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2章 外の世界へ
再会、変化にやけ酒です。
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ベジルフレア王国での話が決まった翌日、太陽が顔を出す前に私達4人はザカメレア王国へと向かう為にライパンのラッペン邸を後にしていた。
メガに馬車を引いてもらい、私達は全速力でザカメレアを目指す。
手綱をメルリに任せ、順調に進む馬車には揺れ1つない。
馬車に少し工夫を凝らした結果ね。一定時間を浮游状態に出来る魔法を馬車に掛ける事でホバー状態にしたの。
メガがどんなに荒々しく走っても大丈夫なのよ。
ザカメレアへの道中、私とメルリはある一団の存在を思い出していた。
そう、私に使い魔のガスを噴射して逃げた女団長ミルホとククルペン一座の存在……未だに捕まってないと言う事実、次に会ったら釜茹でにしてやるんだから!
馬車はザカメレア王国を目指し、ガラニルンの谷を抜ける。
谷の上から私達を睨み付けているガラニルンの群れ、戦闘を覚悟するして、殺気を出すと危険を感知したのか、ガラニルンの群れがその場から立ち去り姿を消す。
ペンネとアララがその光景に笑う。
「アハハ、妾は魔物があんなにアッサリ逃げる姿を初めて見たぞ、しかし、実に恐れられておるな?」
「カミルと戦うと骨まで残らないですからね。前回もガラニルンの焼肉パーティーになりましたし? 本当にカミルは恐ろしい存在になっちゃったんですね」
なんとも言いがたい会話、女神の太鼓判に、魔王のお墨付き……私は本当に普通の少女には戻れないかも知れないわ。
馬車が関所の町ジャルニジルに到着した時、見覚えのある馬車を見つける。
「あの馬車ッ! マークは違うけど、間違いないククルペン一座じゃない!」
怒りが込み上げてきたわ、あのスカンクの使い魔のせいで数日の間、悪夢に魘されたんだから!
「ミルホッ! 出てきなさい。骨も残らないように使い魔と一緒に消し炭にしてやるんだからね!」
慌てて私の方を向くククルペン一座のメンバー、その座長であるミルホは怒り狂い般若のようになった私の表情に顔を青くしたわ。
「カ、カミル……アハハ、お互い無事だったのね、いやぁ良かった良かった。うん、無事もわかったし私達はそろそろ行くわ……アハハ」
乾いた笑みに焦り笑いを浮かべる一座を私が逃がす筈もなく、ミルホの肩を確りと掴む。
「なに逃げようとしてるのかしら?」
ミルホは慌てて影からまた使い魔を召喚してきたの、二回も同じ方法が通用すると思われてるなんて悲しいわ。
「ハァ……空気の球体」
私は呆れながらも確りと風魔法でスカンクを空気で出来た球体型の防壁で囲み、案の定、いきなりのガス攻撃を炸裂させたわ。
スカンクは自分のガスで気絶したみたいね? ピクピクしてるけど戦える雰囲気じゃないわね?
「え、ボスカンク! ちょっと、何やられてるのよ……」
諦めたのか、使い魔を影に戻したミルホ、そして走り出すククルペン一座の馬車、私に向かって突進して来たけど、私を怒らせたんだから只じゃおかないわ!
「メガッ! デンキチッ! スカーッ!」
私の影からスカーとデンキチが飛び出し、馬車から解き放たれたメガがククルペン一座の馬車に横から突進する。
正面からデンキチが馬を押さえつけ、スカーが馬車の中に特攻する。
10秒で制圧完了となり、ミルホにはメルリが確りとお仕置きをしてくれたわ。
ザカメレア王国への土産としては十分ね。
そのまま、ザカメレア王国へと進む私達を待ち構えて居たのはカルメロとその直属の重装甲騎士団だったの。
「待っていたぞ! ベジルフレア王からの連絡を受け、俺と部下でザカメレア王の元まで案内させてもらう事になったんだ」
少し嬉しそうにすら見えるカルメロの表情、元が怖い顔だからなのか少し穏やかな表情にも見えるわ。
「久々ねカルメロ、なんか良いことでもあったの?」
「うむ、ザカメレア王国とベジルフレア王国がマドラッド王国により、同盟になったお陰でな、民から税が軽減されたんだ」
私は首を傾げた。
「でも、税が減れば国としては痛手よね?」
「まぁな、だが、軍事費用と戦の両方が無くなれば民は潤い、結果として戦争をせずに国が潤う事になった。少しの間でこれだけの変化があれば、未来に更なる期待が持てると言う訳だ」
意外だったわ、カルメロってば、以外に政治家みたいな性格なのね?
ククルペン一座を引き渡した後、ベジルフレア王国で開かれるパンのイベントの事をザカメレア王に報告した私達はその日をザカメレア王国で過ごす事に決めた。
夜のザカメレア王国はまるでお祭り騒ぎのように賑やかで飲み屋街は多くの国民の笑顔で溢れ返っていたの。
「なんか、カルメロの言ってた事が分かる気がするわ、皆の表情が生き生きしてるものね?」
「お嬢様の功績です。さあ、私達も乾杯と行きましょう!」
私達の座るテーブルに次々に運ばれる料理、そして4人の前に並ぶグラスには並々と注がれたワイン。
「はい、カンパーイ!」
「「「カンパーイ」」」
1日を確りとやり遂げた私への御褒美ね。
「最高だわ、でも、最近飲んでばかりね……身長が伸びなくなったらどうしようかしら?」
私の心配を打ち砕くようにアララが一言。
「大丈夫ですよ。カミルはそのままです。【特急強化】で肉体に変化は一切現れませんから」
え、な、なんで!
「ちょっと! なら私は一生、子供の姿なの!」
「はい、死ぬまで変わりませんよ。若いままなんて素敵じゃないですか」
無邪気なアララの笑顔に泣きたくなるわ……やけ酒よ! やけ酒しかないわ。
私はその日、涙がワインになるほどやけ酒をすることにしたわ。
まさかの事実にショックだったんだもの。
メガに馬車を引いてもらい、私達は全速力でザカメレアを目指す。
手綱をメルリに任せ、順調に進む馬車には揺れ1つない。
馬車に少し工夫を凝らした結果ね。一定時間を浮游状態に出来る魔法を馬車に掛ける事でホバー状態にしたの。
メガがどんなに荒々しく走っても大丈夫なのよ。
ザカメレアへの道中、私とメルリはある一団の存在を思い出していた。
そう、私に使い魔のガスを噴射して逃げた女団長ミルホとククルペン一座の存在……未だに捕まってないと言う事実、次に会ったら釜茹でにしてやるんだから!
馬車はザカメレア王国を目指し、ガラニルンの谷を抜ける。
谷の上から私達を睨み付けているガラニルンの群れ、戦闘を覚悟するして、殺気を出すと危険を感知したのか、ガラニルンの群れがその場から立ち去り姿を消す。
ペンネとアララがその光景に笑う。
「アハハ、妾は魔物があんなにアッサリ逃げる姿を初めて見たぞ、しかし、実に恐れられておるな?」
「カミルと戦うと骨まで残らないですからね。前回もガラニルンの焼肉パーティーになりましたし? 本当にカミルは恐ろしい存在になっちゃったんですね」
なんとも言いがたい会話、女神の太鼓判に、魔王のお墨付き……私は本当に普通の少女には戻れないかも知れないわ。
馬車が関所の町ジャルニジルに到着した時、見覚えのある馬車を見つける。
「あの馬車ッ! マークは違うけど、間違いないククルペン一座じゃない!」
怒りが込み上げてきたわ、あのスカンクの使い魔のせいで数日の間、悪夢に魘されたんだから!
「ミルホッ! 出てきなさい。骨も残らないように使い魔と一緒に消し炭にしてやるんだからね!」
慌てて私の方を向くククルペン一座のメンバー、その座長であるミルホは怒り狂い般若のようになった私の表情に顔を青くしたわ。
「カ、カミル……アハハ、お互い無事だったのね、いやぁ良かった良かった。うん、無事もわかったし私達はそろそろ行くわ……アハハ」
乾いた笑みに焦り笑いを浮かべる一座を私が逃がす筈もなく、ミルホの肩を確りと掴む。
「なに逃げようとしてるのかしら?」
ミルホは慌てて影からまた使い魔を召喚してきたの、二回も同じ方法が通用すると思われてるなんて悲しいわ。
「ハァ……空気の球体」
私は呆れながらも確りと風魔法でスカンクを空気で出来た球体型の防壁で囲み、案の定、いきなりのガス攻撃を炸裂させたわ。
スカンクは自分のガスで気絶したみたいね? ピクピクしてるけど戦える雰囲気じゃないわね?
「え、ボスカンク! ちょっと、何やられてるのよ……」
諦めたのか、使い魔を影に戻したミルホ、そして走り出すククルペン一座の馬車、私に向かって突進して来たけど、私を怒らせたんだから只じゃおかないわ!
「メガッ! デンキチッ! スカーッ!」
私の影からスカーとデンキチが飛び出し、馬車から解き放たれたメガがククルペン一座の馬車に横から突進する。
正面からデンキチが馬を押さえつけ、スカーが馬車の中に特攻する。
10秒で制圧完了となり、ミルホにはメルリが確りとお仕置きをしてくれたわ。
ザカメレア王国への土産としては十分ね。
そのまま、ザカメレア王国へと進む私達を待ち構えて居たのはカルメロとその直属の重装甲騎士団だったの。
「待っていたぞ! ベジルフレア王からの連絡を受け、俺と部下でザカメレア王の元まで案内させてもらう事になったんだ」
少し嬉しそうにすら見えるカルメロの表情、元が怖い顔だからなのか少し穏やかな表情にも見えるわ。
「久々ねカルメロ、なんか良いことでもあったの?」
「うむ、ザカメレア王国とベジルフレア王国がマドラッド王国により、同盟になったお陰でな、民から税が軽減されたんだ」
私は首を傾げた。
「でも、税が減れば国としては痛手よね?」
「まぁな、だが、軍事費用と戦の両方が無くなれば民は潤い、結果として戦争をせずに国が潤う事になった。少しの間でこれだけの変化があれば、未来に更なる期待が持てると言う訳だ」
意外だったわ、カルメロってば、以外に政治家みたいな性格なのね?
ククルペン一座を引き渡した後、ベジルフレア王国で開かれるパンのイベントの事をザカメレア王に報告した私達はその日をザカメレア王国で過ごす事に決めた。
夜のザカメレア王国はまるでお祭り騒ぎのように賑やかで飲み屋街は多くの国民の笑顔で溢れ返っていたの。
「なんか、カルメロの言ってた事が分かる気がするわ、皆の表情が生き生きしてるものね?」
「お嬢様の功績です。さあ、私達も乾杯と行きましょう!」
私達の座るテーブルに次々に運ばれる料理、そして4人の前に並ぶグラスには並々と注がれたワイン。
「はい、カンパーイ!」
「「「カンパーイ」」」
1日を確りとやり遂げた私への御褒美ね。
「最高だわ、でも、最近飲んでばかりね……身長が伸びなくなったらどうしようかしら?」
私の心配を打ち砕くようにアララが一言。
「大丈夫ですよ。カミルはそのままです。【特急強化】で肉体に変化は一切現れませんから」
え、な、なんで!
「ちょっと! なら私は一生、子供の姿なの!」
「はい、死ぬまで変わりませんよ。若いままなんて素敵じゃないですか」
無邪気なアララの笑顔に泣きたくなるわ……やけ酒よ! やけ酒しかないわ。
私はその日、涙がワインになるほどやけ酒をすることにしたわ。
まさかの事実にショックだったんだもの。
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