒抜けね。プライバシーなんてありゃしないわね?
困った表情を浮かべながら、私に向かって溜め息を吐くマルル。
「カミル、御主が【バトラング王国】にもたらした新たな取り組みは実に素晴らしい。儂が直接、褒美をくれてやろうと思って来たんじゃ、お前さんは本当に良く頑張っておるよ」
マルルの優しい微笑みに、自分自身が無理をしながらも頑張っていたと自覚する……がむしゃらに突き進んでいた私はマルルの言葉に知らぬ間に涙を溢していた。
「なによ、反則よ、皆は私を何でも出来て当たり前みたいに見てるのに」
「ほぉほぉほぉ、儂は神じゃぞ? 御前さんも儂の大切な子供なんじゃ、しかし、全ての者を救う事は出来ぬのも事実じゃ。だからこそ未来を紡ぐ御前さんに少しの褒美を与える我儘くらいは許されるだろうて。さて、何を望むかね?」
その問に私は悩むことは無かったわ。
「なら、全ての土地が作物の育つようにして欲しいの、飢えは争いを生むし、空腹は苛立ちの種になるわ。駄目かしら?」
「もし、御前さんが自身の欲望に走ったなら、褒美を取り止めてやろうかと思ったが、実に期待通りの良い案じゃないか、ならば神の奇跡を起こそうじゃないか。それと御前さんの学校に儂からプレゼントを贈る事にしよう。今回は大奮発じゃ、全てが終わってからアララの報告を楽しみに待っておるでな。頑張りなさい。ミルシュ=カミル、神に愛されし子よ」
私はその日からの残り数日を一気に終らせる事になったわ。
最後の一人まで全てを暗記した瞬間は最高の達成感だったわ。
何より最高だったのが最後の街【ロフブルバ】が温泉のある街だった事よ!
私の元に村人達を無事に送り届けたデンキチ達が合流してからは、温泉に浸かって皆で大空を眺めたわ。
「皆、本当にお疲れ様。長かったわね」
『デンキチ達、頑張った?』
「うんうん。頑張ったに決まってるわ。明日はサトウに頼んで御馳走を食べないとね」
『ワーイ。御馳走! 御馳走! デンキチは山よりいっぱいのお肉がいい』
アハハ、他の皆も次々に食べたい物を口にしながら笑っていたわ、本当に素敵な1日の終わり方よね。明日も頑張れるわ。
4日目の朝、睡魔が私の全神経を支配する最中、細やかな野心と欲望にまみれた小声が耳に入ってくる……メルリね。
朝日が顔を出すと同時に私はメルリに起こされる、最近は寝起きの悪い私を起こす為と、メルリが布団の中に入ってくるのが悩みの種ね……ベジルフレアから帰ってきてから、更に悪化して気がするわ。
そっと、私の元に近寄るメルリに対して直ぐ様、起きようとする私、そんな私の部屋の中にもう一人客人がいたの。
「朝から元気じゃなぁ、若いのぉ、羨ましい限りじゃ。いやいや素晴らしいわい」
「はあぁぁぁッ!」
「えっ! わあぁぁぁ」
布団から顔を出した私は太陽に照らされた室内で椅子に座り紅茶を啜る、神様のマルサ=チヨルの姿に驚き声をあげたわ、心臓が口から飛び出すかと思ったわ。
「なんで、私の部屋に居るのかしら? 話によっては神とも喧嘩するわよ」
「落ち着け、カミル! お前はあれか、いきなり相手を見て火炎魔法をぶちこむのか!」
そう、私は驚いた勢いで壁に向かって【火炎弾】をぶちかましてたのよね。
でも、流石に自分の部屋に知らない間に神様でも、男性がいたら焦るでしょ? 一種の防衛本能よね。
「何が防衛本能じゃ、相手が人なら怪我どころか、天に召されちまうぞ?」
あらイヤだ、心が筒抜けね。プライバシーなんてありゃしないわね?
困った表情を浮かべながら、私に向かって溜め息を吐くマルル。
「カミル、御主が【バトラング王国】にもたらした新たな取り組みは実に素晴らしい。儂が直接、褒美をくれてやろうと思って来たんじゃ、お前さんは本当に良く頑張っておるよ」
マルルの優しい微笑みに、自分自身が無理をしながらも頑張っていたと自覚する……がむしゃらに突き進んでいた私はマルルの言葉に知らぬ間に涙を溢していた。
「なによ、反則よ、皆は私を何でも出来て当たり前みたいに見てるのに」
「ほぉほぉほぉ、儂は神じゃぞ? 御前さんも儂の大切な子供なんじゃ、しかし、全ての者を救う事は出来ぬのも事実じゃ。だからこそ未来を紡ぐ御前さんに少しの褒美を与える我儘くらいは許されるだろうて。さて、何を望むかね?」
その問に私は悩むことは無かったわ。
「なら、全ての土地が作物の育つようにして欲しいの、飢えは争いを生むし、空腹は苛立ちの種になるわ。駄目かしら?」
「もし、御前さんが自身の欲望に走ったなら、褒美を取り止めてやろうかと思ったが、実に期待通りの良い案じゃないか、ならば神の奇跡を起こそうじゃないか。それと御前さんの学校に儂からプレゼントを贈る事にしよう。今回は大奮発じゃ、全てが終わってからアララの報告を楽しみに待っておるでな。頑張りなさい。ミルシュ=カミル、神に愛されし子よ」
私はその日からの残り数日を一気に終らせる事になったわ。
最後の一人まで全てを暗記した瞬間は最高の達成感だったわ。
何より最高だったのが最後の街【ロフブルバ】が温泉のある街だった事よ!
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「皆、本当にお疲れ様。長かったわね」
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「うんうん。頑張ったに決まってるわ。明日はサトウに頼んで御馳走を食べないとね」
『ワーイ。御馳走! 御馳走! デンキチは山よりいっぱいのお肉がいい』
アハハ、他の皆も次々に食べたい物を口にしながら笑っていたわ、本当に素敵な1日の終わり方よね。明日も頑張れるわ。
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