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3章 素敵なハニーフォレスト
フォレストタウンです7
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予想だにしないボノルの登場は私とアンドレアの戦意を上手く削ぎ落としてくれたわ、本当なら一撃で終わる戦いだったのになぁ?
そう思いながら、その場に座り込むと私のもとに、領地の皆が駆け足でやって来たの。
「ごめんね、みんな。領地を広げられなかったわ」
凄く悔しいかも……じい様に負けた時も悔しかったけど、今は違う意味で悔しくなってきた……
「そんな事ないです! カミル様は立派に領主として俺達の怒りを代弁してくれました」
「そうです! もしカミルさんがいなかったら俺達は今頃、ラクーマの群れに村ごと食い尽くされてたかも知れません」
私を励ますように声が上がる、それが嬉しくて仕方ない……
「なによ……みんなして優しすぎるのよ。私だって悔しいんだから」
そう声を出した瞬間、ダムが決壊したかのように涙が溢れ出たの、“悔しい涙”と“ごめんの涙”そして、“嬉しいの涙”と“ありがとうの涙”色々な感情が入り乱れていたの。
そんな感極まる私にボノルが声をかけてきたの。
「カミル、詳しく話を聞かせてくれねぇか? 実際に俺もこの場に来たのは偶然と言うか、頭に声がしたからなんだよな?」
私はボノルにどんな声がしたのかを尋ねると『ミルシュ=カミルが怒っとるぞ、本気になったらバトラング王国が灰になるぞ』と繰り返し老人の声が頭に響いていたと言われたわ。
間違いなくマルルね、私が暴れないようにボノルを送ってくれたのね、確かに本気で一撃を食らわせていたら危なかったわね……不本意ながら、あとで御礼を言わないと。
「ボノル、此処に来た理由は分かったけど、1つ分からないことがあるのよね? 何で領主のアンドレアに兵士のアンタがそんなに偉そうなの?」
「そんなの簡単だ。団長クラスの俺と弱小貴族のアンドレア家じゃ、話にならねぇんだよ」
バトラング王国にもランクが存在し、王を中心にピラミッド型にランクが存在する。
しかし、バトラング王国のピラミッドは他の国とは違っており、力により構成されていたの。
王、大臣、将軍、大貴族、軍団長、小貴族とピラミッドが出来ており、小さな町や村などを領主とする小貴族と呼ばれる貴族より、ボノルのような軍団長の方が上にランク付けされているみたいなの、貴族が偉いとされる国からしたらクーデターね。
「ボノル、悪いんだけど。まだ勝負は着いてないのよ! 私には今預かってる領地を領主として守る義務があるの。アンドレア家が弱小貴族だろうが、村にラクーマの群れをぶつけられたのよ! 売られたケンカで負けを認める気はないわ」
「安心しろ、正式な決闘なのは理解してる。だが……」
会話を区切り、ボノルがアンドレアを凄い顔で睨みつけたの。
「立会人もなく、1対1と言いながら、部下を引き連れ、更にラクーマの大群だぁ? 本来なら、俺が直接殴ってやりてぇが、カミルに加勢したとなれば立会人としての立場がなくなる、今から正式な決闘の立会人になる。各自、得物の使用は一本とし、敗北を認めさせるか、戦闘不能にした方を勝者とする。以上」
私はボノルと戦った際に使ったハンマーを作り出し、手に馴染ませるように両手に力を入れる。
アンドレアは再度、大斧を構えると互いにボノルの合図を待ち、その瞬間がやってくる。
「はじめぇ!」
ボノルの掛け声に一気に走り込んでくるアンドレア、柄が長くなるように持ちかえられた斧の刃先が風を斬り私に向かって襲い掛かる。
“ゴギンッ!”
鈍く生々しい鉄と鉄がぶつかり合う音、手に流れてくる微かな痺れ、以前なら、武器を手放してたかもしれない強烈な一撃だったわ、ただ残念なのは、今の私は前より全体的に硬いらしいわね。
アンドレアの一撃に対して、勝利を確信していたアンドレアの斧を片手で掴みそのまま動きを封じた後、ハンマーの一撃で斧の中心部分を叩き、へし折る事で勝負を決めたわ、負けを認めないアンドレアにはデコピンもプレゼントして気絶して貰ったわ。その瞬間、正式にアンドレア家は領地を失い、私は領地の拡大に成功したの。
アンドレア家は貴族としての地位を失い、平民となったわ。可哀想だけど、全てを賭けるってそう言う事なのよね。
其からしばらくは領地の開拓に私は勤しむ事になったわ。アンドレア家が支配していた領地はその殆どが元はクローム=セリの領地だったの、私に与えられたの領地は僅かで、アンドレア家にはバトラング王国の内部に強いパイプがあったのかもしれないわね?
アンドレア家とのいざこざから………3ヶ月。
アンドレア家当主、アンドレア=ドヤサは私の下についたわ。
バトラング王国内部に関してはボノルが王であるシュビナに報告、内部から不正を働いた役人が地下の牢獄へと送られたの。
私はアンドレアに農業を営む事を条件に領地を任せる事にしたわ。勿論、税金は存在しないわ。
私は領地を更に大きな塀で囲み、道を作ったの村から町になり、更に街へと姿を変化させたの。
シュビナの許可もあり、今の領地をフォレストタウンと名付けることにしたわ。
そう思いながら、その場に座り込むと私のもとに、領地の皆が駆け足でやって来たの。
「ごめんね、みんな。領地を広げられなかったわ」
凄く悔しいかも……じい様に負けた時も悔しかったけど、今は違う意味で悔しくなってきた……
「そんな事ないです! カミル様は立派に領主として俺達の怒りを代弁してくれました」
「そうです! もしカミルさんがいなかったら俺達は今頃、ラクーマの群れに村ごと食い尽くされてたかも知れません」
私を励ますように声が上がる、それが嬉しくて仕方ない……
「なによ……みんなして優しすぎるのよ。私だって悔しいんだから」
そう声を出した瞬間、ダムが決壊したかのように涙が溢れ出たの、“悔しい涙”と“ごめんの涙”そして、“嬉しいの涙”と“ありがとうの涙”色々な感情が入り乱れていたの。
そんな感極まる私にボノルが声をかけてきたの。
「カミル、詳しく話を聞かせてくれねぇか? 実際に俺もこの場に来たのは偶然と言うか、頭に声がしたからなんだよな?」
私はボノルにどんな声がしたのかを尋ねると『ミルシュ=カミルが怒っとるぞ、本気になったらバトラング王国が灰になるぞ』と繰り返し老人の声が頭に響いていたと言われたわ。
間違いなくマルルね、私が暴れないようにボノルを送ってくれたのね、確かに本気で一撃を食らわせていたら危なかったわね……不本意ながら、あとで御礼を言わないと。
「ボノル、此処に来た理由は分かったけど、1つ分からないことがあるのよね? 何で領主のアンドレアに兵士のアンタがそんなに偉そうなの?」
「そんなの簡単だ。団長クラスの俺と弱小貴族のアンドレア家じゃ、話にならねぇんだよ」
バトラング王国にもランクが存在し、王を中心にピラミッド型にランクが存在する。
しかし、バトラング王国のピラミッドは他の国とは違っており、力により構成されていたの。
王、大臣、将軍、大貴族、軍団長、小貴族とピラミッドが出来ており、小さな町や村などを領主とする小貴族と呼ばれる貴族より、ボノルのような軍団長の方が上にランク付けされているみたいなの、貴族が偉いとされる国からしたらクーデターね。
「ボノル、悪いんだけど。まだ勝負は着いてないのよ! 私には今預かってる領地を領主として守る義務があるの。アンドレア家が弱小貴族だろうが、村にラクーマの群れをぶつけられたのよ! 売られたケンカで負けを認める気はないわ」
「安心しろ、正式な決闘なのは理解してる。だが……」
会話を区切り、ボノルがアンドレアを凄い顔で睨みつけたの。
「立会人もなく、1対1と言いながら、部下を引き連れ、更にラクーマの大群だぁ? 本来なら、俺が直接殴ってやりてぇが、カミルに加勢したとなれば立会人としての立場がなくなる、今から正式な決闘の立会人になる。各自、得物の使用は一本とし、敗北を認めさせるか、戦闘不能にした方を勝者とする。以上」
私はボノルと戦った際に使ったハンマーを作り出し、手に馴染ませるように両手に力を入れる。
アンドレアは再度、大斧を構えると互いにボノルの合図を待ち、その瞬間がやってくる。
「はじめぇ!」
ボノルの掛け声に一気に走り込んでくるアンドレア、柄が長くなるように持ちかえられた斧の刃先が風を斬り私に向かって襲い掛かる。
“ゴギンッ!”
鈍く生々しい鉄と鉄がぶつかり合う音、手に流れてくる微かな痺れ、以前なら、武器を手放してたかもしれない強烈な一撃だったわ、ただ残念なのは、今の私は前より全体的に硬いらしいわね。
アンドレアの一撃に対して、勝利を確信していたアンドレアの斧を片手で掴みそのまま動きを封じた後、ハンマーの一撃で斧の中心部分を叩き、へし折る事で勝負を決めたわ、負けを認めないアンドレアにはデコピンもプレゼントして気絶して貰ったわ。その瞬間、正式にアンドレア家は領地を失い、私は領地の拡大に成功したの。
アンドレア家は貴族としての地位を失い、平民となったわ。可哀想だけど、全てを賭けるってそう言う事なのよね。
其からしばらくは領地の開拓に私は勤しむ事になったわ。アンドレア家が支配していた領地はその殆どが元はクローム=セリの領地だったの、私に与えられたの領地は僅かで、アンドレア家にはバトラング王国の内部に強いパイプがあったのかもしれないわね?
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私はアンドレアに農業を営む事を条件に領地を任せる事にしたわ。勿論、税金は存在しないわ。
私は領地を更に大きな塀で囲み、道を作ったの村から町になり、更に街へと姿を変化させたの。
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