楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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3章 素敵なハニーフォレスト

トレーズとシシリです。

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 私の【鑑定の瞳】に次々とパンの中身が写し出されていったの。

 驚かされたのはカッシュのパンがカレーパン風のパンだった事だったわ。

 ・ターメリック ・チリチリまる ・クミン ・カルダモン ・ガランマサラ ・塩 ・トマト ・ミルク ・蜂蜜 ・野菜(玉葱、人参、パクチー等) ・果実(リンゴ等) ・ボア肉(ミンチ)

 あげたらキリがない程の食材が私の眼に写し出されたわ。

 流石の私も驚いたわ、この世界にターメリックとかあったのね?

 驚くべきはカッシュの才能だと改めて感じたわ。
 この世界にはカレーは存在しないの、私もターメリックやガランマサラが有るなんて知らなかったわ。

「カッシュ。凄いじゃない! ララリルルに新たな料理を作り出したのね。まさに天才ね」

 笑みを浮かべ喜ぶ私に申し訳無さそうに頭を抱えるカッシュ。

「いやぁ、カミル。あれなんだよ。実は俺のオリジナルじゃないんだ。実を言うとな、サトウからアドバイスを貰ってな、だから天才なのはサトウなんだよ」

 は? 私は少し考えたわ、確かにサトウは色んな人に挨拶回りに動いてたけど、いつの間にそんな事になったわけ?

「良くわからないわね? なんでサトウとカッシュが知り合いになるのよ! それになんでパンのアドバイスをして貰ってるわけ!」

 私の頭に次々に質問が浮かぶ最中、カッシュは理由を教えてくれたの、因みにパンにイチャもんをつけた男は私にシバかれる前にバイル達に連れてかれたわ。

 カッシュかサトウと出逢ったのはラッペン邸にサトウが挨拶に行った際だったそうなの。

 カッシュが“チリチリまる”をパンに加えつつ蜂蜜を上手く使う方法を考えて試行錯誤を繰り返していた際にサトウが姿を現したって感じみたいなのよ。

 修行に行く前の事で私は知らなかったんだけど、パルムの加護はサトウを上手く誘導してその時食べたかったカレーをアイディアとしてカッシュに提案したみたいなの……

 寧ろ無茶苦茶よね、普通にカレーを頼むなんて、しかも、ターメリックは薬として売られてるなんて私は知らなかったんだけど、サトウは偶然にもメイドか落とした救急箱の中からこぼれた気付け薬のターメリックやカルダモンと出逢ったらしく、直ぐにカレーの伝授が始まり、完成品が今のパンの祭りに使われたカレーパンって訳ね。

 私の予想を遥かに越えるデタラメな運命に笑う他ないわね、とにかく! カッシュは無罪だし、イチャもん男はバイル達に絞られてるし問題解決ね。

「しかしよ? カッシュらしくないわ! なんで自分のオリジナルで勝負しないのよ!」

 私の言葉にカッシュは笑顔で語ったわ。

「サトウが凄く旨いと俺のカレーを食べてくれたんだ。初めて作ったがスパイスに気付け薬を使うなんてのは初めての経験で俺はまだまだ食の道を先に進めるんだと確信したんだ。そんな料理を祭りに出さないなんて、食の冒涜だと思わないか? 少なくとも俺はそう感じたんだ」

 何よ……凄くいいまとめ方して、私が意地悪みたいじゃない……でも、納得だわ。

「カッシュ、変わったわね? 私が出会った時は只の酔っ払いだったのにさ、凄く格好いいじゃない」

 照れくさそうに鼻の頭を指で掻くカッシュは少しだけ、少しだけよ! 格好良く見えるわ。

「俺はカミルに出会ったからこそ変われたんだ。心から感謝するよ、ありがとうなカミル」

 そんな私達の話が終わる頃にはカッシュの店の前に大行列が出来ていたわ。

「カッシュ評価は平等よ。頑張って、最高に美味しかったわよ」

「ありがとうな、頑張って作るからな。結果より今は食べる人達の笑顔が見たいからな」

 私がカッシュの店を後にする頃、ライパンにマイヤとレイト達が到着したの、直ぐに合流した私はマイヤとレイトを案内しながら試食と評価を続けていったわ。

 不思議な程、オーバーに騒ぐレイト、それを見て笑みをこぼすマイヤ。

 二人はまるで恋人時代に戻ったみたいに楽しそうだったわ。

 私はそんな二人にあるプレゼントを渡そうと計画していたの。

 タウリに二人の案内を任せた私はプレゼントを手に入れる為に“とある店”に向かったわ。

 ライパンの寂れた一角にひっそりと佇むたたずむ寂れた店。
 入り口には小さな鈴が付けられ、不思議な雰囲気を醸し出す緑に塗られた扉にはドアのぶは存在せず、ただ押せば中に入れるように作られた不用心と言う他ない扉のついた店。

 店の名は……【トレーズ】

 その名の通り物々交換でのみ商売をする変わり者の女店主が経営するお店なの。

 私が何故この【トレーズ】を訪れたのかと言えば、此処にしか存在しない物があるからよ。

 “カラン”と扉から流れる鈴の音。

「おやぁ~おやぁ? 珍しい御客様じゃないの、でも此所は御客様のような御子様が一人で来てもロンドは使えないのよ? まぁ、誰が来てもロンドじゃ何も売らないんだけどね」

 私を見るなりそう語る人物こそ、物々交換屋【トレーズ】の女主人。

 “シシリ”よ。

 店の事も女主人の名前も、じい様から教えて貰ったの。
 以前の褒美だとか言ってたわね?

 そして、私がわざわざ【トレーズ】に来た理由は只1つ、この店にある夫婦石めおといしと言われる宝石を交換して貰うためよ。

 夫婦石は私達の居た世界とは違い本当の宝石で魔力が詰まった魔石の1つなの、でも発掘の際の微かな振動でヒビが入る事もあり、加工も凄く大変な魔石なのよ。

 だから、わざわざ加工される事は稀でしかも、加工しても価値があまりないから意味嫌われる魔石なのよね。

 そんな夫婦石を加工できる職人が実はシシリなの。

 店には多くのマジックアイテムと一緒に幾つかの夫婦石の原石が振動防止の魔法が掛かった箱に飾られていたわ。

「御嬢さん? ケースに触れたらダメよ? その石はすごーく、衝撃に弱いのよ、ヒビが入れば価値が石から紙に代わるわ? 早く言えばガラクタになった石を私の欲しいもと交換する書類にサインして貰う事になるのよ」

「私はこの夫婦石が欲しくて来たのよ。序でに加工もお願いしたいのさん」

 名前を口にすると驚いたように私に向かって歩いてくるシシリ。

「私の名を知ってる方の御紹介かしら? それなら失礼したわね。普通の御嬢さんかと思ってたから、本当にごめんなさい」

「いいのよ。其よりも交渉よ。私は貴女の読めない言葉が読めるわ。貴女の解読してる過去の遺産である書物を2冊解読するわ。その代わりに夫婦石を加工した状態で1セット欲しいの」

 私の言葉に驚いた表情を浮かべるシシリ。

「過去の遺産? そんな書物があると貴女は信じるの? 世界の禁書にあたる物が仮に存在するとして、何故貴女が読めるのか、理由を聞かせて貰わないと話は進まないのだけど?」

 私はシシリにデンキチから貰った力の一端を話たわ。

 更にじい様の紹介だと話すとアッサリと交渉が成立したの。

「商品は明日迄に仕上げるわ。一年以内の解読が条件よ。契約書は魔法で繋がり、約束から一年以上が経過したら商品は無効になり、私の元に戻るの、この条件でいいかしら?」

「えぇ感謝するわ。シシリさん」

 私の名が刻まれた契約書が輝き光のリボンで縛られると店の奥へと飛んでいったわ。

「明日の朝に御待ちしているわ。本に関しては店の奥で解読をお願いしたいの、持ち出しは危ないから」

 私は頷くとシシリに見送られ店を後にした。
 本当は今日欲しかったけど、明日のお楽しみね。今日もマイヤとレイトには泊まって貰わないとね。
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