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第一章

02疑惑の勇者

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 「冗談だよな、からかってるだけだよな!」

「こんなつまんない冗談言うわけないじゃないですか」

舞島君が俺に何処からか具現した剣の矛先を突きつける。え、まさか

「う、動かないで下さい!!!」

次は相田さんが俺にスキルを放つ足元に鎖であわられて動けなくなる。

「ま、待ってくれよ、なにかの間違いだって!!」

「間違いなく訳なくなーい?ウチにも君を倒せて表示されてるんだけど?」

ナズナさんが俺以外の人達にバフをかけたようで少し赤色のオーラが見える

「ま、待ってよ!!いきなりこんなのおかしいよ!」

「そうだって!何かの間違いかもしんねぇじゃんか」

秋野さんと海界さんが俺を守るように立ってくれる、お礼を言いたいけどさっきから声が出ない。どうやら俺が嘘をついてると思った相沢さんが沈黙というデバフを俺にかけている。違う、俺はほんとに召喚されて

「‥まさか、転移魔法に入り込むとは」

え?王様?

「はぁ?読んだ奴がなに無責任な事言ってんだよ!!お前が一番信じないとダメだろうが、つーか相沢ちゃん西条君に掛けてる沈黙といてくんない?これじゃ喋れねぇじゃんか」

海界さん‥

「い、いきなり馴れ馴れしくしないで下さい!本当に敵だったらどうするんですか?!わ、私は解きませんからね」

相沢さん、信じてくれ頼むよ

「とかなくていい、二人にも西条さんが敵認定されてるよね?西条さん以外のステータスは確認出来るんだよね」

え、俺のステータスだけが見えない。舞島君には皆のステータスが見えてるのか?

「だから‥えっとそう!オンラインゲームとかって他人にステータスとか装備とか見られたくない人いるて聞いたことあります!それとおんな「じな訳ないじゃん?だってそいつを倒せて表示あるでしょ?」

倒すってことはつまり‥俺はこれから殺される?

「皆のもの!あの勇者に化けた災禍に魔法攻撃を!!」

「はぁ!テメェジジイ!ふざけんな!!」

海界さんは思い切り地面を強く踏んだところから俺と秋野さんの下に綺麗な珊瑚礁が現れる

「なに?戦うの?僕達と」

「ああ、西条君だってマジで驚いてる。そんな様子を見てはい討伐にはなんねぇだろうが‥!」

「やめた方がいいですよ‥こっちには王様の軍達の人達もいるんですから」

「それに~動けないやつとステ15のか弱い子を守りつつ戦うとか無理じゃない?」

確かに相手の数が多すぎる‥秋野さんにはまだ戦う力がないのに

「だから逃げます。ざけんな、オレは一度決めたら曲げない男だ。こいつにもなんかの理由があんだろ‥だったらオレは戦うぜ」

俺のせいで海界さんが‥動け、動いてくれよ俺の体!!!

「あっそ、じゃあ僕に勝てるかな!!」

そう言って舞島君は海界さんに斬りかかる、海界さんも法螺貝を具現化させて剣を受け止める

「貝殻が武器なんだ?中距離型?」

「さあね、敵に教える訳ねぇだろうが」

そう言って海界さんは舞島君を後ろに吹き飛ばす。しかし彼はそのまま綺麗に元の場所に着地した

「強いね海界さん」

「あんまり、大人を舐めるなよ坊主」

海界さんはそう言って法螺貝を吹き鳴らす、部屋に法螺貝の低い音が鳴り響くと足元の珊瑚礁から小さい魚達が現れて一斉に泡をふく、それを見てナズナさんが王様と臣下と兵士達と舞島君、相田さんに守護防壁を素早く貼った瞬間泡が次々と弾けてナズナさんの作った防壁を振動させる

「なにこれ!やっば!強すぎ!!」

ナズナさんの声が聞こえるが防壁にはヒビ一つ入らない、レベル1の勇者同士の戦いがここまで激しいものならレベルが上がったらどうなるんだよ

泡が全て弾け飛んだ瞬間、王様が臣下達に命令をする

「いまじゃ!!あの災禍の化け物を狙え!」

そう言うと大量の火の玉が俺に向かって飛んでくるが、珊瑚礁の結界の中に入った瞬間火が全て消える

「海にそんなちいせぇ火の玉なんぞ一瞬で消しちまうよ!」

「なんと!上位の魔法じゃぞ!」

臣下達はかなり驚いており、一歩後ろに下がる

「まじ?あの結界強くない、ねぇ相田さんあれ消せない?」

「い、いま話しかけないで!!彼の動きを止めるのと沈黙与えるので精一杯なの!!」

「はぁ?ステオール4を止めるのにどんだけ力んでんのよ」

ナズナは相沢がかなり真剣な様子を見て軽く舌打ちをしてから舞島に

「あんたの魔法とかスキルとかでなんとかなんない?」

「僕のスキルや魔法なんて使ったら城が吹き飛んじゃうよ」

吹き飛ぶって‥本当に舞島君は小説とかにいるチート主人公みたいだ

「私に何か出来ること、出来ること‥そうだ!」

秋野さんは俺の足に巻かれている鎖を必死に外そうとしてくれているがびくともしない、彼女だって頑張っているのに俺には何も、何にも!!

俺の目の前では海界さんが勇者三人、王国兵や臣下達の攻撃を全て防いでくれているが、息が上がって来ている。対してあちらは王国兵と臣下達が疲れ始めてるだけで勇者の三人はまだまだ戦える様子だ

「まじいなぁ‥」

海界さんが焦り始める、一人であれだけの量を捌いているんだ当たり前だよな。

「ごめんなさい‥私足手纏いで‥」

秋野さんが謝るが海界さんはそれを聞いて

「そんなことねぇよ秋野ちゃんがいたからこんだけ戦えてんの、MP30しかねぇのにこんなにバンバンスキル使えるかよ」

「え?」

秋野さんはもしかしているだけMPを回復するのか?でも本人はスキルは持ってないて言ってなかったか

「さてと、ねえ海界さん?僕も飽きて来ちゃったっしさそろそろやめにしよっか」

舞島君がそう言うと剣を光の粒子になって消えていった。飽きたからやめるって‥まるでゲーム感覚じゃないか

「はぁ?!人の命かかってんだぞ?それを飽きたからで済ます馬鹿が何処にいんだよ」

「そうだよ!ここはゲーム世界とは違うんだよ?」

二人の言う通りた、ここはゲームじゃない。異世界というなの現実世界だ。今の彼からはまるでゲームをプレイしているように感じる

「はぁ、大人てめんどくさいね。あのさ蘇生出来るんだよ?一回西条さんには死んでもらって蘇生してさ敵だったらまた殺せばいいじゃない、なんでそんな事もわかんない訳?」

「はぁ?!テメェは命をなんだと!!!」

「あーね?その考えはやばいけど‥まあ確かに蘇生あるからいいと思うよ?ゲームとかでは一度死んでから職業リセマラするやつとかあるし」

え?え?何言ってるんだよ‥嫌だ俺死にたくない、


「死にたくない!!!」

「「!!!」」

声が出た!!やった、相田さんはかなり驚いているようだけどこれなら喋る事が出来る

「相田さん、沈黙と「解いてないわよ!!」

「話くらい聞こうぜ、皆。こいつだって‥」

「ならん!!!」

「え?」

王様?なんでだよ。せっかく沈黙を自力で解いたのに

「その者は災禍じゃ!勇者様の力を跳ね除けるなど災禍以外にありえん!!」

「だから、俺は召喚されたんだってば!!どうして分かってくれないんだよ!」

「もういいよ、殺すのが駄目ならさ」

舞島君が俺に手を向けてから

「どっかに飛んでいってもらうから」

そう言った瞬間に俺の足元に召喚室で見たのと同じ魔法陣が描かれていく

「あ、これ!!」

「!!舞島君、どうして!」

「舞島ぁぁぁぁぁ!!!」

海原さんが舞島君に向かって法螺貝の音を浴びせようとするが法螺貝から音が出ない

「━━━━!」

「五月蝿いから黙って」

相田さんが海界さんに沈黙をかけたらしく、海界さんは声すら出せなくなっている

「うん、やっぱり西条さんは災禍だよ。全然楽だもん沈黙の維持」

「そんな!!そういう固有スキルとかじゃ!!」

「はいはい、言い訳ご苦労様。それじゃ」

「待ってくれよ!!!!」



「さようなら、災禍の勇者さん」


俺は次の瞬間真っ暗な洞窟の中にいた




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