楽しくて異世界☆ワタシのチート生活は本と共に強くなる☆そんな私はモンスターと一緒に養蜂場をやってます。

夏カボチャ

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3章 素敵なハニーフォレスト

パンの祭りです2

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 前夜祭から2日が過ぎていよいよ、ベジルフレア王国、ザカメレア王国、マドラットの3ヵ国主催の食の祭りが始まる。
 第一回目は“蜂蜜を使ったパン”になっている事もあり、私がライパンに辿り着く前から甘い香りがライパンの外まで広がっていたわ。

 食欲をそそる、焼きたてのパンの香りに甘く優しい蜂蜜の香りが合わさり、ライパンがお菓子の王国のようにすら感じるわね。

 外からやって来た一般の御客さん達は試食開始の合図である花火が上がるまでの間を買い物や観光に使っているみたい。

 メリア御姉ちゃんと“シュラム”のギルドメンバーにルフレと警備隊がライパン全体に配備され、ザカメレアからは、カルメロが部下の兵士を連れて警備に参加してくれたわ。

 今回は本当に大規模な祭りになるわ王都ライパンに他の国の兵士まで警備に参加するなんて今まで無かった事らしいから、問題なく進むといいんだけど、どうかしらね?

 私が少し考えるように首を傾げると後ろから「お嬢様、どうされました?」とメルリが声を掛けてきたの。

「大丈夫よ、特に何かある訳じゃないのよ、ただね火事ならぬ、祭りと喧嘩は江戸の華って言うから、少しだけ心配なのよ」

 そう言うとメルリが考えるように首を傾げる。

「エド? お嬢様、どちらの花屋さんですか? ライパンでそんな花屋の名前も店員も聞いた事が御座いませんが?」

 あはは、確かに江戸の華なんて、この世界には無い言葉だったわね。

「いいのよ、忘れてメルリ。あと、今の話はサトウには言わないで約束よ! いいわね?」

 少しきつめにメルリにはそう言ったの、流石のサトウも“江戸の華”なんてフレーズを聞いたら私が転生者だって気づくだろうし、サトウにその事実を明かす気はないわ。
 況してや私が美浦ミウラ海徒カイトだなんて絶対に知られたくない……サトウは絶対に謝ってくる筈だもん、そんなの不快よ!

 私の言葉に「わかりました。お嬢様」と頷くメルリ。

「もし破ったら絶交だからね! 本気なんだから!」

「お嬢様、今日は良く分からない言葉をよく口になさいますね? ゼッコウとはどのような意味ですか?」

 私は普段使わない言葉だけど、驚いたのはこの世界には“絶交”と言う言葉も存在しない事実だったわ。

「つまり、サトウに今の話をしたら私はメルリと会えなくなるの! わかった?」

 簡単な説明をするとメルリが涙を浮かべて抱きついてきたの。

「お嬢様、私を捨てないでください、お嬢様が居なくなったら私は、私は……」

 予想外の展開と公衆の面前でのメルリの声に私達に注目が集まる。

「わかったから泣かないで、行くわよ! 開会式に遅れるわ。私もメルリが居ないと嫌だし、約束を破らないでお願いね?」

 朝から色々と問題だらけになりながら、いよいよ祭りが開始される。

 私は審査員席に座り、他の審査員達は私の姿をまじまじと見つめている。

 正直、いい気分じゃないわね? まるでサーカスのピエロか珍獣になった気分だわ。

 そして、ベジルフレア王の挨拶と来賓のザカメレア王の挨拶が終わると私もマドラットの代表として挨拶をすることになったの。

 前降り無しは反則よね……

「えぇ、私はマドラット代表のミルシュ=カミルです。今回はいきなりの祭りの開催にも関わらず、多くの人々が助け合い、協力の元、今日に至りました。

私達はこの祭りを3ヵ国の未来に繋ぐ架け橋であり、この先の3ヵ国を明るく照らす虹の架け橋であると信じています。最高の食の祭りを皆様が楽しめる事を私達、マドラット、そしてベジルフレア王国、ザカメレア王国は望みます。皆様、楽しい時間を御過ごしください」

 私はそう告げると会釈をしてステージを後にする。

「「「おおおぉぉぉぉ」」」と沸き上がる国民達、そしてベジルフレア王が開始の花火に点火すると空に1発の花火が舞い上がり“バーン”と開始の合図が鳴り響いた、祭りの始まりよ!
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