何故かハイスペックになって過去に戻ったんだが

かるら

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『皆さまようこそシーワールドへ!只今よりカマイルカ・バンドウイルカ・オキゴンドウによるイルカショーを開催致します!』

会場アナウンスが流れるとイルカショーの会場に歓声が響いた。
水飛沫みずしぶき等の注意事項もアナウンスされていた。


それにしてもここの水族館のショースペースって広いんだな。
20段くらいのスペースが満員になっており、俺たちは18段目の中央席に陣取っていた。
ショースペースには大型のテレビのようなものがあり、会場全体や水槽を映し出していた。



「ちーちゃんショー始まるみたいね!」

「うん!楽しみだねママ!」

「ほぉ、ここのイルカショーは3種類もイルカの種類がいるのか。」


そうだね父さん、イルカにこんなに種類がいるとは知らなかったな。


『先ずは、バンドウイルカのバン君・ドウイ君・ルカ君の3匹が皆さまにご挨拶でーす!』

そうアナウンスが流れると飼育員さんの動きに合わせてイルカ達が鳴き出した。


「うわぁ!イルカの鳴き声って高いんだね!」

「なんだかサイレンみたいだな。」

「もう秋歳さんったら。かわいいでしょ。」

それから、イルカ達は、飼育員さんの合図に従って輪潜り・ハイジャンプ・ボールキックなどをしていった。


『次は、オキゴンドウのゴンドウ君です!大きさからシャチによく間違えられるのですがイルカに分類されています!ごーんどーくーん!』


そう声をかけると水中からでっかいイルカが水飛沫と共に跳ね上がった。


「でっかーーーーーい!」


すごいすごい!
あれでイルカなのか!
6メートルはあるんじゃないか?

「ちーちゃんすごいね!」

「いやー!こりゃすごいのが見れたな。」

父さんも母さんも興奮してますな。

その後、ゴンドウ君は会場へ尾びれを使って水を飛ばす芸をしたり、飼育員さんと一緒に泳いだりといろいろ見せてくれた。
もう俺大興奮。




『続きまして、カマイルカのカマ君とカイル君の2匹による曲芸をご覧ください!』

そういうと、白黒の二色に別れた体色のイルカ達が出てきた。

「わーイルカさん綺麗だね!」

「黒と白のコントラストが絶妙だな。」

「ふふ、あ!ほら連続輪潜りしてるわよ!すごいすごい!」

母さん大はしゃぎ。
わかるよその気持ち!
ワクワクが止まらないね!


『それでは、これよりカマ君とカイル君とのボールゲームをしようと思います!一緒にやってくれるお友達はいないかなー?参加してくれるお友達は手を挙げてください!はーい!』

元気な飼育員のお姉さんの声が流れた。

あ!子供達参加のボールゲームだって!



「あら!ちーちゃん手あげて見たら?」

「そうだぞ千歳!手を挙げてみろ!選ばれるかもしれないぞ!」

え?やってみたいけどどうしよう。
選ばれるかな?
んー。

「わかった!はーい!」

至る所で親子連れの子供達が手を挙げはじめた。


会場のテレビに客席の映像が写り、いろいろな子供が映し出された。
あ!俺も映った!
あー行きすぎた!
うー!選ばれろー!


「あ!戻ってきた!」

『じゃあ、そこの青色のTシャツの元気に手を挙げてくれている男の子と赤い服を着て元気に両手を振ってくれている女の子に着てもらいたいと思います!』

「やったー!」

「ちーちゃんやったねぇ!」

「千歳よかったなぁ!」

そういって両親がハグしてくれた。

イルカとあそべるぅ!

そうこうしていると係員さんがステージへ案内してくれた。

『こんにちは!先ずは赤い服の女の子から!お名前はなんですか?』

『あーちゃん!』

マイクを通して赤い服の女の子とお姉さんが会話し始めた。

『あーちゃんって言うのね!何歳ですか?』

『あーちゃんは4歳だよ!』

お!同い年だ!

『今日は何処から着たの?』

『ときちま!』

ときちま?何処だそこ?

『刻島から来たのね。あーちゃんありがとうね!次は青い服の男の子に聞いてみましょう!僕はお名前なんですか?』


あー刻島ね。
はいはい、名前ね。

『にいみちとせです!』

『ちとせ君っていうのね!』

噛まずにしっかり挨拶できたぜ!
なんてったって中身おっさんだからできて当然だけどね!

『何歳ですか?』

『うーんと1234・・・4歳!』

指を数えて4本突き出して子供アピールは忘れずしっかりしておいた。

『ちとせ君もありがとうね!それではこれよりカマ君・カイル君対あーちゃん・ちとせ君のボールゲームを始めます!』

アナウンスが流れると拍手と歓声が響いた。

『先ずはあーちゃんから行って見ましょう!』

『はーい!』

ゴール前にあーちゃんが着くと早速ゲームが始まった。

カイル君が相手らしい。

『さー!カイル君のシュートです!あーちゃん頑張って止めましょう!』









おっそ!
コロコロボールじゃないか!
こんなのはサッカーじゃない!




千歳はカイル君がゴールへ向けて転がしたボールをあーちゃんがキャッチしているのを見てそう思った。
うん、これはボールゲームであってサッカーではないのですからね?

あーちゃんがキャッチするとまた歓声と拍手が鳴り響いた。


『あーちゃんナイスキャッチです!あーちゃんとカイル君に惜しみない拍手を!』


パチパチ  パチパチとすごかった。


『続きまして、ちとせ君にはカマ君と勝負してもらいます!ちとせ君もカマ君も頑張ってください!』


さっきのコロコロボールを止めると思うと初めてのイルカショーなのに面白さが足りない気がして来た。

うーん、イルカに思念伝達テレパシーってつかえるのかな?
使ってみるか。


《かかって来いやカマ!イルカの意地見せてみろ!》


そう思った事をカマ君に伝えてみたら。
水槽の中からハイジャンプを繰り返して、水面に顔を出したと思ったらめちゃくちゃこっちに向かって鳴き出した。


あれ?これ伝わっちゃった感じ?
イルカって頭いいらしいからまさかね?

飼育員さん達がちょっと慌ててる。
マイクを切って「あれ?あれ?」って言ってますわ。
あーちゃんはその隣で「わーイルカさんすごい!」とかいってますわ。


会場中もちょっとざわついてる。


そうしているとカマ君が水中に潜り、思いっきりボールを尾びれで吹き飛ばして来た。

わぁ!きた!
あれ?けどあまり早くない?
ってかゆっくりすぎやしませんかね?
あーでも、実際はサッカー選手がサッカーボールを蹴る速度よりもボールの速度は早いのかもしれないけど・・・。
また何かの能力のせいなのだろうか?



「あーーーー!」って飼育員さん達の絶叫が響き。
「わーーーー!」って会場中が盛り上がった。


ボールはゴールへとぐんぐん進んでいる!




「きゃーっち!」




ばしっ!っという音がすると、会場中がシーンとなった。
カマ君も口を開けたまま水面から顔を出していたが沈んでいった。


「ちーちゃんすごい!」

そして、シーンとなった会場に母さんの声が響いた。







「はっ!」『な、ナイスキャッチです!ちとせ君カマ君のボールをしっかり掴みました!惜しみない拍手をどうぞ!』


お姉さんが気を取り直し、すぐにマイクで会場へアナウンスすると溢れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。
あーちゃんも拍手ときらきらした目線を送って来てくれた。

はっはっは!すごいだろ!
なんでか分からんが謎現象でゆっくりな球キャッチしてやったぜ!


その後、席へ戻ると母さん達によくやったと褒められた。

それから、ショーが終わると水族館を見終え、買い物をした後、刻島の爺ちゃんの家へ帰り夕飯を食って寝ることになった。

いやー今日はたのしかった!
夢の中でもイルカに会えるだろうか?


「おやすみなさーい」


そして、この時撮影された映像が、後日テレビで放映され、動画サイトにアップロードされるだなんて、この時の俺は、考えすらしなかったのだった。



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