楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

文字の大きさ
上 下
114 / 310
3章 素敵なハニーフォレスト

トレーズとシシリです。

しおりを挟む
 私の【鑑定の瞳】に次々とパンの中身が写し出されていったの。

 驚かされたのはカッシュのパンがカレーパン風のパンだった事だったわ。

 ・ターメリック ・チリチリまる ・クミン ・カルダモン ・ガランマサラ ・塩 ・トマト ・ミルク ・蜂蜜 ・野菜(玉葱、人参、パクチー等) ・果実(リンゴ等) ・ボア肉(ミンチ)

 あげたらキリがない程の食材が私の眼に写し出されたわ。

 流石の私も驚いたわ、この世界にターメリックとかあったのね?

 驚くべきはカッシュの才能だと改めて感じたわ。
 この世界にはカレーは存在しないの、私もターメリックやガランマサラが有るなんて知らなかったわ。

「カッシュ。凄いじゃない! ララリルルに新たな料理を作り出したのね。まさに天才ね」

 笑みを浮かべ喜ぶ私に申し訳無さそうに頭を抱えるカッシュ。

「いやぁ、カミル。あれなんだよ。実は俺のオリジナルじゃないんだ。実を言うとな、サトウからアドバイスを貰ってな、だから天才なのはサトウなんだよ」

 は? 私は少し考えたわ、確かにサトウは色んな人に挨拶回りに動いてたけど、いつの間にそんな事になったわけ?

「良くわからないわね? なんでサトウとカッシュが知り合いになるのよ! それになんでパンのアドバイスをして貰ってるわけ!」

 私の頭に次々に質問が浮かぶ最中、カッシュは理由を教えてくれたの、因みにパンにイチャもんをつけた男は私にシバかれる前にバイル達に連れてかれたわ。

 カッシュかサトウと出逢ったのはラッペン邸にサトウが挨拶に行った際だったそうなの。

 カッシュが“チリチリまる”をパンに加えつつ蜂蜜を上手く使う方法を考えて試行錯誤を繰り返していた際にサトウが姿を現したって感じみたいなのよ。

 修行に行く前の事で私は知らなかったんだけど、パルムの加護はサトウを上手く誘導してその時食べたかったカレーをアイディアとしてカッシュに提案したみたいなの……

 寧ろ無茶苦茶よね、普通にカレーを頼むなんて、しかも、ターメリックは薬として売られてるなんて私は知らなかったんだけど、サトウは偶然にもメイドか落とした救急箱の中からこぼれた気付け薬のターメリックやカルダモンと出逢ったらしく、直ぐにカレーの伝授が始まり、完成品が今のパンの祭りに使われたカレーパンって訳ね。

 私の予想を遥かに越えるデタラメな運命に笑う他ないわね、とにかく! カッシュは無罪だし、イチャもん男はバイル達に絞られてるし問題解決ね。

「しかしよ? カッシュらしくないわ! なんで自分のオリジナルで勝負しないのよ!」

 私の言葉にカッシュは笑顔で語ったわ。

「サトウが凄く旨いと俺のカレーを食べてくれたんだ。初めて作ったがスパイスに気付け薬を使うなんてのは初めての経験で俺はまだまだ食の道を先に進めるんだと確信したんだ。そんな料理を祭りに出さないなんて、食の冒涜だと思わないか? 少なくとも俺はそう感じたんだ」

 何よ……凄くいいまとめ方して、私が意地悪みたいじゃない……でも、納得だわ。

「カッシュ、変わったわね? 私が出会った時は只の酔っ払いだったのにさ、凄く格好いいじゃない」

 照れくさそうに鼻の頭を指で掻くカッシュは少しだけ、少しだけよ! 格好良く見えるわ。

「俺はカミルに出会ったからこそ変われたんだ。心から感謝するよ、ありがとうなカミル」

 そんな私達の話が終わる頃にはカッシュの店の前に大行列が出来ていたわ。

「カッシュ評価は平等よ。頑張って、最高に美味しかったわよ」

「ありがとうな、頑張って作るからな。結果より今は食べる人達の笑顔が見たいからな」

 私がカッシュの店を後にする頃、ライパンにマイヤとレイト達が到着したの、直ぐに合流した私はマイヤとレイトを案内しながら試食と評価を続けていったわ。

 不思議な程、オーバーに騒ぐレイト、それを見て笑みをこぼすマイヤ。

 二人はまるで恋人時代に戻ったみたいに楽しそうだったわ。

 私はそんな二人にあるプレゼントを渡そうと計画していたの。

 タウリに二人の案内を任せた私はプレゼントを手に入れる為に“とある店”に向かったわ。

 ライパンの寂れた一角にひっそりと佇むたたずむ寂れた店。
 入り口には小さな鈴が付けられ、不思議な雰囲気を醸し出す緑に塗られた扉にはドアのぶは存在せず、ただ押せば中に入れるように作られた不用心と言う他ない扉のついた店。

 店の名は……【トレーズ】

 その名の通り物々交換でのみ商売をする変わり者の女店主が経営するお店なの。

 私が何故この【トレーズ】を訪れたのかと言えば、此処にしか存在しない物があるからよ。

 “カラン”と扉から流れる鈴の音。

「おやぁ~おやぁ? 珍しい御客様じゃないの、でも此所は御客様のような御子様が一人で来てもロンドは使えないのよ? まぁ、誰が来てもロンドじゃ何も売らないんだけどね」

 私を見るなりそう語る人物こそ、物々交換屋【トレーズ】の女主人。

 “シシリ”よ。

 店の事も女主人の名前も、じい様から教えて貰ったの。
 以前の褒美だとか言ってたわね?

 そして、私がわざわざ【トレーズ】に来た理由は只1つ、この店にある夫婦石めおといしと言われる宝石を交換して貰うためよ。

 夫婦石は私達の居た世界とは違い本当の宝石で魔力が詰まった魔石の1つなの、でも発掘の際の微かな振動でヒビが入る事もあり、加工も凄く大変な魔石なのよ。

 だから、わざわざ加工される事は稀でしかも、加工しても価値があまりないから意味嫌われる魔石なのよね。

 そんな夫婦石を加工できる職人が実はシシリなの。

 店には多くのマジックアイテムと一緒に幾つかの夫婦石の原石が振動防止の魔法が掛かった箱に飾られていたわ。

「御嬢さん? ケースに触れたらダメよ? その石はすごーく、衝撃に弱いのよ、ヒビが入れば価値が石から紙に代わるわ? 早く言えばガラクタになった石を私の欲しいもと交換する書類にサインして貰う事になるのよ」

「私はこの夫婦石が欲しくて来たのよ。序でに加工もお願いしたいのさん」

 名前を口にすると驚いたように私に向かって歩いてくるシシリ。

「私の名を知ってる方の御紹介かしら? それなら失礼したわね。普通の御嬢さんかと思ってたから、本当にごめんなさい」

「いいのよ。其よりも交渉よ。私は貴女の読めない言葉が読めるわ。貴女の解読してる過去の遺産である書物を2冊解読するわ。その代わりに夫婦石を加工した状態で1セット欲しいの」

 私の言葉に驚いた表情を浮かべるシシリ。

「過去の遺産? そんな書物があると貴女は信じるの? 世界の禁書にあたる物が仮に存在するとして、何故貴女が読めるのか、理由を聞かせて貰わないと話は進まないのだけど?」

 私はシシリにデンキチから貰った力の一端を話たわ。

 更にじい様の紹介だと話すとアッサリと交渉が成立したの。

「商品は明日迄に仕上げるわ。一年以内の解読が条件よ。契約書は魔法で繋がり、約束から一年以上が経過したら商品は無効になり、私の元に戻るの、この条件でいいかしら?」

「えぇ感謝するわ。シシリさん」

 私の名が刻まれた契約書が輝き光のリボンで縛られると店の奥へと飛んでいったわ。

「明日の朝に御待ちしているわ。本に関しては店の奥で解読をお願いしたいの、持ち出しは危ないから」

 私は頷くとシシリに見送られ店を後にした。
 本当は今日欲しかったけど、明日のお楽しみね。今日もマイヤとレイトには泊まって貰わないとね。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

願いの代償

らがまふぃん
恋愛
誰も彼もが軽視する。婚約者に家族までも。 公爵家に生まれ、王太子の婚約者となっても、誰からも認められることのないメルナーゼ・カーマイン。 唐突に思う。 どうして頑張っているのか。 どうして生きていたいのか。 もう、いいのではないだろうか。 メルナーゼが生を諦めたとき、世界の運命が決まった。 *ご都合主義です。わかりづらいなどありましたらすみません。笑って読んでくださいませ。本編15話で完結です。番外編を数話、気まぐれに投稿します。よろしくお願いいたします。 ※ありがたいことにHOTランキング入りいたしました。たくさんの方の目に触れる機会に感謝です。本編は終了しましたが、番外編も投稿予定ですので、気長にお付き合いくださると嬉しいです。たくさんのお気に入り登録、しおり、エール、いいねをありがとうございます。R7.1/31

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...