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2章 外の世界へ
男は頑張る生き物です。
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最後の特訓は本当に大変だったと思う、サトウがどんなに剣を打ち出しても一撃も入らない、それどころかバイルのガードからのカウンターが炸裂し何度も吹っ飛ばされ、地面に叩きつけられていったわ。
「サトウ……頑張りなさい。回復魔法をまた掛けるから次は勝ちなさいよ?」
そう、サトウは今、43回目の回復を私に受けている。
特訓だからいいけど、簡単に言うなら42回よ? 戦場なら回復は無いから死んでるわ。
バイルは呼吸を乱すことなく此処まで戦っているのに対してサトウは既に限界ね?
「ハァ……いいわ、サトウ。よく見ててね。バイルさん、次は私が相手をするわ! 全力でお願い」
私の言葉にバイルは笑いながら「掛かってこいミルシュ=カミル! この前の敗北から俺は強くなったんだからな!」と大声をあげる。
私はサトウに回避の仕方や剣道の踏み込みとは違うバイルの騎士の戦い方を見せるように戦っていく。
バイルの力強い踏み込みから振り下ろされる本気の刃、私が紙一重で回避すると、バイルは地面に突き刺さった剣を豪快に私目掛けて振り回してくる。
私は即座に地面を蹴り、剣の間合いから離れると振り抜いた反動を利用したバイルがそのまま私目掛けて突進をしてくる。
私は咄嗟に地面に剣を突き立てるとバイルのぶつかる寸前に剣を地面から振り抜いた。
バイルの顔面スレスレを切っ先が通り抜けるもバイルはそのまま私へと迫ってくる。
そして、私の目の前でピタリと停止したの。
「手を抜きやがったな? さっきの剣、本来なら顔面を掠めるか切り裂けただろうが?」
「バイルさん……バカなの! 本当に切ったらまずいでしょ!」
「バカじゃねぇよ! 傷は戦いの証だ。そして俺に傷を刻む者は強者だ! このクラウン=バイル! 戦いの中で死ぬは本望だ、ガハハハ!」
あぁぁ……あれだ、忘れてたわ……バイルも駄目な大人だったわ。
「そう、ならバイルさん簡単にやられないでよ!」
「望むところだ! 掛かってこい!」
私とバイルの戦いを見つめるサトウは言葉を失ってるみたいね?
バイルとの勝負は私が勝利したわ。最終的には剣じゃなくて、鉄拳で溝内に一撃よ。
回復に凄く時間が掛かるくらいバイルってば無理してたみたいでビックリしたわ。
「バイルさん、ありがとうね。あと……やり過ぎたわ」
反省を口にする私、それを聞いて笑みを浮かべるバイル。
「構わないさ。次は絶対に勝つからな! 待ってろよ。ガハハハ」
その後はバイルの指示で、兵士達と
模擬戦を繰り返すサトウ。
特訓は夕方まで続き、サトウは驚くべき成長を遂げていたの。
剣を受けるのではなく躱すようになり、剣は豪快ながらも確実に急所を狙い打ち出していたわ。
「ハァ……ハァ……やっと、一本入ったアーーっ! マジに疲れた」
サトウは何とかバイルに本気の一撃を食らわせたわ。
勿論、倒す程の威力は無かったけど、それでも普通なら1日で将軍であるバイル相手に一撃を入れるのは難しい……それをやり遂げたのだから、天狗に成らない程度に褒めてあげても罰は当たらないわね。
「よくやったわね。バイルさんに一撃を入れるなんて立派よ。明日の試験もその調子で頼むわね」
私がそう言うと、なんとも言えない笑顔を浮かべながらもサトウが口を開く。
「カミルさん、ありがとう。こんなに疲れたのは久し振りだよ……明日もこんな清々しい気持ちになれたらいいんだけどね」
サトウの言葉に私は「大丈夫よ」と返答したかったが絶対など無い……
「甘ったれないの! 本番に実力を発揮できない人は山程いるわ、明日は死ぬ気で頑張りなさい!」
サトウはきっと大丈夫……私はそう信じながらも相手がタウリである事に不安を感じていた。
「サトウ……頑張りなさい。回復魔法をまた掛けるから次は勝ちなさいよ?」
そう、サトウは今、43回目の回復を私に受けている。
特訓だからいいけど、簡単に言うなら42回よ? 戦場なら回復は無いから死んでるわ。
バイルは呼吸を乱すことなく此処まで戦っているのに対してサトウは既に限界ね?
「ハァ……いいわ、サトウ。よく見ててね。バイルさん、次は私が相手をするわ! 全力でお願い」
私の言葉にバイルは笑いながら「掛かってこいミルシュ=カミル! この前の敗北から俺は強くなったんだからな!」と大声をあげる。
私はサトウに回避の仕方や剣道の踏み込みとは違うバイルの騎士の戦い方を見せるように戦っていく。
バイルの力強い踏み込みから振り下ろされる本気の刃、私が紙一重で回避すると、バイルは地面に突き刺さった剣を豪快に私目掛けて振り回してくる。
私は即座に地面を蹴り、剣の間合いから離れると振り抜いた反動を利用したバイルがそのまま私目掛けて突進をしてくる。
私は咄嗟に地面に剣を突き立てるとバイルのぶつかる寸前に剣を地面から振り抜いた。
バイルの顔面スレスレを切っ先が通り抜けるもバイルはそのまま私へと迫ってくる。
そして、私の目の前でピタリと停止したの。
「手を抜きやがったな? さっきの剣、本来なら顔面を掠めるか切り裂けただろうが?」
「バイルさん……バカなの! 本当に切ったらまずいでしょ!」
「バカじゃねぇよ! 傷は戦いの証だ。そして俺に傷を刻む者は強者だ! このクラウン=バイル! 戦いの中で死ぬは本望だ、ガハハハ!」
あぁぁ……あれだ、忘れてたわ……バイルも駄目な大人だったわ。
「そう、ならバイルさん簡単にやられないでよ!」
「望むところだ! 掛かってこい!」
私とバイルの戦いを見つめるサトウは言葉を失ってるみたいね?
バイルとの勝負は私が勝利したわ。最終的には剣じゃなくて、鉄拳で溝内に一撃よ。
回復に凄く時間が掛かるくらいバイルってば無理してたみたいでビックリしたわ。
「バイルさん、ありがとうね。あと……やり過ぎたわ」
反省を口にする私、それを聞いて笑みを浮かべるバイル。
「構わないさ。次は絶対に勝つからな! 待ってろよ。ガハハハ」
その後はバイルの指示で、兵士達と
模擬戦を繰り返すサトウ。
特訓は夕方まで続き、サトウは驚くべき成長を遂げていたの。
剣を受けるのではなく躱すようになり、剣は豪快ながらも確実に急所を狙い打ち出していたわ。
「ハァ……ハァ……やっと、一本入ったアーーっ! マジに疲れた」
サトウは何とかバイルに本気の一撃を食らわせたわ。
勿論、倒す程の威力は無かったけど、それでも普通なら1日で将軍であるバイル相手に一撃を入れるのは難しい……それをやり遂げたのだから、天狗に成らない程度に褒めてあげても罰は当たらないわね。
「よくやったわね。バイルさんに一撃を入れるなんて立派よ。明日の試験もその調子で頼むわね」
私がそう言うと、なんとも言えない笑顔を浮かべながらもサトウが口を開く。
「カミルさん、ありがとう。こんなに疲れたのは久し振りだよ……明日もこんな清々しい気持ちになれたらいいんだけどね」
サトウの言葉に私は「大丈夫よ」と返答したかったが絶対など無い……
「甘ったれないの! 本番に実力を発揮できない人は山程いるわ、明日は死ぬ気で頑張りなさい!」
サトウはきっと大丈夫……私はそう信じながらも相手がタウリである事に不安を感じていた。
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