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3章 素敵なハニーフォレスト
夜を駆け抜ける者達です1
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まるで映画さながらの砲撃戦の迫力が嘘のように静まり、私に対して未だに受け入れられないといった様子の海賊達。
「頭、重傷者や怪我人は多いが、何とか全員の無事が確認できました。ですが……船の殆どが次の戦いに出れる状態じゃねぇや」
報告を聞き、絶望を顔に出す海賊達。
そんな中、ガレオン船に駆け付けたメルリに、アララを呼びように指示を出し、動き出す私。
先ず重傷者達の元に急ぐ。
その間、ペンネがカメレオン男に指示をだし、船の連結とマドラッドの海岸に医療魔法と回復魔法の使える部下達を集めさせる。
連結した船が巨大化したデンキチにより、引っ張られるとガレオン船を筆頭に確実にマドラッドへと進んでいく。
私は一人一人の傷を確かめ、重傷者の中でも本当に危ない者だけを先に処置していく。
回復魔法しか使えない私は傷を完全には塞げないの……焦りを感じながらの回復魔法は本当にしんどいわ。
額から流れる汗が頬を伝いながらガレオン船の床に “ポタ” “ポタ” と流れ落ちる。
普段なら、あっさりと使える魔法が目の前に広がる状況により、半分も使えない事実に私は自分の未熟さを知らしめられる。
直ぐに来ると思っていたアララは未だに姿を現さない。
次々に重傷者の回復をする私の中に底知れぬ恐怖が生まれていた。
このまま、誰も来ないのではないか……私の時間感覚がおかしくなってしまっのか? 次から次に生まれる負の思考、そんな私は自分の頬を両手で叩き、考えを吹き飛ばす。
「今は余計な事を考えるなッ! ミルシュ=カミル。私が今している事に集中しろ!」
その瞬間、“バタバタ”とガレオン船内部に姿を現したアララが私にニッコリと笑みを浮かべる。
「頑張りましたね、カミル。他の船も、もう大丈夫ですよ。今クレレとメルリさん、それとペンネの部下の皆さんが手分けして治療をしています」
私はアララの顔を見て、ホッと息を吐いた。
「来るのが遅いから、焦ったわ。でも、安心したわ! アララ、全力で回復魔法を使うわよ」
「はい、承知していますよ」
【女神の力は癒しの光、傷つきし我が加護の元に生まれし者よ、我が輝きを全身に受け入れなさい】
アララが呪文のような言葉を口にすると重傷だった海賊達の傷が塞がっていったの……女神の凄さを改めて感じたわ。
「アララ、凄いじゃない! こんな事も出来るのね」
私の言葉に「女神、パルムタークが力を使う事を許してくれたんですよ」と笑いながら語るアララ。
何とか重傷者の回復に成功した私達、そして船がマドラッドの海岸に到着する。
海岸には、ガレオンと娘のレオーネが大部隊を待機させており、船から次々に怪我人が運ばれていったの。
『いいか! 種族や敵なんてのは関係ねぇ! 今は全力で救助だ!』
ガレオンの言葉に気合いが入るマドラッドの大部隊、そんな最中、ソルティがある質問をしてきたの。
「ミルシュ=カミル、すまないが俺の船は……あの船には、サンデア様が乗っていたんだ」
その言葉にアララが返答する。
「皆さん御無事ですよ。特に侍女の御二人は元気過ぎたので休んでいただきました」
穏やかにそう語るアララ、しかし、休んで貰うって事はきぜつさせたのね。
私は苦笑いを浮かべると、緊張の糸が切れたのか、ソルティは笑いながらその場で気を失ったの。
「ちょ! 大変! ソルティ、ソルティってば!」
気絶したソルティをマドラッドにあるペンネの城に運び、他の重傷者と怪我人もマドラッドにある病院に振り分けるなったわ。
1日振りに再会を果たす私とサンデア。
「サンデア、その……無事でよかったわ」
「無事か……私の無事よりもレナクルに残してきてしまった民が心配でならない。今すぐにレナクルに帰らねば!」
冷静さを失っているサンデアはそう言い立ち上がったわ。
私はサンデアに軽く催眠魔法を掛けると無理矢理眠らせたわ。
理由とか、敵が誰かとか、を考えるより、私は今すぐに動きたいと感じる。
私は直ぐにペンネ達にその気持ちを話したの。
ペンネは言ってくれた。
「マドラッドはカミルに従う、戦うなら全軍で出陣するのみだからじゃ!」
不敵な笑みを浮かべたペンネ。
私は少し心配になりながらも頼もしいペンネの言葉に頷いてしまったわ。
「ありがとう、ペンネ。でも、敵が誰かもわからないのよ?」
「本来、レナクルとの小競り合いとて、怪我人を最小限に抑える戦い方じゃったからな。カメレオン男! 空から全力で行くぞ! ガレオン達にそう伝えよ!」
ペンネは多分だけど、責任を感じてるのかも知れないわね。
今回は少し状況が違うけど、頑張らないと。
私達は夜が開ける前にマドラッドからレナクル王国へと大空を進むことになるの。
「頭、重傷者や怪我人は多いが、何とか全員の無事が確認できました。ですが……船の殆どが次の戦いに出れる状態じゃねぇや」
報告を聞き、絶望を顔に出す海賊達。
そんな中、ガレオン船に駆け付けたメルリに、アララを呼びように指示を出し、動き出す私。
先ず重傷者達の元に急ぐ。
その間、ペンネがカメレオン男に指示をだし、船の連結とマドラッドの海岸に医療魔法と回復魔法の使える部下達を集めさせる。
連結した船が巨大化したデンキチにより、引っ張られるとガレオン船を筆頭に確実にマドラッドへと進んでいく。
私は一人一人の傷を確かめ、重傷者の中でも本当に危ない者だけを先に処置していく。
回復魔法しか使えない私は傷を完全には塞げないの……焦りを感じながらの回復魔法は本当にしんどいわ。
額から流れる汗が頬を伝いながらガレオン船の床に “ポタ” “ポタ” と流れ落ちる。
普段なら、あっさりと使える魔法が目の前に広がる状況により、半分も使えない事実に私は自分の未熟さを知らしめられる。
直ぐに来ると思っていたアララは未だに姿を現さない。
次々に重傷者の回復をする私の中に底知れぬ恐怖が生まれていた。
このまま、誰も来ないのではないか……私の時間感覚がおかしくなってしまっのか? 次から次に生まれる負の思考、そんな私は自分の頬を両手で叩き、考えを吹き飛ばす。
「今は余計な事を考えるなッ! ミルシュ=カミル。私が今している事に集中しろ!」
その瞬間、“バタバタ”とガレオン船内部に姿を現したアララが私にニッコリと笑みを浮かべる。
「頑張りましたね、カミル。他の船も、もう大丈夫ですよ。今クレレとメルリさん、それとペンネの部下の皆さんが手分けして治療をしています」
私はアララの顔を見て、ホッと息を吐いた。
「来るのが遅いから、焦ったわ。でも、安心したわ! アララ、全力で回復魔法を使うわよ」
「はい、承知していますよ」
【女神の力は癒しの光、傷つきし我が加護の元に生まれし者よ、我が輝きを全身に受け入れなさい】
アララが呪文のような言葉を口にすると重傷だった海賊達の傷が塞がっていったの……女神の凄さを改めて感じたわ。
「アララ、凄いじゃない! こんな事も出来るのね」
私の言葉に「女神、パルムタークが力を使う事を許してくれたんですよ」と笑いながら語るアララ。
何とか重傷者の回復に成功した私達、そして船がマドラッドの海岸に到着する。
海岸には、ガレオンと娘のレオーネが大部隊を待機させており、船から次々に怪我人が運ばれていったの。
『いいか! 種族や敵なんてのは関係ねぇ! 今は全力で救助だ!』
ガレオンの言葉に気合いが入るマドラッドの大部隊、そんな最中、ソルティがある質問をしてきたの。
「ミルシュ=カミル、すまないが俺の船は……あの船には、サンデア様が乗っていたんだ」
その言葉にアララが返答する。
「皆さん御無事ですよ。特に侍女の御二人は元気過ぎたので休んでいただきました」
穏やかにそう語るアララ、しかし、休んで貰うって事はきぜつさせたのね。
私は苦笑いを浮かべると、緊張の糸が切れたのか、ソルティは笑いながらその場で気を失ったの。
「ちょ! 大変! ソルティ、ソルティってば!」
気絶したソルティをマドラッドにあるペンネの城に運び、他の重傷者と怪我人もマドラッドにある病院に振り分けるなったわ。
1日振りに再会を果たす私とサンデア。
「サンデア、その……無事でよかったわ」
「無事か……私の無事よりもレナクルに残してきてしまった民が心配でならない。今すぐにレナクルに帰らねば!」
冷静さを失っているサンデアはそう言い立ち上がったわ。
私はサンデアに軽く催眠魔法を掛けると無理矢理眠らせたわ。
理由とか、敵が誰かとか、を考えるより、私は今すぐに動きたいと感じる。
私は直ぐにペンネ達にその気持ちを話したの。
ペンネは言ってくれた。
「マドラッドはカミルに従う、戦うなら全軍で出陣するのみだからじゃ!」
不敵な笑みを浮かべたペンネ。
私は少し心配になりながらも頼もしいペンネの言葉に頷いてしまったわ。
「ありがとう、ペンネ。でも、敵が誰かもわからないのよ?」
「本来、レナクルとの小競り合いとて、怪我人を最小限に抑える戦い方じゃったからな。カメレオン男! 空から全力で行くぞ! ガレオン達にそう伝えよ!」
ペンネは多分だけど、責任を感じてるのかも知れないわね。
今回は少し状況が違うけど、頑張らないと。
私達は夜が開ける前にマドラッドからレナクル王国へと大空を進むことになるの。
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