楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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3章 素敵なハニーフォレスト

成り行きでバトラング王国です5

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 私達が正門へと辿り着いた時、其所には正門から城壁を囲むように大量なバトラング王国軍が陣を構えていたの。

「な、幾らなんでも早すぎるわ。全員、盾を用意! 何が起きるかわからないわ、気を引き締めて!」

 最初から第一陣をおとりに使ったって事なのかしら……どちらにしても、予想以上の数ね。

 一斉に巨大な盾を前方に展開する私達、バイキングらしからぬ戦い方ではあるけど、頭から殴り合いをする気は無いわ。

 今回はバトラング王国軍の方が勝利を確信している見たいね。でも、げせないわ。

 何故、早朝にも関わらず、此れだけの大部隊が武装を整えて直ぐに陣形を構えられたのかしら……何かある!

 私はマップを開き、範囲を広げ、周囲を確認する。

 私達の他に離れた位置に複数の緑の点滅を確認する事が出来た。

「これね、スカーッ! 後方よ、いいわね」

『承知した!』

「カミルちゃん。俺もいくよ」

 言わんとした事を即座に理解したスカーが走り出すと、サトウも同時に動き出す。

「皆、今回の動きは相手に筒抜けだった見たい。敵は本気で来るわよ! 無理をしないで約束よ」

 バトラング王国軍が静かに歩幅を合わせ前に数歩前進する。

 只ならぬ緊張感と巨大なバイキングの壁が作り出されると其れは一気に走り出したの。

 地面が震動するように力強く踏み締められ、力強く蹴りあげるように私達に向かい武器を振り上げるバトラング王国軍。

 荒々しくシンプルな戦い方でありながら、その姿を目の前にした際の迫力は心を打ち砕くに申し分ないと言えるわ。

 ただ、其れは相手が普通の敵ならね。私達がひと味違う戦い方を教えてあげるんだから。

「前方、大盾部隊。5歩後退ッ!」

 バイキングの戦いにおいて、後退は撤退、つまり敗北を意味する行為になるわ。しかし、私は既に戦略的撤退の説明を済ませている。つまりはバトラング王国に無い戦術を今回披露する事になるわ。

「後方部隊前へ! 突っ込めッ!」

 後方部隊が私の声と同時に分厚く巨大な鋼鉄の盾を二人一組で前に押し上げる。

 武器が通らぬ鋼鉄の盾は戦車のようにバトラング王国軍の攻撃を弾き、更に後方に下がった部隊がバランスを崩したバトラング王国軍の兵士を気絶させて捕らえていく。

 更にボア部隊が縦横無尽に戦場を駆け抜ければ敵が分散し、孤立させられる。

 バトラング王国軍からすれば、数で勝利を手にする筈の戦場が一気に覆される今までに無い戦いになった筈よ。

 戦場を見れば、バトラング王国軍は総崩れ、指揮官クラスは私が直々に捕らえに行った事も大きかった筈よ。

 そんな中、離れた位置に光るマップの点滅、周りを固める組み方をしている事も考えれば、間違いなく大将ね。

「クローム=セリ、見つけたわよ!」

 早々に戦場を駆け抜ける私に気づいたバトラング王国軍が声をあげる。

「ソイツを! その人間を止めろッ!」

 一斉にバトラング王国軍からの視線を集めると同時に、其れを好機とみた、皆が一気に戦場を前に押し上げる。

 その瞬間、戦闘は完全に私達の勝利が確定する。

 敗北を確信し、うつ向くクローム=セリの元に私が辿り着くと絶望が顔にでる。

「何故だ、何故、こんな事に……」

 力なく呟くクローム=セリ。

 溜め息を吐きたくなる気持ちを押さえながら私は口を開く。

「自分を過大評価したからよ。立場とか、地位とかに縛られて力を振りかざせば、いつかは自分自身に返ってくるモノよ」

「ふざけるな……力があるからこそ、其れを行使して何が悪い! 力なき者は力のある者に従うことに何の問題がある!」

 クローム=セリがそう言い放った瞬間、背後から数名のバイキングが近づいてきたわ。

「俺はそうは思わぬぞ。クローム=セリよ。国は力なき者のよりしろと成らねばならない」

 姿を現したのは、バトラング王国、国王カルム=シュビナだったわ。

 私はシュビナに鋭い眼差しを向ける。

「あんた、今更ね? 本当なら国ひとつ平らげてもよかったのよ?」

 私の言葉にシュビナが頭を下げる。

「冗談……ではないんでしょうね。今回の1件は俺の不甲斐なさから起きた事にほかなりません。深く御詫びする」

 その光景に皆が武器をおろし、敵味方なく、微動だにしない。

 此処から本当のバトラング王国の改革が始まる事になる。
  
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