楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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3章 素敵なハニーフォレスト

夜空と光と話し合いです1

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 森の泉から増え続けていた汚染がなくなり、無意識に涙を流すレーメンの頬から一滴の綺麗な透き通る涙が地面に向かい合って落ちていく。

 私は複雑な気持ちに襲われていたの。

 デンキチが本当に私の知らない処で何か悪さをしていたなら、保護者である召喚師としてちゃんと謝罪しないといけないわね。

 私が悩みながら上流から下流に向かう、川沿いの木々は何とか生き残っていたけど、川に住んでいた魚達は可哀想に無惨に川の水面に浮かび下流に流れていく。

 悲しい光景だった……確かに魚は食べるし、何回も捌いたり焼いたりと調理をして貰ってきたけど、食べられる事なく死んでいく命を目の当たりにして心が痛む。

 下流で“蛇実じゃみ”を並べていたボスとジュレ達に合流した私は更に下流へと魚や毒が流れないようにジュレに蔓で網を編んで貰い川に仕掛けてもらうとその場を後にしたわ。

 洋館へ向かう最中、通った川沿いの道
、誰かが毒を口にしてないかを心配していた私、そんな私は驚くべき光景を目の当たりにする。

 洋館の前を流れる川に仕掛けられた大量の“蛇実”とクラブスパイダーとダブルスパイダーの作った網が川に広がっていたの。

「カミルさん。メルリさんから話を聞いて、慌てて皆で川に罠を仕掛けたんです、説明に苦労しましたが、パルム様とアララさんが助けてくれました」とサトウが私にVサインを指で作る。

 嬉しかった、魔物モンスターや使い魔、人間や異世界人に加えて女神まで、私に協力してくれている……過去の私にこんな沢山の素敵な仲間はいなかったと思う、諦めない……諦めたくない! レーメンと絶対に話し合いで解決するわ。

 一旦、洋館内にレーメンを寝かせた私は慌てて川に戻り毒の浄化を開始する。

「私は今やらなくちゃ後悔するから、毒の進行を遅らせたいし、出来るなら浄化したい」

 私の言葉にアララとクレレが立ち上がったの。

「カミル、私も御供しますよ」

「クレレも行くでし。メルリは浄化魔法が苦手なのでし、だから代わりにクレレが助けるでしよ!」

 そんな二人の後ろから姿を現すパルム。

「毒くらいで騒ぎ過ぎですのん、早く毒を浄化して事の次第をまとめないといけないのん。だから仕方なく、仕方なくなのん力を貸してあげるのん」

 私は急ぎ外に出ると飛行魔法で夜空に飛び立つ、その後ろから羽を広げた天使と女神が続いて飛び立つと私は不思議な感覚に涙が溢れていた。
 涙を悟られないように拭うとレーメンと妖精達のいた水源の真上に停止する私達。

 毒を吸い込み弱った木々や難を逃れながらも水を飲めない森の住人の姿を見て改めて全力で力を使う事を決めたわ。

 毒の浄化に力を貸してくれたアララやクレレ、そしてパルム、私の力だけだと完全な浄化にならなかった。

 少しの悔しさを感じたわ、でも、力を惜し気もなく使ってくれる天使と女神達に感謝の気持ちの方が何百倍も大きかった。

 夜空に輝く星よりも、丸く夜道を導く月よりも、女神達の加護により輝き光る川の流れ、夜空を地上から照らしたような幻想的な光景はまるで夏の蛍を思わせる程に私の胸を熱くしたわ。

 湖の中心が輝きを放ち、川はまるで天の川のように輝きながら下流へと光を伸ばしていく。

「こんなに簡単に浄化が出来るなんて……やっぱり女神って凄いわね」

 私の言葉にアララが「簡単じゃありませんよ」と言うとパルムも同様に口を開く。

「女神二人に天使が一人、更にカミルの魔力があっての結果なのん、本当に凄くたいへんなの!」

 それでも私は皆の協力で川の水が浄化されていく事実に感動したわ。

 帰り道の木々達は新芽を伸ばし始め、季節外れの生命の息吹が森を包み込んでいたの、そして妖精達が『ありがとう……森の支配者さん』と口にしたわ。

「森の支配者か……私のイメージじゃないわね、レーメンにも何とか誤解だとわかってもらわないと」

 私の言葉にアララ達は笑ながら頷いてくれたわ。

 夜はまだ終らない、レーメンと話をつけなくちゃ。
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