楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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3章 素敵なハニーフォレスト

未来の種です6

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 未来への投資、私はウトピア村からバトラング王国の灰汁となる部分の改善をしようと考えたの。

 彼らバイキングには今まで使っていた武器を農具にして貰い、畑を村人全員で耕して欲しいと伝える。

 動揺もあったけど、約束を破るようなバイキングは一人もいなかったわ。

 ハニーフォレストから種や苗木になる食糧の源を分け与える事で不安の要素を取り除き、更に畑となったウトピア村跡地の周りに魔獣避けのバリケードを作り、更に私の名前を書き込んだ建て看板を大量にバリケードの周りに設置したの。

 本格的な農作業の経験がないウトピア村のバイキング達にロクさん率いるスケルトン軍団が基本から耕し方を教え、基本となる土作りはセンチピードの【オリン&オラン】の二人が一気に大地を裏返しあっという間に全てを畑へと変化させていく。

 その日から数日が過ぎる頃には武器を振るい豆の出来たバイキングの大きな掌に新たな農夫としての豆が出来始めていたわ、大きなくわを全力で振るい、石を自分達の手で動かしていく。

 私は基礎をセンチピードの二人に頼んだだけであり、耕す作業その物はバイキングに一任している。

 ロクさん達には補助役を頼み、バイキング達に動きで作業を伝授する。
 最初は半信半疑な人達も居たわ、でも、誰もが真剣に畑と向き合い基本となる種植えを開始するまで数日という驚くべき速度で作業が進められたの。

「さあ、皆、種蒔きの前に一息入れましょう」

 そう私が声を掛けると一人一人が額の汗を拭い、手にしていた鍬を大切にその場に寝かす。

 畑の横に大きく長いテーブルが何列も並べられ、バイキング達が自分の席に腰掛けていく、微かな風と土の臭い、そんな中に優しく甘い香りを放つ、蜂蜜紅茶ハニーティーとスコーンの香り、多くの者が最近まで苦しみながら食糧をひたすら探していたのが嘘のような光景が其処には広がっている。

 当面の食料は私が備蓄していた麦とハニーフォレストの畑の野菜、樹精霊ドリアードのジュレが造る果実やハニービー達の蜂蜜ね。

 それと私の使い魔でも、戦闘型のデンキチ達が捕まえてきた魔獣や獣の肉になるわ。

 バイキング達は普段から空腹の中で狩りをしていたの、当然ながら、魔獣と対峙しても、普段の力は出せなかった、結果逃げられたり、返り討ちと悲惨な結果に繋がっていたそうよ。

 そんな彼等は養蜂にも興味を示してくれたの、正直驚いたわ。

 バトラング王国の経済はまだまだ、全体の一割程度の基盤しかない、普通のバイキング達が蜂蜜を口にする事は今までなかった事なの、新たな味と大地の恵むの出会いは彼等の好奇心をくすぐる事となったわ。

 “1”を知らねば、“10”には決して届かない、私は彼等に農業と言う1つの可能性をを授ける事で多くの変化に繋げる事が出来た、まだまだ可能性は無限大であり、此処から全てが始まると思うと私の好奇心も高まっていくわ。

「ミルシュ様。そろそろ作業に戻ります! 早く俺達の畑に種を蒔きたいのです」

 バイキング達は一人のその声に大きく伸びをすると、「御馳走様でした! 実に美味い茶でした」と皆が挨拶をすると、立ち上がり笑いながら畑に戻っていく。

 私はサトウとメルリに片付けを頼むと一緒に畑へと歩みを進めていく。

 そんな時、一郎が私に呟いた。

「カミル様。皆があんなに生き生きしてる姿は久々に見ました。本当にありがとうございます」

「私は何もしてないわ、少し手助けをしたに過ぎないわ。実際に今畑を耕し、種を手にしているのは皆なんだから」

 種蒔きは順調に終わり、数日が何事もなく過ぎていく、ハニーフォレストの畑を手伝うようになり、更に活気が戻りかけたウトピア村のバイキング達、そんな私達に静かに迫る影があったの。

「何かしら、嫌に強い風が吹いてきたわね?」

 私がそう呟いた時、慌ただしくバイキング三兄弟が走ってきたの。

「カミル様! 大変だ、風の王が姿を現した! 此のままだと畑がやられちまう!」

 風の王と言う言葉に私は直ぐに動き出したわ、絶対にウトピア村に手出しはさせないんだから!
 
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