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3章 素敵なハニーフォレスト
シュビナとカミルです1
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突如として姿を現したバトラング王国の国王カルム=シュビナのお陰でクローム=セリとその部下達は捕縛される事となったわ。
その後の話し合いでウトピア村の村人には、お咎め無しと言う事に決まり、一安心する私、しかし、シュビナは私に……
「ミルシュ=カミル、俺はもう少し詳しく話を聞きたい。このまま王宮まで来てもらいたいんだ。無論、ウトピア村の者達の安全を俺自ら約束しよう」
まるで脅迫ね……私がひねくれてるのかも知れないけど、王宮に行かないと安全を保証しないと言われてるように感じるわ。
「わかったわよ。ただし、ウトピア村の村人にもし、なにかあれば、私もバトラング王国の存続を保証しないわ、言っとくけど本気よ!」
強気な態度で口にする私、周囲が一瞬ざわつくと、シュビナは声を出して笑った。
「アハハ、流石にそれは困るな、でも本気なんだろうね。眼を見ればわかるよ」
シュビナ以外の誰もが唖然とする中、私はサトウとメルリにウトピア村の皆の護衛をするように伝える。
「そんな、お嬢様ッ! 幾らなんでも危険すぎます! 絶対に反対です」
「メルリさんに賛成だよ。流石に危なすぎるよ」
サトウとメルリが私の考えに反対する、正直、嬉しかったわ。私を心配してくれるメルリと、過去に私を捨てたサトウの二人が必死に私の身を案じてくれるんだもの。
「私は大丈夫よ。それに本気で怒った私を止められるとしたら、じい様くらいのものよ。だから信じて待ってて」
止める二人を説得し、私はシュビナと共にバトラング王国の城に向かったわ。
シュビナが手を軽くあげると正門が開かれ、活気のある市が並ぶ街中を進み、シュビナの城に辿り着く。
門にはバイキングと魔獣が争うように描かれた彫刻が彫られており、門の頂点には太陽を背に羽の生えた女性が彫られていたの。
「太陽と羽の生えた女性?」
私がそう呟くと、シュビナが女性は女神バルキリーだと教えてくれたわ。
「太陽の国よりバトラング王国を守護し、争いが起き、国が傾くならば力を授けるだろう」と語るとシュビナは門の女神バルキリーに向けて胸に手をあて、感謝をしてから扉を開いたの。
実際に女神の存在する世界だし、近くても海や土地が違えば管理する女神も違うのかしら? でも、アララみたいに次の女神に権利を譲ったとも考えられるわね。
多くの仮説が頭に浮かぶ、しかし、私は其れよりもシュビナの城に置かれた装飾品や家具に驚かされていたわ。
全てが金や銀が使われ、宝石が惜し気もなく細工に使われている。
「戦いの理由は人それぞれだが、多くの者は財宝を欲するだろう、此処に有る物は全て敵の王達が集めていた物なんだ。戦利品って奴かな? 凄く綺麗だろ、醜い欲望に支配された王達が命にかえて守ろうとした物ばかりだ。まあコレクションって奴だね」
私はその中の1つを手に取る。
「こんな物と人の命が同等なんて……」
手に握られた宝石の付いた金の器、私は器を握ったまま、灼熱の炎を作り出す。
器が液体になり床に流れ落ち、再度固まる。
「私はそんな事認めないわよ」
私の行動にシュビナの表情が変わる。
「勿体ないな、それ一つでどれ程の価値があったかわかるかい?」
「分からないわ。少なくとも人の命よりは安い筈よ」
唖然とするシュビナは不意に笑い出す。
「やっぱりカミルはバトラング王国を変える存在だ。でも、流石にもう溶かさないでくれ。国民の為の貴重な資金だからね」
その後の話し合いでウトピア村の村人には、お咎め無しと言う事に決まり、一安心する私、しかし、シュビナは私に……
「ミルシュ=カミル、俺はもう少し詳しく話を聞きたい。このまま王宮まで来てもらいたいんだ。無論、ウトピア村の者達の安全を俺自ら約束しよう」
まるで脅迫ね……私がひねくれてるのかも知れないけど、王宮に行かないと安全を保証しないと言われてるように感じるわ。
「わかったわよ。ただし、ウトピア村の村人にもし、なにかあれば、私もバトラング王国の存続を保証しないわ、言っとくけど本気よ!」
強気な態度で口にする私、周囲が一瞬ざわつくと、シュビナは声を出して笑った。
「アハハ、流石にそれは困るな、でも本気なんだろうね。眼を見ればわかるよ」
シュビナ以外の誰もが唖然とする中、私はサトウとメルリにウトピア村の皆の護衛をするように伝える。
「そんな、お嬢様ッ! 幾らなんでも危険すぎます! 絶対に反対です」
「メルリさんに賛成だよ。流石に危なすぎるよ」
サトウとメルリが私の考えに反対する、正直、嬉しかったわ。私を心配してくれるメルリと、過去に私を捨てたサトウの二人が必死に私の身を案じてくれるんだもの。
「私は大丈夫よ。それに本気で怒った私を止められるとしたら、じい様くらいのものよ。だから信じて待ってて」
止める二人を説得し、私はシュビナと共にバトラング王国の城に向かったわ。
シュビナが手を軽くあげると正門が開かれ、活気のある市が並ぶ街中を進み、シュビナの城に辿り着く。
門にはバイキングと魔獣が争うように描かれた彫刻が彫られており、門の頂点には太陽を背に羽の生えた女性が彫られていたの。
「太陽と羽の生えた女性?」
私がそう呟くと、シュビナが女性は女神バルキリーだと教えてくれたわ。
「太陽の国よりバトラング王国を守護し、争いが起き、国が傾くならば力を授けるだろう」と語るとシュビナは門の女神バルキリーに向けて胸に手をあて、感謝をしてから扉を開いたの。
実際に女神の存在する世界だし、近くても海や土地が違えば管理する女神も違うのかしら? でも、アララみたいに次の女神に権利を譲ったとも考えられるわね。
多くの仮説が頭に浮かぶ、しかし、私は其れよりもシュビナの城に置かれた装飾品や家具に驚かされていたわ。
全てが金や銀が使われ、宝石が惜し気もなく細工に使われている。
「戦いの理由は人それぞれだが、多くの者は財宝を欲するだろう、此処に有る物は全て敵の王達が集めていた物なんだ。戦利品って奴かな? 凄く綺麗だろ、醜い欲望に支配された王達が命にかえて守ろうとした物ばかりだ。まあコレクションって奴だね」
私はその中の1つを手に取る。
「こんな物と人の命が同等なんて……」
手に握られた宝石の付いた金の器、私は器を握ったまま、灼熱の炎を作り出す。
器が液体になり床に流れ落ち、再度固まる。
「私はそんな事認めないわよ」
私の行動にシュビナの表情が変わる。
「勿体ないな、それ一つでどれ程の価値があったかわかるかい?」
「分からないわ。少なくとも人の命よりは安い筈よ」
唖然とするシュビナは不意に笑い出す。
「やっぱりカミルはバトラング王国を変える存在だ。でも、流石にもう溶かさないでくれ。国民の為の貴重な資金だからね」
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